
今冬の41秒台へのチャレンジが失敗に終わり,
クルマの要因を分析しつつも,何となく年明けから自身のドライビングが以前とは違うような感覚がありました(下手になった?).
その原因を探るべく,困った時にはこの方に相談!という事で,
昨年に続きレーシングドライバーの井尻薫さんにEF8に乗って頂きました.
一応,現状のEF8は,自分が思いつく中で最良のバランスに仕上げたつもりなので,その辺りも含めて感想を頂きました.
ではまず,井尻さんの走行からご覧頂きましょう.
(カメラの固定が甘かったようで,ちょっとノイズが混じっている点はご容赦下さい)
続けて,走行後のコメントです.
・前後のバランスはちょうど良い.
・1コーナー等のリアの動きも良い感じ.十分コントロール出来る範疇.
・これ以上リアが踏ん張るとインフィールドの旋回が少し苦しくなるので,ここら辺がベストバランス.
・デフも問題なし.効きはちょうど良い.
・ブレーキはやや柔らかい.
・足回りも柔らかいが,トラクションがしっかり掛かるので,これくらいで良い.
・最終コーナーの縁石を越えた際の収まりも良い.これで十分では?
・この仕様で42秒フラットなら十分速い.
・(車重が980kgだと伝えると)意外と重いね.EF8ってもう少し軽くなかった?
・(グラストップのせいだと伝えると)ランサーとかでルーフが5kg減っただけでも随分違った.
・その重量差なら確実に違う.何とかならないの・・・?
足回りはコツコツとセットアップを詰めてきた結果なので,「問題なし」のお墨付きは素直に嬉しいですね.
その一方で,詰め切ってしまった感があるので,これ以上は重量物を下ろす等くらいしか伸び代がなさそうです・・・.
更にGPSロガーによる比較です(井尻さん:緑 私:青).
①1コーナー立ち上がり(1つ目の赤丸)
ホームストレートエンドのブレーキングで井尻さん(緑)のデータがおかしな動きをしてますが,GPSをロストしているだけなので無視して下さい.ブレーキングのタイミングは両者共ほぼ同じ.初期の減速量も同等ですが115km/hを下回った辺りで違いが出てきます.私(青)は同じ踏力で一気に減速させるのに対し,井尻さん(緑)は少しづつ弱めながら長くブレーキングをしているようです.
これを外から見ていたショップの店長曰く,「井尻さんは1コーナーのクリップまでブレーキランプが点きっ放しだが,君はクリップ手前でランプが消えている.ブレーキを残せていないから遅いのでは?」との事でした.
ところがですねぇ~,そんな事はないのですよ.1つ目の赤丸の部分をよく見て頂きたいのですが,ブレーキが短い分,私(青)の方が早くアクセルを踏めるので2コーナーの旋回速度は,こちらの方が高いのです.これによって僅か0.05秒ですがリード出来ています.ただ,この走らせ方は間違いなくタイヤの負担が大きく,酷使した走らせ方ですけどね・・・.
②1ヘア(2つ目の赤丸)
井尻さん(緑)はきれいにV字のラインを描いていますが,私(青)の方は大分ギザギザですね・・・.立ち上がりのアクセルONのタイミングは私(青)の方が早いですが,60km/hの地点で一瞬失速しています.これは横方向にタイヤを使い過ぎて,トラクション(縦方向のグリップ)を失ったという事でしょう.
ようはアクセル操作がラフって事ですね.これで0.1秒失い,さっきのリードは消し飛んでいます.
③2ヘア進入(3つ目の赤丸)
ほんの少しですが井尻さん(緑)の方が奥でブレーキングをしています.私の感覚だと「アレ以上遅らせたらブレーキがロックするはずなのに!」と思ったので,車載をよく見比べてみると・・・(上:井尻さん 下:私),
井尻さんは左にステアリングを切った状態でブレーキングをされていますね.俗に言う「旋回ブレーキ」だと思うのですが,これをやるとEF8はリアが巻くので私は苦手なのですが,井尻さんは見事にマシンコントロールをされています(前述の動画を参照).
