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OX3832のブログ一覧

2022年08月31日 イイね!

2ピースの重量ってどれくらい?

2ピースの重量ってどれくらい?私はサーキットではフロントタイヤの2本を毎回交換しているのですが,その脱着の度にハブボルトに鉄粉が付いているので,「ああ,また削れたか・・・」と見てました.

最近,左フロントの1本のボルトの動きが渋く(ロック状態から緩めた後に片手でレンチをクルクルと回せないレベル),ナットを替えても変わらなかったため,「あらら,そろそろボルトが寿命か??」と思い,ショップで点検してもらったところ,「鉄粉を噛んでる.その鉄粉はホイールから来てる」との事でした.

ホイールナットはホイール本体のテーパー部分に接触して固定されるので(↓),



このテーパー部分が摩耗して表面が荒れると,そこが削れて鉄粉が出続けるようです.ホイールナットの方は今年の春に一度新品に交換したのですが,ホイールの方はそのままだったので,結局再び削れて鉄粉が出たようです.
(今フロントに使っているのは,2020年1月購入ですからサーキット走行の回数を考えれば仕方ないか?)

当面の間はタイヤ交換の度に鉄粉の除去をしてケアしていきますが,遅かれ早かれホイールが寿命に達するのも近そうなので,新たなホイールの物色を始める事にしました.


さて,サーキット用のホイールなので,当然の事ながらスペック優先.現状の要求値を纏めると,以下のような感じ.

  ・INCH  ・・・ 15インチ
  ・SIZE  ・・・ フロント:7.5  リア:7.0
  ・INSET ・・・ フロント:+40  リア:+48
  ・HOLE ・・・ 4穴
  ・P.C.D. ・・・ 100

このうち,リア側の「リム幅:7.0」「インセット:+48」というのは,ちょうどヴィッツレースの指定サイズという事もあって各社揃えているのですが,フロント側の「リム幅:7.5」「インセット:+40」というのは,ほとんど選択肢がありません(コチラを参照).それもそのはず,15インチのハイグリップラジアルで標準的な205/50R15の推奨リム幅は「6.5」ですし,サーキットでは僅かに引っ張るといっても+0.5あれば十分なので必然的にリム幅は「7.0」で事足ります.一方,225/50R15であれば推奨リム幅が「7.0」で良いのですが,このサイズだとFR用のINSET(0~+15)が多く,「+40」なんてものは少ないです.


そもそも205/50R15を履いているのに,なぜこんな広いリム幅のホイールを希望しているか?というと,使っているタイヤがA052である事が原因で,



A052の場合,一般的なリム幅+0.5程度では引っ張り量が足りないので,+1.0引っ張る必要があり,「7.5」を希望しています.ただ,リム幅が広がれば当然ホイール自体の重量も増すので,標準的な+0.5で事足りそうなRE-71RSにスイッチすれば,ホイールの選択肢を広がりそうだなぁ~?とも考えたのですが,私が購入しているところだとRE-71RSよりA052の方が安いので,結局,A052継続で考える事にしました.


要求スペックが決まったところで具体的な製品を探してみますが,予想通りなかなかない・・・.前後で異なる銘柄を組み合わせれば要求を満足しなくもないのですが,どうせなら同じメーカー・デザインで揃えたいので,どっかないかなぁ~?と調べてみたところ,ENKEIの「RC-T5」が要求に合致しました(↓).


(ENKEI:RC-T5より)


じゃあ,コレかな?と思いたいところですが,この「RC-T5」は競技用ホイールで耐久性に主眼が置かれているため,とにかく重いんですよね・・・.


(ENKEI:RC-T5より)


同じサイズの鋳造品(RPF1)と比べても,


(ENKEI:RC-T5より)

1本当たり1.5kg近く違う・・・.
グラム単位の差であれば多少重くても目を瞑りますが,さすがにキロ単位で重くなるとなると少し躊躇します.


とは言いつつ,「選択肢がねーんだから,しょうがねーじゃん!」というのもごもっともなので,う~ん・・・と悩んでいたところ,ふと思いました.

Σ( ˙꒳​˙ ハッ…

「こんだけ重いんだったら,2ピースもアリなんじゃね!?」


1ピース・2ピースというのはホイールの構成の事です.サーキット走行で要求される「軽量」「高剛性」を満足するためには,リム部分とディスク(スポーク)部分が一体化された「1ピース」が多いです(↓).


