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2022年10月17日 イイね!

ZC32S vs GK5

ZC32S vs GK5私が日光を走った3日後,筑波のコンパクトカークラスで毎回しのぎを削っているtaka@黒インテ(元)さんと(大)@みやう軍団さんが,スポーツ走行で日光を走られたそうです.

この際,(大)さんのZC32Sにロガーを載せてデータを計測されたそうで,「羨ましい・・・」と言ったら,データが送られてきました.当日は2人+1名(大さんの方は同乗走行だったらしい)で追いかけったしたそうですが,ロガーデータ上でも追いかけっこしてもらおうと思います.

まず,サンプルに使うデータですが,(大)さんのZC32Sは,12:10~のイレギュラー枠(?)のベストラップ(22周目)を使うとして,takaさんのGK5は,条件が異なる10:30~のA2枠のデータしかないため,イレギュラー枠(?)のベストタイムとセクタータイムが比較的近い12周目(3rdベストに相当)のデータを使おうと思います.

 10:30~のサードベスト ・・・ 41.377 (S1:9.501 S2:18.309 S3:13.567)
 12:10~のベストラップ ・・・ 41.356 (S1:9.456 S2:18.369 S3:13.522)

当日は曇り空だったようで,気温変化は3℃以下と少なく,気圧変化も2hPa以下でしたので,タイヤの熱ダレの方が影響が大きそうと判断してサードベストを採用しました(GK5が履くRE-71RSは最初にピークグリップがあるそうですし).


続けて,公式セクタータイムで大まかな状況を把握します.

 ZC32S(2名乗) ・・・ 41.248 (S1:9.297 S2:18.357 S3:13.594)
 GK5        ・・・ 41.377 (S1:9.501 S2:18.309 S3:13.567)

S1はZC32Sが圧倒的に速い! やはりここが一番の見物のようですね.S2・S3はGK5がジリジリと差を詰めていますが,ほぼロガーで違いが分かるかどうかの互角の戦いになっていそうです.


では,ロガーデータで細かく見てい・・・・・・・・・こうと思ったのですが,両車のロガーデータを重ねてみるとZC32Sの波形がなんだかおかしい.微妙にズレているというか,タイム差がついている理由がよく分からない部分が何ヵ所かありました.「ナンダ? コレ・・・??」と思い,色々補正したり・設定を切り替えたりしながら比較してみたのですが,どうやらGK5と比べるとZC32Sの走行距離がかなり異なる事が原因っぽいです.



デジスパイスの計測結果を見ると,22mもZC32Sの方が長く走っているようで,現在の日光の1周は1027mですから,約2%もZC32SはGK5に比べて遠回りしている計算になります.それでいて,タイムは0.13秒速い訳なのですから,コース全体を幅広く使って,ZC32Sは平均車速を上げて走っているの様子が窺えます.


という事で,今回のロガーデータの比較は「キョリ」ではなく「時間」を横軸にして見てみたいと思います.
(赤:ZC32S 青:GK5)

S1(ZC32S:9.297 GK5:9.501)



1コーナー進入速度(1つ目の緑丸)はGK5の方が1km/h高い事もあって,2コーナーのクリップまではほんの少しGK5(青)の方が速いのですが,そこから先はZC32S(赤)が圧倒しています.両車の分かれ目となるポイントは,2コーナーの減速→加速に切り替わるタイミング(2つ目の緑丸)で,距離にして9m(2車身)程度,ZC32S(赤)の方がブレーキを奥まで残しているように見えます.外から見てたらほんのちょっとの差だと思うのですが,この一残しの差が6コーナー(3つ目の緑丸)までの間で「クルマを前に進める差」として大きく出てくるようです.

車載があると両車のドライビングの差がもっと良く分かると思うのですが,今回はないので,フリクションサークルでG変化の推移を読み取ってみると,



GK5(青)は減速(上)→加速(下)へ移る際,Gが斜めに左下へ移動しているのに対し,ZC32S(赤)の方は最大の横Gを出した後,その最大値をキープしたまま真っ直ぐ下に落ち,その後,左へ移動している様子が読み取れます.

