
AT使いのBB6が,今回を最後にRE-71RS→A052にスイッチするというので,先日のTC1000では,半年間RE-71RSに合わせて調整した最後の走行データを取らせてもらいました.
RE-71RSの特性に合わせて,どうドライビングを変えてきたのかを見るのにちょうど良いので,
初めてRE-71RSを履いた時と最後にRE-71RSを履いた時(今回)の比較をしてみます.
サンプルにしたのは,以下のラップです.
【始めてRE-71RSを使った時】
【最後にRE-71RSを使った時】
なお,BB6は今回ブレーキパッドの銘柄を変更したそうで,
(旧)EVO ・・・ 摩擦係数:0.45 使用温度域:100~700℃
↓
(新)Racing ・・・ 摩擦係数:0.48 使用温度域:100~850℃
ブレーキングの合わせ込みが必要だったと思いますが,データは3本目のものなので,ここでは合わせ込みは十分出来ていると判断して見てみます.
では,細かく見ていきます(赤:今回 青:前回).
ホームストレートエンド
今回の方がブレーキングの開始ポイントが19m手前のようです.ブレーキの制動力が上がっているのに開始ポイントが手前なのは,進入速度の差(赤:124km/h 青:120km/h)だと思われますが,次の1コーナーを見ると走らせ方を変えている可能性がありますね.
1コーナー
今回(赤)の方が途中(91km/h付近)でブレーキの踏力を弱めているにも関わらず,立ち上がりでは外側にそれほど膨らんでいません.加速するタイミングも前回(青)とそれほど変わらず,全体的に旋回速度(ボトム)を引き上げられているようです.奥まで突っ込んで,1発のブレーキで止めて,フロント荷重を最大限引き出して強引に向きを変えるより,進入速度を抑えてでも,手前・手前から向きを変えて行って,フロント荷重を弱く・長く維持する方が良いという事なんでしょうね.このセクションだけで0.2秒のゲインを得ています.
2コーナー出口
1コーナーの出口できちんと向きを変えられているおかげで,2コーナーは全開.これによりスピードが伸びて,今回(赤)の方が進入速度は4km/hほど高いようです.2コーナーでは若干タイヤがゴリゴリ言っているようですが,クルマは前に進んでいますし,縁石にも寄れていますし,やはり1コーナーのアプローチはアレで正解なんでしょうね.
1ヘア
1ヘアのブレーキング開始ポイントは,今回(赤)の方が10mほど手前ですが,これは進入速度の差でしょうね.個人的に車載を見ていて気になったのが,1ヘア立ち上がりのタイヤのスキール音だったのですが,ロガーデータで見るとタイヤは滑っていないようですね.この辺りは17インチと15インチの差という事なんでしょうか(ヨレが少ない).
なお,タイヤのスキール音が気になったので,ブレーキリリースのタイミングを見てみたのですが,今回(赤)の方が前回(青)よりも5mほど手前でした.これだとフロント荷重が早く抜けちゃいますし,結果,立ち上がりで外側に膨らんでしまっている点を踏まえても,若干ブレーキのコントロール性は下がっているのかなぁ~?と思いました(パッドの効きが強過ぎる).1ヘアは短く・強く止める部分とフロント荷重を長くキープする部分を両立させないといけないので,やっぱり難しいですね(だからこそ,腕の見せ所でもあるのですが).
インフィールド
ここは走らせ方を大きく変えてきましたね.前回(青)は比較的大きなRを描いた旋回速度重視.今回(赤)はイン-イン-インの距離重視の走らせ方です.結果を見ると,今回の方が0.2秒遅いので,BB6の場合は旋回速度重視の方が合っているようですね・・・.
バックストレッチ上げの左コーナー
今回(赤)の方が旋回速度が4km/hほど高いですが,これはエンジンパワー(外気温)の差かな?と思います.気になるのは今回(赤)の103km/h付近の失速ですが,どうやらこれはシフトアップした瞬間のようですね.コーナリングしながらシフトアップが出来るのがATのメリットだと思いますが,この失速はちょっと勿体ない感じ.2速キープだと洗濯板まで届かないので仕方がないですが,左コーナーに入る前にシフトアップするのと,入った後にシフトアップするのとで,どちらがロスが少ないか? 比較してみたいところです.
最終複合
ここも大きく走らせ方が違いますね.今回(赤)は大きなRをとって旋回速度重視の走らせ方に変えた・・・ようにも見えるのですが,実際は「変えた」ではなく,「変わってしまった」なのかな??
洗濯板進入のブレーキングを見ると,90km/h付近で踏力を弱めているんですよね.これによって洗濯板を下りた後の速度が高く,姿勢制御用に少しアクセルを入れているのだと思いますが,ボトムが高いところにアクセルを入れてしまったので,アンダーを引き起こしただけなのかな・・・?とも思えます.アクセルをチョンと入れた後,向きが変わるまでの"待ち"の時間も大分長いですし,タイム的にはゲインは得られていないですね(厳密には前回よりも僅かに遅い).
最終コーナー
前述の複合部分ではゲインが得られていませんでしたが,最終コーナーに限っていえば,先程の大回りは功を奏していますね.最終コーナーに対して,今回(赤)の方が浅い角度で進入出来るので,途中でタイヤのグリップを使い切って失速する事もなく,スムースに立ち上がっています.これがホームストレートスピードの伸びに繋がって,ゴールラインまでに0.18秒のゲインを得られていますから,最終の複合を大回りで走る事も,あながち間違いとは言えないのでしょう.
以上を纏めると,RE-71RSの特性を活かすには「高い旋回速度を維持する」走らせ方が良さそうですね.ここ数年「ボトムを落としてでもしっかり曲げる」走らせ方が流行っていましたが,それとはちょっと違うようですね.個人的には「RE-71Rと同じだと思って,RE-71RSを使うとハマる」と思っているのですが,その裏付けが取れたようで納得です.
ちなみに,走行後のタイヤカスは,こんな感じ(↓).
帰りの高速走っても,ほとんど取れてないんですから,このピックアップの酷さを踏まえると,A052の方が使い易いんじゃないかなぁ~と思います.
AT使いが選んだA052のタイヤサイズは,随分と思い切ったチョイスのようですが,さてこの選択がどう転ぶか,今後の走行が楽しみですね.
Posted at 2021/03/22 22:16:04 | |
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AT使いのBB6 | 日記