
クルマがなくなってしまったので展示を観に行く機会も失い,昔の話を思い出してブログに纏め直す以外ネタもなかったのですが,久方振りに「クルマがなくても見に行ける展示」があったので観て行って来ました.
イベントは「Powered by Honda -Phase2 Begins-」なるホンダ主催のもので,港区虎ノ門にある「虎ノ門ヒルズ ステーションアトリウム」で行われていました.
展示されているのは1965年の「Honda RA272(↓)」と,
2026年の「Aston Martin AMR26(↓)」.
「AMR26」とは言っても,4ヵ月も開発が遅れて苦戦している,あの「AMR26」の実車がこんなトコにいるはずがないので,当然ショーカーな訳なのですが,2026年規定のF1カーはまだ観た事がなかったので,どんなもんか観に行ってきました.
展示車の話の前に,そもそもなんでこんなイベントを開いたんだ?と調べてみたのですが,ホンダ公式のプレスリリースはなくSNSで告知されているのみでした.今年に入ってからこのショーカーが各種イベントで引っぱり出されているのは知っていましたが,「この時期になんで虎ノ門?」と思って考えていたのですが,そういえば
青山の本社が解体されて(↓),
今は虎ノ門の「アルセアタワー」に本社があるんでしたね.「あ~,本社のお膝元であるこの虎ノ門で,今週から再開するF1の後半戦で,新型パワーユニットを投入して反撃する事をアピールする目的だな・・・」と察しました(前半戦のあの惨状ではアピールしたくても出来なかったでしょうしね).
目的が分かったところで,肝心のショーカーを観て行く訳なのですが,そもそものこのショーカーがよく分からないんですよね.「AMR26」の実車は開発方針の変更により,4ヵ月も開発が遅れてシーズン前のテストに間に合わないくらいだったのに,3月の日本GP前からこのショーカーは日本にいたんですよね.
「開発が大幅に遅れているのに,ショーカーなんて仕立てている余裕はないだろ?」と思い,旧型に「AMR26」のリバリーを施して展示しているのかと思ったのですが,旧型とは形が似ても似つかぬクルマに思えました(とはいえ,実戦仕様の「AMR26」とも全く形状が違う・・・).
「なんなんだ? このクルマ??」と思い,色々調べてみたところ,どうやらF1のショーカーを専門で製造する会社が存在するようです.
イギリスにある「Memento Exclusives」という記念品を製作する会社が,F1の公式ライセンス商品として
ショーカーの製造・販売を行っているそうです.「そんな会社があるんだ!」と驚きつつ詳しく調べてみたところ,このショーカーには以下のような特徴があるそうです(↓).
・各F1チームから直接提供された本物の設計データをベースに,実車とほぼ同じ方法で作られている
・エンジンや油圧システム等の内部機構は省かれているものの,外観や構造は本物のF1カーを再現している
・2026年の新規定で小型化されたシャシーや,複雑な空力パーツも1mm単位で正確に再現している
・実車と同じく,オートクレーブでカーボンを焼き上げて製造しているため,実車並みの強度と美しさがある
・フロントウィングやリアの衝撃吸収構造が補強されており,タイヤ交換のデモや練習にも使える
・ショーカーをイベントで使い易くするため,フロアは分割式になっている
・ノーズコーンとフロントウィングは,瞬時に脱着出来るよう独自の固定方法が取られている
・エキゾーストには熱処理を施し,リアルな焼け色を再現している
・ステアリングには実際に動作する液晶スクリーンを搭載し,本物に乗るF1ドライバーも認める仕上がり
・タイヤは,ピレリ製の本物タイヤが装着されている
あ~,なるほど,最近のシミュレーター向けに,本物を模したモノコックを公式な許諾を得て設計・製造しているため,その延長線上で1台丸々模した商品を作ったという事ですね.
「なるほど,それなら本物が完成していなくても,ショーカーを仕立てられるわなぁ~」と思いつつ,先述の通りアストンマーチンは4ヵ月も開発が遅れていたので,設計データを外部に提供するなんて出来なかったはず・・・(実際ホンモノとは全く違う形をしてるし).となると,このショーカー用のデータはどこが提供したんだ?と思い,このショーカーに似ているクルマを探したところ,ありました(↓).
