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OX3832のブログ一覧

2024年07月20日 イイね!

くるまコレクションで調べ物

くるまコレクションで調べ物EF8が入庫中で今週はどこにも行けそうにないので,暇な週末になりそうだなぁ~と思っていたら,某SNSで「第三土曜日はBICライブラリのオープンデーです」という情報が流れてきて,「えっ!? 土曜日にやってる日があるの?」と思い,行ってみる事にしました.

3月にも同じようにEF8が入庫して移動の足を失った際,西国分寺の「東京マガジンバンク」へ調べ物で行ったのですが,この際,本当は調べ物のネタ的に「BICライブラリ」の方が適していたのでそちらに行きたかったのですが,ココは平日しか開いていないので諦めていました.

さすがに平日にわざわざ有給取って行く程でもないので,出張のついでか何かで行く機会がないかなぁ~?とチャンスを窺っていたのですが,そんな機会は来ず,「土曜にやってるなら行ってみるか!」という事で,駅からの移動だけで汗びっしょりになりつつ港区へと向かいました.



こちらの「BIC(Business Information Commons)ライブラリ」は,機械振興会館内にある図書館で,本来は名前の通りビジネス支援のための窓口として設けられたものです.しかし,日本自動車工業会が運営していた「自動車図書館」がコロナ禍の影響で2020年に休館し,その蔵書が「BICライブラリ」へ移設され,「くるまコレクション」コーナーとして新設されました.運営元の性質上,ココの蔵書は業界向けの機関誌が多く,かなりマニアックな情報を手に入れられるため,一度行ってみたい場所でした.

「BICライブラリ」自体は誰でも利用でき,入館手続きも受付で記入票を書くだけなので簡単です.記入を終えて早速調べてみようと思ったら,受付の方に「よろしければ持って行って下さい」と言われ,こんなのを頂きました(↓).


(どうやら,こちらで定期購入している雑誌の付録のようですね・・・)


それでは早速調べ物を開始.まずは昔の東京モーターショーに関する情報が載っている資料を探します.

80年代に,CR-Xが鈴鹿サーキットでマーシャルカーとして使われていた事は有名な話だそうなのですが,この際のイメージとして挙がるのはバラードスポーツCR-X(AS)が多いんですよね.


(2024年になっても,ミニカー↑が新発売されるくらいです)

一方,サイバースポーツCR-X(EF)のマーシャルカーの方はあんまり情報を見かけず,当時のホンダF1ドライバーであったアイルトン・セナが鈴鹿・西コースでこのクルマを走らせた話(↓)くらいしか目にしません.



ところが,先日見つけた記事で,1987年の第27回 東京モーターショーにこのクルマが展示されていたらしく(↓),


(NosWeb:第27回 東京モーターショー1987 ホンダ、スバル編【1】より)

このクルマに関して取材された記事がないか?と調べに来た訳なのですが,残念ながら「11月に行われる鈴鹿F1のアピールのために展示されていた」とか,「こちらはあくまでコンセプトカーで市販されているのはホイールのみ」とか,それくらいの情報しか得られませんでした・・・.orz

この記事の画像をよーく見ると(↓),


(NosWeb:第27回 東京モーターショー1987 ホンダ、スバル編【1】より)

ボンピンが付いていたり,マフラーがサイド出しになっていたりと,どうも先述のマーシャルカーより過激な仕様に思えるんですよねぇ・・・.同型のシビックの仕様から鑑みると,コレ,ZCを搭載したグループA仕様なんじゃないか?と思ったりもしたのですが,結局,詳細は分からず終いでした.ちなみにこのマーシャルカー,1992年に筑波サーキットに居た写真があるようなのですが,コレは果たして本物なのか? レプリカなのか??


さて,古(笑)の文献探しも終わったので,折角来たついでだし,他にどんな本があるのかなぁ~?と棚を眺めていたところ,「自動車タイヤ諸元表」なんて本を見つけました(↓).



さすがは専門図書館.こんな専門家向けの本も揃っているんですね.この本は読んで字の如く,タイヤの諸元(タイヤの外径,標準/許容リム・サイズ,溝深さ,空気圧等)に関してメーカー毎に全銘柄掲載されているものなのですが,パラパラ数ページ捲った後に,

( ゚д゚) ピン!!

