
感触がかなり悪かったにも関わらず,
ロガーデータから分析してみると意外とA052と差がないRE-71RSでしたが,
先日のTC1000では,内圧のテストもしたのでそちらの結果も纏めておきます.
今回は以下の3段階でテストしました(↓).
①A052と同じ内圧設定
②上記①から10kPa下げ
③上記②から更に10kPa下げ(トータル20kPa下げ)
まず基準となる①ですが,新品のデータだと②・③と比較するのは不正確なので,新品効果の終わった1本目終盤のタイムをサンプルにしようと思うのですが,ついでなのでRE-71RSの新品効果がどこで出るのか?をチェック.
赤が新品時,青がそれから10周(アタックラップとしては2周)した後のデータ.総じてアクセルを開けてこれから加速させようとしたタイミングで,クルマが前に進んでいないですね.斜めのグリップが更に落ちたような感じ.公式でのタイム差としては,
新品(赤) ・・・ 41.645
ユーズド(青) ・・・ 42.013 (+0.368)
となっていましたが,ロガーデータ上ではコーナー1個当たり0.13秒遅くなっているので,それが4箇所でトータル0.42秒落ち.公式との0.05秒差はドライバーがタイヤの特性に慣れた事で,進入のブレーキングで削り取った分といった感じですかね.
基準データが出来たところで,まずは10kPa下げ(②)と比較.
公式でのタイム差は,
基準(赤) ・・・ 42.013
10kPa下げ(青) ・・・ 41.981 (-0.032)
0.03秒差なんで違いはないかなぁ~と思いましたが,ロガーデータを見ると各コーナーのボトムが若干引き上げられているので,これのチリツモが0.03秒差を生んだようですね.
続けて,20kPa下げ(③).
こちらも同じく公式のタイム差としては,
10kPa下げ(赤) ・・・ 41.981
20kPa下げ(青) ・・・ 41.990 (+0.009)
0.01秒以下の差なので,もはや計測誤差レベルですね.ただ,こちらはドライビングを少し変えていて(↓),
RE-71RSの斜めのグリップの低さを補うために,進入を抑え気味にして立ち上がりでタイムを稼ぐ走らせ方をしてみたのですが,タイム的には進入のロス分と立ち上がりのゲイン分が相殺されて±ゼロといった感じ.このタイヤでタイムを引き出す方法がやっぱり見つからないですね・・・.ただ,内圧を20kPa下げてもタイヤにヨレる感じはなく,データを見てもしっかりと加速出来ているので,この辺りはA052とは違うな~と感じます(やっぱり剛性は高い).
ここまでの結果を纏めると,
・A052よりは内圧が低めの方が好み(=剛性が落ちてA052に近い感触が得られる)
・10kPa下げると違いは出るが,10kPa⇔20kPa間はあまり変化なし
・但し,20kPa下げてもタイヤはヨレていないので,もっと下げると違いが出るかも?
といった感じでしょうか.ちなみにこれらのデータを見ている過程で1つ気づいたのですが,20kPa下げた時のデータ(青)とA052の新品時(赤)のデータを比較してみると(↓),
例の大舵で曲がらないポイントがほぼ同じ波形になっているんですよね・・・.RE-71RSの新品時はA052を4km/hも上回っていたボトムが同等レベルにまで落ちているので,内圧を20kPa下げると剛性がそこまで落ちるという事なのか・・・?と思ってしまいました.
しかし,上のデータを改めてよく見てみると,どうやらボトムが高かったのは新品時のみで,1本目の終盤時点では既にボトムが落ちていた様子.となると,この高いボトムはタイヤの摩耗状況と関係がありそうだなぁ~と思い,タイヤのカス取りをしながら摩耗状況をチェックしてみると(↓),
左側のOUTサイドはキレイに摩耗しており(↓),問題なし.
左側のセンター部分は(↓),左側の端が削られてかなり状態が悪いです.
摩耗して擦り減ったというよりは「強引にむしり取られた」といった感じで,ブロック飛びに近い事が起きていそうです.
残るIN側の部分は,グレイニングが出ています(↓).
