フロントのトー角をOUT '10 → OUT '5に変更して走った
先週のTC1000でしたが,クルマの動きが変わった事は感じ取れたものの,外乱(摩耗し切ったタイヤと強い風)のせいで,原因がよく分かりませんでした.
その中でも一番不可解だったのが,インフィールドでステアリングを左に切った時に,右フロントを軸にして,車体の左側(内側)が持ち上げられるような感覚を受けた事でした.
「なんでトーを開いただけで(それも'5という僅かな差で),車体が捩じられるような動きをするんだ・・・??」と頭を傾げたのですが,色々調べてみても,これに合致するような理屈は見当たりませんでした.
唯一可能性としてありそうだったのは「キャスター角」で,おもいっきりキャスターを寝かせた状態でステアリングを切ると,こんな感じの動きをして(↓),
タイヤが左右方向ではなく,上下方向に捩じられて,外側のタイヤは沈み込み・内側のタイヤは持ち上がる動きをするのですが,今回はキャスターを変更していませんし,トーの変化でジオメトリーも変わるとはいえ,たった'5の変化がこれだけの違いの生むとは思えず,腑に落ちませんでした.
・・・という事で,前振りが長くなりましたが(笑),この動きの原因究明をしにTC1000を走って来ました.
先週のTC1000でフロントタイヤを使い切ってしまったため(↓),
走った後,ショップに行ってタイヤを注文したのですが,生憎と在庫切れ・・・(しかも入荷日未定).新品が間に合えばワンチャン,ベスト更新が狙えるかも!?と思っていたのですが,残念ながら手に入らなかったので,街乗り用に降格しているユーズドの195/55R15を引っ張り出して走る事にしました.
当日は,僅かに風はあるものの天気は良く,朝8時の時点で気圧:1018hPa,気温:5℃と3月にしてはなかなかのGoodコンディション.「あ~,ここで新品を投入したかった・・・」と悔やみつつ,路面温度を測ってみると3℃とキンキンに冷えてます.
「これはヤベェ!」と慌ててクルマの向きを変えて,リアタイヤに陽が当たるようにし,スタートの時間を待ちます.
1本目(9:00~).
タイヤの予備がない状況なので,街乗り用を過度に減らす訳にもいかず,今回は最小限の周回数=1発で決めるべく,ウォームアップを手早くかつ念入りに行います.この頃には路面温度は10℃を超えてはいたのですが,それでもリアタイヤはA052の作動温度域には入っていないため,スパン!と回っちゃいました(↓).
ただ,これで右リアにも熱は入ったので,そのまま計測1で狙いにいきます.
しかし,前回はリアが持ち上がる症状はインフィールドだけだったのに,今回は1コーナー・ヘアピン・最終コーナーとほぼ全てのコーナーで同じ挙動が出て合わせ込めず,41.326 というタイムに留まりました.195幅のベストは41.0秒なので,まぁ,マズマズのタイムではあるのですが,もうチョイ縮められる感触はあったので,各コーナーの動きを思い出し,それをフィードバックしながら計測2へ.
結果は,195幅のベストから0.1秒落ちとなる
41.135 をマーク!
気圧・タイヤの状況を加味すればなかなかの好タイムを出せました.
この後も続けて,計測3にチャレンジしてみましたが,41.2秒とタイムが落ちたので,タレたと判断して1本目はここで終了しました.
続けて2本目(10:00~).
1本目の結果からインリフト量が多く,「そりゃ,タイヤ冷えてればスピンもするよなぁ~」という事で,リアの内圧を下げて帳尻を合わせるか?と考えたのですが,この頃には路面温度が20℃に達し,もはやウォームアップの懸念もなくなったので,減衰を1段落とす形で帳尻を合わせてみる事にしました.
ウォームアップの懸念がないので,今度は先頭にポジション取り.こちらも1発で決めるべく計測1を狙ってみたのですが,やはり195幅だとスィートスポットが狭く,1発で纏め切れませんでした・・・.orz
自分の下手さ加減に嘆きつつ,リトライの計測2で 41.239 をマークする事が出来たのですが,1本目と違って今度は全くインリフトせず,向きの変わりが遅いので「0.1秒落ちは当然だなぁ~」と思い,そのまま止めました.
最後の3本目(11:00~).
この頃には気温は13℃,路面温度は29℃まで上昇していたので,1本目のようなタイムが出せるとは到底思えず,タイヤ温存のためにも走るのは止めようかなぁ~?と思ったのですが,
AT使いのBB6が,終わりかけのタイヤで自己ベストを更新してきたので,私もこれに刺激を受けて「最後まで気合入れて走るかー!」と本日3回目となる1発勝負を試みる事にしました.
2本目の結果から,減衰を落とす=インリフトしないの構図だったので「原因は多分ダンパー内のオイルの温度だな・・・」と思い,気温の上昇度合を加味して減衰設定を元に戻し,フロントタイヤのタレ具合からコースイン→アタック→ピットインのスーパーラップにトライしてみる事にしました.
結果,やはりインリフトは発生しませんでしたが,タイムは 41.518 と平凡なものに落ち着いたので予定通り計測1で止めました.「やっぱり原因はダンパーかなぁ~?」と思いつつ,「フロントタイヤがタレて姿勢変化が少なかった可能性もあるよなぁ~」と思い,この日のゲストドライバーとして来られていた井尻さんに相談してみると,
「トーを開いてインリフトしやすくなるというのは,あまり聞いた事がない」「舵角とトーはバランスなので,上手く外側・内側のタイヤの切れ角が合って,旋回速度が上がった事が原因では?」「ロガーで旋回速度を確認してみてはどうか?」とアドバイスを頂きました.井尻さん,毎回有難う御座います.<(_ _)>
早速,戻ってロガーデータを確認してみたところ(緑:195ベスト時 青:今回),
インリフトを感じなかったベスト時(緑)と比べて,1コーナーは3.9km/hダウン,ヘアピンはほぼ互角,インフィールドは逆に2.4km/hアップ,最終コーナーもほぼ互角という結果でした.1コーナーは,今回(青)インリフトによって急激に向きが変わったため,若干アクセルを開けるのを躊躇して速度を落とした可能性もある事から,これを除外して考えると,他のコーナーは互角~アップの傾向が見られ,確かに旋回速度が上がっている可能性はありそうです.
・・・となると,フロントのトーを'5開いたのは良い方向だったのかな?と思いたくなったのですが,そもそも対策したかった「コーナー出口(立ち上がり)での踏ん張り具合の改善」としてはまだ足りず,ヘアピン・インフィールド・最終コーナーと,アクセルを開け始める領域では以前として車体が外側に流れていく傾向がまだ残っています(↓).
これ以上インリフト量が増えるのは困りますが,立ち上がりの改善を狙うなら,もう更に'5開いてOUT '20にした方が良いのかなぁ~?とも思いました.
以上,トーを開くと車体が持ち上がる?の原因究明でした.