・・・と閃いて,スマホでA052のサイト(↓)を開きつつ調べてみました.



EF8で履いているタイヤサイズを中心に調べてみたところ,標準リム幅・適用リム幅なんかは同じなのですが,「自動車タイヤ諸元表」に書かれている以下の数値(↓)を確認したところ,

  タイヤ外径 ・・・ 205/50R15:585mm  195/55R15:587mm
  タイヤ総幅 ・・・ 205/50R15:217mm  195/55R15:203mm

アレレ? サイト(=メーカーカタログ)に載ってる数値と微妙に違うぞ??
ん~,コレは「A052は表記以上に太い」という例の話か?と思い,A050も調べてみると,



  タイヤ外径 ・・・ 205/50R15:587mm  195/55R15:594mm
  タイヤ総幅 ・・・ 205/50R15:217mm  195/55R15:203mm

おおっと,コッチも数字が微妙に違うじゃん(ちなみに,M⇔G/S⇔G2/Sでは数値は一緒でした).この本に掲載されているタイヤは全メーカー・全銘柄なので,さすがに1企業が全部自社で計測して出している数字とは思えず,メーカーからの提供資料に基づいていると思うのですが,カタログの掲載値と微妙に違うのは何なんですかね?
(計測条件が違うのか?と思い,最初から読み返してみましたが記載を見つけられませんでした)

もしやマイチェンか?と思い,'20~'21年版で調べ直してみましたが値は最新版と同じ.ならば,YHではなくBSはどうだ?と思い,RE-71RSの205/50R15を調べてみたところ,



  タイヤ外径 ・・・ 205/50R15:587mm
  タイヤ総幅 ・・・ 205/50R15:214mm

こっちはカタログ表記と一致するじゃん! ムムム・・・やはりYHは何か一捻りしているという事なのか?(笑)


そんな事を思いつつ,再びA052の記載を読み返していたところ,カタログには載っていないこんな数値が本には出ていました.

  設計最大空気圧 ・・・ 205/50R15:340kPa  195/55R15:340kPa
  設計最大荷重   ・・・ 205/50R15:580kg   195/55R15:580kg
  
確かA052のビードシーティング圧って「275kPa」だったはずですが(↓),



設計上はそれよりも耐えられるようにちゃんと作られているんだなぁ~と思いつつ,構造的にA052よりも頑丈そうなA050も確認してみると,

  設計最大空気圧 ・・・ 205/50R15:250kPa  195/55R15:250kPa
  設計最大荷重   ・・・ 205/50R15:530kg   195/55R15:515kg

アレッ? A052よりも低いのか.じゃあ,剛性が高いと言われるRE-71RSは?

  設計最大空気圧 ・・・ 205/50R15:250kPa
  設計最大荷重   ・・・ 205/50R15:530kg

えっ? Sタイヤと同じ数値?? これはこの数字に何か意味がありそうだな・・・と思い調べてみたところ,250kPa/530kgはJATMAの規格値でした(↓).



という事は,A052はJATMA以外の規格で作られたタイヤという事のようですね.JATMA以外のタイヤ規格というと,欧州の「ETRTO」や北米の「TRA」がありますが,そちらに合わせたものという事なんですかねぇ~?
(ちなみに,近年のYHの製品であるAD09やV601も設計最大空気圧は340kPaでした)


以上,くるまコレクションで調べ物でした.

今回行った「BICライブラリ」は地下1Fにあるのですが,調べ物を終えて1Fの出口に向かったら,なんと正面玄関が閉まっていました(汗).「えっ? まだ14時だよね??」と思いつつ,シャッターが完全に下りているので脱出は不可能.困ったなぁ~と右往左往していると,清掃の方が「地下から出られるよ」と教えてくれたので,どう見ても職員玄関に見える出入口から警備員にジロジロ見られつつ足早に脱出しました(笑).

この「BICライブラリ」が入っている「機械振興会館」という建物は,東京タワーの真ん前にあるので(↓),



そのまま東京タワーの下にあるフットタウンへ行き,2Fの「汁無し担々麺 金蠍」にて少々遅い昼食.



