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2019年06月30日 イイね!

ガーニーフラップ調査 その③

ガーニーフラップ調査 その③フォーミュラ中心に調べてきたガーニーフラップですが,EF8用を想定するなら当然ツーリングカーを調べるべき!という事で,ホンダコレクションホールでの調査後編です.

ただ,ツーリングカーと言っても,最近のレギュレーションはウイングの装着位置が高いので,私が目指しているローマウントウイングにはあまり参考にはならないんですよねぇ・・・.また,最近はウイングの共通パーツ化が進んでいるので,DTMと共通化しているGT500マシンや,GT3が大勢を占めるGT300なんかは,新しい発見は少なそうです.

・・・という事で,結局,自由度が高かった古い世代が参考になるため,自然と興味もそちらに向かいます.

まずは,Castrol 無限 NSX (NSX-GT).



当代随一のコーナリングマシン,空力マシンとして名を馳せたマシンですね.



当然,結構な高さのガーニーフラップが付いてます.
特徴的なのはウイングの両端に向かってガーニーの高さが絞られている点でしょうか.



裏から見ると,ガーニーの高さがよく分かります.結構高いですね(10mmくらいありそう).



更にウイングの角度を見ると,どのコース向けのセッティングなのかは分かりませんが,一番立てているのでマキシマムダウンフォース時のセッティングのようですね.つまり,最もダウンフォースが欲しい時のガーニーの高さがこれくらいだという事でしょうか.また,翼端版の形状も影響しているのだと思いますが,フォーミュラよりもガーニーフラップの角度が寝ているのが興味深いですね.


次は,JACCS ACCORD.



実はこのクルマのリアウイングが一番気になっていました.なぜか?と言うと,レギュレーションでウイングの装着が認められつつも,ローマウントである事が制限として設けられたシーズンのクルマだからです.これより前(~'95年)のフェリオではリアウイングと言うよりはスポイラーですし,これより後の'97年仕様のアコードだとハイマウント化が進んでしまうので・・・.



やっぱりレーシングカーとは思えないくらい小さいですね.ガーニーは付いていませんが,注目すべきはその形状です.ウイング後端が衝立状に立ち上がっているのが分かります.



背後から見ると,ちょうど「mooncraft」のデカールが貼れるくらいの高さがある事が分かります.ウイングの前後長がそれほど長くないのに,後端がほぼ垂直に立ち上がっている,これはガーニーフラップと同じ効果を狙ったものではないかと思っています.



そして,興味深いのがこのウイング,中央部はガーニーフラップのように衝立になっているのに,両端は3D形状にして寝かした形状になっている点です.気付きましたかね? コレ,以前のGTウイング考察で述べた,

 ②GTウイングで重視すべきはウイングの両端(だからこその3D形状!)

・・・の真逆の形状なんですよ.ウイングの両端ではなく,ウイング中央部でダウンフォースを稼ぐ思想ですね.

では,なぜ,こんな形状なのか? セダンボディのアコードですから,EF8以上にボディ中央部の方がウイングの効果が低いのは間違いありません.なのに,この中央部が立った形状という事は,狙いが逆なんでしょう.

つまり,効果が低い中央部のダウンフォースを補うために,ガーニーのようにフラップを立てる,反対に両端側は元々ダウンフォースが稼げているので,ガーニーをなくしてドラッグを減らす・・・.そういう思想だとこういう形状になるのではないかと思いました.もし,そうだとすると,NSX-GTのリアウイングが,両端でガーニーの高さが絞っていたり,B・A・R Honda 006のリアウイング両端に隙間が設けてあったりしたとも頷けます.


つまり,何を言いたいのかというと,ガーニーフラップをGTウイングの後端全面に貼るのではなく,ウイングの中央部(フラットな部分)のみに貼るのも1つの手なんじゃないか?という事です.

確かにリアを安定させるためにダウンフォースは欲しいですが,かと言って過剰にダウンフォースを付けるとローパワー車は失速してしまうので,ドラッグとダウンフォースのバランスを取るという意味で,効果の低い中央部のみガーニーフラップを付けて補ってみるというのも面白いんじゃないかと思いました(フラットな面の方がガーニーを付け易いという意味合いもあります).


