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OX3832のブログ一覧

2025年08月03日 イイね!

インマニガスケットのお勉強

インマニガスケットのお勉強先日,マツダの論文でエンジンの吸気ポートに3mmの厚さの断熱材を巻くと吸気温が2℃下がるという事を学びました.

しかし,実際の吸気ポートはシリンダーヘッドと一体となった鋳物なので,周りに断熱材を巻く隙間などなく,「ヘッドの中に異物を埋め込むなんて,メーカーじゃないと無理だなー」と思っていたら,ヘッドとインテークマニホールド(インマニ)の間に挟まっているインマニガスケットで似た効果を得られそうな事に気づきました.

調べてみると,吸気温にシビアなS2000(AP1)では定番メニューなのだそうで,CSOから「インマニ断熱ガスケット」として製品が出ていました(↓).



「エンジン熱によるインテークマニホールドの温度上昇を抑える断熱ガスケットです.吸気温度低下に伴い,酸素密度向上によるパワーアップが期待出来ます.サージタンクに吸気温度センサーが存在するAP1には特に効果的です」


AP1の吸気温センサはサージタンクに付いているため,サージタンク内の空気ではなくサージタンク本体の熱(温度)を拾ってしまい,センサ読み値が真冬でも60~70℃となるそうです.これだけ吸気温が高いと,ECUはノッキングを避けるために点火時期を遅らせる(リタードさせる)ため,顕著にパワーダウンするそうです.

後期型のAP2では,吸気温センサがサージタンクではなく,スロットル上流に取り付けられているため,こういった事象は起きない事からセンサの移設を行ったりもするそうなのですが,移設ではなく,サージタンクそのものの温度を下げる手法として,ヘッドとインマニの間にあるガスケットを断熱性のある素材のものに交換するのがコレだそうです.曰く「N1レースではレギュレーションで改造範囲に縛りがあるため,それに抵触しない部品としてこういったものを用いる事もある.ストレートの長いサーキットであれば,スリップを使わずとも抜けてしまうくらいパワー差が出る」との事.


私のEF8は,既に吸気温センサを移設してあり,エアクリ後方に付いています(↓).





なので,AP1と同じ事は起きないのですが,先述のマツダの論文では「吸気温を下げるのにサージタンクを冷やすのは効果的」といった情報も載っていたので,S2000以外でも使っている人いるのかなぁ~?と調べてみたところ,ありました(↓).



オートスタッフという会社が出している「インシュレーションガスケット」.
狙いはCSOと同じ,エンジン本体からの熱がインマニ(サージタンク)に伝わるのを防ぐためです(↓).



おっ! いいじゃん.B16A用はあるのかな~?と調べてみると(↓),



なぜか記載が「B16C」・・・.EG/EKと書いてあるので,多分「B16A」の誤記だと思うのですが,微妙~.ガスケットなので穴が埋まっている分には加工して穴を開ければ済みますが,穴が余計に開いている場合は間に水が通るだけに都合が悪い.輸出用含めて「B16C」なんて型式はホンダにないはずなので,ほぼほぼリスクはないと思うのですが,微妙だなぁ~と更に調べてみると,M&M HONDAにも似た製品がありました(↓).



こちらの製品名は「Heat Shield Gasket」.ちゃんとB16A用/B16B用と書かれており安心.解説文(↓)には「耐熱樹脂のベークライト素材で厚さは3mm」との事で,リスクを冒さないならコッチですかね.

「エンジン本体のインテークポートとインテークマニホールドの間に,耐熱樹脂の3mm厚のベークライト素材を使用したインテークガスケットを装着する事で吸入温度の低下で3~5%のパワーの向上を期待出来ます! シリンダーヘッドからインテークマニホールドへと伝わってくる熱を遮断して,金属製のインテークマニホールドがヒートシンクとなってしまうのを防ぎます.その結果,吸入空気のシリンダーへの充填温度の上昇を防ぎ,充填効率を向上させる事が出来ます.吸気温度の低下によって3~5%のパワーアップに繋がります.取付けには純正ガスケット2枚必要です」


しかし,「3~5%のパワーアップ」ですか・・・.マツダの論文では中負荷の2000rpm相当で約2℃低下だったので,形式・運転領域が異なるとはいえ,このガスケットだけで3~5%も上がったりするかなぁ~? 以前調べた時は「吸気温5℃低下で出力1%向上」といった単位でしたし,この換算だと15℃近く下がる事になるのですが,ガスケット1枚でさすがにそれは・・・と思いつつ,更に調べてみたところ,こんなのを見つけました(↓).