(WORK:マルチピースホイールより)

これに対し,「2ピース」はリム部分とディスク部分が分割されているため(↓),「剛性」は低くなるものの,INSETを自由に設定出来るというメリットがあります(半オーダーメイドという事です.故に「コスト」は上がります).


(WORK:マルチピースホイールより)

ちなみに,ここから更にリム部分をインナとアウターに分割した「3ピース」というものもあるのですが(↓),


(WORK:マルチピースホイールより)

こちらは,リムをインナーとアウターに分割している都合上,少しでもホイールが変形すると継ぎ目からエアが漏れるリスクがあるそうで,さすがにサーキットユースではないんだろうなぁ~と思っていたのですが,さすが,技術は日々進化しているようで,最近ではこんなの(↓)も出てきたみたいです.


(SSR:Professor SP5より)

「3ピースなのに1ピースに引けをとらない超軽量!」というセールストークが少し気になりますね・・・.
(残念ながら15インチがラインナップにないので,今回の選択肢には入りませんけれど)


話を戻して,じゃあ「RC-T5」と「2ピース」を比べたら,どっちが重いの?という事で調べてみたのですが,なかなか重量に関する情報が見つからない・・・.

WORKの新作である「EMOTION RS11」とか少し気になっていたのですが(↓),


(WORK:EMOTION RS11より)

WORKのホイールは1ピースものしか重量が分かりませんでした.INSETが変わる都合上,やっぱり数値は出てないのかなぁ~?と思ったのですが,WedsSportのこちらも新作である「RACING」に重量が記載されていました(↓),


(WedsSport:RACINGより)


(WedsSport:RACINGより)

同じリム幅:7.0で比較すると「RC-T5」に対して+0.6kgと,やっぱり軽さでは1ピースに勝てないみたいですね・・・.
(同じWedsSportの「TC105X」と比較すると,+1.7kgとなりますから圧倒的に重いですね)


以上,2ピースの重量ってどれくらい?というお話でした.

2ピースだとリム幅やINSETの問題は解消するので,もしかしたら・・・?と思って調べてみましたが,やっぱり1ピースには敵わないみたいですね.う~ん,こうなったらランニングコストの上昇は許容して,やっぱりタイヤをRE-71RSにスイッチしてホイールの選択肢を広げた方が良いのかな? それともそろそろSタイヤ解禁か??

YOKOHAMAがHoosier対抗のSタイヤ(?)を出すみたいですし(↓),


(Yokohama Tire:ADVAN A055より)

そこら辺も含めて考えないとダメですね.ちなみにこのタイヤ,205/50R15のサイズで,A052が8.5kg,A050が9.4kgであるのに対し,A055は8.1kgと驚異的に軽いみたいです(溝の面積が明らかに少ないのに軽いという事は・・・).
2022年08月23日 イイね!

スピン反省会

スピン反省会ウイングネタは前回で終わり.今回は別のお話です.

先日のTC1000では久方振りにスピンをしました.まぁ,当日の路面はかなり悪かった(μが低かった)ので,路面のせいにして何も反省しないのもアリなのですが(笑),滑り易い路面なら滑り易いなりにコントロールするのがドライバーの務めなので,ドライバーの落ち度は落ち度として,なんでスピンしたのか? ちゃんと反省しておこうと思います.


今回は1コーナーとヘアピンの2箇所でスピンした訳なのですが,シチュエーションが異なるのでそれぞれ別々に見てみます.

最初に1コーナーの方から.



TC1000でオーバーステア気味のセットにすると一番苦しむのが,この1コーナーな訳ですが,逆に言えば,この1コーナーのオーバー挙動をドライバーの腕で何とか捻じ伏せる事が出来れば,残りのコーナーにクルマを合わせてタイムを削る事も出来ます.そういう意味では割と重要なコーナーであったりします.

それでは早速,スピンした際のロガーデータを見てみましょう.
(赤:ベストラップ 青:スピンしたラップ)



右側の緑丸がスピンしたポイントになるのですが,そこから遡って左側を見てみると,1コーナー進入時のブレーキングポイントが大分違うようです.距離にして約12m,スピンしたラップ(青)の方がブレーキングを遅らせており,車速も1.4km/h高い状態で1コーナーに進入していたようです.

ブレーキングを遅らせれば最高速も伸びるのは当然なので,この最高速に着目してランキング形式でデータを整理してみました.



結果,スピンした周(赤)が129.95km/hで当日1位でした.当日2位と約0.5km/h差,同3位と約1km/h差という点を踏まえると,どうやら純粋に突っ込み過ぎ(ブレーキングを遅らせ過ぎ)だったようです・・・(反省).


