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2025年05月17日 イイね!

タミヤ本社特別見学会 2025

タミヤ本社特別見学会 2025先日,リニューアルされた新橋の「TAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYO」へ行って来たのですが,この時に「タミヤ本社の展示をまた見たいなぁ~」と思いました.

タミヤ本社(静岡市)には歴史館とショールームがあり,無料で見学出来るのですが,コロナ禍以降(?)予約制となってしまい,しかも平日しか受付ていないので,ちょっとハードルが高いなぁ~という事で足が遠のいていました.

ただ,静岡ホビーショー開催時は「特別見学会」と称して予約なしで見学出来るので,今年は行ってみる事にしました.本当はホビーショーの方も観たいのですが,こちらは事前登録がすぐ締め切られてしまうので,最近はなかなか観る事が出来ないですね・・・.



生憎と当日は天気が悪く,降水量が8mm/h以上と結構な雨量で「面倒臭い&危ないなぁ~」と一瞬気が引けたのですが,雨の日に走れば先日のTC1000で付いたタイヤカスが自然と洗い流されるので,「ま,カス取りのついでだと思えばいっか」と向かいました.


タミヤ本社近くの駐車場にクルマを停めて中に入ると,「タミヤ会」による1/24のボックスアートの仕様を1/1で再現したという車両展示が行われているのですが(↓),



さすがにこの雨だと観る気が起きないのでスルーさせて頂きました….入口の階段を上っていくと,前回来た時の記憶(恐らく10年近く前)には,ここにいすゞのF1エンジンが展示されていたような記憶が.しかし,今回そのスペースには本社そのもののスケールモデルが展示されていました(↓).



そこから中に入って色々見学していると,今年の特別展示だという「ロータス 99T」が(↓).



こちらは恐らくどこかのタイミングにホンダ関連施設で観れる気がするので,スルーしてお目当ての常設展示車両の方に向かいます.


1台目は,1976年のF1カー「ティレル P34」.



こちらは2023年にレプリカを観た事があるので(↓),



そちらとの比較を~とも思いましたが,恐らく最も違う車体後部がアングル的に観れなさそうなので(↓),



タイヤだけジロジロと観てました(笑).




(こちらはレプリカと違って,正真正銘当時モノのタイヤでしょうからね・・・)


お次は,1982年のF1カー「ロータス 91」.



この年代のF1はさすがによく知らないので,スルーかなぁ~と思いましたが,「いや,待てよ.この年代だと生粋のウイングカーだよな・・・」と思い直し,その辺りをジロジロと.



もっと近くで観たい!と思いましたが,この展示位置だとこれが精一杯(苦笑).



「ああ,ここの裏面を覗きたい!」と欲が出ますが,グッと我慢(笑).



ウイングカーの特徴であるサイドスカートは意外と位置が高いなぁ~と思いましたが,1982年だと可動式の有無はどうだったっけかな?と思いながら見てみました.


そして,最後が1991年のF1カー「ロータス 102B」.



財政難で困窮していたロータスにタミヤがスポンサードした事で,ロータスはその後も数年F1参戦を継続出来たというお話で,よく出てくる車両ですね.





スケールモデルは勿論の事,RCでも製品が出てましたが,個人的にはミニFが一番記憶に残っているかな.

90年代初頭のF1という事で,昨年観た「Jordan 192」を思い出しながら眺めてみると,財政難で開発が出来なったという事で非常にシンプルなフロントウイング(↓).



モノコックが薄っぺらいせいか,フロントのアームの取付位置が低く感じますね(↓).



コクピットサイドのアンダーパネルが変な突起物があるなぁ~と気づき(↓),



「ああ,これは多分アレだな・・・」と視線を上にズラしたら,やはりその真上にミラーがある(↓),



レギュレーションを満たすためだけの突起物なんだろうなぁ~と思いつつ観ていると,そのミラーの下のモノコックに変な出っ張りがある事に気づきました.

