長崎旅最終日。
佐世保グルメいっぱいのホテル朝食をのんびりと頂き、11時にチェックアウト。
すぐ近くに、国指定重要文化財の軍事用通信施設「針尾送信所」なるものがある事を知り、何の予備知識も無い状態で向かう事に。
巨大な三本のポールが見えていたのが不思議に思っていたのですが、これがなんとアンテナ施設だった訳です。
大正時代に建造された、136メートルの鉄筋コンクリート建築物ですよ。
https://www.nagasaki-tabinet.com/guide/268
間近で見ると、100年を経過したコンクリート建造物とは思えないほど綺麗な姿に感動を覚えずにはいられない。
受付で地元ボランティアの方による簡単な説明を受け、まずは電信室から見学。
建物の老朽化が進んでいる為、ヘルメット着用必須。
整流器室。
冷却の為の専用水路も通っていたとの事で、相当な大電力を扱っていた事が窺える。
そのせいか、ひんやり涼しい。
当時の看板が良い味出してます。
コウモリも生息してました。
バッテリー室で使用する硫酸を保管していた倉庫は、その揮発に侵されてレンガタイルやコンクリートが朽ち果てていました。
巨大な米国製の送信用直流電動機が鎮座していた広大な空間の機械室。
直流電動機で発電された搬送電波を使い、CW(モールス)信号をAM変調して3KHzの電波とし、アンテナ線へ送り込む仕組み。
機械室の片隅には送信所全体造を表したジオラマが展示してありました。
大正時代の当時の無線通信はまだLW(Long Wave:長波帯)が主流で、波長がめちゃくちゃ長いが為にあの様な巨大なアンテナが必要だったという訳ですね。
尚、3本の塔はあくまで地上高を稼ぐ為のタワーであって、実際に電波を発するアンテナエレメントは塔と塔の間を4本ずつ平行に張り巡らせた三角形の電線で、現在は撤去されている。
針尾送信所 4本線で結ばれていた 米公文書館所蔵写真で確認 発信の詳細解明へ期待
送信周波数3KHzとなると、その波長は300÷0.003MHz=100㎞にもなる訳で、この施設では一方向あたり4本の300m長アンテナエレメントで3方向へ発信していたらしい。
※画像は「美しさと異様さを醸し出す「針尾送信所」の遺構へ!」から引用
たったの数bit/secの情報量を送信する為に、これだけの巨大設備を建立していたという大正ロマンに、かつてCW(モールス信号)を学んだ2級アマチュア無線家の血が騒ぎまくりました。
建屋左後方にそびえる1号塔。
(バイクを駐めた駐車場付近)
建屋右後方にそびえる2号塔。
そして背面にそびえる3号塔。
ここだけが内部を見学可能な様に一般開放されています。
その内部に入ってみると、ケーブル類はさすがにもう無い。
てっぺんまでのびるハシゴは現在も3ヶ月サイクルのメンテナンスに使われているとの事。
地面にはケーブルの振動吸収用防振装置やメンテナンス用の手動ウインチ。
施設が完成してからわずか数年で、無線通信は発電機式から真空管式が主流となり、周波数帯も長波から短波が主流の時代が訪れてしまったとの事。
短波帯だと300mものエレメント長は必要無いから、塔が300m間隔で3本建っている意味が無くなってしまったという刹那。
でも、これだけの鉄筋コンクリート建造物がステー無しで100年以上綺麗な姿を保ち地震にも耐えてきているのは凄い。
イケイケドンドンで増築しまくった軍艦島の建造物の朽ち果てた姿を目の当たりにした直後だっただけに、軍事用という事で原材料を厳選・洗浄したコンクリートで丁寧に造られた針尾送信所アンテナ塔の高品質ぶりに心を打たれる。
3号棟の脇にある見張所。
重要な軍事機密施設への侵入者を監視する為の、こちらも鉄筋コンクリート造での重要文化財。
こんなに細い一本足で支える建築物がノーメンテで100年以上崩壊せずに残っているのもまた凄い。
見張り所からは、激しい渦潮で知られる西海橋付近の海峡が一望出来る。
あちら側にも渡ってみようと思い立ち、西海の丘展望台へと移動。
西海橋と送信所が一望出来る展望公園があるなんて素晴らしい。
針尾送信所から送信された「ニイタカヤマノボレ ヒトフタマルハチ(1208)」の極秘電で太平洋戦争の口火が切られたという解説ボード。
新旧二本の西海橋を一望出来る貴重なビュー。
手前の新・西海橋の方には展望通路があるとの事だったので、歩いて渡ってみる事に。
橋の真下が吹き抜けの通路になっていて、とにかく風が凄い!
針尾送信所方面を臨む展望コーナー。
足下には渦潮が見える演出も素敵。
間近で見る渦潮はホント凄い迫力。
これは来て良かった。
佐世保エリアでのミッションを全てクリアしたので、ここから一気に長崎へと向かう。
途中、海鮮丼の看板を掲げる海の家が目に入ったので、そこでランチにしようと入店したら、本日分売り切れとの事(;O;)
でも、大村湾岸沿いのルートはこんなのどかな風景を横目に眺めながらの快適ツーリングが愉しめました。
そのまま一気にグラバー園まで走りきり、
16時過ぎでも唯一食事を提供していたフードコートで唐揚げ丼でランチ。
こんなジャンクフードがなかなかどうして美味しかったりする訳です。
バイク返却まで少々時間があったので、その足で鍋冠山展望台へと登る。
二年前は反対側の稲佐山展望台から長崎市街を見下ろしたけど、今回は反対側からのビューという訳。
造船所も良く見えました。
黄昏時の長崎もまたよろしい。
レンタルバイク返却前に最後の満タン給油。
1.91L入って330円也。
Tripメーターは118.8㎞を示していたので、区間燃費は62.2㎞/L。
最終日の走行距離はちょっと控え目の約70㎞。
前回は東シナ海側のルートで行きましたが、西海の海峡~大村湾沿いのルートもなかなか良かった。
17時45分にホンダウイングコヤナギさんに帰還し、ハンターカブを返却。
■トータルの走行距離:346㎞
■トータル燃費:51.6㎞/L
■レンタル料金:1.2万円(72時間)
■ガソリン代:1151円
ハンターカブは少々パワー不足を感じたのと、グロムの前後に長いシートに乗り慣れた身体にはシングルシートによる体勢の自由度の狭さが気になったかな。
新車下ろしたてでリアキャリアにまだ傷防止テープを貼っていないという事だったので、バックパックをラゲッジネットで固定するのは遠慮しておきましたが、リアキャリアを最大限活用した方がこのバイクの個性が活かせますね。
尚、最終日は一日中ものすごい強風が吹き荒れていて、軍艦島クルーズは全部欠航。初日に組み込んでおいて正解でした。
帰りの長崎空港内レストランで夕食をとり、
そのままフライトの予定だったのが2時間以上遅れ、長崎を飛び立ったのは22時過ぎ、羽田空港に降り立ったのは午前0時過ぎ(^0^;)
着陸後、航空会社からはタクシーや宿泊費を補填する書面が配られました。
バイクで来ていた私は行使不要でしたが。
という訳で、今回の旅では念願の軍艦島上陸を果たし、未踏の県だった佐賀県で邪馬台国の神秘に触れ、嬉野温泉のトロトロ美肌湯を堪能し、佐世保では九州最大のテーマパークであるハウステンボスを制覇し、貴重な戦争遺跡をいくつも渡り歩く事が出来た充実の三泊四日でした。
以上、ブログ4部作、長文失礼いたしましたm(__)m