続けて,ヘアピンの方も見てみます.



こちらは1コーナーと異なり,乗っている時は特別無理している感覚はなく,完全に予想外のスピンで,スピンした瞬間何が起きたのか分からず混乱したのですが,果たして原因は何だったのか? こちらもロガーデータを見てみます.
(赤:ベストラップ 青:スピンした周)



あらら,こっちもかなり突っ込んでいたみたいですね(苦笑).
ならば,先程と同様にヘアピン手前の車速をランキング形式で整理してみます.



スピンしたラップ(赤)は117.78km/hで断トツの1位でした・・・.
う~ん,集中力が切れてたのかな? これはチト情けないですね(泣).


1コーナーでのスピンは「ウイングなし」の状態でしたので,まぁ,最悪スピンしても仕方がないかなぁ~?とも思うのですが,ヘアピンでのスピンは「ウイングあり」の状態なので,これで回るのはホント情けないですね・・・.

ただ,これは見方を変えると,「ウイングあり」の状態であっても,ブレーキングの仕方次第ではスピンするくらいのヨーを生み出す事は出来る!と言えるのかもしれません.スピンのメカニズムを解き明かせればクルマの状態がアンダーだった時に使えるワザの1つとして役に立つかもしれないので,もうちょっと詳しく調べてみます.
(転んでもタダでは起きないの精神です・・・笑)


上記のロガーデータを見ると,2コーナーを抜けた先の車速推移はベストラップもスピンした周も変わらないので,純粋にブレーキングの操作だけで違いを生み出しているようです.ならば減速Gはどうか?とフリクションサークルを見てみると,



ベストラップ(赤)が1.1G,スピンした周(青)が1.2Gで,0.1G上回っていたようです.

( ´・д・)ン?

減速Gで1.2G? なんかどこかでそんな話を聞いたような・・・??と記憶を辿ってみたところ,1年前くらい前にそんな話をしていた事を思い出しました(↓).

 ・縦Gを意識せよ!(前編)
 ・縦Gを意識せよ!(後編)

そうそう,「ハイグリップラジアルの限界Gは1.2Gだが,それを私は本当に引き出せているのか?」というお話.確か当時の結論としては「1.0Gは出せるけど,それ以上はリアタイヤの荷重を増やさないと無理!」でした.そして,実測値ベースで「私のEF8の場合,リアの荷重を10%増やせばMAX:1.3Gまでは出せる」という事も分かったのでした.

アレッ・・・? σ(・ω・;) ??

1年前はMAX:1.0Gが限界だったのに,なんで今は易々と1.1G出せているんだ?
確か限界を超えたGを出すとフロントタイヤがロックしたよね・・・??


ええっと,当時のブログを読み返してみると「リアの荷重が10%増えると減速Gも0.3G増える」という計算だったので,ここからざっくり推測すると「現状はリアの荷重が約3%(≒12kg)増えている」って試算になりそうです.

当時と今で最も異なるのはアンダーパネルですから,これの重量5.3kgと,車体中心部(ホイールベース内)にあって前後のバネレートに基づいて重量配分されている前提で試算してみると,

 5.3 × 11.8/(14.5+11.8)= 2.37 [kg] ≒ 2.4 [kg]

つまり,アンダーパネルを付けた事で,2kgちょっと純粋にリアの重量が増えた事になるのですが,これじゃ全然足りませんね.やっぱりダウンフォースが発生してリアの荷重が増えているという事なんでしょうか?


ならば,アンダーパネルのおかげで「ダウンフォースが増えて,リアの荷重も増えている」と仮定して,最大の1.2Gを発生している時の車速を車載で確認してみると(↓),



90km/h前後でした.前回の分析で「今付けてるGTウイングは70km/hくらいからダウンフォースを発生する」という事が分かったので十分ダウンフォースが発生しているレンジにいそうです.


一方,そこから急に姿勢が乱れてスピンした際の車速を同様に車載で確認してみると(↓),



55km/h付近である事が分かりました.70km/hを下回っていますので,この車速域ではダウンフォースが減っている可能性は十分あります.

以上の事から,ヘアピンでのスピンの原因は「奥まで突っ込み過ぎた」が一番の原因である事は間違いないですが,それに加えて「減速の過程でリアのダウンフォースを失った」事も原因の1つではないか?と思いました.スリッピーな路面でブレーキングを奥まで突っ込み過ぎた結果,リアタイヤのグリップが限界ギリギリの状態となり,それでも70km/h以上の領域は空力で押さえつけて何とか姿勢を維持出来たが,70km/hを下回った瞬間ダウンフォースを失って耐え切れず,突然スピンモードに入った・・・そんなイメージだと,乗っていた時に感じた唐突感が充分納得出来ます.


