
現在,TC2000の自己ベストは1分9秒台なのですが,どう足掻いても,これ以上のタイムが出る気がしないので,EF8の実力をチェックしてもらうべくレーシングドライバーの菊地靖さんに乗って頂きました.
当日は曇り空の無風・気温10℃前後とタイムアタックには絶好のコンディション.今回は直前に
足回りのセッティングを少し変更したため,3ヒート使って前後バランスをチェックし,私自身が考え得るベストのセッティングで乗って頂きました.
さて,プロの感想を語る前に,まずは私の当日ベストをご覧下さい.
前を走る先輩のEF8を必死に追いかけた結果,自己ベスト更新の 1'09.316 をマーク.ところどころでミスもしてますので,纏めれば0.1~0.2くらいは削れそうですが,8秒台は見えませんでした.
それでは,菊地さんの走りをご覧頂きましょう.
「8秒台? そんなの楽勝だよ!」と言わんばかりに,更にその先の世界まで行かれてしまいました・・・.
以下,感想です(会話する時間がほとんどなかったので,今回は少なめです).
・前後バランスは良い.乗りやすい.
・この年代のクルマは滑らせて乗るしかないが,滑り出しが穏やか.
・まだまだタイムは出せる!(6秒8くらいまでいけるらしい・・・).
1秒くらいの差は覚悟していたのですが,ここまで圧倒的な差をつけられるとは思いませんでした・・・.
6秒台が狙えるクルマなのに,9秒台でウロウロしているって,私はどんだけEF8の性能を引き出せてないんだ・・・.
かなりショックですが,腕の差なら違いを分析して学ぶしかありません.LAP+の解析行ってみましょう.
①1コーナー(1~2つ目の赤丸)
進入速度は菊池氏の方が5km/h近く高いですが,これの原因は最終コーナーにあるので後述するとして,注目点はブレーキングです.ブレーキングを開始するポイントはほとんど変わりませんが,最低車速がクリッピングポイントに来るように踏力を調整しています.
一方の私はターンインし始める時点で既にブレーキングが終わっており,クリップまではアクセルもブレーキも踏めない空走状態になっています.この空走時間が長い分,私はアクセルを踏むタイミングが遅く,結果,1コーナーを通過しただけで0.9秒も差をつけられます.
このブレーキングの違いは,ステアリングの舵角でも確認出来ます(上:私 下:菊地さん).
クリップまでブレーキングを続けていられる → フロントの荷重が残っている → 向きが早く変わる → 舵角が減る → アクセルを早く踏める という好循環です(さすがプロ!).
②第1ヘアピン(3つ目の赤丸)
私はシフトの2段落としが苦手なので,車体が安定してから操作を開始しようと,ヘアピン手前の右の縁石を通過した辺りでアクセルOFFしてしまっています.一方,菊地さんは縁石を乗り越えてからブレーキングを開始しても苦もなくシフトダウン出来るため,ギリギリまで加速を続けて進入速度を4km/hも高めています(これだけで0.3秒も稼いでいる).
ちなみに,タイムには現れていませんが,菊池さんは3→4速のシフトアップでも段つきが見えません.
この辺りも技量の差が出ています.
③ダンロップ手前(4つ目の赤丸)
ブレーキングからのアクセルONが菊地氏の方が早いため,ここでも差が開きそうな気がしますが,ここは私の方が速いです.LAP+で言うところのSCT.3(1ヘア進入~ダンロップ手前)のタイムは,
私 ・・・ 9.100
菊地さん ・・・ 9.293
となっており,このセクターだけで話をするなら,ボトムスピード狙いも悪くないようです.
④ダンロップ(5つ目の赤丸)
恐らくアクセルOFF程度の減速で進入している菊地氏に対し,ブレーキを踏んでから進入する私.この差は大きく,第2ヘアピン進入までに0.5秒も差がつきますが,これは単に私がチキンなだけでしょう.思い返してみると,ここを通過する際のEF8の挙動は非常に安定していたので,日光の8コーナーと同様のアプローチで飛び込んでみれば良かったです・・・(まぁ,走り込みの差とも言えますが).
⑤第2ヘアピン(6つ目の赤丸)
1コーナーと同じ理屈ですね(上:私 下:菊地さん).
舵角が少ない分,車速の伸びが良く,バックストレート全体で0.4秒も離されます.
⑥最終コーナー(7~8つ目の赤丸)
ワンテンポ,菊地氏の方がブレーキングが奥です.これによって終端速度が1.3km/hアップし,更に0.2秒稼いでいます(ここも私がチキンなだけ).
ただ,LAP+でいうところのSCT.6で見ると面白い結果が見えます.
私 ・・・ 11.083
菊地さん ・・・ 11.207
ゴールラインの車速で見ると,9.3km/hも違うので,菊地氏の方が速いと思いきや,セクタータイムは私の方が速いです.これは恐らくライン取りの違いで,菊地さんはホームストレートの車速を稼いでタイムを出す立ち上がり重視のラインを取っているのに対し,私はインベタで距離を短くして,ひたすら旋回速度でタイムを稼ぐラインになっています.
(このせいか,私の場合は4速キープで最終コーナーを回った方がタイムは良かったです)
ただ,このラインだとフロントのグリップ頼りになるので,コーナー出口の姿勢が苦しく,アクセルコントロールしながら立ち上がるため,ホームストレートで速度があまり伸びません(上:私 下:菊地さん).
ちなみに,LAP+ではなく,公式の記録で比較してみると,
私 ・・・ 最高速:153.170km/h Sec3:12.147
菊地さん ・・・ 最高速:152.306km/h Sec3:11.897
となっていて,LAP+の解析結果(最高速は菊地さん,セクタータイムは私)とは真逆のデータになっていました.
これが計測ポイントの妙でしょうか・・・.
TC2000のタイムを上げるために何が必要なのか,今回菊池氏に走って頂いて大変良く分かりました.ライン取りやブレーキングポイントの詰めは,TC2000での走り込み量(コース攻略具合)だと思うので,今回の反省を次回の走行に活かしたいと思います.
その一方で,ブレーキングのスキルに関しては,何か特別な訓練をしないと身に付きそうにありません.反復練習が必要な気もするので,こういった分野のドラテクスクールを探そうかなと思っています.
それはさておき,今回は大変勉強になりました.
菊地さん,有難う御座いました!