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2024年03月15日 イイね!

トーを開いた時の舵角比較

トーを開いた時の舵角比較先日のTC1000で,トーを開いて車体が持ち上がるように感じた原因は「ダンパーの温度」と「舵角」といったところまで分かってきたので,「舵角」の方も備忘録がてら確認しておきます.

まず,サンプルにするデータは195/55R15で205/50R15に0.05秒差まで迫った時のデータです.当時との違いはトー角だけ.厳密にはタイヤの摩耗状態も違いますが,まぁ,ここは横に置いておきます.


続けて,コンディションですが,以下のような感じ.

  OUT '10の時 ・・・ 気圧:1022.0hPa  気温:8.8℃  路面温度:13.6℃
  OUT '15の時 ・・・ 気圧:1017.9hPa  気温:7.2℃  路面温度:11.8℃

気温・路面温度はほぼ同等で,今回のOUT '15の方が気圧だけ4hPa落ちる感じですかね.
気圧のトレンドラインから,タイム差を推測すると(↓),



大体0.1秒落ちる計算.実際のタイムも(↓),

  OUT '10の時 ・・・ 41.038
  OUT '15の時 ・・・ 41.135 (+0.097)

その通りになっているので,まぁ,順当な結果ですかね・・・.


一応,ロガーデータで比べてみると(緑:OUT '10の時 青:OUT '15の時),



ざっくりこんな感じでしょうか?(↓)

  ホームストレート ・・・ +0.06秒 ⇒ 気圧の影響
  1コーナー     ・・・ +0.04秒 ⇒ インリフトの影響(ネガティブ)
  ヘアピン      ・・・ +0.12秒 ⇒ インリフト + トーアウトの影響
  インフィールド   ・・・ -0.14秒 ⇒ インリフトの影響(ポジティブ)
  最終コーナー   ・・・ +0.04秒 ⇒ インリフト + トーアウトの影響

「インリフト + トーアウト」の部分は,



コーナーの入口~中間の部分(Entry~Middle)はインリフトの効果でよく曲がるのですが,コーナーの中間~出口の部分(Middle~Exit)でトー角が合っておらず,思ったほど曲がらないため,プラスマイナスでゼロになる,みたいなイメージです.

ちなみに,昨日学んだツウな言い方(笑)だと,これを「ミッドアンダー」と呼ぶのだそうです.「ミッドアンダー」は「エントリーオーバー」「エグジットオーバー」と相性が良いそうですが,恐らく「エグジットオーバー」の方は後輪駆動車の話でしょうね(FFでは起こり得ないので).一方,「エントリーオーバー」との相関に関しては今回の1コーナーの結果を見るとFFでも起こりそうなので,次の映像比較でよく見てみたいと思います.


という事で,肝心の「舵角」に関する映像比較です(左:OUT '10の時 右:OUT '15の時).



コーナー毎に詳しく見てみます.

1コーナー
1コーナーの進入は両者とも同じですが(↓),



中間はOUT '10の時(左)の方が舵角が大きいです(↓).



そして,出口は似た舵角ですが,OUT '10の時(左の方が若干大きいですかね?(↓)



中間部分で舵角が少ないのは,右リアがインリフトしてテールスライドが起こっているからでしょうね.テールスライドがおさまった出口側まで同じ舵角となっている事から,ムダなスライドはしておらず,極僅かに流れている感じなんでしょうね.ただ,これで0.04秒遅い(ボトムも3.9km/h低い)ので,やはりリアをスライドさせて走るのは遅いんだなぁ~と思います.


ヘアピン
ヘアピンの入口では,OUT '10の時(左)の方が一気にステアリングを切り込んでいます(↓).



中間でも,OUT '10の時(左)の方が切り込む量が多いです(↓).



しかし,出口では逆にOUT '15の時(右)の方が舵が残っています(↓).



ここから分かるのは,にOUT '15の方は進入でインリフトしてクルマが切れ込んで行くので,それを抑えるために舵を減らし,中間までそれをキープしているのですが,その結果,エイペックス(コーナーの頂点付近)でしっかりステアリングを切って向きを変える!という操作が出来ないため,立ち上がりで向きの変わりが足りず,舵を戻せない・・・となっているんでしょうね.

なるほど.確かに「エントリーオーバー」だと「ミドルアンダー」になる訳ですな・・・.