その店の名物が何か分かってて敢えてそれを避けるという,いつもの天邪鬼が発動して「粗挽肉ワンタン麺」を食べて帰りました.
(ずっとクーラーが効いた部屋にいて身体が冷えたのか? なぜかスープが滅茶苦茶熱く感じた・・・笑)
Posted at 2024/07/21 00:58:20 | コメント(0) | トラックバック(0) | セッティング(タイヤ) | 日記
2024年06月06日 イイね!

バックリングのお勉強

バックリングのお勉強近々で走る予定もないので,いつもの如くアレコレ調べ物をしていたら「バックリング(Backling)」という単語を目にしました.

なんだコレ?と思って調べてみたところ,どうやらコーナリング中にタイヤに負荷が掛かって変形した際に,トレッドの一部が浮き上がる現象の事を指すそうです.タイヤは上→下に向かって力が加わっているので浮き上がるなんて思いもしなかったのですが,力が働く方向を考えれば確かに起こり得るか・・・と納得しました.浮き上がるとなるとグリップに影響しそうですし,どんな現象なのか調べてみました.

「バックリング」があまり一般的でないのか? 逆に一般的過ぎて触れる必要もないのか? その辺りはよく分かりませんが,調べてみてもあまり情報は出来ず,唯一出てきたのはBRIDGESTONEだけでした(↓).

  CarWatch:ブリヂストン「POTENZA RE-11」徹底レビュー【前編】

こちらは2009年に「RE-11」が発表された際の記事のようなのですが,「RE-11」の先代に当たる「RE-01R」を筑波サーキットに持ち込み,「直線時」「ブレーキング時」「コーナリング時」のタイヤ変形に着目して解析を行った事から話がスタートしています.









その中で,「コーナリング時」はタイヤがポジティブキャンバーとなり,外側に倒れ込む様子が確認されたそうなのですが,ここから解析を行った結果,OUT側の本来接地しているべき部分で,逆に浮き上がって接地せず,グリップを失っている現象が確認されたそうです(一番下の画像の青い部分).

本来グリップして欲しいところでグリップしていないので,勿論この「バックリング」はなくしたい訳なのですが,その対策方法としては以下があるそうです.

  ・剛性が弱い部分を補強
  ・溝配分の変更

前者の「補強」は主にタイヤのベルト部分で行われるので,所謂ところの「構造を変更する」というヤツで外から見て分かるものではありませんが,後者の「溝配分」というのはトレッド部の溝のパターンを指しており,こちらは「回転方向指定」のタイヤが「IN-OUT指定」のタイヤになるような感じで目で見て分かる変化となっています(↓).



つまり,「IN-OUT指定」のタイヤは,「バックリング対策」をしたタイヤと見なせそうです.

σ(゜・゜*)・・ン??

「RE-01R」→「RE-11」でパターンを変更してバックリングしにくくなったのは分かったのですが,そうするとその次の「RE-11A」→「RE-71R」でのパターン変更は逆にバックリングに対して弱くなったのでは・・・?と思い,「RE-71R」の広報資料を見返してみたところ,



あっ! 「バックリング」に関して全く触れられていない(苦笑).

という事は,更にその次の「RE-71R」→「RE-71RS」へのパターン変更時は・・・と調べてみると(↓),



また出てきたじゃ~ん(笑).

なるほど,やはり「回転方向指定」のパターンは「バックリング」に弱いみたいですね.
そう思って改めて「RE-71R」を見返してみたのですが(↓),



ちょうど「バックリング」が起きそうな部分で,溝が繋がっている箇所があり,これも対策の一環なんだろうなぁ~と思いました.


以上,「バックリング」のお勉強でした.

A052等の「IN-OUT指定」のタイヤは恐らく「バックリング対策」が施されているので,走行後のタイヤから発生の有無は確認出来なそうですが,「バックリング」はタイヤ変形の話なので当然内圧も関係していて,極端に内圧を下げるとやはり発生するそうです.