(OPTION2 パーツテストバックナンバー:零1000 パワープレートより)

2006年5月にZERO-1000が「パワープレート」という名称で製品開発していたという記事.ZERO-1000と言えば「パワーチャンバー(↓)」で有名な会社ですので,ここが出しているなら信頼が置ける.



早速記事を読んでみると,テスト結果はこんな感じ(↓).


(OPTION2 パーツテストバックナンバー:零1000 パワープレートより)

エンジンはB18C,水温:84℃,油温:80℃,アイドリング状態で吸気温を50℃に合わせた状態から,4速で2500→8000rpmまで回した時の結果だそうです.

まず,絶対値的には最大出力が6.1PS上がっており約3.1%の向上.アレ? 3~5%アップって嘘じゃない?? 過渡応答も4000→7800rpmの到達時間が0.13秒短縮しており,グラフを見るとハイカムに切り替わってから差が出ているので,吸気流量が増えた領域で威力を発揮しているみたいですね.このクルマの吸気温センサが純正取付け位置だとすれば,レブリミット温度が2℃低下しているので,サージタンクの遮熱効果もきちんと出ているようです.

この結果を見ると「N1でスリップ使わなくとも追い抜ける」というのは,あながち嘘じゃなさそうな気もしますが,その一方で,ZERO-1000が「パワープレート」という製品を市販した痕跡を見つけれなかったんですよねぇ・・・.上記の記事はあくまで「開発中」の話なので,もし本当に市販に至らなかったのであれば,その理由を知りたいところです.


以上,インマニガスケットのお勉強でした.
2025年07月13日 イイね!

スーパーガスターボのお勉強

スーパーガスターボのお勉強1ヵ月振りに作業の打合せでショップに行ったのですが,会話している中で「スーパーガスターボ」の話題が出ました.

私は全く知らなかったので「なんですか? ソレ??」という反応だったのですが,「昔はよく売れたんだよ~」と営業さんが言うので軽く調べてみたところ,四国・高松市にある「日本環境電装」という会社が販売していた製品だそうで,旧名は「ブルーガスパワー」と言うのだそうです.


世間の評判的には,よくある燃費向上を謳ったオカルトグッズの一種と見なされていたようですが,理屈的に間違った事は言っていなさそうなので備忘録がてら少し調べてみる事にしました.

まず,モノとしては「インマニガスケット」で,インテークマニホールドとシリンダーヘッドの間に差し込むものです(↓).


(honda-beat.jp:スーパーガスターボより)

通常のガスケットより厚みがあり,ガスケットの上部,ちょうどインジェクタが吸気ポートに向かって燃料を噴く位置に,それを邪魔するかのようにコイルが埋め込まれているのだそうです(↓).


(honda-beat.jp:スーパーガスターボより)

このコイルで何をするのか?というと,通電してコイルを加熱させ,このコイルの間を通った燃料噴霧を強制的に温めるのだそうです(↓).



燃料(ガソリン)は加熱すると液体→気体になるので,同じ気体である空気と混ざり易くなり,均質な混合気が形成されて燃焼効率が上がる(≒燃費が良くなる)という理屈だそうです.


理屈的には特に間違っていないので,なるほどなぁ~と思い,実際に試した方の感想を調べてみるとこんな感じでした(↓).

  ・低速域のトルクが増えたような気がする
  ・一応,燃費は向上した(誤差の範囲だが)
  ・正直違いが分からない
  ・高回転は明確に回らなくなった

中には排ガス成分の計測までされた方もいて,未燃成分(HC/CO)は確実に減っていたそうですが,その一方で,燃料が通る途中にコイルを置いているため加熱が不十分だと燃料がコイルに付着し,空燃比が濃くなったり・薄くなったりとエンジンの不調を招いたりもしたそうです.

