
という事で後編です(前編は
コチラ).
走行会終了後,TC1000に移動してファミ走の午後枠にエントリーする変則的なTC3000です.何気にTC3000は今回が初めて.周囲からは「よくやるなぁ~」と冷ややかな目で見られましたが,私と同じ事をAP1とDC5もやってましたよ(笑).
さて,今回は前回の走行で発覚した
バネ下重量増加によるリア跳ねの対策に関する効果確認です.
どんな対策をしたか?というと,至って単純.リアのホイールをサイズダウンして軽量化しました.
旧 ・・・ CE28 16×7.5 +48(重量:5.0kg)
↓
新 ・・・ CE28 15×6.5 +45(重量:3.7kg)
ローターの交換によって増加した量が0.7kgと見積もっていますので,1.3kg軽量化出来れば,タイヤの重量がどうであれ,お釣りがくる計算になります.
ただ,問題は,15インチのリム幅6.5というホイールに組み合わせるタイヤ.A052では195/55R15しか選択肢がありませんが,これの標準リム幅は6.0.A052は+1.0しないと性能を十分に発揮さえられないので,6.5では不足です.
・・・という事で白羽の矢が立ったのが,
RE-71RS!
A052と同等のグリップを発揮し,豊富なサイズラインナップを持ち,尚且つ +1.0を要求されないタイヤとして,チョイスしてみました.
RE-71RSが発表された当時,A052に不満がなく,A052よりも目立って上回る結果が出ていなかった事から,
「RE-71RSを使う時は,RE-71RSでなければ出来ない事をやる時だ!」
と決めていました.RE-71RSは,RE-71R発表後もRE-11Aとして残っていたイレギュラーサイズを一掃するために,近年のタイヤとしては有り得ないレベルのサイズラインナップを揃えています.故に「RE-71RSでしか選択出来ないタイヤサイズを使う際に選ぼう」と考えていました.
では,そのサイズは何か?というと,
185/55R15 です.
私のEF8の標準的なリアタイヤのサイズは 195/55R15 ですので,195幅以下が必須条件.次に外径が 595mm に車高を合わせていますから,許容出来る範囲は±10mm程度.それもリア用ですから,小さくなる方向はなるべく避けたく(リア下がりだとアンダー傾向を助長),165幅は選択肢から消えます.残るは50~60扁平率ですが,195幅ではいずれも201mmで大差がなく,ホイールのインセットが3mm減った分(タイヤが3mm外側に出た分)を打ち消す要素がありません.
このため,195幅よりも細いサイズ(194mm)を選ぶ必要があり,
185/55R15となりました.
ちなみに,ここで185幅をテストして結果が良好であれば,今度は14インチ化して更なる軽量化を!という選択肢も出てきます.それを見越して,YOKOHAMA WHEELの新作
ADVAN Racing Oni2の調査も進めています.
他にも,今季は
右リアのウォームアップに苦しまされたので,扁平率を上げてタイヤをたわみ易くし,これを改善するという狙いもあります(その下準備として
内圧をウェット時相当に下げてテストしてみましたが,結果は良好でした).
また,デビュー当初は「A052の0.1~0.2秒落ち」と言われてたRE-71RSのタイムも,最近では「A052より0.1~0.2秒速い」という評価に変わってきているので,BSお得意のコンパウンド変更をやってきたか?というのを調べる意味合いもあります(RE-71Rの時の1st→2ndロット変更は極端でしたからね・・・).
こんな感じでいつものように色々と皮算用して投入した訳なのですが,RE-71RSを使う上で最大の課題は,
例のトリックへの対処です.
これに関しては,色々と検討した結果,
「リア用であれば上手くハマるはず」
という結論に達しました.テクニック的な点に関しては後述しますが,クルマの仕様的な点から言うと,
・フロントに比べて,リアはキャンバーが少ない
・フロントとリアは同等のバネレート(同等のロール量であり,可能な限り抑えられている)
・リアはヘルパースプリングを使っているので,インリフトしない
・リアは非操舵輪なので,タイヤを斜めに使う事がない
という特徴を持っているため,RE-71RSの特性に合致すると判断しました.
前置きがかなり長くなりましたが,それではテスト結果です.
まずは,リアの跳ね対策.
こちらは街乗りレベルでも効果が確認出来ていたので,心配していませんでしたが,目論み通り跳ねがおさまりました.15インチ化による軽量化効果に加えて,扁平率の増加(50→55)によるクッション効果もあると思いますが,まずは成功です.
ただ,変わって別の問題が出てきました.洗濯板を越えて着地した際にリアが滑るんです(カウンターを当てるレベル).「何でかなぁ~?」と思って走りながら考えてみたところ,185幅で限界が落ち過ぎているのだと思いました.
上(↑)の写真は洗濯板を下りた際のクルマの姿勢です.ご覧の通り,右コーナーなので左にロールして,右タイヤが浮き,左タイヤ2輪で旋回しているのが分かると思います.当然,この左2輪には大きな負荷が掛かっており,195幅では何とか耐えれたものが,185幅では耐え切れず,限界を超えてテールスライドを引き起こしているものと思われます.