ちなみに,このガーニーフラップ追加によるドラッグとダウンフォースのバランスをなぜ気にしているかというと,閲覧室で見たRacing onバックナンバーの実験記事を読んだからです.



 ガーニーフラップ装着前 ・・・ ダウンフォース: 520kg  ドラッグ:218kg
 ガーニーフラップ装着後 ・・・ ダウンフォース:1110kg  ドラッグ:570kg

これは車速74km/h相当の気流を当てた時の試験結果だそうなのですが,ガーニーを付ける事によって,確かにダウンフォースは2.13倍に増えているのですが,ドラッグも2.61倍に増えてしまっています.本来,ガーニーはダウンフォースは増えるがドラッグはそれ程増えないのが利点であるはずなのに,この試験結果はそれを示していません.

この原因を記事の中では「ウイングのサイズに対して,ガーニーのサイズが大き過ぎたため」と述べていました.前回調査したDallara DW12やReynard 96Iを見て頂ければ分かると思いますが,ウイング本体のサイズが小さければガーニーも薄くなり(DW12),ウイング本体のサイズが大きければガーニーも厚くなった(96I)ように,ウイングのサイズに対して適切なガーニーのサイズがあるという事なのでしょう.

風洞もCFDもないEF8で,適切なガーニーフラップのサイズを見出す方法は,まだ思いつきませんが,思想の一部を学べただけでも,今回来た甲斐は十分あったと感じる調査でした.
Posted at 2019/07/01 03:00:17 | コメント(2) | トラックバック(0) | 博物館見学 | 日記
2019年06月29日 イイね!

ガーニーフラップ調査 その②

ガーニーフラップ調査 その②STR13で最新のガーニーフラップの現物を見れたので,「最新を見たのなら,徐々に年代を遡って考え方を学んでみよう!」という事で,歴代のF1が展示されているホンダコレクションホールへ.

早速,見学!・・・の前に,閲覧室に寄り道.その当時の空力事情を理解するには,その当時の記事を読むのが手っ取り良いという事で,Racing onのバックナンバーで「エアロダイナミクス」の特集記事を熟読.

大抵の内容は既知のものでしたが,その中にあったガーニーフラップの試験結果がなかなか興味深く,有益な情報でした.


予習が終わったところで,見学開始!
色々見て回りましたが,その中から特徴的だったものをいくつか.

まずは,B・A・R Honda 006.



RA108でも,RA106でもなく,何で006かと言うと,このクルマのガーニーフラップが有名だから.
(と言っても,形状云々ではなく,走行中に何回か外れたという意味ですが)



この時代はDRS(Drag Reduction System)なんてないので,正真正銘,この角度で使っているんですね・・・.
それにしても,このクネクネとした曲面にキレイにくっ付けるものです.素直に感嘆.



興味深かったのは,この隙間.渦流作るためにワザと空けているのでしょうか・・・?



そして,当たり前と言えば当たり前なんですが,フロントウイングの上端にもガーニー.
こちらはリアウイングとは異なり,取って付けた感がありますね.


お次は,McLaren MP4/7A.



この頃はまだ,CFD(computational fluid dynamics)解析の技術が浅かった時代でしょうから,形状が非常にシンプルですね.



それでもしっかりガーニーは付いてます.



幅は5~6mmというところでしょうか.



興味深かったのは,フロントウイングの方.



ウイング高のせいだと思いますが,横にも気流を上に導くかのようにガーニーがついてますね(黒い部分).


今度は,Dallara DW12 Honda.



F1よりも遥かに高速域で走るインディカーだと,ガーニーフラップなんて使わないのかな?と思い,リアウイングを覗いてみると,



ああ,やっぱりない.「さすがにハイスピードオーバル用のエアロキットだと付けないか・・・」と思って目を横に移すと,



おっと! センターウイングにはあった.



でも,薄い!(3mmくらい?) 更にマジマジと見てみると,



おっと! こんなトコにもあった.



後ろから見るとよく分かります.ボディワーク後端に付けるという考え方も,やはりあるんですね.


最後に,Reynard 96I Honda.



同じインディー(というか厳密にはCART)でも,時代背景を踏まえるとエアロパッケージが随分違うなぁ~と思いながら見ていると,



ウイング,デカっ!