メーカーとしては「燃焼効率が上がった分だけ燃料を薄くする事が出来る」「燃焼効率が高いので点火時期をより進角させられる」という言い分だったそうで,この製品を使う事前提でリセッティングすれば「まるでターボがついたかのようにガスだけでパワーを出せる!」という事で「スーパーガスターボ」という製品名だったそうです.




まぁ,確かに加熱する事で気化し易くなるのは事実なので,燃料が濃い領域(低回転域)ではトルクが増える事もあるかもしれないなぁ~と思いつつ,燃料を温める=吸気を温めるという事でもあるので,それじゃ体積効率が下がって高回転でパワーが出なくなるのも当然でしょ・・・と思いました.

近頃のクルマは,直噴エンジン(燃料を直接シリンダー内に噴くエンジン)を搭載する事が多いですが,なぜ直噴が多くなったのか?というとガソリンの気化熱で空気を冷やせるからなんですよね.



シリンダー内に燃料を直接噴くと,燃料は急速に気化しようと周囲の空気から熱を奪うので,その分だけ温度が下がって体積が小さくなります.体積が小さくなるという事はその分だけ空気をシリンダー内に押し込めるという事なので,イコール,トルクが増える事になります(空気が冷たい冬場にエンジンが快調になる理屈がコレですね).加えて,吸気温度が下がるという事はノッキング(異常燃焼)も起こりにくくなりますから,圧縮比を上げたり,過給圧を上げたりといったパワーアップを施し易くなる訳です.故に最近のクルマは直噴ばっかになったんですよね・・・.

という事で,そんな直噴エンジンと相性が悪いであろう「スーパーガスターボ」が今日では聞かなくなったのも納得なのかなぁ~と思いました.


以上,スーパーガスターボのお勉強でした.
2025年01月01日 イイね!

SUPER FIRE RACING COIL PROのお勉強

SUPER FIRE RACING COIL PROのお勉強年末の休みに入った土曜日,HKSから「SUPER FIRE RACING COIL PRO」のAP1用・AP2用・FD2用の販売が発表されました.

初報は自動車系のニュースサイトで知ったのですが,恐らく広報資料をそのまま転載していて詳細が分からなかったため,HKSのSNSを見に行ったのですが,この新製品の情報を上げておらず(既に年末休みに入っているであろうから当然),HKSのサイトに行ってリンクを辿って行き,FD2用の製品ページに辿り着けました.

そこから得られた情報を纏めると以下の内容です.

  ・FD2専用設計となる強化イグニッションコイルキット
  ・高回転域での失火対策を狙った製品
  ・国内製イグニッションコイルを使用し,高性能で耐久性もある
  ・専用設計のカラー,ブラケット,ハーネスを付属したキット
  ・イグニッションコイルは,最大で純正比「1.6倍」の2次電圧を発揮


(HKS:スーパーファイヤーレーシングコイル プロ シビックタイプRより)

  ・イグニッションコイルの搭載位置は,純正取付け位置よりも上部に移動
  ・熱源から遠ざけているため,イグニッションコイルの寿命も長い
  ・純正ECUのままでも動作可能
  ・フルコンを使用してドエルタイムを最適化すれば,更に性能を発揮
  ・装着後の純正プラグカバーは取付不可
  ・性能を最大限発揮するために,「HKS SUPER FIRE RACING」の使用を推奨
  ・価格は税込み173,800円


これを読んで,「ああ,なるほど,イグニッションコイル上部のイグナイタ部分をエンジン本体から離して熱害を低減し,それによってドエルタイム(コイルへの通電時間)の延長を実現しているのか」と理解する事ができ,「コイル上部が突き出るのでプラグカバーが付かず,専用のブラケット&ハーネスがセットで付くんだな~」と納得したのですが,驚いたのがその価格.

「え? イグニッションコイルだけで,じ,17万円!?」 Σ(´Д`;) ナン...ダト...