インフィールド
インフィールドの入口はほぼ同等です(↓).



しかし,中間ではOUT '10の時(左)が大きく切り込んでいるのに対し,OUT '15の時(右)は舵角が少ないです(↓).



それでいて,出口は同じ舵角に戻っています(↓).



これは先程のヘアピンとは真逆で,言うなれば「ミドルオーバー」な状況なんでしょうね.一番欲しいところで,一番向きが変わってくれるので,少ない舵角で高い車速を維持したまま曲がれている,という事なんでしょう.この結果から察するに,トー角を「インフィールドに合わせるとヘアピンで曲がらない」「ヘアピンに合わせるとインフィールドで曲がらない」とか有りそうですね・・・.


最終コーナー
最終コーナーは進入~中間まで,両者似た舵角を維持したまま一定です(↓).



出口付近だけ,若干OUT '15の時(右)の方が舵を入れ続けているので,ここで曲がんないんでしょうね・・・.




以上,トーを開いた時の舵角比較でした.

インリフトさせた時のメリット・デメリット両方が出ているので,正直なんとも言えない結果かなぁ~?と思いました(多分タイム的にはほぼ変わらない).トーを開く事によって,立ち上がりでイメージ通りに曲がらなかった・・・なんて事態は起きなくなるので,アクセルを踏み続けてコースアウト!みたいな危険なシーンが減るという意味ではメリットの方が大きいのかもしれません(ラリー車がドリフトしながらコーナーに入って行くのと同じ考え方ですかね).

ターンインでインリフトしてオーバー気味になるのは,個人的には好みではないのですが,今回のインフィールドのクルマの動きは確かに気持ち良かったので,積極的に気持ち良い方を取りに行くか? 消極的に気持ち悪い方を避けるか? 悩ましい感じですね(笑).

また,今回起きたインリフトは,タイヤが浮き過ぎてケンケンするようなレベルではなかったので,そういう意味ではギリギリちょうど良い塩梅なのかもしれません(狙い通りの合いの子).ただ,それと同時にゲインもなかったという事が分かったので,やっぱり大幅にセットを変更しないと伸び代はないんだろうなぁ・・・とも思いました.
2024年03月14日 イイね!

トーを開くと車体が持ち上がる?

トーを開くと車体が持ち上がる?フロントのトー角をOUT '10 → OUT '5に変更して走った先週のTC1000でしたが,クルマの動きが変わった事は感じ取れたものの,外乱(摩耗し切ったタイヤと強い風)のせいで,原因がよく分かりませんでした.

その中でも一番不可解だったのが,インフィールドでステアリングを左に切った時に,右フロントを軸にして,車体の左側(内側)が持ち上げられるような感覚を受けた事でした.




「なんでトーを開いただけで(それも'5という僅かな差で),車体が捩じられるような動きをするんだ・・・??」と頭を傾げたのですが,色々調べてみても,これに合致するような理屈は見当たりませんでした.

唯一可能性としてありそうだったのは「キャスター角」で,おもいっきりキャスターを寝かせた状態でステアリングを切ると,こんな感じの動きをして(↓),



タイヤが左右方向ではなく,上下方向に捩じられて,外側のタイヤは沈み込み・内側のタイヤは持ち上がる動きをするのですが,今回はキャスターを変更していませんし,トーの変化でジオメトリーも変わるとはいえ,たった'5の変化がこれだけの違いの生むとは思えず,腑に落ちませんでした.


・・・という事で,前振りが長くなりましたが(笑),この動きの原因究明をしにTC1000を走って来ました.
先週のTC1000でフロントタイヤを使い切ってしまったため(↓),



走った後,ショップに行ってタイヤを注文したのですが,生憎と在庫切れ・・・(しかも入荷日未定).新品が間に合えばワンチャン,ベスト更新が狙えるかも!?と思っていたのですが,残念ながら手に入らなかったので,街乗り用に降格しているユーズドの195/55R15を引っ張り出して走る事にしました.



当日は,僅かに風はあるものの天気は良く,朝8時の時点で気圧:1018hPa,気温:5℃と3月にしてはなかなかのGoodコンディション.「あ~,ここで新品を投入したかった・・・」と悔やみつつ,路面温度を測ってみると3℃とキンキンに冷えてます.