そして,ガーニーもデカっ! コレ,20mmくらいあるんじゃないか?


F1で学ぼうと思って来たのですが,閲覧室で見た記事を踏まえつつ,この対照的なインディカーのガーニーを見て,「ああ,なるほど.そういう事か・・・」と理解を深める事が出来ました.

やっぱり,現物を見るって大事ですね!
Posted at 2019/06/30 12:21:34 | コメント(2) | トラックバック(0) | 博物館見学 | 日記
2019年06月22日 イイね!

ガーニーフラップ調査 その①

ガーニーフラップ調査 その①前回の検討結果から,「ガーニーフラップ」で対策する事に決めたので,次はガーニーフラップの高さに関して調査する事にしました.

「さて,どうやって調べようか?」と思案していたところ,「判断材料が何もないんだったら,最新・最高峰のモノから見るべきだろう」という事で,2018年型F1マシン「Toro Rosso STR13」を調べに青山へ.

F1の展示というと,結構一方向からしか見れない事が多いのですが,ここの展示は全周囲から見る事ができ,しかも昨年型という事で,かなり接近する事が可能で,マジマジと見る事が出来ました.どうせならホンダのパワーユニット「RA618H」も見たかったですが,こちらの展示は翌週からという事で,残念ながら見る事が出来ませんでした.

さて,早速,マシンの後ろに回って覗いて見ると,



「随分とウイングの厚みがあるな・・・」

と思って横から見たら,



カーボン剥き出しの部分が,そのままガーニー でした.

高さが8mmくらいありそうですが,この角度だと衝立というより,流れてきた空気を"く"の字に堰き止めるような形状で,「ひょっとしてDRS(Drag Reduction System)を作動させた時に機能させる狙いなのか・・・?」と思いましたが,



似た形状のCAE(Computer Aided Engineering)解析結果を見ると,確かに通常時でもガーニーとして機能しているようですね.ウイングの断面形状にもよるのだと思いますが,このサイズ・この角度でもちゃんと機能する代物である事を学べたのは良かったです(やっぱり現物を見ておく事は大事ですね).


さて,ガーニーの調査が終わったところで,折角の機会なので,ついでに色々見ておきます.

リアウイングの横に立って,そのままフロアを見てみると,ポコンとしたデッパリが.



この中に,赤外線の温度センサが入っていて,リアタイヤの温度をモニターしているのでしょう.
だとすると,「フロントにも同様のものがあるはず・・・」と思って回ってみると,



「コレかな?」と思いましたが,どうも違う気が.これはフロントフラップアジャスターですね.



「ああ,こっちだ」と見つけました.フロントウイングの先端にあるんですね.

フロントタイヤから結構遠い位置にあるように思えましたが,切れ角のあるタイヤ全体をモニターするには,これだけ距離が必要という事なのでしょうか.それにしても,空力を考えた玉子型の形状をしているとはいえ,ウイングの真ん前に設置しても価値があるくらいタイヤの温度を正確に把握する事が重要という事なんでしょうね.

私のEF8だとリアタイヤの温度というのが結構重要で,ここの温まり具合によってスライド量が大きく変わるので,本気でタイムを狙う時は,リアタイヤのウォームアップのさせ方に結構神経を使います(温め過ぎても,冷え過ぎてもダメ).経験則とフィーリングで何となくは分かりますが,精度向上のためにも,そろそろ「TPMS(Tire Pressure Monitoring System)が必要かな?」なんて思っていたりもします.


話を戻して,こんなにF1マシンをしっかり見るのは久し振りですが,一度見出すと面白いですね.



いい加減なんとかして欲しいと思いつつ,見慣れてしまった親指ノーズの先端開口部にはX字が.
ウイングの「FIA ACTION For ROAD SAFETY」の円盤はバランスウエイト用の開口部かな?

そのままイカヒレノーズ,Tトレイ,バージボードなんかの複雑な造形を見ていたら,「スクラッチでF1のモデルカーなんて絶対作りたくないなー」と思っちゃいました(笑).



印象的だったのがフロア.後端ならともかく,前端からこんなに切り欠きが入っているんですね.「フロアといったら真平ら」が常識だった身からすると興味深いです.