以上,スピン反省回でした.

今の状態ではタイムを削るにはブレーキングで詰めるしかないので,やや突っ込み過ぎの傾向になるのは仕方ありませんが,それでスピンしては意味がないので,次はスピンする手前,ギリギリのところで限界を正確に見極めてコントロールしたいところです(センサーを鍛えないとな・・・).

また,ヘアピンで起きた唐突な挙動変化が空力によるものであるならば,1つ当た新しい走らせ方を思いつきましたが,それはまた後日として,今回は「空力に頼ったクルマはピーキーになる」という言葉を,しっかり肝に銘じて反省で終わっておこうと思います(ウェット路面の時は注意しないとな・・・・).
Posted at 2022/08/24 02:01:28 | コメント(0) | トラックバック(0) | ドライビング研究 | 日記
2022年08月22日 イイね!

マシンパフォーマンスの可視化手法

マシンパフォーマンスの可視化手法最近,海外のデータ分析の記事に目を通しているのですが,その中でクルマの性能(マシンパフォーマンス)を可視化・比較する方法として,「加減速Gを車速毎に整理する」という手法がある事を知りました.

この手法を使うと,そのクルマが高速・中速・低速のどこが優れていて,どこが劣っているのか?がパッと見で分かるようです.折角,今回リアウイングの有無によるテストを行ったので,モノは試しですし,この手法を使った分析もしてみる事にしました.

では,早速ですが整理した結果です(赤:ウイングあり 青:ウイングなし).



ちなみに加減速Gは,上方向が加速・下方向が減速となります.ここから読み解いてみます.


まず,図の右側(高速域)を見てみると,



「赤(ウイングあり)」よりも「青(ウイングなし)」の方が右側に来ており,「青(ウイングなし)」の方が最高速が伸びるという事が分かります.ウイングを外してドラッグ(空気抵抗)が減っているのですから,まぁ,当然の結果ですね.


次に,図の左側(低速域).



「赤(ウイングあり)」の方が「青(ウイングなし)」よりも左側に来ており,低速コーナーは「青(ウイングなし)」の方がボトムを上げられるという事が分かります.低速コーナーと言えど,ウイングが付いている方が多少は速くなりそうなイメージがあったので少々意外な結果です.空力の効かない低速域での一瞬の旋回性能(ヘアピンみたいなところ)であれば,ウイングなしの方がテールスライドして向きを変え易い,という事なのでしょうか.


続けて,今度は上側(加速性能).



高速域(右側)・低速域(左側)では,さほど違いがないのですが,70~100km/h辺りの中速域では「赤(ウイングあり)」の方が速いという事が読み取れます.これはコース上の一体どこなのかな?とロガーデータと照らし合わせてみると(↓),



いずれもアクセル全閉の状態から開けていくポイントでした(3つ目の緑丸は2速→3速へのシフトチェンジ).つまり,減速→加速へ転じる一瞬の加速力は「赤(ウイングあり)」の方が優れているという事になるのですが,これは一体どういうメカニズムなんでしょう??

このデータからは読み取れませんが,クルマの動きを頭の中でイメージしてみると,減速中は前傾姿勢となり,フロントが沈み込んでリアが浮き上がるはずです(↓).



これが加速に転ずると,今度は反対に後傾姿勢となり,リアが沈み込んでフロントが浮き上がります(↓).



リア側のサスペンションの動きで考えると,上に伸びた状態→下へ縮む状態へと転じる動きとなり,当然の事ながら,最もタイヤに力を掛けられるサスペンションが一番下まで沈み込んだ状態(これ以上下がらない状態)まである程度の時間が掛かる(タイムラグがある)はずです.

減速→加速へ転じる一瞬の加速力が「ウイングあり」の方が高いという事は,このリアサスペンションが伸びる→縮むまでのタイムラグが少ない(加速に移ってすぐに力を掛けられる)という事なんでしょうか?



例えば,リアウイングによってリアの浮き上がりが抑えられていれば,ブレーキング時にフロントだけが沈み込み,リアのサスペンションは伸びていないため,タイヤに力が掛かるまでのタイムラグも減り,結果,加速力が瞬間的に増すという可能性はありそうにも思えますが,それを確認出来る根拠(データ)はないので,単なる妄想かもしれません(笑).