NGKの市販品コイル4本で3万円程度.チューニングパーツとして出回っている強化コイルでも6~7万円が相場なのに,そこから更に+10万の17万円ですと!? た,高けぇ・・・.この金額だったらECUまでセットじゃないと割が合わないように感じるのですが,それだけ高性能なコイルってコトなのか??


益々気になってきたので更に調べてみると,まずこの「SUPER FIRE RACING COIL PRO」というのは,HKSがここ数年で徐々に拡大していった製品である様子.

最初は2020年の8月.RB26DETT用として発表されています(↓).


(HKS:スーパーファイヤーレーシングコイル プロ スカイラインGT-Rより)

こちらにはブラケット・コイルスペーサーに関する情報が載っていました(↓).



  ・ブラケット,コイルスペーサーにアルマイト処理を施し美観と耐久性を確保



  ・コイルスペーサーのエンジンヘッド側にOリングを入れる事で防塵と防水を実現
  ・コイルスペーサーのプレート側にOリングを入れる事で防音効果も実現



  ・キャップスパークゴムをスパークプラグに合わせて専用設計
  ・これによりフラッシュオーバー(頭部絶縁体火花リーク)を防止

FD2用がこのRB26DETT用と同じかどうかは分かりませんが,コイル以外もなかなか手が込んでいそうなのが読み取れます.


そこから1年経った2021年に2JZ-GTE用をリリース(↓).


(HKS:スーパーファイヤーレーシングコイル プロ アリストより)

こちらでコイルの詳細に触れています.



  ・イグニッションコイルブーツ,イグニッションコイルスプリングに耐電圧,耐熱性の材料を使用
  ・高負荷時の火花が飛びづらい過酷な環境にも耐え,リークすることなく確実な点火をサポート


続く2022年にSR20DET用(↓),


(HKS:スーパーファイヤーレーシングコイル プロ シルビアより)

2023年に4G63用(↓),


(HKS:スーパーファイヤーレーシングコイル プロ ランサーエボリューションIXより)

と来て,FD2用に至っているようです.


なるほど,毎年1機種対応する形で開発を進めてきたのであれば,完成度はかなり高そうですし,コイル以外の周辺部品もかなり作り込まれているのが読み取れます.とはいえ,やはり17万円は・・・.これだけ年数が経っているのであれば,使っている人のレビューがないかな?と調べてみましたが情報は出て来ず.他の製品とかなりの価格差がありますから,そりゃなかなか選ばないよなぁ~と方々を当たってみたところ,「SUPER FIRE RACING COIL PRO」のSR20DET用の取扱説明書にドエルタイムが記載されている事に気づきました(↓).



おっ! ならばこれでコイルの性能が分かるのでは?と思い,純正コイルのドエルタイムを調べてみたところ,こんな感じ(↓).

  1000rpm ・・・ 3.15ms (-0.85ms)
  2000rpm ・・・ 2.40ms (-1.60ms)
  4000rpm ・・・ 2.25ms (-1.35ms)
  8000rpm ・・・ 2.20ms (-1.40ms)

ふむふむ.ノーマルより長く出来ているのは間違いですが,他の強化コイルよりも圧倒的に優れているのかどうか?はこれだけでは分からないので,何か参考になるものがないかな?と調べてみたところ,SR20DETの定番チューンだというR35(VR38DETT)用のIPコイルの数字を見つけたのでコレと比較してみると(↓),

  1000rpm ・・・ 3.60ms (-0.40ms)
  2000rpm ・・・ 3.55ms (-0.45ms)
  4000rpm ・・・ 3.50ms (-0.10ms)
  8000rpm ・・・ 3.40ms (-0.20ms)

ほぅ,名うて製品に対しても全域で上回っているというのはなかなか凄いですね.単純にドエルタイムを長く設定出来る事に加えて,2次電圧も高くなっているとなると,値段なりきの高性能ではあるようです.


しかし,とは言ってもなぁ・・・と,やはり+10万の差が気になるので流用チューンとして有名なAUDI R8用のイグニッションコイルが頭を過ぎり,調べていたら,こちらのサイトを見つけました(↓).


