トラブルもあって,十分にテストが出来た訳ではありませんが,一通りのデータは取れたので解析してみたいと思います.
比較のサンプルとして持って来るのは,
自己ベスト時と
リセッティング前のベスト時.自己ベストの方はLink ECUに変更する前ですが,12月なので気温的に近しい条件.一方,セッティング前の方は10月なので,吸気温で14℃の差があります.
以前出した推定式だと1.4秒も上がる事になりますが,過去の経験則からすると,半分の0.7秒くらいの差かな~?と思います.
それでは早速始めましょう.まずはLAP+での比較です.
緑線が自己ベスト時(41.841),青線が今回(42.456)ですなのが,やはりトップスピードが低いですね(1つ目の赤丸).ブレーキングを開始するポイントはそんなに大差ないので,純粋にストレートが遅いですね・・・.一方,ブレーキをリリースするポイント(2つ目の赤丸)に関しては久方振りの走行で感覚を戻せておらず,ボトムを落し過ぎです.
続けて1ヘア進入(3つ目の赤丸).やっぱりもう一伸び足りない感じです.その後のブレーキングに関しては,今回ちょっとミスってオーバーランしている(エイペックスにつけていない)のが表れています.続く2ヘアの進入(4つ目の赤丸)も,これが響いていると言えば響いているのでしょうが,やっぱり直線の伸びが足りない感じ.
2ヘアの立ち上がり(5つ目の赤丸)は高めの内圧が影響して,初期の応答性が良く,入口ですんなり向きが変わってボトムを上げられていますが,限界が低いので出口はアンダーでアクセルを踏むタイミングが遅れています.またまたこれが影響しているのかもしれませんが,洗濯板の手前(6つ目の赤丸)までのストレートの伸びで絶望的なまでに差がついていますね.このセクションだけで0.3秒のロス.非常に痛いです・・・.
最終の複合は進入速度が違うので何とも言えませんが,最終コーナーの立ち上がり(最後の赤丸)で若干アンダーが出ているのは,やっぱり内圧のせいでしょう.
総じてみると,0.15秒くらいはドライバーのミス,0.1秒くらいはタイヤの内圧,残りがECUといった感じでしょうか.ただ,それぞれ相互に影響を及ぼし合っているので,もう少し近いコンディションで比較しないと正確な差は分かりません.
続けて,Linkのセッティング前後の比較.
緑色が変更前(42.444),青色が変更後(42.456)です.やはりホームストレート(1つ目の赤丸)の差が顕著ですが,それ以外の3つの箇所での差は,ほんの僅かです.ドライビングの精度とタイヤの内圧を本来の姿に戻せれば,残りの3つに関しては上回れそうです.
最後に上記をLinkのデータで見てみます.図は上から,車速,回転数,スロットル開度(TP),ブレーキスイッチ,吸気圧,VTECの切替ステータスです.ピンク線が前回,緑線が今回になります.
【ホームストレート】
一番左端が最終コーナーを立ち上がった時点ですが,TPを見ると早めに全開に出来ていますね.EF8は機械式スロットルなので,スロットル開度=アクセル開度ですから,手前からアクセルを踏めている事になるのですが,その時の回転数は上がっておらず,車速も伸びていない事が分かります.つまりはタイヤが滑っている(=トラクションが掛かっていない)という事になる訳で,これは内圧の影響だと思われます.
ただ,初期にトラクションが掛からなかったにも関わらず,2速領域の後半までに前回(ピンク線)に追いついていますから,6500~7800rpmの高回転域はパワーが上がっているのかもしれません.反対に,シフトアップ後の3速領域(5600~7200rpm)では,明らかに回転数の上昇が鈍く,パワー不足が顕著です.2速と3速の違い=エンジンの負荷の違いですから,イコール,トルク不足という事になりそうです.
【1~2コーナー】
アクセルOFFは若干今回(緑)の方が早いですが,ブレーキング開始のタイミングはほぼ一緒.一方でブレーキリリースのタイミングは圧倒的に今回の方が早いですね.まぁ,進入速度が5km/hも低ければ,その分必要な制動力も小さい訳で,当たり前と言えば当たり前の結果です.
特徴的なのは,今回(緑色)の方がスロットルを早く全開にしているのに,ローカムで引っ張り続けている点.セッティングの違いが見てとれます.また,今回は2コーナーの途中で若干スロットルを戻している(インに寄り過ぎた)のがデータでも確認出来るのが面白いです.
【1ヘア】
スロットルの戻しも,ブレーキングの開始も,今回(緑色)の方が若干早めであるにも関わらず,突っ込み過ぎで止まらなかったのは,エンブレの制動力が落ちているから・・・? データを見ると今回の方がヒール&トゥは上手くいっている(アクセルの煽り量が大きく,シフトチェンジ後の回転数も維持出来ている)ので,そのせいかもしれませんし,単純にタイヤの内圧が上がり過ぎでグリップ不足だったせいかもしれません.
【2ヘア】
ここも進入の操作は若干甘いですが,TPを見ると早めにアクセルを開けに行っているのに,20%くらいで開度を維持したまま,なかなか全開に出来ない様子が窺えます.これは内圧を適正化する事で解消して欲しいですね.
【バックストレート~最終コーナー】
あえて言うなら,洗濯板通過後に1回VTECから外れる今回(緑色)に対し,前回(ピンク色)はVTECを維持しているくらいの差でしょうか.ただ,それによる大きな差異は見受けられないのはLAP+の結果と同様です.
以上,解析結果でした.
「なぜ,自己ベスト時に及ばないのか?」と問われると,明確な原因は分かりません.その一方で,「リセッティング前より何で上がらないのか?」と問われれば,「タイヤのせい(内圧を合わせていないから)」と言えると思います.適正内圧にきちんと合わせる事で本来のトラクション性能を発揮し,ホームストレートのスピードが戻ってくるのであれば,少なくとも自己ベスト時と同タイムはマーク出来る可能性があります.
「これだけ色々やって同じかよ!」と言われると辛いですが,何もデータを変える事が出来ない(=発展性がない)旧ECUより,Link ECUの方が伸び代が残っている分,今後に期待がもてると思っています.
さて,早々にトラブル解決の目処もつきましたし,近日中に再びTC1000へ向かいたいと思います.
Posted at 2019/01/20 15:34:19 | |
トラックバック(0) |
セッティング(ECU) | 日記