ならば,目線を変えて,「なぜ高速域と低速域ではそこまでの加速力が得られないのか?」を考えてみると,高速域(110km/hオーバー)に関しては,TC1000ではこの速度域でアクセルをOFF→ONするシチュエーションがないためでしょうし,低速域(70km/h未満)に関しては,速度が低過ぎてダウンフォースが得られないためとも考えられます.

言い替えると,私のEF8が付けているGTウイングは「70km/h辺りからダウンフォースを発生している」というのが,このデータから読み取れる事実なのかもしれません.


最後に下側(減速性能).



速度域を問わず,「赤(ウイングあり)」の方が「青(ウイングなし)」よりも下側に来ており,「赤(ウイングあり)」の方がブレーキングは優秀という事が分かります.そして,これがウイングの有無の最大の違いですね.この辺りは前回のブログで分析した見解と一致しますし,恐らくリアのスタビリティが高くなった事で強い制動力を発揮出来るようになった(ブレーキを強く踏めるようになった),という事なんでしょうね.


以上,パフォーマンスの可視化手法のお話でした.

確かにこの手法だと,どこが優れていて・どこが劣っているかがパッと見で分かりますね.また通常の分析では気づけない点にも気づく事が出来ました.短時間で良いところ・悪いところを見つけ出すには良い手法な気がしますし,速度域毎に特長が分かるので,高速域だったら空力で直す,低速域だったら足回りで直す,といった判断も迅速に出来そうです.その一方で,なぜそうなるのか?といった理屈やメカニズムみたいな部分は全く分からないので,ロガーの性能が良くないと数字に騙される事もありそうです.

なかなか面白い結果となりましたが,加速性能の部分はロガーの計測誤差にダマされている可能性もあるので,このやり方を主にするには計測精度の高い「DigSpiceⅣ」を買ってからの方が良いかなぁ~と思いました.
(あと,データ整理が微妙に面倒.「DigSpiceⅤ」とかでこの分析機能を実装してくれないかな?・・・笑)
Posted at 2022/08/23 02:46:55 | コメント(1) | トラックバック(0) | セッティング(空力編) | 日記
2022年08月21日 イイね!

リアウイング有無のテスト結果

リアウイング有無のテスト結果TC1000でのテストは生憎と不向きな路面コンディションでしたが,GTウイングの有無でデータを取ったので一応分析してみます.

2年前にやった比較では,「最高速は全く変わらず,ただただリアが不安定で踏めない」という結果で,「TC1000でもウイングありが有効」というのが結論でしたが,アンダーパネルでダウンフォースの総量が増えた状態ではどうか?という事になります.


まず,コンディションですが,走行枠が異なるので以下のような感じです.

 ウイングあり ・・・ 気温:31.5℃  湿度:56%  路温:45.6℃  気圧:1002.3hPa
 ウイングなし ・・・ 気温:29.9℃  湿度:63%  路温:44.6℃  気圧:1003.5hPa

ほぼ誤差範囲内かな?という数値です.厳密に言うなら「ウイングなしの方が若干有利」と言ったところでしょうか.

あと,問題の路面ですが(ドリフト走行後でスリッピー),「GTウイングあり」時のロガーデータから推測すると,各コーナーの以下の部分(↓)で不自然な加速停滞があるので,この辺りが喰わない路面だったっぽいです.

【1コーナーを抜けた先】

(あおたまさん・こもりん.さんコメントからの裏取りと一致)

【ヘアピンの立ち上がり】

(kame@118kgさんのコメントからの裏取りと一致)

【インフィールド出口】

(しょこさん・いつさんのテールスライドポイントの裏取りと一致)

【左高速コーナー入口】

(2日前のドリフトの車載映像からの裏取りと一致)

【最終コーナー立ち上がり】

(kame@118kgさんコメントからの裏取りと一致)

こうして見ると,ほぼ全コーナーダメですね(苦笑).ドリフトは逆走なので,彼らの進入はグリップにとっての出口.グリップ側からしたらコーナリングを終えて横Gがなくなり,さぁ~これからアクセル開けるぞ!というポイントでズルッと滑るんですから,特に後輪駆動は走りづらい事この上なかったでしょうね.


こういった状況から,各コーナーの立ち上がりに注目しても先に繋がらなさそうなので,各コーナーの進入にフォーカスして分析してみる事にします.

さて,ウイングの有無で一番気になる最高速ですが,今回は差がはっきりと出ました.ただ,ホームストレートエンドの最高速は最終コーナー立ち上がりの成功・失敗も影響するので,ベストラップだけでなく,同じセッションのTOP4分のデータで比較してみます.