「これはヤベェ!」と慌ててクルマの向きを変えて,リアタイヤに陽が当たるようにし,スタートの時間を待ちます.


1本目(9:00~).

タイヤの予備がない状況なので,街乗り用を過度に減らす訳にもいかず,今回は最小限の周回数=1発で決めるべく,ウォームアップを手早くかつ念入りに行います.この頃には路面温度は10℃を超えてはいたのですが,それでもリアタイヤはA052の作動温度域には入っていないため,スパン!と回っちゃいました(↓).



ただ,これで右リアにも熱は入ったので,そのまま計測1で狙いにいきます.



しかし,前回はリアが持ち上がる症状はインフィールドだけだったのに,今回は1コーナー・ヘアピン・最終コーナーとほぼ全てのコーナーで同じ挙動が出て合わせ込めず,41.326 というタイムに留まりました.195幅のベストは41.0秒なので,まぁ,マズマズのタイムではあるのですが,もうチョイ縮められる感触はあったので,各コーナーの動きを思い出し,それをフィードバックしながら計測2へ.



結果は,195幅のベストから0.1秒落ちとなる 41.135 をマーク!
気圧・タイヤの状況を加味すればなかなかの好タイムを出せました.

この後も続けて,計測3にチャレンジしてみましたが,41.2秒とタイムが落ちたので,タレたと判断して1本目はここで終了しました.


続けて2本目(10:00~).

1本目の結果からインリフト量が多く,「そりゃ,タイヤ冷えてればスピンもするよなぁ~」という事で,リアの内圧を下げて帳尻を合わせるか?と考えたのですが,この頃には路面温度が20℃に達し,もはやウォームアップの懸念もなくなったので,減衰を1段落とす形で帳尻を合わせてみる事にしました.



ウォームアップの懸念がないので,今度は先頭にポジション取り.こちらも1発で決めるべく計測1を狙ってみたのですが,やはり195幅だとスィートスポットが狭く,1発で纏め切れませんでした・・・.orz

自分の下手さ加減に嘆きつつ,リトライの計測2で 41.239 をマークする事が出来たのですが,1本目と違って今度は全くインリフトせず,向きの変わりが遅いので「0.1秒落ちは当然だなぁ~」と思い,そのまま止めました.


最後の3本目(11:00~).

この頃には気温は13℃,路面温度は29℃まで上昇していたので,1本目のようなタイムが出せるとは到底思えず,タイヤ温存のためにも走るのは止めようかなぁ~?と思ったのですが,



AT使いのBB6が,終わりかけのタイヤで自己ベストを更新してきたので,私もこれに刺激を受けて「最後まで気合入れて走るかー!」と本日3回目となる1発勝負を試みる事にしました.

2本目の結果から,減衰を落とす=インリフトしないの構図だったので「原因は多分ダンパー内のオイルの温度だな・・・」と思い,気温の上昇度合を加味して減衰設定を元に戻し,フロントタイヤのタレ具合からコースイン→アタック→ピットインのスーパーラップにトライしてみる事にしました.



結果,やはりインリフトは発生しませんでしたが,タイムは 41.518 と平凡なものに落ち着いたので予定通り計測1で止めました.「やっぱり原因はダンパーかなぁ~?」と思いつつ,「フロントタイヤがタレて姿勢変化が少なかった可能性もあるよなぁ~」と思い,この日のゲストドライバーとして来られていた井尻さんに相談してみると,



「トーを開いてインリフトしやすくなるというのは,あまり聞いた事がない」「舵角とトーはバランスなので,上手く外側・内側のタイヤの切れ角が合って,旋回速度が上がった事が原因では?」「ロガーで旋回速度を確認してみてはどうか?」とアドバイスを頂きました.井尻さん,毎回有難う御座います.<(_ _)>


早速,戻ってロガーデータを確認してみたところ(緑:195ベスト時 青:今回),



インリフトを感じなかったベスト時(緑)と比べて,1コーナーは3.9km/hダウン,ヘアピンはほぼ互角,インフィールドは逆に2.4km/hアップ,最終コーナーもほぼ互角という結果でした.1コーナーは,今回(青)インリフトによって急激に向きが変わったため,若干アクセルを開けるのを躊躇して速度を落とした可能性もある事から,これを除外して考えると,他のコーナーは互角~アップの傾向が見られ,確かに旋回速度が上がっている可能性はありそうです.