随分と歪な出っ張りだなぁ~と思い,モノコックの反対側を観るもそちらにはこんな出っ張りはない.だとすると右手側にのみあるのか・・・と思考が回ったところで,「ああ,コレ,そこにシフトノブがあるのか」と気づきました.モノコックが狭過ぎて,シフトノブとモノコックの間に手が入らずシフトチェンジがやり辛い事から,モノコックを外側に膨らませて手を入れるスペースを作っているんですね.当時はまだマニュアルミッションの時代ですから,こういった後付けみたいな改造をやったと文献で読んだ事があるのですが,実物を観るとかなりボコッとしてますね.

だとすると,これがこのクルマの特徴とも言えるのだけれど,こういうのはスケールモデルで再現出来ているのかなぁ~?と見てみると(↓),



1/20の方は,完全再現されていましたが(↓),



それより大きいスケールの方は,ミラー下のアンダーパネルが再現されていない(↓).



1/10のRCに至っては,モノコックの出っ張りも再現されていませんでした(↓).



こうして,スケールモデルの展示があるタミヤ本社ならでは楽しみ方をする事が出来ました(笑).
その後は再び実車に戻り,リア周りがシンプルだなぁ~と観ていると(↓),





オイルクーラーを発見(↓).こんなに堂々とボコッ!と出すんですね(苦笑).



車両の横にはフロントウイングが壁に立てかけられていたので,この時代独特のボルテックスジェネレーターを観ていると(↓),



資金難から持ち直して開発出来るようになった翌1992年の「ロータス 107」用のフロントウイングでは,ボルテックスジェネレーターがかなり凝った形状になっているのが分かります(↓).



ちなみに,この1992年にも「TAMIYA」のロゴが貼られていますが,一説によるとタミヤのスポンサード自体は1991年限りだったとか.ロータス側がチームの窮地を救ってくれた感謝の意を込めて,その後もロゴを貼り続けたとの事です(今じゃ考えられないお話ですね).


そんなF1ネタの最後に,コチラのエンジンを(↓).



いすゞ製のF1用V12エンジンです.私の頭の中でなぜかSUBARUのF1用H12とごっちゃになっていたのですが,確かに「ロータス 102C」に搭載してテストしていたのは,いすゞのV12ですね.



当時としてはかなり優秀なエンジンだったそうですが,いすゞが自社の実力を把握するためだけに製作したものなので実戦で使うつもりが全くなく,1回テストした後はそのままお蔵入りとなった幻のエンジンなんだとか.こういったものがちゃんと保管されて,30年後の今でも観れるのですから有難いですね.


以上,タミヤ本社特別見学会で観て来たF1でした.
Posted at 2025/05/19 20:19:26 | コメント(2) | トラックバック(0) | 博物館見学 | 日記
2025年05月02日 イイね!

Heritage Collection ~GT-R SUPER GT仕様編~

Heritage Collection ~GT-R SUPER GT仕様編~「日産ヘリテージコレクション」見学のラスト.GT500仕様のスカイラインGT-RフェアレディZと来て,再びGT-Rに戻ります.

こちらも同様に詳しく観たいところなのですが,タイトル画像の車両達は一番近い位置に置かれた2008年仕様以外は仮置き(展示準備中?)といった感じで,車両の概要を示すプレートもなく,詳細が分かりませんでした.また,2010年代の車両は形状が複雑過ぎて素人には識別も難しいため,今回はサクサク進めようと思います.

まずは,2008年の「XANAVI NISMO GT-R」.



GT-R復帰初年度のモデルですが,正面から観るとボンネットが本当に低く,ヘッドライトの外側も少し盛り上がった形状をしているのが分かります(↓).



ミラーも空力を意識しつつ比較的前後方向に大きな形状(↓).



リアフェンダー周りも比較的シンプルな印象を受けました(↓).




お次は,別の場所に置かれていた2013年の「NISMO MOTUL AUTECH GT-R」.



先程の最初期のGT-Rから5年が経過しているのですが,正面から観るとそれほど違いはない・・・かと思ったのですが,実はボンネット中央部の膨らみがなくなっているとの事(↓).