 【ウイングあり】
   1st ・・・ 127.25km/h
   2nd ・・・ 126.77km/h
   3rd ・・・ 126.71km/h
   4th ・・・ 126.58km/h
 ―――――――――――――――――――
   Ave. ・・・ 126.82km/h

 【ウイングなし】
   1st ・・・ 129.95km/h
   2nd ・・・ 129.49km/h
   3rd ・・・ 128.51km/h
   4th ・・・ 127.73km/h
 ―――――――――――――――――――
   Ave. ・・・ 128.92km/h (+2.1km/h)

「ウイングなし」の方が平均で約2.1km/h上回りました.前述の通り,気温・気圧の差は誤差レベルなので,この結果はそのまま鵜呑みに出来そうです.また,ざっくり計算になりますが,TC1000のホームストレートエンドで2km/h差だと大体0.09秒といったところです.結構無視出来ない値ですね.


「ウイングなし」の方がトップスピードが伸びるという順当な結果が見えたので,次はコーナリングスピードを見てみます.TC1000一番の高速コーナーは2コーナーなので,ヘアピン手前の終端速度で見てみます.こちらも同じくTOP4で比較.

 【ウイングあり】
   1st ・・・ 117.73km/h
   2nd ・・・ 116.63km/h
   3rd ・・・ 116.16km/h
   4th ・・・ 115.69km/h
 ―――――――――――――――――――
   Ave. ・・・ 116.55km/h

 【ウイングなし】
   1st ・・・ 115.58km/h
   2nd ・・・ 115.49km/h
   3rd ・・・ 115.18km/h
   4th ・・・ 114.92km/h
 ―――――――――――――――――――
   Ave. ・・・ 115.29km/h (-1.26km/h)

「ウイングあり」の方が平均で1.26km/h上回りました.やはりウイング付けるとコーナリングスピードは上がるんですね.後輪駆動のクルマなら理解出来るのですが,後傾姿勢になると失速するFFでも上がるというのは,少し意外な結果でした.ただ,こちらはホームストレートと異なり,区間が短い事もあってそれほどタイム上のゲインはなさそうです(0.03秒未満の誤差レベル).


では,「ウイングあり」がどこでタイムを稼いでいるのか?というと,どうやらブレーキングのようです.一番分かり易いのがヘアピンの進入で,距離にして約5m程度「ウイングあり」の方が奥まで突っ込めている(ブレーキングを遅らせている)ようです.

この要因は何なのかな?と考えてみたところ,最初はリアウイングで押さえつけているおかげでリアの接地性が上がってブレーキが良く効くから(制動距離が短いので奥まで突っ込めるから)なのかな?と思ったのですが(↓),



なんとなくドライバー側の心理的な要因がありそうだなと思い,車載を見返してみると,ブレーキングを開始する際のポジショニングが微妙に違う事に気づきました.

【ウイングあり】


【ウイングなし】


コースの左側の白線の位置で比べてみると,「ウイングあり(上)」に比べて「ウイングなし(下)」の方が少し外側に位置しています.「ウイングなし(下)」の方がダウンフォースの絶対量は少ないので,同じ旋回速度でコーナリングしようとすると自然と外側に膨らんでしまうのは当然の結果だと思いますが,これは見方を変えると,「ウイングあり」に比べて「ウイングなし」の方はリアタイヤのグリップが限界ギリギリの状態になっている,とも言えます.

この「リアタイヤのグリップが限界ギリギリの状態」でハードブレーキングを行うとどうなるか?というと,リアが不安定になって「暴れる」という事です.リアが暴れれば,それを抑え込むのにカウンターを当てるので,そういう目線でもう一度車載画像を見返してみると,

【ウイングあり】


「ウイングなし」


「ウイングあり(上)」の方がカウンターの量が少ない(右手の位置が低い)事が分かりました.カウンターを当てる量が少なければ(リアが暴れる心配がなければ),そりゃ思い切って飛び込んで,ハードにブレーキングも出来る訳で,こういう安心感の差(リアのスタビリティの差)が制動距離5mの短縮に繋がっているのだと思われます.

ちなみに,たった5m(約1車身)の差ですが,車速115km/h(≒32m/sec)の世界における5mの差なので,単純計算で0.15秒,ロガーデータで0.3秒のゲインが得られますので,バカに出来ません.これをホームストレートで取り戻そうとしたら,最高速を少なくとも3km/h上げないといけない訳で,私のEF8にとって,ブレーキング時のスタビリティが如何に重要であるかを実感させられました.