・・・となると,フロントのトーを'5開いたのは良い方向だったのかな?と思いたくなったのですが,そもそも対策したかった「コーナー出口(立ち上がり)での踏ん張り具合の改善」としてはまだ足りず,ヘアピン・インフィールド・最終コーナーと,アクセルを開け始める領域では以前として車体が外側に流れていく傾向がまだ残っています(↓).



これ以上インリフト量が増えるのは困りますが,立ち上がりの改善を狙うなら,もう更に'5開いてOUT '20にした方が良いのかなぁ~?とも思いました.


以上,トーを開くと車体が持ち上がる?の原因究明でした.
2024年02月29日 イイね!

タイヤの切れ角考察

タイヤの切れ角考察某SNSを眺めていたら「ステアリングを45°くらい切っても,フロントタイヤの切れ角(スリップアングル)はほとんどついてないよ」→「だから,ステアを切ってフルブレーキングしても止まれるんだよ」みたいな話を見ました.

「確かに45°って言ったら,TC1000のインフィールドに飛び込む時の舵角くらいだよなぁ~(タイトル画像参照)」と思いつつ,そういえば,これくらいステアリングを切った時に実際のタイヤ角度がどれくらいなのか?って知らないなぁ・・・と思ったので調べてみる事にしました.

まずはニュートラル状態(↓).



キャンバーが付いているので少し分かりづらいですけど,こんなもんです(↓).




ここから,右に90°切ってみると(↓),



ほんのチョットですが,切れているのが分かります(↓).




そこから更に右に切って,180°(↓).



大分タイヤが出てきました(↓).




コース上で使う舵角はこんなもんなので,そこから先はロックするまで切ってみます(↓).



ロックまで約1.5回転(540°)といったところで,こんな角度になりました(↓).



これでも45°までは行かないかなー?という感じですね.


以上の画像から,角度計測アプリで角度を算出してみるとこんな感じになりました(↓).

  ステアリングの舵角: 90° ⇒ タイヤの切れ角: 4°
  ステアリングの舵角:180° ⇒ タイヤの切れ角:12°
  ステアリングの舵角:540° ⇒ タイヤの切れ角:36°
  
180°×3=540°なので 12°×3=36°は合っている感じですが,180°/2=90°なのに 12/2=6°が合わないですね.計測ミスかなぁ~?と思い何度か測り直してみたのですが,5°にはなっても6°にはならなそうでした.180°~540°の間は一次線形でも,0°~180°の間は二次線形という事なんですかね? ちょっと面白い結果でした.


さて,この結果を踏まえつつ,もう一度ステアリングの舵角に関して振返ってみると,TC1000における高速コーナーである1コーナーの舵角は(↓).



舵角45°くらいなので,タイヤの切れ度は2°もないって事なんでしょうか!?


では反対に,低速コーナーの代名詞となるヘアピンで見てみると(↓),



舵角270°ってトコでしょうか? タイヤの切れ角では18°くらいですね.

ここから言えるのは,ステアリングの舵角にして45~270°くらいのところをサーキットでは使い,その時のタイヤの切れ角は2~18°って事のようです.


タイヤの切れ角=スリップアングル(横すべり角)と捉える事が出来るので,タイヤの切れ角に応じたコーナリングフォース(≒グリップ)の特性を調べてみたところ,こんな感じだそうです(↓).


(山海堂:自動車工学より)

タイヤに掛かる荷重にもよりますが,概ねスリップアングルが8°もつけば(ステアリングの舵角で120°も切れば),タイヤのグリップの8割を使っており,そこから先は,切ってもそれほどグリップが増えない事が分かります.つまり,「ステアリングの舵角は120°くらいに抑えたいよね」という事なんだと思います.


ただ,この「グリップの8割を使うタイヤの切れ角」というのは,当然タイヤの種類によって違う訳で,更に調べてみるとこんなデータもありました(↓).


(山海堂:自動車工学より)

「ハイグリップなレーシングタイヤの方が,ピークに達する角度はより少ない」という事のようです.タイヤの銘柄が分からないので,このレーシングタイヤが現代のどのタイヤに相当するのか分かりませんが,他にも色々調べてみたところ,概ねタイヤの切れ角が4~5°くらいでグリップの9割を使うのは間違いようです.