FIAが2026年のレギュレーションを紹介するために作った,レンダリングイメージ(CG)ですね.という事は,このショーカーは「AMR26」だと思って観るのではなく,レギュレーションを策定したFIAが「こういう形のF1カーにしたかったという理想像」だと思って観れば良い訳ですね.なるほど,なるほど.
・・・という事で,クルマの素性が理解出来たので細かく観ていきたいと思います.
2026年からホイールベースで200mm,全幅で100mm小さくなりましたが,依然として大きいですね.タイヤはフロントで25mm,リアで30mm細くなりましたが(↓),
依然として18インチホイールを履いているので(↓),細くなった印象は受けないですね.
なお,個人的にはタイヤからはみ出るような形のホイールフェアリングが気になりました(↓).
パワーダウンを補うため,アクティブエアロ(前後のウイングが寝る)が採用されましたが,ショーカーなのでフロントウイングは完全に固定式ですね(↓).
フロントウイングは100mm幅が狭められてますが(↓),
翼端板の外にこれだけデカいウイングレットを備えていると(↓),
それほど小さくなった印象は受けませんね.下側のウイングレットは,入口が広く,徐々に外側に細くなりながら低い位置を目指しているので(↓),
その辺りに流すとドラッグが減るのかなぁ~?と想像を掻き立てられました.なお,ノーズ⇔フロントウイングの間には,先述の通りタイヤ交換の練習にも使えるよう,真ん中にステーを追加して補強しているのが見えました(↓).
リアは2025年以前の「DRS(Drag Reduction System)」のデザインをそのまま流用した感じですが(↓),
2025年以前のものは翼端板の上端がなく曲線的なデザインでしたが,それと比べると翼端板が主張しているので,ちゃんとウイングっぽい感じですね.その下に目を移すと,ビームウイング(翼端板の真ん中辺りにあった支えとなる中段ウイング)が廃止されているのが分かります(↓).
ショーカーですが,リアウィング・エンドプレートライトもちゃんと再現されているようですね(↓).
2026年話題の「
FTM」は,ショーカーなので当然再現されていません(↓).
個人的には,マフラー下のインパクトストラクチャーの突き出しっぷりが凄くて印象的でした.
フロントのホイールアーチは廃止されたので,シンプルなブレーキダクトといった感じ(↓).
ただ,リアの方はハブにこんなフラップが追加されていて(↓),
ショーカーなのに作り込みが凄いですね.
ボディワークを観て行くと,ミラーのステーが複雑で(↓),
どっちか1本で良くないか?と言いたくなります(笑).シート前のウインドリフレクターもギザギザの形状になっており(↓),
ドライバーの視界に入る範囲は,本物っぽく作られているという事なんでしょう.
その下の冷却用の吸入口はショーカーなのでシンプル(↓).
ただ,それよりももっとシンプルなのがサイドポッドで(↓),
フロアがから浮かせた二重構造になっているものの,ひたすら単純に真っ直ぐ伸びているだけで「いかにもショーカー!」って感じがして,ある意味好きです(笑).
小ぶりなシャークフィンも最早見慣れちゃいましたね.
グランドエフェクトカーではなくなかったので,フロアの入口は大分雰囲気が変わり,サイドポッド前にあるウェイク抑制用のボードが目立ちます(↓).
空気の取り込み口も低く・小さかったです(↓).
フロア後端も手が入っていますが(↓),
本物がこんな単純な形状なはずがないので,やっぱりショーカーだなぁ~って感じです.
以上,クルマがなくても見に行ける展示として,F1のショーカーを観て来たお話でした.
ちなみに,展示されているのは「虎ノ門ヒルズ ステーションアトリウム」ですが,東京地下鉄日比谷線の「虎ノ門ヒルズ」駅のホームからも,こんな感じ(↓)で遠目に観る事が出来ます.
8/26まで展示されているそうなので,移動のついでに一目観るのも良いんじゃないでしょうか?