
年末に宣言した通り、今年は少し車のメンテナンスについても本腰を入れていこうと思う。四十の手習いというやつだ。
とはいえ、DIYからは足を遠のけたうえに長期間車無し生活を送っていた自分の手元にある「車用工具」、というか車いじりに流用できそうな工具と呼べるものは、せいぜいこのくらいのものだ。これでは何もできない。ついでに、撮った写真もピンボケでもうなんとも言いようがない。
というわけで、小雨降る3月下旬の入り口のころ、地元では最大級のホムセンに立ち寄ってみた。本店が都城市にあるハンズマンだ。なんでも、このお店はお客さんからの要望をほぼ無制限に聞き入れていった結果、いまや取扱商品数は20万点を数えるというおばけのようなお店だ。
今回のメンテナンスのテーマはスパークプラグの状態確認。ODOメーターは7.7マキロ弱をさす「白い嘘星」は、中古で買ったということもあってどんなプラグをいつ挿入したのか定かでない。おそらくは純正プラグが新車時から変わらず刺さっているのだろうが、前オーナーがどんな人物であったのかがわからない以上、それは想像の域を超えない。
時間は前後するが、作業と買い物に先立ってイメトレを試みていた。Youtubeで2JZ-GE型エンジンの整備動画を漁っていたところ、非常にわかりやすい海外動画を見つけることができたので、仕事上がりの夜半にじっくり3回ほど繰り返し見ながら、本格焼酎島美人の杯を進めた。で、その晩は寝ることになる。ハンズマンに立ち寄ったのは、そんな夜も明けた次の日のことだ。
https://www.youtube.com/watch?v=kwxhiwT8wEE&t=1s
(このスープラのエンジン超綺麗ですねー!)
かつてDIYにはまっていたといっても、その分野は日用大工。生まれてこのかた、車のエンジン周りを触るなんて機会は全くなく生きてきたが、運命と偶然と邂逅のいたずらの結果、ひとまずこんなものをそろえてみることにした。
なんのことはない一般的なソケットレンチ関連の工具と基本的なドライバー2本だ。だいたい6千円くらいだったかと思う。さぁやるぞ、という気持ちはMAX高まっていたものの、その日は雨だったので作業は見送ることとした。(暴風警報も出ていたしね。)
そして、1週間ほど経ち天候も回復した3月最下旬の日曜日。前日に桜を愛でつつしこたま飲んだこともあって頭はいささかゆるふわ状態ではあったが、この好天を逃すまいという使命感に似た気持ちで再び寝てしまいそうな脳みそを奮い立たせながらボンネットを開けてみた。…で、そこでふと気づいた。なんということか、今ある工具だけではメンテナンスができないようだ。
まずはソケットレンチの買い間違いだ。ソケットと持ち手が全くかみ合わない。6.35mm用のソケットと9.5mm用の持ち手を揃えたもんだからそれも当然だ。これは買い足しするしかない。加えて、プラグ確認をするのが主目的でありながら、プラグ用レンチが手元にない。プラグ用レンチは16mmの深いものが必要だが、何をトチ狂ったのかそれを買うのを忘れていたようだ。歳は取りたくない。
急遽揃えたソケットとプラグレンチと5mmの六角レンチでようやく作業着手にこぎつけた。
最初はエンジンカバーを外すところから。ここはカバーを止めている4点のナットを外すだけなので特に問題はない。メガネとソケットレンチでさくっと外してみた。
おお。これは動画で見た風景。
続けて、動画で解説されていたとおりにスロットルボディの取り外しにかかる。しかし、これが予想をはるかに超えた難敵だった。…動画ではさくっと取り外していたのだが。
まずはインテークのダクトはずし。これは難なく進行した。ついでに見てみたスロットルの内部は、さほど汚れていなかった。これは嬉しい想定外。最近アイドリングの回転数が下がっていたものだから、この辺が汚れているんだろうと思っていたからだ。まぁきれいであること自体に問題はないので、本来の作業を続けることにする。