仮にこれを4°だと定義すると,私のEF8の場合はステアリングの最大舵角が90°くらいの状態でコーナーを抜けられるようにするとタイヤを効率的に使えている,という事になるんでしょうかねぇ~.逆に言えば,ヘアピンで270°も切っているのは相当効率が悪い(=タイヤに負担を掛けている)って事なでしょう.やっぱり,もう少し低速コーナーで曲がるクルマに仕上げたいですね(もっとリアを動かさないとダメかぁ・・・).


以上,タイヤの切れ角調査でした.

ちなみに,私のEF8はやっぱりステアリングセンターがズレているようで,右にロックするまで切った時は1.5回転(540°)しましたが,左にロックするまで切った時は1.4回転(500°)くらいでした.まぁ,1回転以上した領域(360°オーバー)は駐車する時くらいしか使わないので,別にどうでも良いのですが,EF8のロック・トゥ・ロックは2.9回転くらいなんだなぁ~と思いました.

また,これをステアリングギヤレシオで表すと以下のような感じで(↓),

  ステアリングの操作量:舵角の変化量 = 540° : 36° = 15.0:1

ステアリングギヤレシオが小さいと「クイックなステアリング」と言われるのですが,一般的にはどれくらいなんだろう?と調べてみたところ,こんな感じでした(↓).

  BRZ                 ・・・ 13.0:1
  S2000                ・・・ 14.9:1
  NAロードスター(パワステあり) ・・・ 15.0:1
  NAロードスター(パワステなし) ・・・ 18.0:1
  NBロードスター           ・・・ 15.1:1
  RX-8                 ・・・ 16.4:1

ま,スポーティカーとしては平均的な値ってトコですかね.
2024年02月02日 イイね!

善意の副産物

善意の副産物先日のTC1000で2本目の走行を終えて燃え尽き気味になっていた時に,しょこさんが来られて,EF8のタイヤを見て,「なんでセンターグルーブのトコが斜め減りしないの?」と聞かれました.

曰く「斜め減りが酷くて,VITOURだとセンター部分はすぐにスリップサインに達する!」「知り合いのER34も同じ!!」との事でした.この会話をしている時にちょうどアドバイザーも来られいて,しょこさんが身振り手振りでタイヤの状況を伝えようとしていました.

「あ~,口で説明するのは大変でしょうから,タイヤ出しますよ」と,EF8のエンジンを掛けて,その場で据え切りをしてタイヤの表面が見えるようにしてあげると(↓),



しょこさんが「この辺り!」と指差しをしながら説明をするのを見て,アドバイザーは「車重のせいだと思いますよ」「タイヤは特定の車種を使って開発されているので,その開発車両と異なるクルマで使った場合,片寄りが出たりしますから」と説明をされていました.自分のドライビングのせいではない事が分かると納得されていたようなのですが,RE-71RやZⅢなんかのセンターグルーブが太いタイヤって,斜め減りしやすいのでホント気になりますよね・・・・.


そんなやりとりが終わった後,EF8の据え切りを元に戻して,フロントタイヤを街乗り用に交換すべく外してみたら,



ミステリー・サークルが出来てる・・・

いや,単に汚れた路面で据え切りをしたので,タイヤの回転軌跡が可視化されただけなんですけどね.
期せずして「スクラブ半径」の計測が出来てしまいました・・・.


「スクラブ半径」というのは,操舵軸の中心線とタイヤの中心線の間隔の事で(↓),


(小学生でも分かるホイールアライメントの話:9. スクラブ半径の走行時への影響より)

タイヤの中心線が外側に行く事を「ポジティブ」,内側に行く事を「ネガティブ」と呼ぶそうです.
「ポジティブ」⇔「ネガティブ」は正反対の特性で,「ポジティブ」基準で説明するとこうだそうです(↓).


(小学生でも分かるホイールアライメントの話:9. スクラブ半径の走行時への影響より)

  加速時 ⇒ アンダーステア傾向
  減速時 ⇒ オーバーステア傾向


右のタイヤでサークルの中心点を確認してみると(↓),



タイヤの中心よりもやや内側,内側(左)から数えて2番目の列の辺りに円の中心点が来ているようです.厳密に言うと内側の端面から概ね75mmのポイントで,205/50R15のタイヤ幅は214mmですから,タイヤの中心点はその半分の107.5mmと考えると,107.5 - 75 = 32.5mm 分だけ「ポジティブ」って事ですね.