走行後のタイヤを見た時に,OUT側の部分で均一でなく,凸凹した減り方をしている時は内圧の下げ過ぎと判断した方が良さそうですね.
Posted at 2024/06/07 17:21:24 | コメント(1) | トラックバック(0) | セッティング(タイヤ) | 日記
2024年05月14日 イイね!

A052の製造に関するお勉強

A052の製造に関するお勉強先日,横浜ゴムからこんなリリース(横浜ゴム、三島工場のモータースポーツタイヤ生産能力を増強)が出ていました.

静岡県三島市にある「三島工場」の18インチ以上のサイズのモータースポーツタイヤ生産ラインを拡張し,生産能力を現状比135%まで引き上げるのだそうです.投資額が38億円と大きいため,株主への説明の意味合いでリリースが出たんだと思いますが,能増自体は特段珍しい事でもないものの,その目的が「ADVAN A052の販売拡大のため」という部分には驚かされました.



確かにここ数年,ADVANブランドのタイヤの欠品騒動が起きていて,競技者の方を筆頭にタイヤの確保に苦労する話を耳にしたのですが,恐らく市場規模としては縮小傾向であろうモータースポーツタイヤの分野に,まさかこのご時世で投資をするとは!とリリースを読んで驚きました.

能増されるのが「18インチ以上のサイズ」との事なので,私が使っている15インチサイズに対しては影響はない(相変わらず欠品は起こる)気もしますが,現在18インチ以上のサイズと混流で作っていたのであれば,ラインの拡張によって15インチ側の生産能力に余力が出来て,それによって間接的に欠品が減る事になれば嬉しいなぁ~なんて思いました(なお,増強の効果が出るのは2027年との事).


1本のリリースからそんな皮算用をしていると,「アレ? 18インチは三島工場で作られているのだとして,そうしたら15インチはどこで作っているんだろう??」と気になり,いつもの癖で早速横浜ゴムのサイトを覗いてみると,

  三重工場  ・・・ トラック・バス,小型トラック,乗用車用タイヤ
  三島工場  ・・・ 乗用車,小型トラック用タイヤ,レーシングタイヤ
  尾道工場  ・・・ 建設車両,産業車両用タイヤ
  新城工場  ・・・ 乗用車,小型トラック用タイヤ
  新城南工場 ・・・ 乗用車用タイヤ

「あ,"横浜"ゴムと言いつつ,横浜には工場はないんだ~」と思いつつ,どうやらモータースポーツタイヤは「三島工場」でしか作っていないようですね.「ふ~ん,そうなると三島工場ってどんな感じなんだろう?」と思い更に調べてみると,「貫かれるモノづくりの精神― 横浜ゴム三島工場の現場力」と銘打たれた特集を見つけました(↓).

  貫かれるモノづくりの精神― 横浜ゴム三島工場の現場力 / 前編
  貫かれるモノづくりの精神― 横浜ゴム三島工場の現場力 / 中編
  貫かれるモノづくりの精神― 横浜ゴム三島工場の現場力 / 後編


これによると,

  「三島工場は,乗用車用の13〜15インチサイズのタイヤ製造を主軸としている」
  「レーシングタイヤの製造は同じ建屋の専用設備で行っている」
  「レーシングタイヤの製造工程はその全てが特殊なもの」
  「オートメーションで賄える部分は乗用車用よりも遥かに少なく,人の手を要する部分が非常に多い」


のだそうです.



「ま,でもそれはSuper GTとか,国内最高峰で使われるタイヤの話でしょ~」と思い読み進めてみると,

  「A052もここで製造している」
  「混合は通常の乗用車用コンパウンドよりかなり長い時間が掛かる」
  「ゴムが密着してしまうことも多く,混合後のゴムも混合槽から人の手で掻き出す」
  「人の手で次のプロセスに運んだりと,本当に手間暇が掛かる」


との事.「えっ!? A052みたいな量産タイヤでもそんな手間暇掛けてるの??」と驚きましたが,それだけA052というタイヤが特殊なんでしょうね.


そうなると作り方が気になるもので,コチラもざっくりと調査.



製造工程は大きく分けて以下の5つとなるそうです.