【2008年仕様】


【2013年仕様】


2008年仕様で膨らんでいたのは,エンジンのエアボックスが巨大でエンジンルームの中に収め切られなかったためだそうで(↓).



翌2009年仕様で何とか収めて,ボンネット中央部の盛り上がりがなくなったそうです.
フロントのフェンダー周りは空力の進歩によって,さすがに複雑度が増しており(↓),



ミラーもより前後方向に大型化した印象(↓).



リアフェンダーも細かな工夫が見て取れます(↓).



リアウインドウ周辺は,ここまで観て来たGT-RやZと比べると大幅にシンプルですね(↓).



フロントはR35なので独特ですが,リア周りはここまで観て来た歴代のスカイラインGT-RとフェアレディZを混ぜたような感じ(↓).



リアタイヤ後方に大きな開口部があるのは歴代と変わりませんが,フェンスが貼ってあるのはこれが初なような?(↓)



また,トランク上部のこの黒い部分(↓)はスリットでした.



なお,レーシングカーで時折見るパイプ(?)もありました(↓).




再び場所を戻って,次は恐らく2015年仕様の「MOTUL AUTECH GT-R」.



DTMとのレギュレーション統合を推し進めた年代なので,共通部品の導入等でアチコチ微妙に異なっています.



フロントフェンダー周りを先述の2008年仕様と見比べると,これだけ違います(↓).



これは,空力の可能開発エリアというのが定められたためでしょうね(↓).


(HONDA:ダウンフォースにこだわった空力開発 SUPER GT 2014年〜2019年より)

ミラーも凄くシンプルですね(↓).



リアフェンダー周りにギザギザが付いており,近代のエアロだなぁ~という感じです(↓).






最後は,こちらも恐らくですが2018年仕様の「CALSONIC IMPUL GT-R」.



フロントウインドウの全面に黒いフィルムが貼られているので,もしかしたらショーカー(モックアップ)かもしれません.ちなみにその奥に置かれているのは,同じ2018年仕様の「MOTUL AUTECH GT-R」に見えますが,こちらはウインドウにフィルムが貼られていないので本物のようですね.


以上,Heritage CollectionのGT-R SUPER GT仕様編でした.

まだこれ以外にも多数のクルマを写真に収めたのですが,キリがないので今回のシリーズとしてはここで終わりにします.とにかく「日産ヘリテージコレクション」は展示の台数が多く,時間制限こそありますが見学の満足度としては非常に高いです.市販車/レーシングカーを問わず,日産車に興味のある方は,何とか予約を成功させて1度訪れてみては如何でしょうか.
Posted at 2025/05/01 18:57:30 | コメント(0) | トラックバック(0) | 博物館見学 | 日記
2025年05月01日 イイね!

Heritage Collection ~Z GT仕様編~

Heritage Collection ~Z GT仕様編~GT-Rの次はZという事で,JGTC/SUPER GTのGT500仕様のフェアレディZです.

観ていた時はGT-R多いなぁ~と思っていましたが,撮影した写真を見返してみると,Zも負けず劣らず結構な台数でした.日産のワークスと言えばGT-R or Zとなるので当たり前と言えば当たり前なのですが,こうなると相対的にシルビアが少なく感じ,非ワークスのプライベーターに愛されたクルマという事なのでしょうね.

最初は2004年仕様の「XANAVI NISMO Z」.当時のチャンピオンマシンですね.



販売が終了し,プロモーション意義を失ったGT-Rからバトンタッチされる形で作られたクルマですね.各種コンポーネントをGT-Rから引き継いでいるため,エンジンもV6のVQ30DETTとなっています.

ベースとなるZ33型は前後のオーバーハングを切り詰めたデザインとなっており,この点がGT-Rと比べると空力的に不利になるため,わざわざベース車にロングノーズバンパー(前方+180mm),ロングテールバンパー(後方+135mm),サイドフィニッシャー(サイド+25mm)を装着し,オーディオレスにした「TYPE E(↓)」という期間限定車を販売し,これをGT車両のベースとして申告したそうです.



