引続き「富士モータースポーツミュージアム」の話.
今回こちらに行った理由はいくつかあるのですが,その中の1つに「トヨタ GT-One TS020」のエンジンルームを期間限定で公開しているというものがありました.中を覗いたからといって,どうこう~という訳でもないのですが,頻繁に見れるものでもないのですし,折角見れるチャンスがあるなら逃したくない!という事で足を運びました.
という事で,早速1999年仕様の「TS020」とご対面.
カウルは取り除くのではなく後ろに開く感じですか・・・.これだとちょっと見にくいですが,覗き込んでみると(↓),
勿論,エンジン本体が見えるのですが,何だか周囲が凄いパイピングです.
手前にある,このカーボン製のチャンバー(↓)はなんだろう?と追いかけてみると,
その先にはターボチャージャー(↓)があるようでした.
という事は,チャンバー付近にあったのはインタークーラーか? ならばその空気はどこから取り込んでいるんだ?と思い戻って見てみると,ココ(↓)から吸っているっぽい.
アレ? そうすると,ルーフに付いているこのエアスクープ(↓)は何なんだ?と思い,
背部に回って見てみると(↓),
右側のチャンバーが背面に繋がっているので,ココと内部で繋がっているのかな・・・? 2本伸びている黒い棒はストレスメンバーっぽく見えますけど,どうもその内部を何かが通っているっぽい. あと,真ん中のオレンジ色の蛇腹チューブは何だ?と思い追いかけてみると,
オルタネータの真上に出ていました.柔らかいチューブなので最初は水か油かを抜くためのものなのかな?と思いましたが,電気部品にかける訳がないので,これはオルタネータの冷却用ですかね??
折角「TS020」の内部が見れるのであれば,反則技と言われたトランクスペースを是非とも見たかったのですが,後で調べてみたらそれはコクピット後方にあるのだそうで,こちらはドアを開けてくれないと見れなさそうですね・・・(残念).
さて,これで目的の1つは終わりとなったのですが,その隣に最近展示が開始された「トヨタ スープラ LM-GT(↓)」があったので,そちらもついでに見てみます.
こちらは1995年のル・マンに参戦した車両で,JGTC仕様のスープラを改良して仕立てたクルマとの事.ターボとリストリクターの変更により,420PS→600PSまでパワーアップさせたそうです.
その一方で,レギュレーション上,床下がフルフラットでなければならず,JGTC仕様のクルマにそのままアンダーパネルを装着した結果,熱の逃げ場がなくなり,冷却面が苦しくなって無数のアウトレットが設けられたのだとか.
ふ~ん・・・と思いつつ眺めていると,何だかボディサイドにやたらと吸入口がある事に気づきました.
・・・で,この先がどこへ向かっているのか?と見てみると,なぜだか全てボディ後方に向かっています(↓).
熱で苦しいなら,発熱源であるエンジンルーム(=前方)を冷やすんじゃないのか?と思いつつ,この位置より後方にあるものって言ったら,燃料タンクくらいしかないよなぁ・・・と考えていたら,
「あっ! 燃料のべーパー対策なのか!!」
「べーパー」とは燃料が熱で気化した状態の事で,給油する時にガソリンの蓋を開けるとシュ~と音がするアレです(最近のクルマは密閉式になっているので音を聞いた事がないかもですが・・・汗).液体で詰まっている配管内で燃料が気化すると,その気体が蓋となってエンジンは燃料を吸えなくなるため,瞬間的な失火が起こったりします.その対策としてポンプで加圧したり,エキマニを避けて燃料配管を通したりするのですが,あまりにも高温だとどうしても「べーパー」が発生してしまいます.なので燃料自体を冷やす事が効果的なのですが,そのための後方へのダクトだったとは.予想外でしたがこちらも面白かったです.
以上,ル・マンカーの内部を覗いてみた結果でした.
Posted at 2024/09/28 06:19:30 | |
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