  ①混合工程    ・・・ 原材料(ゴム等)と配合剤をミキサーで混合し,ロールとして練り上げる工程
  ②材料加工工程 ・・・ 混合したゴムをトレッド部やビード部等の形に加工する工程
  ③成形工程    ・・・ トレッド部等出来上がったパーツを1本のタイヤとして組み上げる工程
  ④加硫工程    ・・・ タイヤを金型に入れ,高温&高圧の蒸気で焼き固める工程
  ⑤検査工程    ・・・ 出来上がったタイヤを目視&官能で検査する工程



この中でA052の特異性を表す点としては,例えば最初の「混合工程」.原料ゴム・オイル・カーボンブラック・各種配合剤を140〜180℃という高温で,複数回に渡って混ぜ合わせるそうなのですが,通常のタイヤが2~5分程度の混合時間であるのに対し,A052の場合は25~30分と10倍以上の時間時間を掛けて混ぜ合わせるのだとか.ゴムは生モノなので毎回微妙な調整が必要だそうで,適切に混合するのはまさに職人芸だそうです.

そこから「材料加工工程」を経て行われる「成形工程」では,シート・カーカス・ビード・サイドトレッドを組み付ける「1st成形」,ベルト・ベルトカバー・キャップトレッドを組み付ける「2nd成形」に分かれているそうなのですが,



A052の「1st成形」には,通常のタイヤの数倍に相当する6分も掛かるそうです.これは部材同士が接する面のゴムの状態を手の感触で測りながら貼り付けていくためなんだとか.
(なお,SUPER GT用のタイヤとなると更に長く,10分も掛かるそうです・・・)

市場から見たら絶対的な数が少ないとはいえ,我々からしたら十分量産タイヤであるA052が,まさかこんな職人芸を駆使して作られているとは思いもしませんでした.もっとオートメーション化が進んでいて,巨大な工作機械がガッチャンコ!ガッチャンコ!と量産しているものだと思っていたのですが,これだけ手間暇が掛かる代物だったとは・・・.いやはや驚きました.


以上,A052製造に関するお勉強でした.

我々はサーキットで,それこそ僅か数分(下手をしたら数十秒)でA052をズタボロな状況にする訳なのですが,その1本1本がこれだけの時間と手間暇を掛けて作られている事を知ってしまうと,「タイヤが悪い!」なんて簡単に言ってはいけないなぁ・・・と思い知らされました.

結局のところ,サーキットでのタイムはタイヤの性能をどこまで引き出せるか?で決まってしまうので,タイヤに関してもっともっと勉強しないとダメだなぁ~と考えさせられる今回のお話でした.
Posted at 2024/05/17 01:50:11 | コメント(0) | トラックバック(0) | セッティング(タイヤ) | 日記
2024年02月09日 イイね!

205/50R15 vs 195/55R15

205/50R15 vs 195/55R15ロガーデータの比較をこれだけ連投するとさすがに疲れてきましたが(苦笑),まだ確認しておかないといけない事が残っているので,引続き先日のTC1000の反省回です.

以前,225幅と205幅の比較を行って差が出ないという結論が出た事から,だったら,205幅と195幅でも差が出ない可能性があるのでは?という懸念からやってみたテストだったのですが,残念ながらその通りの結果となりました・・・.

乗った時のフィーリングとしては,両者にほとんど違いはなく,タイヤに負荷を掛けていくと195幅の方が,最後僅かながらに耐えられない,といった印象でした.また,これだけ寒くなってくるとタイヤの温度も上がらないので,205幅だとタレても冷やせば戻って来る感じでしたが,195幅は一度タレると戻って来る事はなく,やっぱり負荷的にキツイんだろうなぁ~と思いました.従って,同じタイヤの特性で,絶対的な限界だけ低い(といっても極僅かですが)というのが195幅のイメージでした.

さて,インプレッションを語ったところで,ここから先はいつものパターンです.

【205/50R15:40.980】


  気圧:1021.8hPa  気温:7.9℃  路面温度:14.3℃

【195/55R15:41.038】


  気圧:1022.0hPa  気温:8.8℃  路面温度:13.6℃



ロガーデータは,上が車速,下がタイム差,緑が205幅,青が195幅です.俯瞰して見るとホントに両者に差はないんですねぇ・・・.タイム差の推移を見ると最終コーナーの立ち上がりで205幅(緑)が最後0.1秒稼いだおかげでトータルのタイムも205幅(緑)の方が速いですが,そこに至るまでは195幅(青)の方が上回っていたようです.orz


とは言いつつ,僅かながらも両者に違いがある部分もあるので,そこにフォーカスして見てみると,まずは1コーナーのブレーキング(↓).



