
エンケイのRC-T5で新規設定された「15インチ・PCD100・5H・INSET40」って何用のホイールなんだろう?と気になっているOXです.
さて,タイヤが届かず日曜のファミ走は走れなかったので,今回は年末・年始に読んだ本の話でもしようかと思います.実家→東京に戻る新幹線で暇潰しに何か読もうと久方振りに書店に寄ったら,「GP Car Story」のSpecial Edition,「Adrian Newey(エイドリアン・ニューウェイ)」があったので,これを買って読んでました.
この本は,F1カーデザイナーであるエイドリアン・ニューウェイ氏の自伝「HOW TO BUILD A CAR」の副読本的な位置付けとして2020年に発売された本だそうで,ニューウェイ氏がどういう着眼点で当時のF1カーを設計したのか?が彼自身の言葉で述べられており,非常に面白かったです.
本書ではいくつかのクルマに関して触れられているのですが,その中の1台である「Williams FW18」の章で,昨今のF1でよく話題になる「レーキ角(クルマが前傾している角度)を初めて採用したのがこのクルマである」と述べられており,「こんな昔からレーキ角を考えてたのか~」と驚きつつ,その採用の経緯を興味深く読んでました.

(1994年型FW16,1995年型FW17に比べ,一番下の1996年型FW18は確かにレーキ角がついている↑)
「クルマを前下がりの姿勢にした場合~(中略)~リアの車高を上げるしかなく,結果として重心高が高くなるデメリットがあるからだ.96年までに私たちは簡易的なサーキットシミュレーションを完成させており,それを使ってダウンフォース増加によるラップタイムのゲインと,重心高が上がることによるタイムロスの比較評価ができた.結果はレーキ角を大きくすれば,ラップタイムは少なからず向上するというものだった~」
「この時代に既にラップタイムシミュレーションがあったのか!」とこれまた驚きつつ,やはりまだシミュレーション精度は低かったようで,最終的には実車のロールフープに重りを付けて,比較テストして採用可否を決めたんだそうです.
1996年ですからOSがまだWindows95の時代です(一般的なPCのメモリが8MBの世界!).そんな時代のシミュレーションだったら複雑な計算はしていないのでは?と思いつつ,「だったら,2013年製のPS3・GT6の物理計算でも味見くらいは出来るかな?」と思い,久方振りにGT6を引っ張り出して,車高を振ってテストしてみました.
(ええ,ウチでは未だにPS3が現役です・・・笑)
結果は,リアの車高30mm上げ+MAXダウンフォースより,前後共に車高30mmダウンの方が速かったです.車高が低い方がコーナーの立ち上がりで無理が効くので,とにかくステアリングを切れば曲がり,早めにアクセルを開けられるので,その分ボトムが上がってタイムを稼げるみたいですね.ま,絶対的なダウンフォース量が低いCR-Xのチューニングカーで試した結果なので,F1クラスの車速・ダウンフォースであれば結果は全く違うと思いますが・・・.
当たり前の事を当たり前であると確認しつつ,この本で面白かった話をもう1つ.今度は「McLaren MP4-13」の章で,クルマの全幅が200mmも縮められた1998年のレギュレーションに対応するためにホイールベースを延ばす事を考えたというお話.
「新車は全幅が狭くなることを考慮し,コンバインドエントリー(コーナーの進入部分)の限界状況での外側前輪の負荷および,コンバインドエグジット(コーナーの立ち上がり部分)の限界状況での外側後輪の負荷を減らす唯一の方法はホイールベースの延長だと考えたのだ.車幅が狭くなるのであれば全長も短くすべきだと主張する者もいたが,私の考えは異なっていた.むしろ,その反対だ」
エントリー/エグジットのタイヤの負荷の話は理解出来るのですが,その解決策が「ホイールベースの延長」となる理屈が私は未だに理解出来ていません.トレッドが狭くなる事で限界が下がりピーキーになる特性を,ホイールベースを延ばす事によって穏やかにする・・・というドライバビリティに近い世界の話だと当時は思っていたのですが,上記の発言を読む限り,何か物理的に理屈がありそうですね.
ちなみに,面白いのがこの翌年の「McLaren MP4-14」では,同じレギュレーションでありながら一転してショートホイールベース化を行った点です.こちらの経緯に関しては本書では触れられていないので分からないのですが,調べてみたところ「徹底的に低重心化を推し進めた」とあるので,重心が下がった事によって限界が上がり,ホイールベースを縮められたという事なんでしょうか・・・?
という感じで非常に面白い本だったのですが,これを読んでいてEF8の重心位置が知りたくなってきました.
前後方向の重心位置は車検証記載の前軸重・後軸重が分かれば割り出せるのですが,高さ方向となると術がありません.何か方法がないのかな?と調べてみたら,こんな方法があるそうです(↓).

(大崎喜久技術士事務所:
トラック重心高の計測法より)
前輪をある高さ(h)まで持ち上げた時に,どれだけ後軸の重量が増えるか?(ΔW)を計測して,この公式に当て嵌めれば重心高(hs)が出せるのそうです.四輪全てのコーナーウェイト計測だと,専門の機器を持っているところじゃないとダメですが,後輪だけなら筑波サーキットの重量計測器で,フロントをジャッキアップしてウマを噛ませる方法で測れないかなぁ~?
どなたか試してみて下さい(笑).
以上,重心高の影響に関するお勉強でした.
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Posted at
2023/01/16 02:04:54