
現在のEF8の限界はどこら辺にあるのか? その限界に到達するために不足している点は何なのか? 自身のドライビングにおける課題をより明確に浮彫りにするため,TC1000の走行会でレーシングドライバーの井尻薫さんにEF8に乗って頂きました.
井尻氏には,
昨年のTC2000でも乗って頂き,その際は生憎のウエットコンディションでしたが,EF8の良い点・悪い点に関して非常に多くのコメントを頂けて,「これだけコメントが頂けるなら,是非ともドライで乗って欲しかった・・・」と悔いが残っていました.
今回遂にその機会が訪れ,私自身の課題出しだけでなく,EF8の課題出しもして頂けるのではないかと,当日は期待してサーキットへ向かいました.
では,先にEF8課題出しの方から行ってみましょう.井尻さんのコメントです.
・挙動の変化が大きく,足が柔らかい印象.
・ダンパーが抜け気味なのかもしれない.そろそろO/H時期?
・この年代のクルマなので,ボディも少し柔らかい(ヨレている?)
・タイヤのグリップに足が負けている.
・(コーナーで)クルマが対角線上に傾いてしまう.その結果リアが出る.
・リアが動かないのも困るだが,これはもう少し粘って欲しい.
・(この姿勢だと)タイヤの縁ばかり使って,ショルダーの摩耗が激しいはず.
・これなら,ブレーキとステアはオーバーラップさせない方が良い.
・足が決まれば,もっと速くなるよ!
・・・との事で,総括して「のりごたえのあるクルマ」と評して頂きました.
なお,足の問題の挙動に関しては,同乗走行中に再現までして頂きました.
この年代のホンダ車のボディ剛性は言うに及ばずなので,それは仕方がないにしても,ダンパーが抜け気味なのは事実かもしれません(2年前に中古で入手してから,まだ一度もO/Hをしていないので・・・).バネレートに関してもショップ推奨のF:14kg R:10kgに比べれば,F:10kg R:8kgと柔らかいですし,実際タイヤのショルダー摩耗は酷いですし,頂いたコメントは全て的を射ていると思います(さすが!).
さて,次はドライビングの課題出し.
いつもの通り,LAP+の比較結果をご覧下さい(青線:私 緑線:井尻さん).
①1コーナー進入(1つ目の赤丸)
ホームストレートの通過速度は大差ありませんが,私の方がブレーキングポイントがやや手前です.
画像で見るとこんな感じ(上段:私 下段:井尻さん).
車速にして約1.5km/h井尻さんの方が伸びるため,これで0.05秒差.
②1コーナー(2つ目の赤丸)
ブレーキングで井尻さんは強く・短く止めて,しっかりフロントに荷重を乗せて向きを変えているのに対し,私は少しダラダラとした止め方でアクセルONも遅いです.これで+0.1秒.
③第1ヘアピン進入(3つ目の赤丸)
①と同様,僅かな差ではあるのですが私の方が若干ブレーキングが手前.先程と同じく1km/h井尻さんの方が伸びるため,更に広がって0.15秒差.画像で見るとこんな感じです(上段:私 下段:井尻さん).
④第1ヘアピン(4つ目の赤丸)
しっかり向きを変えようと車速を落とすも,どうやら私は落とし過ぎ.差は更に広がって0.25秒.但し,車速が低い分,ヘアピンを小さく回れるので次のコーナーへの距離は短いです(結果,あまり引き離されない).
⑤第2ヘアピン(5つ目の赤丸)
第1ヘアピンから第2ヘアピンまでの加速力ではイーブンですが,第2ヘアピン進入~中盤までブレーキを弱く・長くかけてフロント荷重をキープする井尻さん.これによって,しっかりと向きをかえつつ,ヘアピン出口で一気にアクセルONしたV字状の波形になっています.これで一気に差は0.5秒へ.
ブレーキをリリースするポイントの画像を見てみると,こんな感じです(上段:私 下段:井尻さん).
フロント荷重がしっかり掛かって曲がる井尻さんの方が舵角が小さく,よりインにつけているのが分かります.
⑥複合コーナー進入(6つ目の赤丸)
ここは私の方が車速が0.9km/h伸びていますが,これによるタイム上のメリットはほとんどなく,差は詰まらず・・・.
⑦最終コーナー(7つ目の赤丸)
ここでも⑤と同様に,井尻さんの方はフロント荷重をキープし続けた後,一気に全開にもっていくV字状の波形に.これで差はますます広がり,0.7秒.
なお,アクセルを全開にするポイントの画像を見比べると,こんなに差があります(上段:私 下段:井尻さん).
私の走り方では,タイヤを横方向に使うばかりで前に進まず,車速も伸びません.結果,ゴールラインを通過するまでに更に0.05秒引き離され,1周1kmのコースでトータル0.75秒も差がついてしまいました.
ライン取りやブレーキングポイントに明確な差はないものの,ほんの少しのブレーキの詰めだったり,絶妙な荷重の掛け方/残し方だったりが,着実な差を生んで1周で大きな差となっています.
こういった高いレベルの精度こそが,まさしく「プロの技量」であり,鍛錬の賜物なのだと思います.一朝一夕で身につくような簡単な技術ではないと思いますが,少しでもこの差を埋めるべく,今後も精進を続けていきたいと思います.
井尻さん,有難う御座いました.
Posted at 2017/04/22 02:35:01 | |
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