205幅(緑)の方がボトムスピードが低いんですね・・・.なんでだ?と思い,その過程を読み解いてみると(↓),



205幅(緑)はブレーキ踏力を抜きながらステアリングを切っているのに対し,195幅(青)はブレーキ踏力を抜き切った後にステアリングを切っているようです.つまり,「止めながら曲げる(205幅)」と「止めてから曲げる(195幅)」の違いですね.ここを意識的に変えた記憶がないので,多分身体が勝手に反応しちゃってるんだと思いますが,なかなか面白いです.



推測するにステアリングフィールで195幅(青)の方は「切っても反応がない」と思っているからステアを切り込まず,そのままブレーキングを続けちゃっているんでしょう.そういえば,確かヘアピンの立ち上がりだったかと思いますが,乗っていた時に195幅(青)の方はステアを切り込んでいくと途中でウンともスンともノーズが反応せず,ただただその場で失速する(クルマが前に進まない)感もあったので,「やっぱ,195幅の方が限界は低いなぁ~」と思っていたのですが,気づかないところでそれと同じ事が起きていたんですね.


だとすると,他のブレーキングポイントではどうなんだ?と見てみると,



ヘアピンの進入で似たような傾向が見受けられます.195幅(青)と比べると205(緑)の方がドライビングの調整代が残っている(ブレーキとステアリングをオーバーラップ出来る=無理が効く)感じですね.


ふむふむ・・・と思いながら,そのままグラフの右側に視線を送ると,左高速では195幅(青)の方が失速していたようです(↓).



タイヤ幅が13mmも細いので,当然と言えば当然ですかね.
ちなみに,これだけ車速が違うように見えても差は僅か0.02秒に過ぎません・・・.


最後に,最終の複合.ここが少し興味深かったです.



洗濯板を通過した時点では車速もブレーキングポイントもほぼ一緒で,そこから非常に似たような車速プロフィールで旋回をするのですが,195幅(青)の方が205幅(赤)よりも小回りなんですよね.同じ速度で小回りという事は「195(青)の方がコーナリング性能が高い」という話になっちゃうのですが,そんなバカな!って感じですね(笑).205幅(赤)でグリップが余っている感じはしないので,ステアリングフィールが195幅と205幅で違うせいなんでしょうね.


以上,205/50R15 vs 195/55R15でした.

タイヤの縦も,横も,それ単体で使っている分には,195幅が205幅に対して明確に落ちる印象を受けなかったのですが,縦と横を重ねた"斜め"の使い方をすると,さすがに195幅はツラいかなぁ~?と思いました.

そういう意味では,年間を通じて,限界の低い195幅でひたすら鍛錬を積んで,本気のアタックをする時は205 or 225幅を使うという,こもりん.さんのやり方は正しい気がしますね.日光やTC2000だともっと明確にタイヤの差が出る気もしますが,TC1000で走る分には195幅でも十分かもなぁ~?と思う,そんな比較結果でした.
Posted at 2024/02/10 00:21:59 | コメント(0) | トラックバック(0) | セッティング(タイヤ) | 日記
2024年01月24日 イイね!

タイヤの摩耗と路面に関するお勉強

タイヤの摩耗と路面に関するお勉強次回の走行に向けて先日のTC1000を走って付いたタイヤカスを除去していたのですが,走行回数的にはまだ2回なのに随分とタイヤが摩耗している事に気づきました.

やっぱり今のセットだとフロントタイヤの負荷が大き過ぎるんだなぁ~と思いつつ,新品にしたボールジョイントによってコーナリング中のキャンバー角が減り,それがタイヤに影響しているのかも・・・?とも思いました.

