この間の走行会の反省会を,EF8の先輩と朝からショップでやっていると,筑波ではよく見かけるけど,ショップではあまり見ない人がフラッとやって来ました.
「おや,珍しい」と思いつつ,会話の相手は私じゃないだろうと思ったので,EF8の先輩を向いて「あ~でもない」「こ~でもない」と議論していると,7UPを入れたカップを片手に,私の方を向いて「・・・この間の場所にファイルを入れた」と呟き,店を出て行かれました.
どういう意味なのかさっぱり分かりませんでしたが,「きっとまた怪しいメッセージが届いているのだろう・・・」と思い,家に帰ってPCを開いてみると,何も届いてない.どうやら,
この間スパムメール扱いした事に気分を害したようで,今度は文字の一つも残さず,
「ファイル見て察しろ!」という事のようです.
再び41秒台半ばに戻ってしまった,へなちょこな私には,39倶楽部員様からの無言のプレッシャーには屈するしかないので(笑),精一杯慮って分析してみたいと思います.
さて,まず送られてきたファイルは,以下(↓)の時の走行データのようです.
夏日にZⅢを履いてアタックした時のデータのようですね.「それじゃ,一先ずA052のデータと比較してみるか~」とLAP+で見てみると(青:ZⅢ 緑:A052),
A052は冬のデータなので,外気温ブーストで車速の伸びが圧倒的に違う事がよく分かります.「う~ん・・・こんなの見たってしょうがないよなぁ~」と思っていると,赤丸の箇所に目が留まりました.どちらのポイントもコーナリングしながらアクセルを開けていくようなシーンなのですが,ZⅢ(青)の方はタイヤのグリップの限界点を越えて失速しています.この際のライン取りは,さすがドライビングの再限度が高く,完全に一致していたため,これは正確にタイヤの差を表しているようです.
そこで,このポイントのGのデータを見てみると(青:ZⅢ 緑:A052),
上が前後方向のG(波形が上に行くと加速,下に行くと減速),下が左右方向のG(上に行くと左旋回,下に行くと右旋回)になるのですが,下の波形を見ると赤丸の部分ではZⅢ(青)であってもA052(緑)と同等の旋回Gが発生している事が分かります.しかし,同じポイントの前後Gを見ると,両者ともZⅢ(青)がカクンと下に落ちている(=加速が途切れて失速している)のが分かります.
つまり,同じ旋回速度を維持しようとタイヤに横方向の力を加えると,それに負けて前に進む力を失っているという事です.これは以前行った
RE-71RとZⅢの比較結果(縦と横をオーバーラップさせるシーンにZⅢは弱い)と一致する結果なので,なかなか興味深いです.
では,どれくらいのGをタイヤに加えると,ZⅢはギブアップするのか?(トラクションが失われるのか?)細かく見てみます.
【高速コーナー(2コーナー)】
前後方向 ・・・ 0.05G (変化量:-0.11)
左右方向 ・・・ 1.21G
【低速コーナー(最終)】
前後方向 ・・・ -0.17G (変化量:-0.06)
左右方向 ・・・ 1.32G
速度(ロール量)にもよるのだと思いますが,横方向に1.2G以上の旋回Gが発生している状況下でアクセルを踏むと,ZⅢは音を上げてトラクションを失うようです(=失速する).
そこで,左右方向の1.2Gで線を引いて,車速のグラフ(上段)と比較してみると(青:ZⅢ 緑:A052),
概ねZⅢ(青)の方が下回っているのが分かります.つまり,ZⅢでタイムを出したければ,「1.2以上の旋回Gが出ている時はアクセルを踏んではいけない(=アクセルを踏むのを我慢する)」「アクセルを踏みたいなら1.2未満まで旋回Gを下げなければいけない(=コーナリングを早めに終わらす)」という事が求められるようです.
そこで,コースを変えてこのデータの検証をしてみました.こちらは
オレさまFD2がTC2000でRE-71R(緑)とZⅢ(青)を比較した時のデータです.
旋回Gが1.2を超えるポイントは,「1コーナー」「1ヘア」「ダンロップ」「2ヘア」「最終コーナー」,ようは全部って事ですね(笑).中でも「最終コーナー」は1.2Gを超える時間が長いため,失速している様子が顕著に見受けられます.
その一方で,「1ヘア」「2ヘア」では,ZⅢ(青)の方がボトムスピードが高い点が興味深いですね.これらのコーナーは進入~アクセルONまでの待ちの時間が長いコーナーなので,このように向きが変わるまで,ひたすらアクセルONを我慢すれば,RE-71Rと比べてもそれほど劣らないコーナリングが出来るという事を示しているようです.
ようは,当たり前と言えば当たり前なのですが,「タイヤによってコーナリング方法を変えないとちゃんとタイムは出ない」という事ですね.またこれは見方を変えると,「自身のドライビングスタイルと全く合わないタイヤを履くと,リズムが崩れてボロボロになる」という事も示しており,単純に食う/食わない,もつ/もたない,だけじゃなく,こういったタイヤの性格も上手く掴んで,自分に合ったタイヤを履く事がサーキット走行を楽しむポイントでもあるようです.
以上,ZⅢの限界点探りのお話でした.
Posted at 2020/03/24 07:01:48 | |
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