
昨年投入したA052には大変満足していますが,同一サイズでも他社のタイヤより太いという特性から,手持ちのホイールだとリム幅が足りず,サイドウォールがむっちりした状態になってしまっています・・・.
まぁ,EF8は80年代後半のクルマ(ノーマルは60扁平)なので,"らしい"と言えばらしいのですが,むっちりとしたサイドウォールのせいでヨレが酷く,内圧をあまり下げる事が出来ません.昨年末に
テンロクで39秒台に入れたEF8を見て,年明け以降はずっと「もう少し内圧を下げられる銘柄に変更するか・・・」と悶々と考えていました(笑).
年明けから1週間が経ち,「BSがA052対抗で,RE-12Dのサイズ拡大とかオートサロンで発表しないかなぁ~」と速報をチェックしていたところ,何と! RE-71R後継の「
RE-71RS」が発表されました.「Neovaはドリフト用タイヤへ!」とか,「ZⅢがSTAR SPECに!」とかは予想してましたが,まさかRE-12Dではなく,RE-71Rの方をアップデートしてくるとは・・・.
早速,「RE-71RSがどんなタイヤなのか?」色々と調べて妄想してみたので,その結果を以下に晒してみたいと思います(笑).
まず,ネーミング.
上記の通り,RE-71RSの"S"は「Second」と「Sport」のダブルミーニングだそうですが,「Sport」だと「RS=Racing Sport」という単語になってしまうので,ちょっと違和感がありますね.個人的には「Sport」は後付けで,当初は「Second」が案だったんじゃないかと思っています.
では,「Racing Second」とはどういう意味なのか? 「Spec2」という意味合いの"二番目"であれば良いのですが,怖いのは"セカンドグレード"という意味合いだった場合.「グリップを落して寿命を延ばしました!」的な製品だとすると,魅力がなくなるなぁ~と危惧したのですが,セカンドグレードのAdrenalinも「
RE004」にアップデートされたので,どうやらそれはなさそうです.
となると,どういう意味の"二番目"なのか・・・?と考えた結果,「RE-12Dの下」すなわち「RE-12Dには及ばない二番目のタイヤ」という意味なのかな?と思いました.
続いて,製品の特徴.
【RE-71R】
【RE-71RS】
まず,回転方向指定を止めて,IN/OUT指定に変えてきました.RE-71Rの「セブングルーブ」と呼ばれるパターンは,他社が続々と追従するくらい理に適ったパターンだったのに,それを捨ててRE-12Dと同様にIN/OUTのパターンにしてきたのは,なぜか?
IN/OUT方式の方がメリットがあるから? じゃあ,そのメリットは何なのか?
最初に思いついたのは「ワンメイクレースで使えるタイヤにしたいから」.ワンメイクレース(例えば,86/BRZレース)の車両は,かなりノーマルに近い状態なので,キャンバーをほとんど付けられません.この対策としてタイヤのショルダーをラウンド形状(肩を丸くする)のが一般的で,ラウンド形状にするとタイヤのIN(接地側)が斜めに傾くのでナチュラルキャンバーがついたような状態にする事が出来ます.キャンバーがつくとタイヤのOUT側は自然と接地しなくなるので(抵抗が減るので),その分,溝を減らしコーナリング時には接地面積が増えるようにデザインして横のグリップも増やす・・・.これが「非対称プロファイル」のメリットであり,最近IN/OUT指定のタイヤが増えた理由です.
でも,最も稼げる(ユーザーが多い)86/BRZレース用のタイヤには,プロフェッショナルクラスに「
RE-07D」,クラブマンクラスに「
RE-12D」があるので,「RE-71RS」が顔を出せるチャンスはありません.となると,他にノーマル車両に近いコンペティション・・・と考えて思いついたのがジムカーナでした.
ただ,ジムカーナには「単一コンパウンドかつ国内販売が30 サイズ以上のラインナップを有する事」という規定もあるので,じゃあ,サイズラインナップは?と見てみると,
何と! 圧巻の63サイズ.RE-71Rですら41サイズだったのに図抜けて多いです.売れないサイズをラインナップする事はメーカーにとって不良在庫を抱えるようなものなので,好き好んでこんなにラインナップを増やすはずがない.ジムカーナの規定クリアが狙いであれば,もっとギリギリの数に絞るはず・・・.という事は,ジムカーナがターゲットでもない.
「一体何が狙いなんだろう・・・?」と頭を悩ませ始めた頃,この図抜けて多いサイズラインナップをもう一度詳しく見てみると,
55扁平とか,60扁平とか,「今時,こんなサイズを履くのか?」と思えるラインナップが目に留まり,ピン!と来ました.
「コレ,今も売り続けているRE-11/RE-01R/RE-01のサイズじゃん!」
「あ~,つまり,もういい加減RE-11/RE-01R/RE-01の販売を止めたい(型を捨てたい or 型が老朽化して使えなくなった)から,それらをカバー出来るニュータイヤを作る必要があった,という事か・・・」
↓
「そうすると,RE-11が非対称形状だから,今も使っているユーザーに配慮して,RE-71RSも非対称パターンにしないといけなかった・・・という訳だな」
↓
「だとすると,今もRE-11を使っているユーザーが,RE-71Rの減りで嫌気がささないように,RE-71RSは減り(耐久性)に対して何らかの対策をしている可能性があるな・・・」
と思って更に調べてみると,ありましたよ,耐久性のアピールが.
RE-71Rの時には,こんなデータ出さなかったのに,「RE-71Rより減りませんよ~」とわざわざアピールしてますね.
