日光ネタのラストです.
縁石の走破性やトラクションの掛かりが良かったHALスプリングですが,これを投入した理由の1つは
日光の6コーナーにおけるバウシング対策でした.6コーナーの進入でブレーキングした時に上下に車体が揺れるので,これを何とか直せないかなぁ~?とフロントのバネレートを下げてみました.
今回走ってみた結果,最初はバウンシングは起きず,「おっ! 成功したか!?」と思っていたのですが,ブレーキングを詰めていくと再びバウンシングが発生してしまいました.
ただ,このバウンシングは毎回必ず起きる訳ではなく,起きたり・起きなかったりするので,「なんなんだ? コレ??」と思いながら走ってました.色々試しつつ走ってみたところ,どうもドライバーの操作は支配要因ではないようで,ライン取りやターンインのタイミングが影響していそうな雰囲気ですが,なぜそうなるのか?は分かりません・・・.
上下動の動き自体は前回よりも小さくなっているので,「よく分かんないし,もういっかー」と思いつつ,空き時間にプロの同乗走行(EK9)を外から見ていたところ,6コーナーの進入で左フロントをヒョコヒョコと上下動させている様を見れました.
∑(*゚ロ゚) コレダッ!!
プロの走行なので,毎ラップ毎ラップ同じ挙動を繰り返し見る事が出来るので,ジーッと観察し続けていたところ,ようやくヒョコヒョコした動きのメカニズムが理解出来ました.
日光の6コーナーは微妙な下り坂で,すり鉢形状になっているのですが,Rが緩いため,それほどハードなブレーキングは必要とせず,右にステアリングを切りながら,フロント荷重をキープするような緩いブレーキを長く続けます.ブレーキングの時間が長いので,車体はどんどん前傾姿勢になっていく訳なのですが,この時に,すり鉢の形と車体の向きが揃ってしまうと,あのヒョコヒョコした挙動が出るようです.
イメージで言うと,右の前輪と左の後輪の対角線が軸となり,この軸に対して車体が鉄棒でもするかのように,クルン!と回転するような感じです.ブレーキングで前傾姿勢となり,右リアが浮くと,対角線となる左フロントが沈み込む形になる訳なのですが,コースがすり鉢状になっているため,沈み込んだ直後にコースに跳ね返され,再び右リアが着地.しかし,長いブレーキングによって,ヨーとピッチのモーメントは発生し続けているため,再び右リアが浮き,即座にコースに押し戻されて元の姿勢に戻る・・・というのを繰返しているようです.
ライン取りやターンインのタイミングによって,このヒョコヒョコした挙動が出たり・出なかったりするのは,すり鉢の角度と車体の向き(前述の対角線の軸)が合ったり・合わなかったりするためだと思われます.そのプロの走りを動画を撮り損ねたのがホントに痛かったのですが,当日,現地で見た時は「ああ,なるほどー!」と思わず叫んでしまいました(笑).
さて,では「対策をどうするんだ?」ですが・・・,
右リアのインリフトを完全に防げば,対角線となる左フロントを沈み込ませる動きがなくなるので,ヒョコヒョコとした上下動はなくなると思いますが,6コーナーはいかにヨーを発生させて曲げるか?というコーナーでもあるので(↓),
それじゃ遅くなるだけでしょうね.
となると,反対にもっと右リアを浮かして,巻く動きを大きくして,6コーナーのエイペックスに対して浅い角度となるようにすれば,コースに跳ね返されてヒョコヒョコする動きをなくせる気もしますが,これ以上リアを浮かすのは,これからの寒い時期だと心配だなぁ・・・.
経験則的に,A052の作動温度領域はタイヤ表面温度で25℃以上だと思っているのですが,今回の日光の路面温度は恐らく20℃前半くらいで,少し足りてなかったんですよね.今回の走行会のインターバルは40分だったので,1本目で熱が入った後の2本目なら温度も下がり切っていないだろうし,リアタイヤを積極的に温めなくてもなんとかなるでしょ!といきなりアタックしてみたのですが,結果はこんな挙動でした(↓).
温まりにくい右リアはしょうがないと思って,1~2コーナーのフラフラは無視したのですが,その後の4コーナーで左リアがズルッ!といったので,「このままだと8~9コーナーが危ないな・・・」と思い,途中でアタックを止めました.気温20℃台で,まだ本格的に冬に入ってもいないのにこれですから,ここから先,路面温度が下がる一方な状況で,リアのインリフト量を増やしてピーキーにするのは少し躊躇しますね.
とはいえ,TC1000も含めて,次の一手としてはインリフト量の増加くらいしか選択肢が残ってないので,それに合わせた冬場のアタック用リアタイヤをどうするか?もそろそろ考えないとなぁ~なんて思う,日光最後の振返りでした.
Posted at 2022/10/17 02:07:37 | |
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