
年に1回の国際コースチャレンジは,残念ながらウェットコンディションとなりました.
速度レンジが高いコースをウェットで駆け抜けるのはリスクが高いため,出来れば避けたいところですが,リスクが高い分エスケープゾーンがしっかりと考えられているので,熱くなり過ぎなければチャレンジが出来るとも言えます.
という事で,今回はウェット時の内圧セッティングに関してデータ収集をしてみました.
これまでドライとウェットで内圧を変えるような試みは行って来なかったのですが,「ウェットの内圧はタイヤが発熱する値に合わせる」「ウェットでもタイヤを溶かしてグリップさせる」という話を聞いて,試してみたくなり,今回チャレンジしてみました.
この話の理屈は,
①ウェットでも,タイヤを溶かして路面に食い付かせるべき.
↓
②だが,ウェット路面ではタイヤの温度が冷えて溶けない.
↓
③ならば,タイヤの温度を強制的に上がるようにすれば良い.
↓
④タイヤの温度はコンストラクションが動く事で発熱する.
↓
⑤コンストラクションを動かすには,タイヤに力が加わるようにすべし.
↓
⑥内圧を上げてタイヤを張り,低速でも力が加わるようにする.
↓
⑦加えて,内圧を上げればタイヤの面圧も上がるので,一石二鳥!
・・・という事だそうで,今回は冷間2.5キロで設定し,温間2.8キロくらいを狙ってみました.
それでは行ってみましょう.まずは路面コンディションの確認です.
最終コーナーの立ち上がり,ホームストレートでタイムを稼ぐために2速で立ち上がりたいのですが,ホイルスピンして全然前に進みません.
1コーナーの進入,フロントの荷重をキープしたまま旋回したいのですが,ちょっとでもブレーキを残し過ぎるとすぐオーバーです.また,2コーナーを立ち上がってシフトノブを握った辺りで身体を揺らす変な動きをしているのが分かると思いますが,コレ,川にのって横滑りしているんです.今回はコースのアチコチで川が流れていました.
そして,「もてぎ」と言えばハードブレーキングを繰り返す事で有名ですが,熱くなってブレーキを遅らせ過ぎると止まりきれず,サンドトラップへ直行です.
以上のような感じで,冷や汗をかくような危険性はありませんが,集中力をちゃんと維持しないと簡単にトラップにはまってしまいます.
では次に,温間2.8キロ時のベストラップをご覧下さい.
「何遊んでんだ!」と思われるかもしれませんが,コレで結構目一杯なんです・・・.
乗っている時のフィーリングとしては「氷の上を爪先立ちで歩く」ような感じで,常に不安定感が付き纏い,ちょっとでも挙動を乱したらスピンするような気がして,あらゆる操作をゆっくりと確実にやらねばならない気がしてました.
ただ,実際には4コーナーの立ち上がりをアクセル全開で踏んでいってもビクともしないくらい,しっかりとグリップしていて,タイヤは確実に溶けているようでした.従って,先の不安を精神力で抑え付けて,アクセルを踏んで行けば,タイムはちゃんと出たのかもしれません.
続けて2本目.先程の感触のまま走り続ける気が全く起きなかったので,今度は温間2.3キロのいつもの状態に戻してみます.
すると,先程の不安定感が影を潜め,今度は安心して踏めるようになり,
何とタイムは一気に10秒も上がってしまいました.
最後にLAP+でも比較してみましょう(青:2.8キロ 緑:2.3キロ).
赤丸の箇所が顕著ですが,2.3キロの方がブレーキングも遅らせられますし,アクセルも開け続けているのが分かります.
つまり,私程度のレベルでは,タイヤの性能(溶ける/溶けない)より,安心して攻められるフィーリングの方がタイムに直結する,という事が分かりました.
Posted at 2017/10/20 01:08:21 | |
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セッティング(タイヤ) | 日記