「グレイニング」とは,タイヤの表面がささくれたように凸凹している状態の事で,これが起きるとタイヤの接地面積が減ってグリップしなくなります.この「グレイニング」はタイヤの表面温度が充分に上がっていない状態で酷使すると起きる現象なので,つまるところ,左フロントのIN側は温度が上がり切っていなかったという事を示しています.
TC1000は右周りのコースですから,クルマがロールするとタイヤの負荷はこんな感じになり(↓),
左フロントのOUT部分はロールして接地するので温度が上がり易く,反対にIN側はロールすると浮いてしまうため,冷やされて温度がなかなか上がらなくなります.これが今回のタイヤ表面に顕著に表れているという事でしょう.
ここまでの観察結果を模式化すると,こんな感じになります(↓).
ここから,新品でタイムが出るヒントは左側から2番目のブロック(「酷使」している部分)にありそうですね・・・.タイヤを斜めに使おうとすると,このセンター部分が摩耗するのはよく知られている事ですが,同じセンターでもその隣のブロックは逆に温度が上がっていない(=使えていない)事から,本来はセンター2本で支えるところを1本で支えているから,酷使されて千切れ飛んでいる可能性は有り得そうです.
こうなった原因はキャンバー角のセッティングが合っていない事に起因しているのだと思いますが,RE-71RS特有のラウンド形状(↓)がそれを助長しているせいでもあるので,やっぱり厄介だなぁ~と思いました(IN側がラウンドしているため,浮き易い).
今回,内圧の20kPa下げをテストした目的は,接地していない部分(タイヤの温度が上がらない部分)を無理やり接地さえるためだったのですが,タイヤ表面の状態を見る限り,あまり効果を発揮していなさそうですね.イメージ的には下記の図の「真ん中で接地」を「全体で接地」にする事を狙ったのですが(↓),
走行後のタイヤカスが「酷使」のブロックに集中している事から(↓),
内圧が低過ぎて上図の「両端で接地」になっているのかもしれません.真ん中が浮いているためカスがそこに集まり,窪んでいるため路面と接する事もなく,剥がれない~とか? ただ,そうなると右側のタイヤにも,センター部分にカスが集まっている気もするのですが,こちらは付いておらず(↓).
左側では酷使されたOUT寄りのセンター部分は,若干削り取られ気味ではありますが,左側に比べればまだマシな感じでした.
ついでなのでその左右部分も見てみると,IN側は接地する部分なので普通な感じ(↓).
一方,OUT側は接地しない(温度が上がらない)方向なので,グレイニングが出ていました(↓).
左右で状態が違う事から,内圧が低くて凹形状になったのではなく,バックリング(↓)が起きて,コーナリング中にセンター部分が接地していなかったのか?とも思いました.
RE-71RSはバックリングに強いタイヤだと思いますが,それはあくまで規定の内圧で走った場合でしょうから,やはり20kPa下げはやり過ぎだったのかもしれません.
以上,RE-71RSの内圧考察でした.
タイヤ表面の観察結果を踏まえて結論を微調整すると,内圧は「A052比で10kPa下げが適正」といった感じですかね.この状態で走った後,左フロントのカスの付き具合を見て,付くようだったら上げ,付いてないようだったら下げといった感じで再テストしてみようと思います.
ただ,仮に内圧を適正値に合わせられたとしても,RE-71RSの斜めのグリップ不足は歴然とした事実なので,そこはどうしようかなー?という感じです.3本目でドライビングを変更した際のデータを見ると(↓),
1コーナーのターンインでA052(赤)と同じようなラインで進入したとしても(右側の緑丸),2コーナーの出口ではRE-71RS(青)の方が膨らんでしまっているので(左側の緑丸),このアンダーステアはドライビングで何とか出来る余地はあまりないかなぁ~という気もします.
拳1個分ステアリングを多めに切れば,A052と同等の旋回速度を出せた結果を踏まえると,もうちょっとトー角を閉じれば誤魔化せるかなぁ~?とも思いますが,RE-71RZを前にそこまでやる必要があるのか?という気もしますね.RE-71RZのトレッド画像が出れば,今回のテスト結果を踏まえてアレコレ妄想も出来るので,明日から12月ですし,少し静観といったところでしょうか.