ボディワーク上面に移って,



ダミーカメラなんてボディ直結だろうと思っていたら,わざわざステーを使ってボディから切り離しているんですね.
単にノーズの角度と合わないから,ではないんだろうなぁ.



2019年からレギュレーションで禁止されてしまったウイングミラー.どう空気を抜いているのか,覗き込んだり,裏表で見返してみたりしましたが分かりませんでした(苦笑).



リヤのホイールも405/670-13というタイヤなので,リムが深い.エアの供給口が真っ直ぐ挿せないのでL字状になっているのは初めて知りました(フロントは通常型).



初めて知ったと言えば,Tウイング.STR13にも付いているのは知りませんでした.



最後は,Halo(ヘイロー).見た瞬間「モノコックとヘイローの隙間って,こんなに狭いの?」と驚きました.これで視界良好なんですから,やっぱりフォーミュラの着座位置って低いんですね!


以上,調査結果でした.何だか途中から,何を目的に調べに来たのか分からない内容になっちゃいましたが,F1クラスでは,結構大きなガーニーを使っている事が分かりました.速度域が全然違うので,これをこのままEF8に当て嵌める気はありませんが,最大でもこの大きさという上限は掴めた気がします.
Posted at 2019/06/23 21:22:34 | コメント(0) | トラックバック(0) | イベント見学 | 日記
2019年06月21日 イイね!

GTウイング考察

GTウイング考察第4戦も敗北に終わり,次の一手を考えていかなければなりませんが,暫くの間はTC1000を走るチャンスがなく,ドライバー側は進歩しなそうなので,EF8側で伸び代を探ってみる事にしました.

とは言っても,現状,EF8に大きな問題はなく,前回のデータを何度見返してみても「満遍なく遅い」という身も蓋もない結果しか返って来なかったので,ここから先は前後バランスを敢えて崩し,その影響から伸び代を見出すしかなさそうです・・・.

バランスを崩すなら,前回起きた出来事を踏まえてもオーバー傾向に持っていく方向になる訳ですが,それによって生じる高速域の安定性確保を先に考えておく必要があります.

・・・という事で,今回は,私のEF8用のGTウイングに関して考察してみます.


まず,GTウイングの話をすると,よく「FFに付けて意味あんの?」とか,「格好だけでしょ?」とか言われますが,私は間違いなく効果があると思っています.

その根拠となるのが,今から5年前,タイトル画像の出来事です.

当時,ちょっとしたアクシデントでGTウイングが壊してしまい,外して修理に出している最中に1回だけ日光を走った事がありました.ウイングを外した事でトップスピードが伸びるか?と思いきや,そんな事はなく.高速コーナーで不安定になるかな?と思いきや,こちらもなく,「何だウイング自体意味がないのか・・・」と思っていたら,バックストレートからのフルブレーキング時に明確な違いがありました.リアの押さえが効かなくなって,フロント2輪だけで止めているような印象で「止まらない~!」と制動距離が伸びたのを,よく覚えています.「GTウイングって付けた時は分からないけど,外すと明確に違いが分かるんだなぁ~」と思ったのが記憶に残っています.

これ以降,私はGTウイングには「高車速域からのフルブレーキング時におけるスタビリティ向上」を期待しています.


さて,そのGTウイングですが,当然の事ながら,より高い位置で使った方が効果的です.その理由は乱れのない,キレイな流れの空気に当てた方が効率が良いからですが,「じゃあ,どれくらいの高さなら良いのか?」と思案していたところ,オレさまFD2のお弟子さん貴重な写真を提供してくれました.

【先輩(ウイングステーの長さ:165mm)】


【私(ウイングステーの長さ:80mm)】


上がEF8の先輩,下が私なのですが,先輩のウイングは,ちょうどルーフと並行な位置に翼断面が来ているのに対し,私のウイングは,ルーフより確実に低い位置にある事が分かります.

この低さだと効果も小さいのかな?と色々調べていたら,こんな話(↓)を目にしました.
空力パーツによるセットアップ <その②> 「GTウィング編」
空力パーツによるセットアップ <その③> 「GTウィング編」

こちらの話を要約すると,こういう事です.