念のために走行履歴を確認してみたのですが(↓),



やっぱりまだ90kmくらいで,過去実績ベースで比較すると摩耗率は30%前後のはずなのですが,タイヤのショルダー部を見ると多分あと60kmくらいで溝がなくなりそうです.オートサロンも終わって今年は新作タイヤが出ない事を確認したので,「もう1セット新品タイヤを手配しておくべきかなー?」とちょっと悩んでいます.


新品タイヤを投入するとなると,やっぱりニューの最初の1発を効果的に使いたいので,投入時期とそれまでに見直すべきセッティングのポイントがこれまた頭を悩ませる事になるのですが,最近この「最初の1発」の効果って,新品タイヤの表面の平滑さ(キレイさ)のおかげもあるんだろうなぁ~と何となく思っています.

なので,例えユーズドであったとしても,所謂ところの「DKC(Dendo Kanna Club)」をやって平滑にしてやれば,似たような効果は得られるんじゃないか?と思いつつ,現状のカス取りだけでも十分面倒なので,やるとしても「TKC(Te de Kanna Club)」止まりになるんでしょうねぇ・・・.

そんな「TKC」のツールとして有名なのがTAJIMAの「アラカン(粗削り用カンナの略?)」ですが,



某SNSを見ていたら,神東工業の特殊鋸シリーズ(↓)をオススメされている方もいらっしゃいました.



「アラカン」よりも目が粗く,目詰まりしにく形状となっているそうで(↓),



買うならコッチの方が良さそうかなぁ~?なんて思いながら見てました.


えっと,何の話をしていたんだっけ・・・? ああ,そうそうタイヤの摩耗が早いという話でした.
タイヤに負荷掛けてるんだから摩耗が早いのはしょうがないと思っていたら,こんな情報(↓)を見つけました.

  ・某タイヤメーカーの路面温度とコンパウンドの考え方
  ・路面温度が高いとアスファルト1粒1粒の尖りが丸くなるため,μ(摩擦係数)が下がる
  ・このため,硬いゴムだと喰わせられず,路面温度が高いのに柔らかいゴムを使う場合がある


  ・反対に路面温度が低いとアスファルトの尖りがより一層鋭くなるため,μが上がる
  ・このため,柔らかいゴムだと,その尖りにゴムがむしり取られて表面が荒れ,摩耗も早くなる
  ・ただ,柔いゴムの方がタイムを出し易いのは間違いない
  ・摩耗の観点から考えると「夏は硬い」「冬は柔い」がセオリーに思えるが,実はそうとも限らない
  ・アスファルトの尖りを活かすために,あえて硬いタイヤを使う場合もある


へぇ~.私としては路面温度をタイヤの溶け具合に紐づけてしまうので,こういうイメージだったのですが(↓),



路面温度が上がると,タイヤ側が変形するだけでなく,路面側も先端の形が変わったりするんですね.知りませんでした.


ちょっと興味が湧いたので,「アスファルトの尖り」とやらの情報が何かないかな?と調べてみたところ,まずは基本中の基本で「アスファルトにも色々種類があるよ」という話.


(日本アスファルト協会:アスファルト基礎知識より)

一般道と高速道路でも路面が違うんですから,サーキットともなればまた別物なんでしょうね.サーキットの路面がどんな素材なのか情報ないかなぁ~?とまた調べてみたところ,土木学会誌 Vol.88 No.9に,ツインリンクもてぎ(現モビリティリゾートもてぎ)の路面に関するインタビュー記事がありました.

Q:一般道とサーキットでは,舗装にどのような違いがあるのか?
A:サーキットの舗装は基本的に一般道と構造上の違いはない.ただ,一般道ではないため,設計基準がなく(※2003年当時),強いGに耐え,グリップ力の高い舗装となるよう開発された材料を使用している.また,使っているアスファルト混合物にしても骨材(砕石等)は,入手出来る範囲で硬いものを使用している.アスファルトに入れる添加剤も特殊な物を使用し,耐久性が向上するようにしている.


もてぎともなれば,500PSオーバーのクルマがスリックタイヤでガシガシ路面を蹴り続ける訳なので,そりゃ頑丈な路面にしないとダメなんでしょうね.