これが何を示しているか?というと,ZC32S(赤)の方が「タイヤの横のグリップの限界を引き出している時間が長い」という事です.一度引き出した横の限界を余すことなく使い切り,そこからスムースに縦(加速)へ移行しているため,こういう波形になるのだと思われます.つまり,(大)さんはタイヤのグリップを横→斜め→縦へ移り変わらせる技術(グリップの引き出し方)が滅茶苦茶レベルが高い!って事ですね.私からしたら「こんな事が出来るのか!?」と目から鱗なデータで,大変勉強になりました.<(_ _)>

ちなみに,GK5(青)の方は今回RE-71RSだったそうで,タイヤの特性から縦→横への移行がスムースでなかった可能性はありそうです.GK5が39秒台を出していた時(A052装着時)のデータを見てみると,そちらは今回のZC32Sに負けないくらいスムースに横→縦への移行を実現していました.


S2(ZC32S:18.357 GK5:18.309)



S1では,ZC32S(赤)は「ボトムを下げてでもキッチリ向きを変えてクルマを前に進める」という感じでしたが,ここでは一転して「ボトムを可能な限り上げる」走りとなっているようです.代表的なコーナーのMIN/MAXを見てみると,

 6コーナー(MAX) ・・・ ZC32S: 93.4km/h  GK5:91.3km/h
 6コーナー(MIN)  ・・・ ZC32S: 63.3km/h  GK5:62.0km/h

 8コーナー(MAX) ・・・ ZC32S:104.5km/h  GK5:101.3km/h
 8コーナー(MIN)  ・・・ ZC32S: 97.6km/h  GK5:96.3km/h

全域でZC32S(赤)の方が上回っているのが分かります.2名乗車でよくこれだけのボトムを上げられるなぁ~と思いつつ,ここではライン取りを見てみます.

【6コーナー】


コース図が古くて申し訳ないですが,ZC32S(赤)の方は6コーナーに対して,かなり外側からアプローチしているのが分かります(5コーナーはほぼ無視ですね).その一方で,6コーナーの立ち上がり7コーナー付近)では両車のラインはほぼ重なっているので,ZC32S(赤)の方はコーナー入口で外から回り込む走らせ方をしているようです(もしかしたら追いかけっこ中で意図的にラインを1本外にズラしたのかもしれませんが・・・).さすがに,これだけ大回りすると距離的には長いので,瞬間的にはGK5(青)との差は詰まっているのですが,立ち上がりの加速で取り返せているので問題ないんでしょうね.

また,ここでもフリクションサークルでG変化の推移を見てみると,



ZC32S(赤)の方が減速(上)→加速(下)へ移行する際,真っ直ぐ下に向かっているので,タイヤの横のグリップを目一杯引き出しているのが分かります.GK5(青)の方も途中まではZC32S(赤)を上回る横Gを発生させているのですが,減速が完了する直前くらいで横Gが目減りし,内側に入っている(真っ直ぐ下ではなく,右下になっている)のが分かります.この差が立ち上がりの車速の伸びに繋がっているのでしょうね.これはtakaさん(青)が下手という訳ではなく(普通はこうなります),(大)さん(赤)が上手過ぎるんだと思います.


【8コーナー】


切り始めのタイミングは両車それほど違わないのですが,ZC32S(赤)の方が僅かに進入角度が浅いように見えます.意図的に浅いのか? 結果的に浅くなったのか?はロガーデータだけでは分からないのですが,この角度でも曲がれる自信をもって飛び込んでいるのは間違いないでしょうね.見方を変えると,GK5(青)の方は若干角度を付けた状態で進入してしまっているため,操舵抵抗で車速が伸びず,それが8コーナー進入で3km/h差をつけられた原因ではないかな?と思いました.


【9コーナー】


ZC32S(赤)は進入で角度が浅かったので,当然大回りになるのですが,ロガーデータ上は9コーナーのクリップを外しているように見えます.ここも追いかけっこ中で意図的にラインを1本外したのかもしれませんが,最短ルートを通ったGK5(青)の方が若干速いようです.これがS2で僅かにGK5が上回った要因じゃないかな?と思います.