ちなみに,「サイドフィニッシャー」とはリアフェンダー前のルーバー状の部品の事を指すそうなのですが,完全に横幅を稼ぐためだけに付けた後付けパーツなのだそうで,実物の中身はくり抜かれていないし,GT車両ではそもそもこのパーツが付いていないそうです(割り切ってますね・・・).また,リアの「ロングテールバンパー」は斜めに持ち上がった形をしていますが,これはGT車両で下にディフューザーを装着する事を想定して,ディフューザーの延長線上に切り上げたバンパーが繋がるようにして,実質的にディフューザーの長さを稼ぐ狙いがあったとの事です.今回の展示ではリア周りが全く見えず,この辺りを確認出来ないのが残念でした・・・.

なお,拡大させたオーバーハングに注目して観てみると,アンダーパネルの突き出し量が結構多いのが印象的でした(↓).




このお隣には,2006年仕様の「MOTUL AUTECH Z 」が展示されていたので(↓),



そことの対比で観てみると,レギュレーションの変更でオーバーハングの自由度が増したせいか,アンダーパネルの突き出し量はグッと減っているのは分かりましたが(↓),



それ以外の部分は目立った違いがなく(↓),



改良は外部ではなく,内部に対して重点的に行われたんだろうなぁ~と思いました.後で調べてみたところ,GT-Rと比べてダウンフォースは増えたが,実は全面投影面積がGT-Rより4%広いのだそうで,ルーフが高い分だけドラッグも大きく,これを補うためのエンジンパワーの向上に力を割いたそうです.


「GT-Rと比べるとZは変化代が少なくてツマらんなぁ~」なんて思いながら次に観たZは,2007年仕様の「XANAVI NISMO Z」.



こちらは先述のパワー不足を補うために,エンジンを4.5L V8のVK45DEに変更.ボディワークも観ただけで分かるくらい大きく変化していました.

アンダーパネルの突き出しも形状が異なりますし(↓),



カナードも割と高めの位置に変更(↓).



フロント・リア共にフェンダー後方が後ろへ伸びる近代のデザインに近い形となっています(↓).





後ろから観るとゴテゴテ感も凄く(↓),



素人には何がどうなっているのか分からん形状にまで進化しています(↓).



リアウインドウの上部には開口部があり(↓),



また何かの取り込み口か?と思ったのですが,これ透明な板で蓋をしているだけで実際は吸気口ではなく,排出口っぽいですね.

リアゲート部分にはお約束の取り込み口があり(↓),



後ろからみるとスリットが見えたので,ここから抜いているようです(↓).



ちなみに,ルーフにはベンチレーション用なのか? 薄いインレットがありました(↓).



GT500仕様としてはこの2007年モデルが最後で,翌年から再びGT-R(R35型)に戻って行きます.


最後にGT300仕様のZも.



こちらは2010年のチャンピオンカーである「HASEMI SPORT TOMICA Z」.最初観た時は「(3年後なので)GT500仕様をデチューンしてGT300用にしたのかな?」と思いましたが,こちらはGT500仕様をベースとしたものではなく,2002年のALMS(American Le Mans Series) GTクラス(GT3みたいなもの)向けに開発した車両をGT300クラス向けに転用したものなのだそうで,全く独自の進化を果たした別のZなのだそうです(ベースが北米向けなので左ハンドルとなっている).

そうしてみると,フロント周りはGT500仕様と比べて随分と大人しい感じもしますが(↓),





フロントフェンダーは年代相応に派手な形状だなぁ~と思ったら(↓),



こちらはクルマを受領後に,チーム(ハセミモータースポーツ)側で独自に改良したものなのだそうです.
リアフェンダーも同じような佇まいですが(↓),



先程のGT500仕様ほどの過激さはないですね.
ミラーに追加ステーを付けて補強しているのはカスタマーレーシングっぽいですし(↓),



GT500仕様だとフロントフェンダー直後から飛び出ているマフラーも,このGT300仕様では,ドアの後ろまで引っ張る形(↓).