Q:サーキットでの施工方法は,一般道路と同様の工法で行われるのか?
A:基本的には同じだが,特に平坦性を良くする必要があるため,様々な部分に注力しながら施工を進める事になる.路面は水が溜まらないように,ストレートであれ,コーナーであれ,バンクがついているので,その中で平坦性を高める施工方法が必要となる.ただ,サーキットは一般道と異なり障害物が少ないため,効率良く施工出来る.一定速度で路面を施工する事が出来れば,平坦性をより向上させる事が出来る.


Q:サーキットの舗装を行う上で,最も気を使う部分はどこか?
A:やはり平坦性.舗装は「加熱混合物(熱を加えて作るもの)」という特殊な材料を扱う事になるので,その品質保持には細心の注意を払い,耐久性の高い舗装となるよう心掛けている.


そういえば,親戚の伯父が道路屋さんだったのですが,昔「サーキットの路面を施工した事があるんだけど,どれだけ平坦にしても『まだ足りない!』って文句言われるんだよ.どんだけ拘るんだ?って困った事がある」と愚痴っていた事を思い出しました.やっぱり一般道と比べたら異常なレベルで平坦性に拘るんですね.


さて,記事の中では当時のツインリンクもてぎの「ロードコース」と「オーバルコース」の路面の違いに関しても触れられていました.



舗装は,一般道路とほとんど同じ配合で行われている.ロードコースは雨天時でも使用されることから,表面は一般道と同じようにある程度の隙間をもたせてある.



オーバルコースでのレースは,最高速度が380km/hにも達するため,タイヤと路面の設置面積を増やし,グリップ力をもたせる必要がある.そのため,ロードコースに比べて粗骨材の粒径は小さいものが使用されている.また,このオーバルコースでのレースは雨天時においては中止になることから,ロードコースに比べて隙間が少ない.

ほぉ~,ロードコースとオーバルコースで舗装が違ったのですか.言われてみれば納得なのですが,こういった特殊な舗装である点もオーバルコースを直さない理由だったりするんですかねぇ・・・?


記事を読んで,何となくサーキット路面の特徴は掴めましたが,一番知りたかった「アスファルトの尖り」の部分は分かりませんでした.なんか情報ないかなぁ~?と更に調べてみたところ,上の方で出てきた日本アスファルト協会の機関誌「アスファルト」第214号にこんなデータ(↓)が載っていました.


(アスファルト 第214号:路面のすべりより)

コンクリート舗装のデータなので,アスファルト舗装と特性が異なる可能性もありますが,参考までに読んでみたところ,乾燥路面(ドライ)の場合,路面温度が1℃増加する毎に摩擦係数は0.01下がるのだそうです.この傾向は温度の上昇と共に小さくなり,40℃付近ではほとんど影響しなくなるのだとか.そして,この傾向は湿潤路面(ウェット)でも変わらないとの事.加えて,ドライ・ウェットを問わず,速度が増加しても絶対値こそ違えど特性は変わらないそうです.

つまり,纏めるとこうでしょうか(↓).

  ・路面温度が上がると,路面側のμも下がるのは事実
  ・路面温度が10℃上がると,μは0.1下がる(≒グリップが10%低下)
  ・但し,路面温度が40℃近くになると,μの変化はほぼなくなる(≒暑過ぎるとμは変わらない)
  ・この特性はウェット路面でも一緒(変化がなくなるポイントが高温側にズレるだけ)
  ・車速に関しても一緒(μの絶対値が高くなるだけ)


以上,路面のお勉強でした.

走っている時にグリップがない原因が,タイヤのせいなのか? 路面のせいなのか?は正直判別が難しいとは思いますが,暑い時になんでもかんでもタイヤのせいにして良い訳ではない,という点は勉強になりました(暑いと,タイヤだけでなく路面もタレる,って事ですね).

興味深いのは「冬場は硬いゴムの方が喰う場合がある」という点で,これを活かすにはきっと表面温度を素早く上げる技術(ウォーマーでガンガンに温める等)が必要になるとは思いますが,使いこなせると武器になりそうな気もするので,今後は意識していこうと思います.
Posted at 2024/01/26 21:34:28 | コメント(1) | トラックバック(0) | セッティング(タイヤ) | 日記

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