 ①空気はテールゲートに沿って流れるので低くても効果は得られる.
 ②GTウイングで重視すべきはウイングの両端(だからこその3D形状!)


「なるほど!」と思い,それを確かめるべく,こんな実験(↓)をしてみました.



コイン洗車場のスプレー洗浄機を使って,流れを可視化してみました.

勿論,水と空気では動粘度が違いますので同じ流れではありませんが,EF8のルーフ目掛けて水を当てても,ちゃんとGTウイングまで届いていますし,サイドウインドウから流れた水がGTウイングの両端に当たって巻き上がっている事も確認出来ました.

そもそも,ローパワーなB16Aでウイングをハイマウント化すると,ダウンフォースは増えますが,同様にドラッグも増えてしまいます.ドラッグが増えるという事は更にストレートが遅くなるという事なので,今回はハイマウント化は見送る事にしました.


では,ハイマウント化を諦めて,どうやってダウンフォースを稼ぐか?ですが,手っ取り早いのはウイングの角度を立てる事です.ただ,これが出来ない事は既に確認済なので,「ウイングの角度を付けられない時はガーニーフラップ!」という事で,こちらを検討してみたいと思います.

ガーニーフラップというのは,ウイングの後端につけるL字アングル状のものです.



最初,「これで何でダウンフォースが増えるんだろう・・・? 形状的にドラッグの方が増えそうだなぁ~」と思っていたのですが,原理を調べてみたところ,ウイング本来の原理を高める考え方である事を知り,納得しました.

ウイングが,ベルヌーイの定理(流体の速度が増加する程,圧力が下がる)に基づき,上面と下面の距離を変えて意図的に速度差を作っている事は認識していましたが,ガーニーフラップが後端で気流を堰き止める事で,更にその速度差を生み出す効果がある事を,今回調べて初めて理解しました.

この原理からすると,ガーニーフラップの高さはそれ程なくても効果が得られそうな気がしますが,私のEF8にとって,どれくらいの高さが良さそうなのか? 引続き調査していきたいと思います.
Posted at 2019/06/22 20:16:20 | コメント(1) | トラックバック(0) | セッティング(空力) | 日記
2019年06月15日 イイね!

インリフト量の調整

インリフト量の調整2連敗となったTC1000ですが,敗因の1つに2ヘアのバランス悪化がありました.

以前発生した2コーナーでのリアがムズムズする現象に対する予防策として,リアタイヤの内圧を落し,タイヤのOUT側も接地させる事で安定性の向上を図りました.事前のテストでも感触は良好で,2コーナー以外でのバランスの変化も感じなかったのですが,どうも路面温度が上がり過ぎると逆効果で2ヘアで向きを変えづらくなってしまいました.

当日,その場で色々対策を施し,多少の改善効果はあったので,細かく分析しておきます.


対策①:リアタイヤの内圧UP(220→225kPa)
1本目終了後,リアタイヤの表面温度を測ってみたところ,OUT側=IN側となっており,全面均一に接地してしまっている事が分かりました.

そこで,リアタイヤの内圧を5kPa上げて,タイヤの形状が凹→凸に変更.リアタイヤのOU側を接地しにくくする事でスライド量を増やす事を試みました.結果は以下の通りです(青:220kPa時 赤:225kPa時).



「これこれ.この感触!」という感じで,ステアリングの操作に合わせてリアがスライドし,狙い通りに向きを変えられるようになりました.エイペックス付近で狙い通り向きを変えられるので,225kPa(赤)の方が2ヘア出口で内側にいるのが分かると思います.

LAP+でこのセクター(SCT.3)のタイムを比較すると,

 220kPa ・・・ 11.062
 225kPa ・・・ 11.068

とほとんど変わりませんが(厳密には落ちてますが),その後のバックストレートのスピードは,向きが変わっている分しっかりと伸び,0.8km/h上回っています.


対策②:リアの減衰力低下(2段戻し→3段戻し)
対策①で効果が確認出来たので,更に内圧を上げるのも手だったのですが,20分の走行枠内でそれをやるのは非現実的だったので,今度はリアの減衰量を1段下げて,OUT側のロール量を増やし,それによって間接的にイン側のタイヤを持ち上げる(接地面を減らす)方法を試してみました.