GT500とは異なり,ボディワークではなくウインドウ側にインレットがありますし(↓),



設計思想が異なるのが見て取れて面白かったです.あと,面白いと言えばウイングの固定部位(↓).



リアゲートではなく,フレームに直接付けているのは理解するのですが,このスリットの跡からすると,当初は内側の2つを使った幅の狭いステーだったのでしょうね.それが後に幅の広いステーに変わって穴が増えた様子が窺えます.こういう想像が掻き立てれる痕跡って面白いですね.

ちなみに,これは後日調べている時に知ったのですが,このクルマには「インナーホイールカバー」というものが付いているのだそうで(↓),


(AUTOSPORT No.1283より)

ホイールハウス内の整流が目的だそうなのですが,ブレーキダクトとの位置関係等,実車でどんな構造・クリアランスだったのか確認したかったなぁ~と後悔しました・・・.orz


以上,Heritage CollectionのZ GT仕様編でした.
Posted at 2025/04/30 21:06:56 | コメント(0) | トラックバック(0) | 博物館見学 | 日記
2025年04月29日 イイね!

Heritage Collection ~GT-R JGTC仕様編~

Heritage Collection ~GT-R JGTC仕様編~GT1仕様のお次はJGTC仕様のGT-Rのお話.

最初に登場するのは,タイトル画像の1998年のシリーズチャンピオンである「PENNZOIL NISMO GT‐R」となる訳なのですが,このクルマは2023年に富士モータースポーツミュージアムで観た事があるのでスルーかなぁ~?と思っていたら,「アレ? 色々違う・・・」と気づいてしまったので結局詳しく観る事にしました(笑).


という事で,その1998年仕様の「PENNZOIL NISMO GT‐R」.



パッと見で以前観たものと比べてみると(↓),



リアウイングが違う(↓).



トランクにダックテールも付いていますし,後方に回ってみると(↓),



リアバンパー下がえぐられていて,こちらも形状が異なる.特徴的なフロントフェンダー等は同じなので(↓),



どちらかが前半戦仕様 or 後半戦仕様でエアロパッケージが異なるんでしょうね.
ちなみに,この後のチェックポイントとなる牽引フックの位置(↓)も参考までに残しておきます.




お次は場所を変えて,1999年仕様の「PENNZOIL NISMO GT‐R」.



分かる人には一目瞭然ですが,R33→R34へとベース車両が変わっています.
カラーが一緒なので一見すると同じクルマにも見えますが,リア周りは全然違います(↓).



R33の色々付いたゴテゴテした感じと比べると,非常にスッキリしていますね.
こちらの展示はクルマの横に入ってもOKとの事で,トランク手前の吸入口も確認出来ます(↓).



ちなみにこの吸気口はリアブレーキの冷却用だそうです.また,トランク部分には他に吸気口がないように見えますが,実はリアウインドウとトランクの間にギャップ(隙間)があり,そこからデフの冷却風を取り込んでいるそうです.なお,取り込んだ冷却風を排出するためのスリットがトランク部分に見当たりませんが,これはフロア下に排出しているからだそうです.

フロント側に回ってみると,先程のR33と全く異なる空力コンセプトなのが見て取れてます(↓).



例えば,R33ではフロント前面から空気を取り込んで,バンパーの左右から排出する思想でしたが,こちらのR34ではバンパー横はスッキリとした形状になっています.

フロントタイヤ後方もR33ではバッサリ切った形でしたが,こちらのR34ではもう少し凝った形状(↓).



先程最後に触れた牽引フックもボンネット上部に移動しています(↓).



それだけボンネットの位置が低くなっているという事なのでしょうね.
ちなみに,フロントグリルは黒い板で完全に塞がれたダミーでした(↓).




そこから少し時間が飛んで,お次は2002年仕様の「CALSONIC SKYLINE」.



先程と同じR34型ですが,こちらはエンジンが直6のRB26DETTからV6のVQ30DETTに変更されています.縦置きの直6ではどうしてもフロントヘビーとなってしまうため,もっと早くV6にしたかったそうなのですが,イメージ戦略的にそれが出来ず数年が経った後,R34の販売終了を契機としてV6に変更されたそうです.