以上,リアウイング有無の比較結果でした.

今回テストした時は路面が非常にスリッピーな状態でしたが,こういった条件だとリアのスタビリティの高さは特に効果的で,TC1000のようなミニサーキットであっても,リアウイングがある方がラップタイムは0.25秒速い結果となりました.この要因は主にブレーキング時のリアのスタビリティの高さによるもので,ブレーキングの開始を遅らせてタイムを稼ぐ事が出来るようです.仮にウイングの抵抗でホームストレートの最高速が2km/h落ち,0.1秒失ったとしても,ヘアピンで5mブレーキングを遅らせられれば0.15秒稼げるので,コーナー1個で遅れは十分取り戻す事が可能である事が分かりました.

これらを踏まえると,「リアのダウンフォースを削ってバランスを取る」というのはあまり得策ではなさそうですね.今のリアの状態に合わせてフロントの限界をどうやって引き上げていくか?という方向性で進めた方が結果はついてきそうです.

結局,終わってみれば,当たり前の事実が当たり前のように分かっただけで,振り出しに戻っただけなのですが,今回は変な迷路に迷い込まないための事実確認(検証)という意味合いだったので,これはこれで意義があったと思う事にします(笑).
Posted at 2022/08/22 00:28:28 | コメント(5) | トラックバック(0) | セッティング(空力編) | 日記
2022年08月20日 イイね!

変えて,試して,振り出しに戻る

変えて,試して,振り出しに戻る前回のテスト結果から今抱えている問題を解消するためには,足回りのセッティングをやり直さないとダメな事が見えてきました.

何を・どの順番で変えて試していくか? 薄ぼんやりと計画を立てながら考える中で,ふと「そもそも,今の状態を引き起こした原因だと思っているアンダーパネルは,本当に原因なのか?」と疑問に思いました.原因を見誤って勘違いすると,迷路に迷い込む可能性もあるので,1つ確認してみる事にしました.

一番良いのはアンダーパネルを脱着して,その前後を比較する事ですが,コレの脱着はそこそこ大変なので,空力の代わりは空力で行うべく,GTウイングの脱着で模擬してみる事にしました.

アンダーパネルの装着で増えてしまったリア寄りのダウンフォースを減らすには(↓),



同じくリアでダウンフォースを発生させているGTウイングを外す事で相殺する(↓),



という考え方です.仮にこれで上手くバランスが取る事が出来るのであれば,ウイングレスはドラッグ(空気抵抗)の低減という恩恵も得られるので,モノは試しとやってみました.
(ちなみに,私のGTウイングは現状ほぼ水平なので,角度変更では差異は小さいと思い,丸ごと外しました)

なお,GTウイングレスの状態は2年前に一度テストした事があり,その時はリアがフラフラになってマトモに走れませんでした(冬なのに42秒を切れなかった・・・).従って,TC1000レベルの車速でもウイングの有無は影響が大きい事は確認済みで,当時のブログを読み返しつつ,感触を思い出してみると,「もしかしたら,これでちょうど良いバランスになるかも!?」とまで思うほどでした.


・・・と前振りが長くなりましたが,ここから当日の模様です.

酷暑もようやく抜けたのか? この日は曇り予報で最高気温でも30℃ちょうどくらいとの事でしたが,8時過ぎには明るい陽射しが注ぎ,結局普通の夏日でした.今回のサーキットアドバイザーは井尻薫さんで,朝一はいつものアドバイザーシャツだけでしたが,午後は完全防備のこんなお姿に(↓).



勿論,格好と話の中身は関係なく.足回りの煮詰める順番・考え方のアドバイスは,私にとってタイムリーなお話で大変参考になりました.また,突如提案された「先導走行の同乗イベント」にも快諾されて,申込みが殺到してました.選から漏れて悔しがる人も多かったので,次回から定番化するのかな??


さて,私の方は,ステアリンググローブを新調したのをすっかり忘れて「先導走行でフィーリングを確認しとけば良かった・・・」と後悔するも時既に遅し.ぶっつけ本番のT2枠(8:15~)でコースへと向かいます.

街乗りレベルでは新調したステアリングにようやく慣れてきた感じですが,サーキットレベルではどうかな?と試してみると,やはりポジションが微妙にしっくりこない.いつものシート位置だとステアリングが若干遠い感じで,ヘアピンで手アンダーを出してしまいました・・・.



街乗りでも最初違和感を感じたので,スペーサーの実測値を測ってみたのですが,20mm→21mmとむしろ微妙に手前に来ているので,遠く感じる要因は別にありそう(ステアリングの個体差?).その後はシートをワンノッチ前に出したり,チルトで高さを調整したりして,何とか妥協点を見出しました.

