
酷暑の夏も終わって朝・晩は気温が下がり,アタックシーズンの気配が漂ってきた訳なのですが,気温が下がってくると苦しむのがリアタイヤのウォームアップ.
真冬のアタックを始めた最初の数年間は,熱がなかなか入れらず,かなーり苦しまされましたが,ここ数年はその原因も大分掴めてきたので,以前ほど苦労はしなくなりました.とはいえ,フロントに熱は入れ過ぎないように注意しつつ,リアを素早く温めるのはそれなりに苦労する訳で,少しでも温まりが早い方が嬉しいのは変わりません.
また,コロナ禍が空けて以降,1枠の走行台数が増えてきた事もあり,かつてのように意図的にテールスライドさせて,リアを強引に温める技も使いにくくなりました(私が走るのはタイムアタックイベントではなく普通のフリー走行枠なので,台数が多いと車両同士の間隔も狭くなる).そんな訳で更なる改善策が何かないかなぁ~?と考えていた時に,「タイヤの温度管理にホイールを使う」という話を思い出しました.
タイヤから最も近い位置にあるブレーキという熱源から,フィンを使ってホイールに素早く吸収させ,ホイールを素早く温める事でタイヤのウォームアップを促す,というヤツです.
レーシングカーじゃないので,こんな機能特化のホイールなんて一般人には入手出来ませんが,そこまで行かなくてもホイールをフィンタイプ→ディッシュタイプにすれば放熱性が下がって温まりそうだなぁ~?→それならホイールカバーの方が手っ取り早いか?→けど,カバー付けてサーキット走行なんて外れそうで怖いなぁ~と思考が進み,「なら,現物を1度見てみるか!」という事で「富士モータースポーツミュージアム」へと向かいました.
本当はJTCCのもの(↓)が一番見たかったのですが,
コレクションホールに保管されているアコードはいずれも付けておらず,ヘリテージコレクションに保管されているであろうプリメーラは見学のハードルが高過ぎて見れず,コロナ/チェイサーは海外に流れて国内には現存していないのでは・・・?という事で,「富士モータースポーツミュージアム」にあるCカー「マツダ 787B(↓)」を見に行く事にしました.
ただ,この「マツダ 787B」の場合はリアではなく,フロントにカバーが付いていますし,タイヤの温度管理ではなく,ブレーキの放熱性向上が目的だと思うので用途は少し異なりますが・・・.
ちなみに,専門家に言わせるとリアのホイールカバーの事を「Wheel Shrouds」と言い,フロントの特にF1で使われていた回転しないタイプのカバーの事を「Static Wheel Fairing」と言うのだそうです.余談の更に余談になりますが,この回転しないタイプのカバーに関して調べていたところ,「ワイエス・グラフィックス」という会社が「無回転ホイールキャップ(↓)」という製品を販売しているそうです.

(ワイエス・グラフィックス:
無回転ホイールキャップより)
恐らく広報用途なのでサーキットユースは無理でしょうが,低速時には内部に設けられたウエイトによって静止状態を作り出し,高速走行時にはキャップ内部に流入した気流を後方の穴から排出する事で静止状態を作り出しているそうです.面白いですね.
おっと話が逸れた.元に戻して本題.
今回「マツダ 787B」を見直して初めて知りましたが,RAYS(VOLK RACINGブランド)製のホイールを履いていたのですね.この時代らしく
鍛造の3ピースなんだとか.
カバー(というよりフィン?)の狙いは空力とブレーキ冷却性能の向上だそうです.
取付けは,ホイールナットの外側に5本の細いボルト(というよりビスかな?)でホイール本体に締結されているようです.こんな細いビスなんだ・・・と思いつつ,やっぱりちゃんとハード的に固定してるよなぁ~と思いました.
リアはカバーが付いていないのですが,よーく見てみると,
先程のビス相当の穴が空いているので,リアにも付けようと思えば付けられたんでしょうね.
ふむふむ,なるほど~と思いつつ,そう言えばラリー車も用途が異なる(砂利等からブレーキを守る)けどカバーっぽいデザインだったよなぁ~と思い,
先述のスタリオンを見に行くと,
おおっ,結構似ていますね(↓).
ついでに他のラリーカーも見ておくか~と目を移すとこんな感じ(↓).
「OZのホイール,やっぱりカッコいいなぁ~」と途中から主旨がズレてきましたが,形状は大変よく分かりました(笑).
これで終わり・・・と思ったところで,「そういえば,ここにもF1があったなぁ~」と思い出し,「TF109」のところへ.
この年代のF1ともなると,常人には全く分からない構造をしているので,外から見ているだけでは理解出来ませんが,一先ず写真に収めておきました.
以上,ホイール・シュラウド調査でした.
やはりカバーを付けるのは非現実的かなぁ~と思いましたが,ラリー車のようなディッシュタイプならアリかな? ファッション重視のホイールならもっと覆ったモノもありそうな気もしますが,今度は剛性面で不安になるのでメーカーはよく考えないとダメですね.
あと,放熱ではなく,吸熱を重視するなら,ホイールのインチダウン(ブレーキにホイールを近づける)という手もあると思うので,そこら辺も踏まえつつ色々と調べてみようと思います.
Posted at 2024/09/29 18:35:37 | |
博物館見学 | 日記