V6化によってエンジンルーム内のレイアウトが色々変わったんだろうなぁ~というのが,牽引フックの位置から読み取れますし(↓),



テールパイプもこんな位置に来ています(↓).



3年の月日で空力もアップデートされており,フロントバンパーにはカナードが(↓).



ミラーもエアロミラーになっています(↓).



リアもディフューザーが洗練された形となっていました(↓).



そして,リアのフェンダー部分にスリットがあるなぁ~と思ったので(↓),



トランク側を観てみると(↓),



リアウインドウに吸気口があるのは一緒ですが,トランク部分にも大きく取入れ口が増えていました.コレ何だろうなぁ~?と後から調べてみたら,直6→V6への変更に合わせて前後重量配分を更に適正化しようと,ラジエターをトランクスペースに移動させたのだそうで,恐らくその冷却風の取り込み口ですね.

なお,このクルマで一番特徴的だなぁ~と思ったのが,このリアの低さ(↓).



GT-Rというとどうしてもボリューミィな印象が強いのですが,物凄く薄くて違和感ありまくりでした(笑).


最後は,2003年仕様の「MOTUL PITWORK GT-R」.



この年からシャシー前後のパイプフレーム化が許可され,フロントフェンダーの拡大も出来るようになったため,ボンネットは低く,ホイールハウスは持ち上げられたCカーに近いスタイリングとなっています(↓).



カナードも多段化され(↓),



フロントフェンダー後端も凝った形に(↓).



エキゾーストもこっそりと後ろに控えているという感じではなく,堂々と表に出て来ました(↓).



後ろに目を移すと,リアフェンダー上部にロック機構がありました(↓).



最初は上にクリアのプレートが貼ってあったので,空力を気にしているんだろうなぁ~と思って観ていたのですが,改めて考えてみると,前後パイプフレーム化された事で後端部分を分割出来る事から,これだけ大掛かりなロック機構となっていたのでしょうね.



分割を想定してか,前年型にはあったリアウインドウの吸気口はなくなり,トランク前に横長の開口部があるのみ.設計思想が何か変わったのかなぁ~?と後で調べてみたら,前年型でトランクスペースに持って来ていたラジエターをフロントに戻し(冷却ファンや配管の取り回し等でトラブルが絶えなかったとの事),代わりにミッションを後ろに持って来てトランスアクスル化を行っているそうです.

ラジエターがなくなった事でそこまで大きな開口部が必要なくなったという事なのでしょうが,とはいえ,ミッション用のオイルクーラーはあるでしょうから,その分の開口部でこのサイズなんでしょうね.ちなみに,ラジエター(+配管諸々)⇔ミッションの入替えで重量的にはほぼトントンだそうで,前後重量配分は2002年仕様とそれほど変わらなかったそうです.

またリア周りに戻って,全体的にはマイナーチェンジといった感じですが(↓),



リアウイングの取付部が明らかに違う(↓).



コレ,トランクではなく,フレームに直付けで固定しているんでしょうね.発生したダウンフォースを変形するトランク越しではなく,フレームに直接掛けた方がより効率的にタイヤに力を伝えられるので,パイプフレーム化したからこそ出来る手法なのでしょう.


以上,Heritage CollectionのGT-R JGTC仕様編でした.

やっぱりGT-Rは数が多いですね(汗).ただ,年式毎の違いをこうやって自分の目で見比べられるのは面白いです.「日産ヘリテージコレクション」が膨大な数のクルマを収蔵しているからこそ出来る芸当で,これを無料で観れるのですから有難い事です.
Posted at 2025/04/29 19:29:49 | コメント(0) | トラックバック(0) | 博物館見学 | 日記
2025年04月28日 イイね!

Heritage Collection ~GT-R GT1仕様編~

Heritage Collection ~GT-R GT1仕様編~日産のレーシングカーというとやはり「GT-R」となってしまう訳なのですが,一言「GT-R」と言ってもとにかく種類が多い! そんな中から面白そうだなぁ~と思ってみたのが今回触れるGT1仕様勢.あんまり日の目を見てなかったような気もしますが,それ故に逆に貴重(レア)という事で,足を止めてじっくり観てました.