一方,GTウイングレスの影響ですが,やはり大きい!

ほぼ全てのコーナーでリアが出て,今までのアンダーステアは何だったんだ・・・と思うほど.1本目は手アンダーでクルマの向きを合わせ込めず,タイムは 42.308 と酷い有様でしたが,「これでバランスをとっていけば,かなり良いかも!」と期待がもてました.


続けてで2本目(A3枠:9:40~).

GTウイングレスのオーバーステアをニュートラル寄りに戻さないと42秒は切れそうにないので,リアタイヤの内圧を2.6キロ→2.5キロに落として微調整.これで1本目よりは走り易くなりましたが,それでも1コーナーの進入はブレーキングしたらクルマが勝手に曲がっていくような状態.最小限のカウンターで姿勢を保ちつつ,アクセルONでフロントが逃げないギリギリのタイミングを見極めようとトライしていたところ,



1コーナーでスピン!

なんとか持ちこたえられるかなぁ~?と思ったのですが,久方振りに回ってしまいました・・・.まぁでも,ようやくCR-Xっぽい動きが戻ってきてイイ感じ.その後,内圧を更に2.5キロ→2.4キロに落としたり,ドライビングを調整したりして,タイムは 42.119 まで短縮.



ただ,クルマの向きは良く変わりますし,コントロールもし易いのですが,全体的にクルマが横に流れるばかりで前に進まない・・・.確かにGTウイングレスだと,こういう動きになった記憶もあるのですが,アンダーパネルが付いた状態で,ここまで変化するのは極端過ぎる.バランス的には,GTウイングが付いた状態と外した状態のちょうど中間くらいが良いイメージに思えるのですが,

「いや,それは変だ.なんかおかしいぞ・・・」
( ˘•ω•˘ ) ウ~ム…


と引っ掛かりを感じるも,要因が思い当たらず・・・.考えてもダメなら聞くしかないと思い,ピットへ出向いて常連の皆さんに聞いて回ると,「コーナーの立ち上がりでタイヤが喰わない」というコメントがチラホラ.「これはもしや・・・」と思い,時計を見て午前中最後の枠のチケットを購入しに受付へ向かいました.


3本目(A9枠:11:40~).

聞いて回った情報と,後輪駆動のクルマがことごとく立ち上がりで苦戦している様から,2日前の走行会のドリフトが影響していると判断(=路面のμが低い).GTウイングを再装着し,これでアンダーステアに戻るなら「ウイングの影響」と判断出来ますし,オーバーステアのままなら「路面の影響」と判断出来る,とコースインしてみると,



なんと,お昼直前の気温が上がった状況なのに,この日のベストタイムとなる 41.970 をマークし,アンダーどころかちょうど良いバランス.

「なんだよー,オーバー挙動は路面のせいじゃないかよ!」 _| ̄|○ ガクッ

と確信.いつもだったらリアが勝ってアンダーステアの強いセットなのに,これでニュートラルという事は,間違いなく路面のμが低い.つまり,この日の路面は比較テストに不向きなコンディションである事にここでようやく気づきました・・・.

これ以上はもはや走っても仕方がなかったのですが,「路面が悪い事」を認識した上で,そのまま各コーナーに探りを入れてみると,いやはや,滑る,滑る(苦笑).それもコーナーの入口とか,中間とか,コーナリング中に向きを変えたいポイントではなく,コーナリングの終わり際みたいな変なポイントから滑り出すので,そりゃ,後輪駆動の人達が挙動を乱すのも理解出来ます・・・.

まぁ,これはこれでコントロールの練習にはなるので,そのままギリギリを狙って色々試していたら,



急にリアがロックしたかのように,ヘアピンでスピンしてしまいました・・・.
予兆もなく突然吹っ飛んだので,一瞬ビックリ.これ以上は本当に無意味と思い,走行を終了しました.


以上,変えて,試して,結局元の状態が一番速いという振り出しに戻ったTC1000でした.

フィーリングチェックという意味では,ドライビングポジションの適正化以外あまり得るものがありませんでしたが,一応GTウイングの有無の比較データは入手出来たので,これを分析して路面が通常の状態だった時をシミュレートしてみたいと思います.

当日お会いした皆様,情報提供有難う御座いました! & お疲れ様でした!
Posted at 2022/08/21 01:36:08 | コメント(7) | トラックバック(0) | セッティング(空力編) | 日記

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