EF8の先輩に勝利する事が出来たTC2000でしたが,タイム自体は予想以上に伸び悩みました.
フロントスプリングのレートを下げた事で高速コーナーは苦戦するだろうとは思っていましたが,フワフワとした感触でクルマの挙動が落ち着かず,「ここまで悪化するのか・・・」と驚くほどでした.まさに良い方向の変化はなかなか感じ取れず,悪くなる方向の変化は如実に感じ取れるというヤツでしたが,いつもの通り走行データから結果を振り返っておこうと思います.
まずはサンプルデータから.
【前回:1'07.692】
【今回:1'08.469】
自己ベストをマークした前回に対し,今回は0.8秒落ちの結果となりました.
公式セクターで比較してみると,以下のような感じ.
前回 ・・・ Sec1:27.529 Sec2:28.143 Sec3:12.020 最高速:151.451km/h
今回 ・・・ Sec1:28.096 Sec2:28.102 Sec3:12.271 最高速:151.536km/h
Sec1が約0.5秒遅れと致命的に遅くなっています.Sec2はほぼ前回同等で,Sec3も0.2秒遅れ.この雰囲気だと最終コーナー~1コーナーの区間で何かが起きてそうな感じですね.コーナリングの問題だとすればSec2が変わらないのは不思議なので,ストレートで遅れている?? しかし,最高速はほぼ同等なので,ブレーキング区間に問題を抱えているのかな・・・?
次いで,コンディションの比較.
【前回】
気圧 ・・・ 1011.6hPa
気温 ・・・ 13.3℃
路面温度 ・・・ 15.5℃
【今回】
気圧 ・・・ 1022.0hPa
気温 ・・・ 15.8℃
路面温度 ・・・ 21.2℃
今回の方が気圧が10hPa以上高いので,ストレートがもっと伸びても良さそうな気もしますが,路面温度が高かったのがマイナス要素なんでしょうか? 1年振りのTC2000だったので路面の感触までは判断がつきませんが,2本目はタイヤカスが多くてトラクションが掛かりづらい状況ではありました.
では,ロガーデータで細かく見ていきましょう(赤:前回 青:今回).まずはSec1.
いきなりですが,スタートラインの時点で今回(青)の方が5km/hも車速が低いです・・・.この差ががそのまま1コーナーの進入までキープされ,これだけで0.1秒の遅れになります.立ち上がりでミスった記憶はないので「なんだこりゃ?」と思い,前回(赤)の車載を見返してみると,
前回は黒のFD2の後ろについてアタックを開始していました.「この距離でもトゥ(スリップストリーム)が効いているのか??」と一瞬思いましたが,さすがに遠過ぎな気がします.「だとすると,トラクション不足?」で昨年は再舗装後であった事を思い出しましたが(↓),
スタートライン手前の時点で5km/h差ついているので,要因は別っぽい.車載の音を聞く限り,最終コーナーでアクセルはちゃんと全開に出来ているので,コーナリングの限界が下がっているんでしょうね.
戻って,1コーナーの進入速度(1つ目の緑丸)は車速差を3.6km/hまで詰めており,ほぼ同じタイミングでブレーキングを開始.進入速度が微妙に低い事もあってか,ブレーキのリリースは今回(青)の方が僅かに早く,ボトムは今回(青)の方が僅かに高かったようです.この僅かな差が影響したのか? 1コーナーの立ち上がり(2つ目の緑丸)では,クルマが横に流れて前に進んでおらず,その後も途中(3つ目の緑丸)で失速していたりと今回(青)の方がスムースに加速していない感じです.これはタイヤカスの影響なんでしょうか・・・?
1ヘア手前の停滞(4つ目の緑丸)は,3→4速へのシフトアップによるもので,今回はエンジンが失火する都合上,3速キープが使えなかったとはいえ,やはり4速に上げるのは得策ではなさそうですね.4速へのシフトアップはブレーキング時にも悪影響が出ていて,4→3→2速と2段落とすところの,4→3速の部分(5つ目の緑丸)で一瞬ブレーキの踏力が抜けて減速度が弱まっているのが分かります.2段落としなんて年間を通じてほとんどやらないので,ドライバーの腕がまなっているんでしょうね(イカンな・・・).
1ヘアのボトムが目に見えて低い(6つ目の緑丸)のは,今回V字のラインを心がけた影響も多少ありそうですが,恐らく,例の失火(↓)が主要因だと思われ,
最後のダンロップ手前の失速(最後の緑丸)は,2→3速へのシフトアップをミスったせいなので,これもドライバーの問題ですね.
という事で纏めると,Sec1の遅れ0.5秒の内訳は・・・,
ストレートのスピード不足 ・・・ 0.1秒
トラクション不足 ・・・ 0.1秒
3速ホールド不可 ・・・ 0.1秒
ドライビングミス ・・・ 0.1秒
エンジンの失火 ・・・ 0.1秒
という感じでしょうか.当日も思いましたが,やはり「ドライビング」での詰め代は0.1秒程度で,これが当日出せるほぼ限界のタイムだったみたいですね.「エンジンの失火」は燃調を見直して対策するとして,「3速ホールド不可」もそれとセットで解消,「トラクション不足」はタイヤカスのせいだと考えれば,やはり問題は「ストレートのスピード不足」でしょうか.この原因を解き明かさないとダメですね・・・.
続けて,Sec2(赤:前回 青:今回).
ここは公式結果の通りで,ほとんど差がありません.2ヘアの立ち上がりにおける横滑り(1つ目の緑丸),バックストレートの瞬間的な失速(2つ目・3つ目の緑丸)はありますが,有意な差にはなっていないようです.
最後に,Sec3(赤:前回 青:今回).
ここは今回(青)の方が致命的にボトムが低いですね・・・.前回(赤)より7km/hも低く,「なんでこんなに低いんだ!?」と思い調べてみたところ,ここでもエンジンの失火が起きていて,アクセルは踏んでるのに回転が上がらないため,ここまで失速したようです.
ただ,それを差し引いても,アクセルONのタイミングは前回(赤)よりも遅く,そのせいで3km/hくらいはボトムが下がっているのは間違いありません.最終コーナーへの突っ込みは前回(赤)とほぼ同等のレベルで出来ているので,ドライバーがビビッて踏めてない訳ではなく,となると恐らくクルマ側に要因があるんでしょうね.
以上,TC2000の反省会でした.
今回,自己ベストの0.8秒落ちとなった原因を紐解いてみると,なるべくしてなった結果だったようです.エンジンの失火だけは想定外でしたが,それを差し引いても8秒フラット辺りが限界だったでしょうね.今回のセットのどこに問題があるのか?は概ね掴めたので,対策案を考えていきたいと思います.
Posted at 2022/11/25 01:55:16 | |
トラックバック(0) |
筑波サーキット・コース2000 | 日記