スロットルボディの取り外し前に、ケーブルコネクタを3つ取り外す必要がある。適当にプライヤーで抉って取り外しを試みてみたのだが、勢いあまって奥側のコネクタを豪快に壊してしまった。スロットルワイヤー脇のなんかのコネクタだ。壊してしまったものはしょうがないので後日JMSで部品を取り寄せて修理してもらうしかない。(これは、修理完了まで運転中に外れてしまう恐怖におびえることとなる。タイラップで仮止めでもしておこうか。)
そしていよいよスロットルボディを固定する4つのナットとボディ下のステーの取り外しにかかった。ボディ上部の2つはすんなり外れてくれだものの、下の2つはなかなかの強敵で、ナットが舐めないかどうかという恐怖に震えながらメガネとソケットレンチを駆使しつつ、上腕の筋肉を酷使してなんとかなんかとか外すことに成功した。
しかし、下の2つに止められていたステーはさらに2つのナットでエンジン本体とつながっていて、その2つがなかなかどうして緩んでくれない。これはもうだめか、とあきらめかけていた30分後にようやく緩んでくれてほっとした。
しかーし、世の中は甘くない。ステーの裏側にさらにもう1本固定のナットが隠れていたのだ。これも、もはやいじめかと思うくらい固い。このときほどケミカルの滑り材を買い揃えていなかったことを恨んだことはない。
そんな感じで綱渡りで進めてきた作業だったが、ついに観念する場に遭遇した。スロットルボディに水を送るゴム管を止めている留め具のひっかけがどういうわけか作業のしにくい裏側に回り込んでいて、手持ちの工具では緩めることができない場面に出くわしてしまったのだ。理屈では簡単な話なのに手を出せないもどかしさに震えながら、これ以上のスロットルボディ外し作業は断念することにした。もたもたしていたこともあって、日が暮れかけてきていたから仕方がない。
こうして奥側のプラグを確認するのはいったん断念する形になったものの、手前のプラグは簡単に確認できるのでひとまず見てみることにした。ここでようやくプラグレンチの出番となる。
もういい加減にしてほしいのだが、これもかなり固い。エーモンの安っいレンチではなかなか歯が立たないので、てこの原理で無理やり回してみた。ら、取れた。
どんなもんでしょうかね、と自問自答する。まだいけそうな気はするものの、状況から判断して新車納車時から交換した形跡がない。これはまぁ早晩交換が必要だろうと結論付けた。
…が、この直後、スパークプラグのことなどどうでもよくなるようなショックなものを発見してしまうこととなった。よく見るとタイミングベルトに見事なほどきれいにひびが入っていたのだからびっくり。これは怖い。よく今までもってくれていたものだ。
なにはともあれ、いったんすべての作業を中断し、JMSに駆け込むことにした。10キロほど離れたJMSにたどり着く前に切れてしまわないよう細心の注意を払いながら、2千回転以下をキープしながら。正直、7.7万キロしか走っていないし車検も10月末に通したばかりなので、これは想定外だった。きっと、車検を通してくれた大牟田市のSPeeDさんも想定していなかったことだと思う。
こうして、存外に今月の出費におびえる日々が始まってしまったのだが、ポジティブに考えれば事故が起きる前に発見できてよかったとも言える、と脳内で協議して結論付けてみた。
「あんたが自分でみつけだしたいのかと思ったんだよ。で、黙ってたんだ。」
1982年に上梓された村上春樹の小説の一節を不意に思い出しながら、こんな文体で今日の出来事を綴ってみつつ、百年の孤独をぐいぐい胃に放り込むことに。貴重な休みの日曜の夜はそうしてゆるゆると更けていく。
この後、何をどの順序でどうするか、考えたくもなくなったということは言うまでもない。
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治療・入院 | 日記
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2018/03/25 21:41:11