出口さんはビジネスと歴史中心で相当数の著書あるけれども初めて読んでみた。
地元の図書館になかったので、購入リクエストして。
これは出口さんの学生時代から学んだ、哲学と宗教に関するビジネス、歴史視点での出口さん流の解説書、いやそうじゃないという意見は無論あって、それが哲学や宗教というものだと思う。
約450ページに有史以来の哲学と宗教を整理しようという試み。
もちろん、これだけで詳細に記述はできないから、興味持ったらこれ読んでねのスタイルで全体の2%ぐらいは、参考図書紹介。
現代は哲学も宗教も、もしかして不要な時代と思われているのかもしれないけど、本質的に1万年から変化(進化)していない人間にとっては、相変わらず必要とされているんだろうと思う。
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○ 哲学と宗教の定義
これは他の人も同じことは言ってるけど改めてで、
・哲学
叡智への愛、知識の探究、自然現象、宇宙の真実の事実、存在の意味を追求すること
・宗教
超自然的な支配力、すなわち宇宙の創造者の存在を信じること
それにより、人間の肉体が滅びても永遠に存在する霊魂を人間に与えてくれる
○ ”そうなんだ”と思ったこと
・ツアラツーストラはゾロアスターのドイツ語読み。
・イスラム教はキリスト教に遅れること600年ぐらいあるから、これから変化していく可能性はある。イスラム国の一番の問題は近代化に乗り遅れたことで、イスラム過激派は宗教の問題ではない。
・カルヴァン派は生まれる前に天国に行くことが定められていると信じているから、神を裏切らないように勤勉に働く。
カルヴァン主義が今の資本主義を支える土台になった、ユグノー、ピューリタンは国が違うだけで皆同じ。(アメリカも基本ピューリタンの国だよね)
・春秋戦国時代に西周から東周に遷都したときに大量の金文職人(知識階級)が中国全土に拡散することで諸子百家が生まれた。
・鈴木大拙
「日本的霊性」:浄土信仰と禅が日本人の心性を規定している。
・インドの仏教は、イスラム教が入ってきたときに、インテリ層の宗教だったが故に支配層と金持ち、知識階級が叩かれて絶えた。
・ナポレオンが近代を作った:自由平等博愛はアメリカ建国の精神そのもの。
・ビスマルクはヘーゲルの学説を学んでいたはず:労働者は働けなくなったら人生終わりじゃなく、社会として保証するという社会保障の仕組みをドイツが初めて取り入れた。
・ニーチェは人間のルサンチマン(ressentiment:フランス語で恨み、怨念)を巧みに利用したと宗教批判。
・ヘーゲルの3人の子供が、キルケゴール、マルクス、ニーチェと見ると現代精神への繋がりがこの3人から見える。
・存在が世界を規定しているのではなく、言語が世界を規定しているのだ。英語ではマグロもカツオもtuna。
・フッサール:現象学的還元(世界は現象であって実在ではない、なぜなら世界は人間の頭の中にしか実在しないから)。
・ストロース:社会構造が人間の意識を形作る、これは最近の脳科学でも明らかになってきている。(例えて言えば、江戸時代の社会が江戸時代の人間の意識を作る)
・現在の人間社会は、人間実在の真実よりも、昔からの本質主義的な概念、平たく言えば日常的な概念を利用した虚構に立脚している(人間の主体的自由意志はほぼ存在しない、実は人間も行動の9割は主体的行動ではないというのが最近の脳科学の結論)。
従って犯罪者を裁くのに、今の法律は便宜的なものだと。
Posted at 2019/10/23 20:50:59 | |
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