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2023年10月01日 イイね!

Rally1規定下での工夫

Rally1規定下での工夫では,先日見に行ってきた「Hyundai i20N Rally1」の細部をじっくり見てみたいと思います.

・・・とその前に,昨年から始まった「Rally1」規定を簡単におさらいすると,従来の「WRカー」と以下が異なるそうです.

 ・パイプフレームの許可(意匠を継承すれば縮尺も可)
 ・1.6L 直列4気筒の直噴ターボにハイブリッドシステムを追加
 ・パドルシフト禁止(シーケンシャル5速)
 ・アンチラグシステム,アクティブセンターデフ禁止
 ・フロントカナード,ルーバー,大型ディフューザー禁止

この中で外観的に分かるのは,一番最後の空力部品関係ですかね.


それでは早速,フロント周りから見てみましょう.



カナードが禁止された事で,大分すっきりした形になってますね.とはいえ,バンパー下端からフロントフェンダーに向けて滑らかに繋げられており,これが大きなカナードのような形になっています.サイドフェンスがない分効果は少ないのでしょうが整流効果はそれなりにありそうです.



フロントラジエターの両サイドに別の開口部が設けられており,右と左で形状が異なります.一説ではフロントブレーキ用とトランスミッション用との事で,そうすると左上の穴がトランスミッション用なんですかね?
(ちなみに,Rally1では「補機毎に1つのダクトを許可する」という条文があるそうで,左側が2個になっている理由はそれに起因していそうです)



ボンネット上部にも開口部があるようですが,展示車両では完全に塞がれていました.


続けて,サイド.



フロントフェンダー上部は,ルーバーが禁止された事でスッキリしているのはともかく,非常にフラットな形状ですね.GT車両ではここを曲線にしたりしているのをよく見るのですが,Rally1の場合,この後出てくるハイブリッドシステム冷却用の開口部に空気を導かないといけないので,ここは意図的にフラットにしているそうです.



このリアに空気を流す思想はサイドミラーにも現れていて,ドアからステーが生えているのですが,そのステーは単純な棒ではなく,非常に複雑な形状をしています.



・・・で,そのハイブリッドシステム冷却用の開口部はこんな感じ.MR車の吸気口を思い出しますが,ガラス面に沿って開口部は並行な形状ではなく,上部がやや外側に広がっているのが分かります(四角ではなく三角みたいな感じ).先程のフロントフェンダーを通過した空気をより上面で多く取り込みたい意図が読み取れます.



リアフェンダーの手前には,NACAダクトの姿が見えます.これはリアブレーキの冷却用ではないか?との事ですが,結構高い位置に,やや斜めの角度で付いているのが面白いですね.



そして,このクルマの一番の注目点がココかなぁ~?と個人的に思ったのが,リアフェンダー前側の切り取られている部分(横板がない感じのところ).なんでこんな形状をしているんだ?と思ったら,どうやらこれがルーバー禁止の対策なんだそうです.



走行時タイヤは回転しているので,タイヤの後方で巻き上げられた空気はリアのフェンダー上部に向かって流れます.従来であれば,フェンダーの天井に当たった後,そこにルーバー(穴)が開けられていたので,空気は上方に逃げる事が出来ました.しかし,Rally1ではルーバーが禁止されてしまったのでフェンダー上部に当たった空気を逃がす方法がありません・・・.



そこで,リアフェンダー前方をまるで捲れたかのように切り抜く事で,空気の逃げ場を作っているのだそうです.レギュレーションの制約から来た苦肉の策とも言える形状ですが,なるほどなぁ~と思いました.「派手なルーバーを付けたくないけど,空気抵抗は減らしたい」みたいなケースでは,これを真似てみるのも良いかもしれませんね.
(ちなみに,Rally1では「リアバンパーの開口部からホイールが見えてはいけない」という規定があるため,リアタイヤの後方に穴を開けられないそうです)



なお,リアバンパーの突き出し量が結構大きいですが,これはウイングの長さを稼ぐためなんだそうです.細かい規定は読んでませんが,恐らく「ウイングがボディワークから突き出てたいけない」みたいな条文があるんでしょうね.


最後にリア周り.



これでも小さくなった方ですが,二段重ねの大きなウイングです.ウイングの左右には小さなウイングレットが付いていて,ボディサイドの空気の流れを意識している様子が窺えます.ちなみに,このi20Nのウイングレットは他のメーカーと比べて小さい方なんだそうです.



リアバンパーの左右に開いている穴は,ハイブリッドシステムの放熱用だそうです.



マフラーはセンターにレイアウトされており,先述の放熱口と合わせてi20Nはこれらの位置が比較的高いのが特徴なんだとか.この3つを合わせて所謂ところの「ブロウンディフューザー効果(勢い良く気流を排出する事でその下の空気を引っ張り出し,ダウンフォースを稼ぐ手法)」を狙っているんじゃないか?と言われているそうです.これもRally1から禁止された大型ディフューザーの対策と言えそうです.



また,ディフューザー効果と言えばレーキの話もあります.車体を前傾させる事により,ボディ下面全体をディフューザーにする狙いですが,Rally1では「8°」というレーキ角制限があるとの事.このi20Nもレーキがちゃんと付いているように見えますね・・・.


以上,「Hyundai i20N Rally1」の空力調査でした.

派手な空力部品が使えなくなった事で非常にスッキリした,個人的には好みの形状をしているRally1カー.そのスッキリした外観の中で如何にダウンフォースを生み出すか?という工夫が随所に見れて非常に面白かったです.
Posted at 2023/10/01 21:40:00 | コメント(0) | トラックバック(0) | イベント見学 | 日記

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