④2ヘア出口(4つ目の赤丸)
上記③のブレーキングの差が,ここで致命傷になります.私(青)の方は早めのブレーキングで止め切ってしまったので,その後のアクセルONも早いのですが,向きが変わりきる前にアクセルを開けているので,1ヘアの立ち上がり同様,横方向にグリップを使い過ぎて失速しています.
結果,全開にするタイミングは井尻さん(緑)よりもワンテンポ遅くなり,更に0.05秒差を広げられてしまいます.
⑤洗濯板(5つ目の赤丸)
ここも井尻さん(緑)の方が奥でブレーキングしています.画像で見るとこんな差です(上:井尻さん 下:私).
パッと見では違いが分からないので,ほんの少しの差なんだと思いますが,車速が高いので僅かな差が大きな違いを生みますね・・・(ここだけで更に0.2秒引き離される).私もこの後,ここのブレーキングを遅らせるチャレンジをしてみたのですが,手前の左コーナーで発生したヨーが消える前にブレーキング→ステアリングを右へ切る,という形でフェイントモーションが掛かったかのように車体が不安定になり,コントロールに苦労しました.
2ヘアと違い,井尻さんの動画からはそういった不安定さは感じられなかったので,この点を質問してみると「そんな挙動は出ない」とのご回答.考えられる原因としては「ブレーキが強過ぎるのでは?」との事でした.ブレーキが強過ぎて前につんのめった形となり,リアが不安定になっているのではないかと.確かに私は弱いブレーキが苦手で,ドンと踏む癖があるのでそれが原因かもしれません・・・.
⑥最終コーナー(6つ目の赤丸)
ここも1ヘア・2ヘアと同様に,井尻さん(緑)がきれいなV字を描いているのに対し,私(青)は早めのアクセルON→途中まで加速→タイヤを横方向に使い切る→トラクション不足→失速→加速が鈍いのパターンです.これで0.1秒遅れています・・・.
以上より,トータルでプロから0.4秒の遅れとなりましたが,私のドライビングの問題点を纏めると以下の3点に集約されそうです.
・リアが不安定になるのを恐れて,旋回ブレーキが出来ていない.
・不安定になる原因はブレーキが強過ぎなのが原因.
・クルマを止め過ぎて,立ち上がりでアクセルを早く開け過ぎ(もっと我慢を!).
つまりはマシンコントロールが雑って事ですね(泣).この辺りは去年身に付けたと思っていたのですが,年明け前後でEF8に乗れない時期があったので,その間に折角身に付けたものを忘れてしまったようです.ようは身体に染み付くまで反復練習しなかった事が原因.単純な鍛錬不足ですね・・・.もっと励みます!
最後にLink ECUのログです(ピンク:井尻さん 緑:私).
先程のGPSロガーの問題点と照らし合わせて見てみると,私(緑)の方がブレーキング時間が短く,車速が最も下がるポイントより手前でスロットルを開け始めているのがよく分かります.やっぱりここは,もう一呼吸スロットルを開けるのを我慢すべきでしょうね.
ただ,各コーナー共,車速の伸びを見ると大きなロスにはなっていないようなので,最初の一踏み以外の開け方はマズマズのようですが,最終コーナーだけは40%くらいまで開けた後に一旦戻してしまっているのが致命傷になっているのが良く分かります.
なお,余談になりますが,ヒール&トゥの時のスロットルの踏み代はプロと大差ないのが嬉しいデータです.後はもう少しシフトダウンを早めに行えばスムースなシフトダウンが実現出来そうです.
さて,毎度色々な事に気付かせて頂き,今回はアドバイスまでして頂けたので大変助かりました.
井尻さん,本当に有難う御座いました.
走行会終了後も一人残ってTC3000をやられる辺り,本当に走るのが好きなんだなぁ~と皆で話していました.
そういう方に乗って頂けるのは大変有難いので,また是非ともお願いします!