(IGNITION PROJECTS:コイルエネルギーの比較より)

上記は,SR20DETに使われるコイルの比較を行ったものだそうです.単位はエネルギー(mJ)で,これを見るとS15用の純正コイルに対し,AUDI用(R8用かは不明)は1.58倍の点火エネルギーを持っている事が分かります.しかし,そのAUDI用を大幅に上回るのが,ガスコイル(CNG車用等に使われているコイル)とR35用の純正コイルであり,そのR35純正品を更に上回るのが先程出てきた「R35 IP」.となると,HKSの「SUPER FIRE RACING COIL PRO」はその「R35 IP」をも超える製品という事になるので,相当高性能である事が分かりました.


以上,HKSの「SUPER FIRE RACING COIL PRO」に関するお勉強でした.

価格的に物凄く高い製品である事は間違いないですが,高いなりに相当高性能である事も今回の調査で分かりました.私のB16Aはダイレクトイグニッション化してFD2用のイグニッションコイルを使用しているため,この製品も使う事が出来るはず.現状,優先順位として足回りの改善の方が高いですが,手っ取り早いパワーアップ策の1つとして本製品の事を頭の片隅に置いておこうと思います.
Posted at 2025/01/01 02:05:09 | コメント(0) | セッティング(エンジン) | 日記
2024年07月21日 イイね!

ReSpec 性能レポートの熟読

ReSpec 性能レポートの熟読接点の半田浮きで一昨年の冬はエンスト&再始動不能に苦しんだのですが,その際の対策の1つとして「クローズドループラムダの有効化」が行われました.

これのおかげで,気温・気圧がどんなに変わろうが街乗り領域ではストイキ(λ=1)で走れるようになったのですが,アイドリング時に,このλフィードバックと回転数フィードバックがケンカして,ハンチング(目標値で安定せず,行ったり来たりする症状)が起きてました.

各フィードバック制御の領域を整理しつつ,アレやコレやと1年間セッティングして,ハンチングの大きさや発生頻度は大分抑えられてきたのですが,信号待ち等でタコメータの回転変動をジーッと見ていると,まるで1気筒だけ噴射量が足りないかのように,時々カクッ!と回転が落ち込む瞬間がある事に気づきました.

「コレ,1気筒だけ燃料をちゃんと吹けてない(噴射量が少ない)んじゃないのかなぁ~?」 (´-ω-`) ウーン

・・・と思い,インジェクタのバラつきが気になってきたのですが,新品のインジェクタなんて当然出ないですし,社外のインジェクタにするほどでもないですし,ハンチングも我慢出来なくもないレベルにまで煮詰められてきたので,静観してました.


そんなある日,いつものようにショップに行ったら知り合いのEK9乗りがいらっしゃって,



「IRSのインジェクタ洗浄(ReSpec)をやってみる」との事.「それは是非とも後で感想を教えて下さい~」とお願いしたら,後日レポートをコピーして渡してくれました(↓).



おお~,これはありがたや~! (*´∀人)

という事で早速熟読させてもらいました.


まず,レポートの項目としては以下の6つ.

  ①通電時間:100%,燃圧:2.5bar(2.54kg/cm2)時の噴射量
  ②通電時間:100%,燃圧:3.0bar(3.05kg/cm2)時の噴射量
  ③通電時間: 50%,燃圧:2.5bar(2.54kg/cm2)時の噴射量
  ④スプレーパターン
  ⑤3.5bar時のリークテスト
  ⑥25℃環境下の抵抗値

これを洗浄の前と後で示してありました(③と⑥は洗浄後のみ).


④(スプレーパターン)は,「◎」「○」「△」「×」の4段階評価で,



恐らく「◎」が上の絵の左側,「○」が右側みたいな感じでしょうね.
(「△」は「○」の量が少ない版,「×」は論外って感じでしょうか)

⑤のリークテストはインジェクタが機械的に壊れてないか? ⑥の抵抗値は電気的に壊れていないか?をチェックするための項目だと思われるので,性能としての意味合いではやはり①~③に注目してみます.


