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イイね!
2010年04月11日

ちゃらんぽらんの不思議 ~これは類稀な奇跡かも~

ちゃらんぽらんの不思議 ~これは類稀な奇跡かも~
「ちゃらんぽらん」という表現をご存知でしょう。
「あいつは、ちゃらんぽらんでどうしようもないやつだ」なんて毒づいた
ことが一度はあるはずです。
私なぞよく「おまえはちゃらんぽらんだ」と言われました。
実際のワタクシとは真逆なことを言われたので、何か真意があるのだろうか
と深く考えたことがありますよ。ウハハハ。

さて、「ちゃらんぽらん」とは、いい加減でだらしないというほどの意味でしょうか。
今でも割合と人口に膾炙している表現だと思います。
この不思議な音韻を持つ言葉の語源はどこなのでしょう?
と語源辿りの冒険に出るのも面白いのですが、もっともっと面白いことが、
この「ちゃらんぽらん」という表現に関してあるのです。

この世の中というのは実に実に不思議でございまして、
われらが日本国よりはるかな西にあるペルシャ(イラン)の地にも、
「ちゃらんぽらん」という表現があります。
発音も意味も日本とまったく同じだそうです。
イランの方から聞いたので間違えございません。

言葉や文物が伝播するというのはよくあることです。
これはいにしえの時代から変わらない人間世界の普遍的原則と呼んでもよいかも
しれません。
しかし、言葉や文物というのは大抵は伝播の過程において、少しづつオリジナルのものとは異なった形や意味を持つのが普通です。
インドで生まれた仏教は、本来は人間が解脱するために厳しい修行をする自力救済の教えであり、なむあみだぶつと唱えていれば極楽往生決定といった考え方は少しもないんです。
仏教は確かに伝わったけれども、もともとのオリジナル仏教とは異なった要素を帯びてきてしまったわけですな。
このことが悪いわけではありません。オリジナルのものを絶対に墨守しなければならないという意気込みをもって、言葉や文物って伝播されるわけではないですから。

伝播という現象は、伝言ゲームみたいなもんです。
誰かがうさぎのことを伝えているのに、次第にバニーという表現に変化し、しまいには女性の肌の露出度合いの高い人たちがウエイトレスをしているお店のことを思い浮かべてしまうなんてこともあり、うさぎという原型は影も形もありません。
まあ、喩えが妙ですけれども。
ある言葉や文物が他の地域に広がるとき、他の地域なりの解釈でもって、その言葉や文物が受け止められ、オリジナルとは少し変わったものとなる。その少し変わったものが、他の地域に伝わるときにさらに異なったものとなる。
そういうものではありませんか。
私たちはカレーうどんを食べますが、インドの人がみたら「これがカレーかい!」とつっこみたくなるところでしょう。

法隆寺の柱にギリシャ建築の要素が組み込まれているというのは有名なお話ですが、さすがにパルテノン神殿のように壮大な石組みで建築されているわけではないですよね。
ペルシャでは古代より火を尊ぶゾロアスター教という教えが盛んで、中国までは確実にゾロアスターの教えが入ってきたと言われていますし、日本にもゾロアスター的要素が入ってきたと唱える人もいます。
しかし、やはりこれらは伝播の過程でオリジナルとはやや異なった形ではじめて受け入れられたのだと思います。

しかし、時にまったく同質なもの同士が、遠く離れた地域にてお互いに存立していることが稀にあるんです。
「ちゃらんぽらん」がいい例です。
いろんな想像ができますが、語源も定かでないほどいにしえの言葉が、こうしてペルシャと日本というとても離れた地域で、まったく同じ形として残されている。
私はこのことに感動を覚えます。
伝言ゲームで、人間はしばしば元の言葉と違った言葉を生み出してしまいますが、
そうではない場合もあるということ。
これは偶然なのでしょうか。
こういったことを考えているといかにも知性的な感じですし、面白いと思いますよ。









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Posted at 2010/04/11 00:41:17

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