
先日,TC1000で
GTウイングレスのテストをしてきた訳ですが,この日は常連の皆さんがエビスや岡山へ遠征している事もあって,土曜日なのに閑散としてました.
しかし,そんな日でも必ずいるのが筑波の主.日が昇るよりも早く筑波に着き,日が沈んでから筑波を出るという,太陽が出ている間は筑波に居る事が日課になっているこの方に,今回も1.5秒のハンデ戦を申し込まれました.
さすがに今回はウイングレスでタイムが落ちる事が予想出来たので,正直気乗りしなかったのですが,一度走り出せば,やっぱりタイムを追いかける訳で(笑),バランスが崩れたクルマをねじ伏せながらタイムボードを目で追いかけてました.
こちらのタイムは,計測1周目の「42.071」がベスト.そこからアレコレやってみてもタイムは縮まらず,「43.571」がCR-Zのターゲットタイム.筑波の主の実力からすれば容易にクリア出来るタイムだと思っていたのですが,走行時間が残り5分を切っても,あちらは43.8秒止まり.
「これは・・・まさか勝った!?」
と内心で笑みを浮かべつつ,公式リザルトを貰いに行くと,
ファイナルラップに「42.420」出されて,
逆転負け・・・.
どうやら筑波の主はクルマだけでなく,タイム計測機すらもコントロール出来るようで,GPSロガーで見ると「44.4秒」なのに,公式のタイムでは「42.4秒」を記録させるという,次元を超越した力を使って筑波のスタッフを混乱させていました.いやはや,末恐ろしいですね(笑).
さて,これで3連敗.そろそろ何とかしないといけないので,今回は筑波の主の愛機であるCR-Z CVTの性能を読み解いてみます.
まず,エンジンのカタログスペックでの比較.
CR-X ・・・ 1010kg / 160PS = 6.31kg/PS
CR-Z ・・・ 1180kg / 113PS = 10.44kg/PS
この数字だけ見ると,本来であれば全く勝負にならないはずなのですが,CR-Zはハイブリッド車なのでモーターのアシストがあります.
更に,ミニサーキットだと最高出力よりも最大トルクの方がタイムに直結し易いので,それを踏まえて計算し直してみると,
CR-X ・・・ 1010kg / 15.5kgf・m = 65.2kg/kgf・m
CR-Z ・・・ 1180kg / 17.7kgf・m = 66.7kg/kgf・m
なんと! 肉薄した性能となってしまいました.
ただ,上図のモーターアシストの特性を見てもらえば分かる通り,1500rpmという街乗りの低速領域では17.7kgf・mという圧倒的なトルクを発生しますが,サーキットで使う高回転域ではトルクが低下してしまいます.
CVT車の場合,車速と回転数が連動しないので,サーキットではどのくらいの回転数域を使っているのかなぁ~?と思って調べてみたら,こんな動画ありました(↓).
(↑の5:10~を参照)
残念ながらアクセルの踏み方が分かりませんが,ストレートでアクセル全開時の回転数を見ると概ね5800~6100rpmの領域を使っているようです.トルク特性を見ると5000rpm辺りにピークがあるので,ヴィッツのスポーツCVTみたいに,この領域で固定出来るともっと速くなりそうな点が若干残念ですね(↓).
次に,デジスパイスのデータを使ってTC1000 1LAP中の摩擦円(フリクションサークル)を見てみます.
(赤:CR-X 青:CR-Z)
フリクションサークルは,本来タイヤのグリップをどれだけ使っているか?を見るためのものですが,クルマの運動性能を見るのにも使えます.ちなみに,タイヤは両車共にA52の205/50サイズですが,CR-Xが15インチ,CR-Zが16インチという違いがあります(外径が異なる).
加速性能
時計で言うところの6時方向に行く程,加速性能が高い事を示しているのですが,絶対値的にはそんなに差がないですね.旋回しながら加速する2コーナー(8時方向)やバックストレッチ明けの左コーナー(4時方向)ではCR-X(赤)の方が下側に来ていますが,真っ直ぐ加速するストレートで(6時方向)ではCR-Z(青)の方が下側に来ています.4時・8時方向でCR-X(赤)が上回るのは170kgという重量差が原因と考えると,重量の影響を受けないストレートでの加速性能はホントに差がないようです.
減速性能
12時方向に行く程,減速性能が高い事を示しているのですが,面白い事にCR-Z(青)は,12時付近に点がありません.TC1000でハードブレーキングするのは,1コーナー進入・1ヘア進入・洗濯板手前の3ヵ所ですが,筑波の主はこの3つ全てで若干右にステアリングを切りながらブレーキングをしているようです.タイヤを斜め(11時方向)に使っているようなイメージですね.
私もヨーを出すために,本当であればステアリングを切りながらブレーキングをしたいのですが,タイヤを斜めに使うと1ヘアではロックするので,行う事が出来ず,その差が真上の領域の点の数に現れているようです(やっぱりここが改善ポイントか・・・).
旋回性能
右コーナー(9時方向)の旋回Gは,最大値は私(赤)の方が多いようですが,10~11時方向の領域(ブレーキングしながら右へ切っている領域)は,筑波の主(青)の方が多いですね.この辺りはクルマの曲げ方に関して考え方が違うのが見てとれて面白いです.
そして,更に面白いのが反対側の左コーナー(3時方向)です.2時方向の領域ではCR-Z(青)の方が点が多いのですが,1時方向の領域ではCR-Z(青)は全く点がありません.ここを使うのはインフィールドになりますが,筑波の主はこの左コーナーでは,あまり斜めにタイヤを使う事がないようですね・・・.CR-Zに差をつけるポイントがあるとすればココなのかな??
以上,筑波の主の愛機分析でした.
フリクションサークルだけ見ると,両者の運動性能にそれほど大きな差はないようです.ただ,部分部分で見ていくとCR-Xの方がきっちり上なので,この差をドライバーがきちんと活かして1.5秒差を跳ね除けないとダメですね!
Posted at 2020/11/22 23:17:55 | |
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