7.5インチのリム幅のホイールを入れるために,INSETは+40のものをチョイスしているので,「ポジティブ」となるのは納得なのですが,「ポジティブ」側の特性と照らし合わせた場合,以下となるのですが,

  加速時 ⇒ アンダーステア傾向
  減速時 ⇒ オーバーステア傾向

私の感覚的には,

  加速時 ⇒ ニュートラルステア
  減速時 ⇒ アンダーステア傾向

という感じで矛盾するんですよねぇ.私的にはもっと減速側で曲がって欲しいので,今以上にINSETを大きくして,「スクラブ半径」を拡大する方向にした方が好みのハンドリングに近づくって事になるのでしょうか・・・?

それとも実際は「静止状態でポジティブでも,コーナリング中はタイヤがたわんでネガティブ」というヤツ(↓)で,


(小学生でも分かるホイールアライメントの話:8. タイヤの横変形とスクラブ半径の関係より)

静止状態(理屈)とコーナリング中のステア特性(感覚)が真逆になっているだけなんでしょうか? A052はたわみ易い特性ですし,内圧を下げるとそれもより顕著に表れるでしょうから,この場合の対策は「タイヤのたわみを減らす」,すなわち,内圧を上げたり,ホイールのリム幅を上げてタイヤを引っ張ったりして剛性を高めた方が,好みのハンドリングに近づくのでしょうか・・・?

う~む,ワカラン.<(*´Д`*)>


以上,善意で行った据え切りの副産物でした.

いずせによ,ホイールのリム幅を7.5→8.0インチに上げれば,自然とINSETも小さくなりますし,理由がどうであれ好みの特性に近づく可能性がありそうです.加えて,8.0インチであれば225幅も投入出来るようになりますし,やっぱり新しいホイールを買わないとダメかぁ・・・.
2024年01月15日 イイね!

進入で曲がらないと言うので

進入で曲がらないと言うので先日のTC1000,2本目はA7枠(11:00~)を走ったのですが,走行枠の中盤くらいの時間帯に最終コーナーのOUT側にインナーフェンダーが落ちてました(タイトル画像参照).

かなり大きなサイズだったので誤って踏むような事はなかったのですが,ちょうどアタックラインを使って最終コーナーにアプローチしようとする部分に落ちていて結構困りました.


どかしてくれないかなー?と思いながら暫く避けて走っていたのですが,スタッフが動く気配がなかったので,「あ~,コレ,枠終了までこのままかぁ~」と諦めて,ギリギリ避けられるラインを探っていたところ,赤旗が出て撤去してくれました.有難う御座います.<(_ _)>

なんでこんな話をしたのか?というと,実はこの枠は途中でピットインしてセットを変更し,同一条件下での比較テストを行っていたので,落下物によりアタックラインが使えない事で正確な比較データが取れないなーと思っていました.実際,赤旗解除後にセット変更後のベストタイムを出ているので,走行が無駄にならずホント良かったなぁ~という感じです.


・・・という事で,今回はその比較テストのお話です.

まず,前回分析した通り,現状の足回りのセットとしてはこんな状態になっています(↓).

  ①高速コーナーの減速側 ・・・ △
  ②高速コーナーの加速側 ・・・ ◎
  ③低速コーナーの減速側 ・・・ ×
  ④低速コーナーの加速側 ・・・ △

合計4パターンあるコーナリングのうち,②以外はダメって事なのですが,特に速度域を問わず減速側(≒ターンイン)で曲がらないのが一番ダメだと思っています.これは昨年10月に走ったナリモでも特に顕著に表れていて,



思った通りに曲がらないので,狙い通りのラインにのせられず,オーバーランを連発してました.このため,即席の対策としてフロントの減衰をガッツリ下げて,フロントのロール量を増やし,ノーズを入り易くする事を行ったのですが,荷重の絶対値が低いナリモではこれが上手くハマり,分切りに繋がりました.なので,今後のセッティングの方向性を探る意味で,TC1000でも同じ事をやってみて結果が出るか? をテストしてみました.