最初は1995~1996年のル・マン参戦車両である「NISMO GT-R LM」.こちらは2023年にロードカーバージョンを見学した事がありますが,レーシングバージョンは初です.

これが1995年仕様で(↓),



こっちが1996年仕様(↓).



ご覧の通り隣同士なので比較し放題です(笑).両車の違いを色々調べてみたのですが,出てくる情報はエンジンばかりで車体側の差異に関しては見つけられませんでした.
(1995→1996年で排気量を2.6L→2.8Lへ拡大し,ドライサンプ化もしたとの事)

実際観てみても細部が異なるくらいで大きな違いは見つかりませんでしたが,いくつか拾ってみると,まずボンネット中央のアウトレットの形状が違う(↓).





1996年仕様(下)の方が単に穴を開けるだけでなく,一工夫している印象ですね.細かいところだとボンピンの間隔も広くなっているので,エンジンルーム内のレイアウトが変わっていそうです.

続けて,その左上にある吸気口と思わしき穴の形状も異なる(↓).





1996年仕様(下)の方はNACAダクトになっていて,こちらも一工夫している感じですね.
リアウイングも翼端板の形状が異なります(↓).





ロードラッグな感じの1995年仕様(上)に対し,1996年仕様(下)はしっかりとダウンフォースを発生させたい感じのウイングですね.

ボディサイドも横並びなので,違いがよく分かります(↓).



1995年仕様(左)→1996年仕様(右)で,リアタイヤ前の開口部のサイズが小さくなっているのは理解出来るのですが,1996年仕様(右)の方がドア下部分をくり抜いている(アンダーパネルがない)のは意外でした.逆だったら理解出来るのですが,これはどういう意図なんでしょうね?

そこから視線を上げるとミラー形状もアップデートされているのが分かります(↓).



更にリアのフェンダーの辺りを観ると,1996年仕様(右)の方にはNACAダクトが見えます(黒くなっている部分).何かトランク内に冷却したいものがあるんでしょうね.多分1台1台観ていたら気づけない部分もあったと思うのですが,こうして横並びにされると間違い探しみたいで気づけますね.


さて,そこから時は流れて,次にGT1仕様のGT-Rが生まれるのは15年後.ル・マンへの挑戦は「R390GT1」へとバトンタッチし,その後はGT1というカテゴリー自体が消滅したりして,世代がR33→R35へ大幅に飛んだ後に表れます.



2010~2012年のたった3年間しかなかったFIA GT1世界選手権用のクルマなので,正直,実車を観るまでは存在をすっかり忘れていました(汗).

エンジンは3.8L V6ツインターボの「VR38DETT(↓)」ではなく,



北米の「INFINITI QX56」等に搭載されていた5.6L V8の「VK56DE」なのだそうです.これはレギュレーションで「5.5L以上のエンジンを搭載する事」というのが定められていたため,載せ替えたそうです.

展示車は黒いボディなので分かりづらいですが,空力はエンジンルーム内の圧力を抜く事でダウンフォースを発生させる思想なのだそうで,物凄い数のスリットがあります(↓).


(NISMO:FIA GT1マシン解説より)

フロントフェンダーも,これでもか!というくらいスリットが入っているのが特徴的でした(↓).



これだけ過激な印象の割には,なんだかタイヤが小さく感じたのですが(↓),



これでも「31-71-18(幅:310mm,外径:710mm,リム:18インチ)」のサイズのタイヤを履いているそうです.
ちなみに,個人的に気に入ったのは,車内に置かれているこのファン(↓).



耐久レースなので,ドライバー用のクーリングファンがあっても別におかしくはないのですが,こんな目立つ位置に堂々と置かれているのがなんだか面白かったです(笑).


以上,Heritage CollectionのGT-R GT1仕様編でした.
Posted at 2025/04/28 19:15:16 | コメント(0) | トラックバック(0) | 博物館見学 | 日記

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