結果は以下の通りです(青:2段戻し 赤:3段戻し).



3段戻し(赤)の方が出口で流れているのが分かりますね.当然タイムの方も,

 2段戻し ・・・ 11.068
 3段戻し ・・・ 11.097

と悪化していました.更に向きが変わり易くなっているはずなのに,なぜタイムが落ちたのか?その理由が次で分かります.


対策③:意図的にロールオーバーを起こす
2本目の結果から,向きが更に変わり易くなったので,これを活かすべく,ドライビングで意図的にロールオーバーな状態を作り出して更にインリフトさせる事を試みてみます.ちなみに,ロールオーバーというのは,ジムカーナで時折見るコレ(↓)の事です.



勿論,EF8の重心高+71Rのグリップ力では,ここまでのオーバーアクションに持ち込む事は出来ませんが,EF8ならではの方法で,近い挙動を意図的に起こす事は可能です.

これは,

 トップレベルのジムカーナ車両の挙動を学び, → <全日本ジムカーナ観戦>
 3月にやり方を考えて,                → <TC1000 インフィールド攻略>
 その後,ひたすら反復練習,            → <最多周回数獲得! そして夏ノ陣へ>

・・・して身に付けたものなのですが,こういう場面で役に立ちましたね.


では1回目のトライから動画でご覧頂きましょう.



進入で上手くインリフトをさせる事が出来たものの,角度がつき過ぎてカウンターを当てる状況になってしまいました.ラインも見てみましょう(赤:通常時 青:ロールオーバー時)



ロールオーバー発生時(青)の方がブレーキングで上手くイン側に切り込めていますが,その後,カウンターを当ててしまったので,結局アウト側に膨らんでしまいました.ただ,タイム的には,

 通常時        ・・・ 11.097
 ロールオーバー時 ・・・ 11.003

明らかに速くなりました.


続けて2回目のトライ.



カウンターの量を減らして,ロール量をキープするように微調整してみましたが,今度はロール量が大き過ぎてフロントの接地が薄くなり,トラクションを失ってしまいました・・・.



LAP+で比較すると明らかですね.青丸の部分で,ロールオーバー時(緑)の方がボトムで横滑りして,なかなかクルマが前に進まない(速度が上がらない)のが分かります.タイム的にも,

 通常時        ・・・ 11.097
 ロールオーバー時 ・・・ 11.096

という感じで進入で得たゲインを,立ち上がりで失っているのが分かります.
つまり,これは「やり過ぎ!」という事ですね.


以上,比較結果でした.

当たり前の事なのですが,やはりタイヤの内圧は路面温度に合わせて,細かく合わせ込まないとダメですね.フロントのシビアさは日光で学んで認識していたのですが,まさかリアも,ここまでシビアだとは思いませんでした(反省).

今回,対処療法的にリアのロール量を操作してみましたが,やはりリアの減衰を下げる方向性は間違っていますね.ドライビングがシビアになってしまいますし,LSDへの負担も大きいです.何よりローパワー車の命であるフロントのトラクションを失うのが痛い.

方向性としては,足はこのままで,ホイールのインセットかタイヤサイズで微調整する感じかな?と思っています.あるいはフロントの減衰をもっと上げてみるのも手(ダンパー交換が必要ですけど).個人的にはリアのスタビを太くして,フロントのロール量を減らした状況をテストしてみたいのですが,なんせEF8用のスタビなんて手に入らないからなぁ・・・.

あと,プロにも指摘されていますが,低速域に振り過ぎて,高速域がややナーバスになってきているので,更にリアの安定感を削るのであれば,そろそろ空力も考えないとダメそう.空力を試すなら年一の国際コースチャレンジの前に完成させる必要があるし,それを踏まえると時間はあまり残ってない.

色々と悩みが尽きませんが,次の冬に向けて引続き人もマシンも進化させていきたいと思います.

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「サイドドラフトを使ったオーバーテイク http://cvw.jp/b/1684331/48478095/
何シテル?   06/09 22:35
GPSロガーを使ってクルマとドライビングを改善しながら,B18C搭載のCR-XにB16AのCR-Xで挑んでいます. TC2000 1'07.4/TC1000 ...
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