まず,変更後の印象としては,



ステアリングを切り込んだ時のレスポンスが明らかに良くなりました.これは低速コーナーだけでなく,1コーナーのような高速コーナーでも体感でき,



ロガーで見てみても,従来(赤)よりもフロントの減衰を下げた方(青)が小回りしているのが分かります.「なら,こっちの方が良いじゃない?」と思いたくなりますが,やっぱり,アチラを立てればコチラが立たず~で,減衰を下げた方(青)は2コーナー(=高速コーナーの加速側)で乗ってて分かるくらいのレベルでクルマが前に進まなくなりました・・・.



こちらもロガーデータを見てみると,上の緑丸の部分で減衰下げ(青)の方が明らかに車速の伸びが鈍っているのが分かります.減衰を下げた事により左右方向の荷重移動が早くなって,ロール量(厳密にはロールスピード)が増えてIN側のタイヤが仕事せずにその分だけトラクションが掛からなくなったためと思われます.

つまり,高速コーナーにおいては減衰を下げる事は,

  加速域 ・・・ △→○
  減速域 ・・・ ◎→○

という感じでバランスを微調整出来たのですが,これがトータルで速いのか?というと,プラス・マイナスの収支はヘアピン進入時点で+0.1秒と,むしろ遅くなってしまったのでダメですね・・・.


では次に,低速コーナーの方を見てみます.
ヘアピンはドライビングミスがあるので飛ばして,インフィールドを見てみると,



減衰下げの方(青)が,ほんの少しだけターンインで小回りになってます.それでいてターンアウトでも大きく外側に広がるような事がないので,両方とも改善していそうですね.続けて洗濯板を見てみます.



こちらもやはりターンインでのレスポンスが向上しているようで,INに寄るのが早くなっています.
最後に最終コーナーも見てみましょう.



こちらはターンインでは違いがありませんが,ターンアウトでフロントの減衰を下げた方(青)のラインが外側に膨らんでいます.減衰を下げた場合の特性としては妥当な気もするのですが,その手前の車速データをよく見てみると(↓),



アクセルOFFで旋回中にフロントの減衰が低い事でノーズダイブの量が増え,クルマの向きをワンテンポ早めに変える事が出来たようです.これによりアクセルも早めに開ける事も出来て,最終コーナーにアプローチする際の車速が高くなっているのですが,その弊害としてターンアウトでアンダーステアを出してしまったようです.

という事で,低速コーナーにおいてフロントの減衰を下げると,

  減速側 ・・・ ×→△
  加速側 ・・・ △→△

というような感じでしょうか.こちらもバランスを微調整出来たように思えますが,トータルでのタイム収支を見てみると,洗濯板手前までは-0.05秒なのが,最終の複合~ゴールラインまでの間で+0.15秒となり,やっぱり遅くなってしまっているようです.

ヘアピン~洗濯板までの低速区間でタイムが削れている事から,やはり低速コーナーに対しては減衰を下げた方が速いんだと思いますが,最終コーナーみたくアクセルを踏みながら抜けていく,低速(というよりは中速)のコーナーが入ってくると,元の減衰のままの方が速いみたいですね・・・.


以上,進入で曲がらないので,バランス調整してみた結果でした.

う~ん・・・.もはやこの程度の調整ではマイナス方向にしか行かないので,やっぱりセットが煮詰まり過ぎちゃってる印象です.高速コーナーの立ち上がりでガシッ!と踏ん張りつつも,低速コーナーではスッと素早くIN側に寄れるようにするには,一体どうしたら良いんですかね・・・?

プロからは「リアではなく,フロントで対処すべき」と言われましたし,スプリングレートを上げても・下げてもこれらは両立出来ない気もしますし,キャンバー角は限界,トー角やキャスター角も両立解が見い出せないとなると,今以上の答えはなかなか見つからないなぁ・・・.ああ,困った.orz

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「[整備] #CR-X フロントスプリング交換 https://minkara.carview.co.jp/userid/1684331/car/1250119/7767117/note.aspx
何シテル?   04/26 23:09
EF8乗りの先輩にタイムアタックで挑んでいます.現在までの通算成績は9勝20敗.GPSロガーを使ってマシンとドライビングの問題点を洗い出し,アップデートさせなが...
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