
三河で
B18Cの強烈な加速力を味わってしまい,加速力の重要性をまざまざと実感した後,何とか対抗する手段がないかと思案した結果,タイヤの小径化を思いつきました.
昨年の日光走行会では,バックストレートでのギヤ比改善のため,205/50R16への大径化を試みて失敗に終わりましたが,「押しても駄目なら引いてみな!」の論理で,今度は同じ205/50でも
15インチでテストしてみる事にしました.
思えば,サーキットを走り始めてから,かなりの期間205/50R15を使用してきたのですが,RE-71Rでは使った事がなく,これが初の投入となります.
それでは,いきなり結果から行ってみましょう.当日は路面温度も45℃とかなり高かった事から,正確性を重視して,同じ減衰設定・1時間差の午後のセッションの結果で比較してみます.
205/50R15 ・・・ 43.338 (S1:10.099 S2:18.606 S3:14.633)
215/45R16 ・・・ 42.897 (S1:10.005 S2:18.470 S3:14.422)
結果は0.4秒差で16インチの勝利! これだけ見ると,「あ~やっぱり,16インチの方が上か・・・」と思いたくなります.
しかし,LAP+で解析してみると,なかなか興味深い事実が浮かび上がりました(青線:15インチ 緑線:16インチ).
①3コーナー進入(1つ目の赤丸)
1コーナーの進入で僅かながらブレーキングを遅らせた16インチの方が,1~2~3コーナーと進むに連れて少しづつ差を広げていき,ボトムを記録した地点では0.15秒の差をつけます.また,16インチはその少しだけ高い車速を使ってフロントのグリップも僅かながら稼ぎ出しており,画像で見るとアクセルONのタイミングが,かなり違う事も分かります(上:15インチ 下:16インチ).
ゴールラインのゲートの位置で比較してもらえば良く分かりますが,16インチの方はかなり手前から踏めてますね.
②6コーナー(2つ目の赤丸)
16インチの方が外径が大きい(600mm)ため,車速を伸ばす事ができ,5km/h近く高い速度で進入しています.これによって更に0.05秒,15インチは差を広げられます.また,16インチはその高い車速を活かしてブレーキング時にしっかりとフロント荷重を掛ける事ができ,減速→加速への移行がV字状になっています.こちらもアクセルONのタイミングを画像で確認すると,ご覧のようになります(上:15インチ 下:16インチ).
正面の看板の位置で比較してもらえば良く分かりますが,ここでも16インチの方が手前から踏めていますね.
③8~9コーナー(3つ目の赤丸)
ところが,ここで15インチの小径化が威力を発揮します.あれだけアクセルONのタイミングが遅かったにも関わらず,2→3速へシフトアップするまでに15インチは先程の0.05秒の遅れを取り戻し,16インチよりも高い99.6km/hまでスピードを伸ばします.
8コーナー進入での速度低下は加速力の背反なので(ノーブレーキのアクセルOFFのみ),15インチの方が大きくなりますが,むしろ,ここではたったコレだけの差しかつかないとも言え,その後の車速の回復(加速力)を考慮すると,充分15インチはアリだと思います.
④バックストレートエンド(3つ目の赤丸)
最高速への到達点は,ここでも15インチの方が早いですが,外径(587mm)が小さいため131km/hまでしか速度を伸ばせず,その一方で16インチは容易に134km/hまで車速を伸ばせます.
そして,明確に差が表れるのが,ここのブレーキングポイント(上:15インチ 下:16インチ).
左側の看板で確認してもらうと分かりますが,16インチの方が奥まで突っ込めていますね.
これに15インチはドライビングミス(5つ目の赤丸:早めにインに寄り過ぎてアクセルが踏めない・・・)も加わり,何とこのブレーキングだけで0.4秒も稼がれてしまいます.なお,その後は全く差が変わらず,そのままゴールとなります.
以上を纏めると,ドライビングのバラつき分を差し引けば,16インチが優位に立っているのはブレーキング(②と④)で,そのいずれもレブに当たるのが遅い事に起因して,より奥まで突っ込む事ができ,それによってフロント荷重をより多く引き出せている点にあります.
言い換えると,15インチでも奥まで突っ込む事ができれば,同じ量のフロント荷重を作り出せるはずで,これに6コーナー出口で見せた加速力や,8コーナーでの横のグリップ力を踏まえると,16インチと対等に張り合えるか,むしろ加速が良い分だけ,15インチの方が速い可能性すら有り得ます.
では,何で同じ16インチと同じポイントでブレーキングが出来ないのか?というと,レブ当たりを回避するためのパーシャルスロットル(アクセル戻し)状態を一刻も早く抜け出したいという心理的側面と,1500周にも及ぶ日光サーキットの走り込みによってブレーキングポイントを体が覚えてしまっている身体的側面が考えられます.
16インチで走った場合,そういった我慢の時間が少なく,車速も高くなるため,フロントのグリップを引き出すための操作をよりイージーに行う事ができ,それによってたやすく43秒を切る事が出来たのではないでしょうか.
つまり,15インチの外径を維持したまま,レブに当たる事を回避(=レブの引上げ)する事が出来れば,よりイージーにタイムアップする可能性があると言えます.
Posted at 2017/05/23 02:24:40 | |
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