この中で①と②は燃圧の違いなので,どちらを見るべきかな?と調べてみると,



純正の燃料ポンプは「2.55kg/cm2」のようなので,「2.5bar」の方を参照してみます.洗浄前後で値を見てみると,

   #1 ・・・ 247.4 → 257.9 [cc/min]
   #2 ・・・ 245.3 → 256.0 [cc/min]
   #3 ・・・ 248.5 → 259.2 [cc/min]
   #4 ・・・ 237.6 → 252.8 [cc/min]
 -----------------------
  Ave. ・・・ 244.7 → 256.4 [cc/min]

以前調べた時に「B型のインジェクタは240ccではないか?」と読んでいたのですが,これを見るとB16Bの場合はもう少し多く,「245~250cc」くらいのようですね.
(IRSの計測条件は恐らく14Vなので,実車搭載時だと255ccには届かないのでは?と思っています)

洗浄の結果,噴射量が増えているのは間違いないですが,フルコンを使っていると絶対値はあまり関係ない(セッティングで合わせ込んじゃう)ので,バラつきの方に注目してみると,

   #1 ・・・ +2.7 → +1.5 [cc/min]
   #2 ・・・ +0.6 → -0.4 [cc/min]
   #3 ・・・ +3.8 → +2.8 [cc/min]
   #4 ・・・ -7.1 → -3.6 [cc/min]

洗浄前のバラつきが最大 10.9cc/min あったのに対し,洗浄後は 6.4cc/minまで減っています.インジェクタのフル吐出状態で考えると,バラつきの大きさが4.4%→2.5%まで減っているので約2ポイントの改善となると結構差は大きそうです.

ついでに噴射量が少ない③(50%)の方にも目を向けてみると,こちらは洗浄後のものしかありませんが,

   #1 ・・・ 123.7 [cc/min] ⇒ +0.7 [cc/min]
   #2 ・・・ 122.3 [cc/min] ⇒ -0.7 [cc/min]
   #3 ・・・ 124.4 [cc/min] ⇒ +1.4 [cc/min]
   #4 ・・・ 121.8 [cc/min] ⇒ -1.2 [cc/min]
 ---------------------------
  Ave. ・・・ 123.0 [cc/min]

バラつきの大きさは2.1%で,通電時間50%はほぼアイドリング状態に相当しますから,全域で満遍なくバラつきが低減されている様子が窺えます.実際,洗浄後のインジェクタを付けたEK9乗りは,その回転の滑らかさに感動したそうですし,この「ReSpec」は結構魅力的だなぁ~と思いました.


以上,ReSpec 性能レポートの熟読でした.

私のEF8にはEK9(B16B用)のインジェクタが付いているので大変興味深いレポートでした.金額も新品のインジェクタを買うよりは安いですし,期間も1週間そこそこくらいで返ってくるらしいので,機会があれば一度やってみようかな,と思います.

レポートを提供してくれたSさん,有難う御座いました! <(_ _)>
2023年11月05日 イイね!

1速での全開加速から学んだ事

1速での全開加速から学んだ事JMSネタも終わったので,少し時間軸を戻してナリモネタで1つ触れていなかった話を.

先日のナリモはジムカーナ形式だったので,コースインから計測開始のラインまでの間を1速で引っ張って全開加速をしていました.通常のサーキットではピットからコース合流部に行く前に2速にシフトアップしてしまうので,これまで1速でアクセルを全開にする経験はなかったのですが,今回初めてやってみて1つ面白い体験をしました.

それは,ハイカムに入った瞬間にグイッ!と前に引っ張られる感覚です.



「VTECなんだからハイカムで加速感が増すのは当たり前じゃん!」と仰るかもしれませんが,2速で全開で踏んでる時には,VTECが切り替わっても加速感が変化するような事は感じませんでした.ここまで明確に違いを感じたのは今回が初めてです.

体感なので,厳密に何rpmから加速感が変わったのか?は分からなかったのですが,先日ロガーデータを見返していたところ,数字でもくっきりとその変化が現れていました(↓).



上が車速,下がLAP+の簡易計算機能(算出方法は下記を参照)で求めた出力です.赤丸で囲んだ箇所で急激に出力が増しているのが分かると思います.この時の回転数を車速から割り出したところ,やはりVTECの切替えポイントと一致していました.