クルマがイン側を向く方向なので,コーナリングとしては楽なのですが,スライド量のコントロールがなかなか難しく,最初の数周は「こりゃナイなぁ~.失敗だったかぁ・・・」と思う程でした.ただ,その後ピットに戻り「限界を超えて滑っているなら,粘ってもらうしかないだろう」と,リアの内圧を10kPa下げてみたところ,スライドしなくなったので,一先ずこれで問題は解消したと思われます.
これで最初の問題は解決したので,あとはRE-71RSによるゲインがあるかどうか?
最初はウォームアップ特性のチェックです.
上の車載は最初のアタックラップなのですが,午後枠で路面温度が上がっているはずなのに,やっぱりスピンしてしまいました・・・.当然,アタックラップに入る前にフィーリングチェックしているのですが,滑るような感触はなく,「これならイケるだろう」と思ってやったら,これでした.感覚論になりますが,A052に比べるとウォームアップは掴み取りにくい印象ですね.
次にコーナリング特性.これに関しては,
「なるほど.こりゃ,面白い!」
予想はしてましたが,確かに癖のあるタイヤです.でも,その癖を理解して乗れば,面白いようにクルマを曲がります.イメージで言うと「
欧州式ドライビング」って感じですね.ブレーキングでフロント荷重を作ってフロントタイヤで曲げていくのではなく,手前から徐々に姿勢を変えていって緩いブレーキングのままリアタイヤで曲げていくような感じ.フロント:A052+リア:RE-71RSだからこその動き方かもしれませんが,スキール音がするレベルのテールスライドが起きていないのにも関わらず,FFでこれが出来るのは,なかなか面白いです.
・・・って,イメージで言ってても分からないですよね.はい.メカニズムを考察してみます.
RE-71RSの最大の特徴は,ショルダー部分の形状です(↓).
この独特の斜めった形状のせいで,独特の癖が出てます.私が色々調べて考えた結果を絵にすると,こんな感じ(↓)です.
【コーナー入口】
左側がRE-71RSのトレッドプロフィール(赤地が接地部分).右側がコーナリング中の位置です.
進入時は特に変わりません.通常のタイヤに比べてショルダー部分が接地していないため,
フットプリント(タイヤが路面に接触している面積)が小さくためか,抵抗が減って車速が伸びたり,面圧が上がってブレーキが良く効いたりするので,「縦のBS」っぽい印象は受けますが,A052とそれほど明確な差があるようには思えません.
【コーナー中間】
問題はココから.ステアリングを切ってロールが始まると,RE-71RSの独特のトレッド形状により,ショルダー部分が接地するまでにタイムラグが生じます.ドライバーとしては,ロールさせていってリアタイヤを早く支えて欲しいところなのに,ショルダー部分が接地しないため,ロールが止まらず,リアタイヤが外側に向かって動き続けているような印象を受けます.乗っているドライバーからしたら,「この進入速度で曲がれる?」と聞いて,OKなら反力が来るはずだし,NGならスキール音が来るだろう・・・と思っているのに,音もしなければ,手応えもなく,リアタイヤが動き続けるので「アレッ? 大丈夫??」と不安になる感じですね.
【コーナー出口】
ところが,その不安に耐えてリアを動かし続けると,ショルダー部分が接地して瞬間にビタッ!とリアの動きが止まります.そして,ここから先はビクとも動きません.「どうぞ,遠慮なくアクセル踏んで下さい~」って感じで,リアから押し出してくれます.
つまり,ロール開始~ショルダーが接地するまでの間にクルマの向きを変え,ショルダーが接地した時点でアクセルON!というドライビングをすればいいんだと思います.
極論を言ってしまえば,コーナーの進入でリアを振り回して走るようなもんなのですが,従来のタイヤと違うのは,タイヤが捩れて・限界を超えて,滑っている(動いている)のではなく,接地しないで動いている点です.つまり,音や反力といったインフォメーションをドライバーは得られないので,違和感ありまくりです.私はそうなるだろうと予想して(というか,意図的にそういう走らせ方をして)いるので,アジャスト出来ましたが,知らないで乗ると手応えがなくて気持ち悪いでしょうね・・・.
さて,こんな感じで向きの変わり易さだけはRE-71RSの上なので,これを上手く活かせばタイムも狙えるのでは!?と思い,アクセルを踏み込んでみたのですが,この日は1000hPaを下回る程の低気圧でエンジンの調子がすこぶる悪く,全然吹けません.TC2000は問題なかったので大丈夫かと思ったのですが,TC1000の車速・負荷レンジだとダメなようで,アチコチで失火してまともに1LAP走れません.
それでもダマし,ダマし,なんとか走って・・・,
唯一失火が最小限だったラップは 41.443 でした.
う~ん.微妙ですね.これだと良いんだか,悪いんだか分からず,非常に消化不良です・・・.