
「FD2とEF8はアンダーとオーバーの境目を見極めるのが難しい」とサーキットアドバイザー(蘇武喜和さん)に教えて頂き,それを頭に入れつつ走って41.7秒だったのが
前回のお話.
午前中の走行が終わり,午後の走行が始まる前,いつものようにサーキットアドバイザーの講義→先導走行まで終わったものの,こもりん.さんもおだてのまつさんもTC2000に行ったまま戻ってきません.午後の枠も走ろうかどうしようか,ボッチで考えていたところ,セーフティカーのスープラが再び走り出しました(タイトル画像).
どうしたんだろ?と思いつつ見ていると,結構いいスピードで走っていたのでタイム測れば良かった・・・と思いつつ走りを眺めていました.
さて,ボッチだったので午後は1番ピットに置かれたコース図を見ながら,一人で熟考.
午前中の走行ではインフィールドでのアンダーとオーバーの見極めは上手くいかず,どちらかと言えばアンダー寄りの挙動.「一体どうやったら,アンダーをオーバーに変えられるんだ・・・?」とコース図と睨めっこしながら考えます.
6月にプロの横に乗った際に,プロはインフィールドでオーバー挙動を作り出していたので(↓),
「インフィールドでオーバー挙動を作り出すためのテクニックが,何かあるんだよなぁ~」「横で見ていた感じ,ブレーキ操作にヒントがある気がするんだけど,ブレーキをどう操作した結果,オーバーになるのかが分からん!」「やっぱ,アンダーとオーバーの境目を見極めるのが下手くそなのかなぁ~?」
(-ω-;) ウーン・・・
としかめっ面で考えていたところ,アドバイザーが通りかかり,「悩んでますねぇ~」と声を掛けられました.午後枠で人も少なくなったので,これ幸いとコース図を指差しながら質問してみました.
私 :(コース図のインフィールドを指差し)ここで,こういう挙動にしたいんですけど,ならないんです.
私 :クルマの姿勢の問題だと思うんですけど,どういう姿勢にすればいいのか分からないんです・・・.
アドバイザー :さっきの走行を見た印象だと,姿勢変化が急過ぎる気がします.
アドバイザー :もっとゆっくり動かした方がいい.
私 :ゆっくり?
アドバイザー :ブレーキをいきなり最大踏力で踏むのではなく,8割くらいから徐々に強めるイメージ.
アドバイザー :図で書くと,今のブレーキングはこんな感じ(↓).
アドバイザー :これを,こうするんです(↓).
私 :なるほど.これだと確かに姿勢変化は緩やかになりますね.
私 :でも,これだとリアが持ち上がらないじゃないですか?
私 :なんでこれで曲がるようになるんですか?
アドバイザー :リアで曲げるんじゃなくて,フロントで曲げるからです.
私 :???
アドバイザー :10割のブレーキングだと,ロール量はいきなり最大になりますよね?
私 :はい.
アドバイザー :そうではなくて,ターンイン時には9割くらいのロール量に抑えるんです.
アドバイザー :残り1割を残して,クルマを減速させる.
アドバイザー :そして,自分が曲げたいポイントで,最後の1割のロールを使うんです.
アドバイザー :そうすると,○○○○○○○が△△するのでフロントが入ります.
アドバイザー :フロントが入れば,リアも××ので,余計曲がります.
私 :
ああっ! そういうメカニズムか!!
私 :でも,ブレーキの初期を弱めると制動距離が延びますよね?
アドバイザー :だから,踏み方はこんな感じです(と私の肩に手を当てて押す).
私 :ああ! ( *゚д゚))ナルホド-
アドバイザー :ブレーキが足りなければ行き過ぎて曲がれないですし,足り過ぎても曲がりません.
アドバイザー :見極めが重要です.
ここ3ヵ月ずっと悩んでいた事が,これで氷解しました.
プロの横に乗って感じた事と辻褄も合ったので,後は実践するのみ!
・・・という事で,そのままN枠のチケットを買いに行き,コースイン.
1回目は今までのブレーキングで基準タイムを作って,
41.843.
午前中のタイムと同レベルのコンディションである事を確認した後,早速,教わったブレーキングを試してみると・・・,
「コレだよ,コレ!」
「めっちゃ曲がるー!!」
と感動.そのまま1LAPを纏め上げるとタイムは・・・,
41.667! なんと午前中のタイムを0.1秒上回りました.
午前中に走行した枠と気象条件を比較してみると(データ提供:こもりん.さん),
午前枠 ・・・ 気温:24.0℃ 路面温度:28.1℃ 気圧:1016.8hPa
午後枠 ・・・ 気温:25.5℃ 路面温度:34.1℃ 気圧:1015.8hPa
明らかに午後の方が条件は悪いので,これで0.1秒短縮はかなり大きいです.
LAP+で走行ラインを確認してみると(午前枠:青 午後枠:赤),
やはりインフィールドの途中から午後枠(赤)の方がグイッと一段階鋭く曲がっているのが確認出来ます.
続けて,車速(上段)とタイム差(下段)を確認してみると(午前枠:青 午後枠:緑)
3km/h高い速度でインフィールドに進入して(一番上の赤丸),ブレーキの初期を弱めているにも関わらず短い距離で減速し,その後,タイヤが横滑りする事なくスムースに加速している様子が確認出来ます(中段の赤丸).また,タイム差(下段)を見ると,インフィールドのセクションだけで実に0.16秒も稼いでいる事が分かります.
いやはや,ブレーキングの仕方1つ変えるだけで,クルマってこんなに曲がるようになるんですね!
久方振りに感動しました.
走行終了後,後片付けをしている時にアドバイザーが来られたので,「めっちゃクルマが曲がるようになりました!」「タイムも午前中から0.1秒縮まりました!」と報告すると,
えっ!? アレを1回で再現したんですか?
Σ(゜ロ゜)
と驚かれましたが,タイムが縮まった事を聞いて喜んでくれました.
いやぁ~,ここ数ヵ月悶々と考えていた事の答えが見つけられて,本当にスッキリしました.タイムが出た瞬間も「おっしゃあー!」と叫んでしまう程でしたし(笑),このテクニックは結構応用範囲も広い気がするので,他に使える場所を探すのが楽しみです.インフィールドでこれだけ曲がるのなら,クルマのセットをもっとアンダー寄りにしても大丈夫でしょうし,セッティングの幅も広がって,益々楽しくなってきました~♪
蘇武さん,毎度的確なアドバイス,本当に有難う御座いました.<(_ _)>
プロの豊富な引き出しの一端を垣間見る事が出来て,改めて凄さを実感しました.教えて頂いたテクニックは,確実にモノに出来るよう反復練習し,次のアタックシーズンの結果に繋げたいと思います!