 【簡易的な出力計算方法】
   [出力(PS)] = ([車速(m/s)] × [車重(kg)])× [加速度(m/s2)] / 735.5


加速感が増したポイントは,私のB16Aがちょうどトルクが盛り上がる辺り(↓).



ここで約2kgf・m近いトルク変化が生じる訳なのですが,「なるほど,これくらいトルクが変化すれば体感出来るんだなぁ~」と思いました.


この体感により,改めてトルクバンドの重要性を認識する事が出来たので,ここを外さない(この回転数以下にしない)車速レンジってどうなるんだろう?と気になったので調べてみました(↓).



縦軸がギヤ,横軸が車速.オレンジ色がサーキットで主に使っている各ギヤのレンジ,赤色は先程のトルク感が増した回転数領域を大まかに示したものです.

これを見ると各ギヤの最低速度(ボトムスピード)は結構引き上げないとダメなんだなぁ~と思いました.例えば,TC1000のヘアピンだと50km/hを下回ってしまうのですが,それだと立ち上がりでパワーバンドに入るまでに結構な時間(20km/h分の加速時間)が掛かるのが読み取れます.下手をすると1速に落とした方がパワーバンドから外れず,速くなる可能性すらありますね.同様に3速でも70km/h台まで落ちる場合は2速に落とした方が立ち上がりは速そうです.

無論,シフトチェンジによるタイムロス(大体0.1~0.15秒)があるので,パワーバンドを外さないからと言って,なんでもかんでも下のギヤで走れば良いってものでもありませんが,やっぱり現状よりもボトムスピードを引き上げる事を心掛けた方が良さそうだなぁ~と改めて思いました.


さて,ボトムスピードの重要性を感じたところで,現在の状態が気になったのでちょっと試算をしてみました.
題材にするのは,先程も出てきたTC1000のヘアピン(↓).



ここのボトムスピードが 47.8km/h なので,例えば,これを50km/hに引き上げるにはどうすれば良いのか?を考えてみます.


まずはデータの整理.


(自動車を物理する:車重と荷重とグリップの関係より)

  車重 ・・・ m = 980 + 60 = 1040 [kg]
  車速 ・・・ v = 47.8 [km/h] ≒ 13.3 [m/s]
  半径 ・・・ r = 16 [m]

上記からヘアピンで生じている遠心力を求めると,

  F = 1040 × 13.3 × 13.3 / 16 = 11497 [N] ≒ 11.5 [kN]

車速50km/h未満の領域なので,ダウンフォースは全く発生していないと仮定すると,この遠心力 11.5kN に対して205/50R15のA052で出せるグリップ(向心力)の限界が,これくらいという事になるかと思われます.


では,このボトムスピードを50km/h(13.9m/s)まで引き上げるのに,何kg軽量化すれば良いのか?を求めてみると,

  m = F × r / v^2 = 11500 × 16 /(13.9 × 13.9)= 952 [kg]

現状の車重(ドライバー込み)が1040kgなので,約90kg軽くしないとダメって事ですね(汗).遠いなぁ~.




じゃあ,別の見方として,ボトムスピードを50km/hで旋回するのに必要なグリップ(向心力)を求めてみると,

  F = 1040 × 13.9 × 13.9 / 16 = 12558 [N] ≒ 12.6 [kN]

205/50R15が 11.5kN なので,約10%グリップを上げないといけない試算になりますね・・・.

仮にタイヤの幅の分だけ線形的にグリップが上がると仮定して,205/50R15の幅が214mm,225/50R15が233mmだから,

  233 / 214 = 1.089 (約9%)

つまり,単純に225幅を履いたとしても届かない,という試算になるんですね・・・.


以上,1速での全開加速から学んだ改良点でした.

う~む,やっぱり根本的にOUT側のタイヤに掛かる負荷をもっと減らさないと,狙いのボトムスピードには到底達する事が出来ない事が良く分かりました.これ以上キャンバーを寝かせるのはブレーキングで苦しくなるので避けた方が良さそうですし,はてさてどうしたものか・・・.

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何シテル?   08/09 02:05
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