ただ,そうなると「RE-71RSは,RE-71Rよりも耐久性に振ってグリップしないタイヤなのか?」という疑念が湧きますね・・・.そう思ってテスト条件をよく見てみると,
「アレッ? ローテーションしてるぞ」
ちょっと待った! 回転方向指定のRE-71Rは,前後のローテーションは出来ても,左右のローテーションは出来ないよね? 対して,IN/OUT指定のRE-71RSは左右もローテーション出来るよね?(寿命引き伸ばせるよね?) しかも,ご丁寧に「2000km毎に1回で8000km(=4回ローテーション)」と書いてあるって事は,4輪満遍なくローテーションしてるよね?
それじゃ,RE-71RSの方が"もつ"のは当然でしょ!
こうなると,RE-71RSの耐久性は,RE-71Rと同程度もしくはそれ以下の可能性が高いですね・・・.そう思って他に判断材料がないか調べたところ,タイヤの溝の深さに関する情報を見つけました.
RE-71R ・・・ 5.8mm
RE-71RS ・・・ 5.2mm
A052 ・・・ 5.1mm
ああやっぱり! RE-71Rよりも浅く,A052に近い数値ですね.現時点では「RE-71RSの減りは変わらない」と思っておいた方が良さそうです.ただ,これを言い換えると,A052を意識している=グリップは期待出来る!って事ですね.
安心したところで,今回オートサロンに展示されていたRE-71RSの現物をマジマジと見てみると,
何だかパーティングライン(タイヤ表面に真横に入っているバリのようなもの)が激しく入っていますね・・・.展示用は手入れしてないので,パーティングラインがついたまま展示されている(見た目がキタナイ)のは,よくある事ですが,それにしてもラインの数が多い.不審に思って調べてみたところ,パーティングラインが多くなるのは,タイヤを製造する型の分割が細かい(=隙間の数が多い)せいだとの事.
そして,型の分割が細かくなるのは,パターンが複雑で型をより分割させないと製造する事が出来ないからとの事.もしかしたら,このタイヤは何らかの新技術を使って製造されている可能性があり,隠れた性能を秘めているかもしれませんね!
それでは,最後にその性能,すなわち「タイムが出るのか?」です.
とは言っても,まだ販売されていないタイヤなので,当然比較テストは出来ませんから,BSのリリースから推測(皮算用)してみます.
まず,ラップタイムは相対比較(パーセント)でしか出てないので,これを絶対値に変換したいので,RE-11A vs RE-71Rの結果を引っ張り出します.
このデータはTC2000のものだそうなので,私のEF8でRE-11AとRE-71Rの比較をしたデータを引っ張り出します.
RE-11A ・・・ 1'11.113
RE-71R ・・・ 1'09.889 (98.3%)
おおっ! 結構近い値ですね.ただ,念のため,このデータが本当に参考になるのか?絶対値だけでなく,ピンポイントのデータも比較してみます.
コース図から判断するに,Aは最終コーナーのボトム,Bはゴールラインと仮定して,LAP+で比較してみると,
(青:RE-11A 緑:RE-71R)
【A(1つ目の赤丸)】
RE-11A ・・・ 112.6km/h
RE-71R ・・・ 114.6km/h (+1.8%)
【B(ゴールライン)】
RE-11A ・・・ 137.7km/h
RE-71R ・・・ 141.3km/h (+2.6%)
Aは1.0%ズレていますが,このデータは5年前のものなので,当時の私の腕がヘタレだったという事で無視します(笑).Bの方はぴったり一致しているので,今回はこのデータで相関が取れていると判断しちゃいましょう.
では,続けて,RE-71R vs RE-71RSの結果は,
同様にTC2000での比較結果だそうなので,同じ会社のテストなら比較方法は一致しているでしょ!という事で,先程の私のEF8のデータを使って換算してみると,
1'09.889 × 98% = 1'08.589 (-1.3秒)
おっと! これは凄い.1秒以上短縮される試算となりました.
ちなみに,私のEF8がA052を履いて出したタイムは,1'08.614 なので,ほぼ同タイムが出せるタイヤという事になりますね!
なお,私はTC2000が下手(プロの1秒落ち)なので,TC2000での比較はあんまり信用出来ない事から,TC1000に換算し直してみます.一般的にはTC2000⇔TC1000の換算は以下の式だと言われていますが,
(TC2000のタイム ÷ 1.556) - 1秒 = TC1000のタイム
このまま計算すると,
(1'08.614 ÷ 1.556) - 1秒 = 43.096
と非現実的なタイムになるので(私のTC2000の下手さ加減をよく表しているとも言える・・・),そのままダイレクトに係数を求めます.
TC2000のベスト / TC1000のベスト = 68.614 / 41.437 = 1.656
これを先程の試算値に掛けてみると,
1'08.589 ÷ 1.656 = 41.418 (A052との差:-0.019)
おおっ! やっぱりA052と同じくらいのタイムは出せそうな感じですね.
以上,妄想結果でした.
RE-71RSのお値段は,RE-71Rとほぼ同等ですので,仮にこれでA052と同等のタイムが出せるとなると,かなり魅力的ですね! ちなみに,RE-71RSがA052と同等の性能を発揮した場合,RE-71Rよりはるかに高い(かつA052のコンペティターとして設計された)RE-12Dの立ち位置が微妙になってきますが,恐らく,こちらは無印版が消えてTYPE-Aのみの設定となり,86/BRZレース/ジムカーナ/1LAPアタックに特化したタイヤとなっていくのではないでしょうか?
いずれにせよ,RE-71RSが楽しみなタイヤであると共に,BSの動向にも引続き注目していく必要がありそうです.