S3(ZC32S:13.594 GK5:13.567)



このセクションが今回のデータで一番分析しずらかったところなので,データの見方によって解釈が分かれるところかもしれません.私の見立てとしては,10コーナーへの進入速度が1.8km/h程度GK5(青)の方が低い分,ほんの少しブレーキングを遅らせる事が出来て(左側の緑丸),これで差を詰めているのですが,そこから先は両車,タイヤの斜めのグリップを目一杯使ってコーナリングしているので,瞬間的な速い・遅いはあるものの,ほぼ互角かな?と思います.

ただ,ライン取りを見てみると,



またコース図が古くて申し訳ないですが,ここでもZC32S(赤)の方が若干大回りしつつボトムを上げる走らせ方をしているように見えます.実際,減速→加速に転ずる11コーナーでは,その大まわりの恩恵で早く加速に移行出来ているようなのですが,6コーナーの場合と違ってここはS字の切返しなので,12コーナーに対してはキツイ角度でアプローチする形となり,12コーナーに対して浅い角度をとれるGK5(青)に対して,ホームストレートの車速の伸びで負けてしまったように見えます.これが恐らくS3での差なんじゃないでしょうか?


以上,ZC32S vs GK5でした.比較結果を纏めると以下のような感じでしょうか.

 【ZC32S】
  ・タイヤの横のグリップを引き出している時間が長い
  ・タイヤを横→斜め→縦に遷移させる技術が滅茶苦茶レベルが高い
  ・このため,タイヤのグリップを横に目一杯使っているのに,クルマをちゃんと前に進ませている
  ・その結果,回り込むコーナー(1~3辺り)が特に速い(S1が他を圧倒する速さなのは納得)
  ・全体的には,コース幅を広く使ってボトムを上げる走らせ方に見える
  ・そのせいか,一瞬で向きを変えるコーナー(S字)が,ほんの少しだけ辛そうに感じる場面がある
  ・9コーナー出口が唯一の失敗? これがなければ,あと0.05秒は速かったかも??

 【GK5】
  ・ZC32Sとは対照的に,コース幅はそれほど使わず,最短距離を行く走り
  ・タイトなラインによって落ちるボトムを,アクセル開けて補おうとしている感があり
  ・ただ,その操作にタイヤが応えてないのかも?(どのコーナーも加速がワンテンポ遅い)
  ・ドライビングスタイルの違いなので,ZC32Sと比べて速い/遅いはあんまりなさそう
  ・ただ,若干,ブレーキを遅らせて短く止めてタイムを稼ごうとする意志は感じる
  ・今回の条件だと,クルマの性能的にはイーブンに見える


さすが,39倶楽部の人達はレベルが違いますね.僅かな速い・遅いは勿論あるのですが,恐らく乗ってて気づくかどうか分からない程度の極々僅かな差だと思います.

(大)さんがクルマをキレイに・滑らかに動かすスタイルなのは知ってましたが,ここまでワイドなラインをとるのは意外でした.特に圧巻なのはタイヤのグリップの引き出し方ですね.理屈の上では,こういう走らせ方が速いのは理解していたのですが,実際にそれをやれる人のデータを見た事がなかったので,大変勉強になりました.有難う御座います.<(_ _)>

takaさんの方は,やっぱりRE-71RSが日光に合ってなさそうだなと思いました.筑波だと似たようなタイムなので,走らせ方も(大)さんと似てるのかな?と思いましたが,真逆で面白かったです.走らせ方が全く違うのにS2・S3はクルマの性能含めて(大)さんと差がないですし,勝負のポイントはやはりS1でしょうか.ただ,ここは(大)さんが凄過ぎるので,これに勝つのは大変ですね(笑).

お二方のデータを見て,日光はまだまだドライバー側でやれる事があるんだなーと実感させられました.どうやったら,こんなスキルを身に付けられるのか分かりませんが,自分のロガーデータと見比べて研究してみたいと思います.今回はデータを提供頂き,有難う御座いました!
Posted at 2022/10/17 19:18:15 | コメント(2) | 他者・他車分析 | 日記

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