
ようやく都外への脱出が可能になったので,2ヵ月振りにTC1000に行ってきました.
緊急事態宣言解除後に行かなかったら,一部で自粛警察呼ばわりされましたが,外装パーツの出ないクルマにとっては,その警察の取締りが本当に怖いので,涙を飲んで我慢してました(笑).
自粛の間は,この機会に
シミュレーター環境でも整えようかと色々調べてみたのですが,プロのレーシングドライバーのコメントや各種バーチャルGPの映像等を見て,「これは止めた方が良いな・・・」と判断し,ひたすら家に籠って何も買わず,支出を抑える事に専念しました.
この2ヵ月間で1度も会社に行かないくらい徹底した籠りのおかげで,次のアップデートを行えるだけの資金は貯まったので,TC1000でテストして方向性を見出していこうと思っています.
さて,その2ヵ月振りのTC1000ですが,日曜&フォーミュラの日なので,ピットは取れないだろうなぁ・・・と思ってきたら,門前GPは案の定な台数.
「こりゃダメだな・・・」と思っていたらギリギリ10番目で端のピットが取れました.
ラッキー!と思ったのも束の間,早速アクシデントが!
不注意で,折角作ってもらったフェンダーフラップを壊してしまいました・・・(泣).自粛期間中に
フェンダーフラップの効果を確認して確信が持てたのに,「やっぱり2ヵ月の籠り生活で,頭はボケてるし,身体も鈍っているな」と戒めさせられました.
そんな事がありつつ,お馴染みの皆さんへの挨拶も済ませ,筑波サーキットの感染症対策のお作法も無事学んだので,早速,走行へと移ります.
さて,今回の目的は,鈍った人間の勘を取り戻す・・・事もあるのですが,多分それは10周も走れば大丈夫だと思うので,積んだまま放置していた
夏の課題を1つ1つこなしていきたいと思います.
1つ目はブレーキ.
自粛前はProject μの「RACING-N1」を使っていたのですが,春先の気温で2周連続でアタックするとフェードしたのかグニャッとした嫌な感触があったので,耐フェード性の高い「RACING-N+」に戻しました.これで連続周回は大丈夫だと思うのですが,今度は「初期制動力」の懸念が・・・.
そもそも「RACING-N1」→「RACING-N+」に変更した理由が,初期制動力が強過ぎて
荷重がコントロール出来ない点にあったので,それも再び戻ってくる事になります.ただ,今回は当時よりもフロントのバネレートが2キロ高いので,「これでバランスが取れてくれれば・・・」と思いつつ走ってみると,
はい! ロック~.
もいっちょ,ロック~.
ダメだ,こりゃ・・・.┐(´ー`)┌
車内が焦げ臭くなるし,全くダメですね.一応,今回はA052より縦のグリップが強いRE-71Rを履いてきたのですが,その71Rをもってしてもロックを止められないのでは,使い物にならない.しょうがないのでブレーキをそぉ~っと踏んで,何とか1LAP纏めてみると・・・,
43秒を切るのが精一杯.あやうくハンデ戦どころか生タイムでも,こもりんさんに負けるところでした(汗).
2つ目は足回り.
自粛前,最後にTC1000を走った時に
あの手この手とワザを駆使して41秒フラットのタイムを出したのですが,その際のデータを分析していて「やっぱりストレートスピードが重要だな・・・」と実感しました.これは単に「パワーが出る(=直線でタイムが稼げる)」という意味ではなく,コーナーへの進入速度が高い分,ブレーキング時のフロントへの荷重移動量を大きくする事ができ,その分だけタイヤのグリップを引き出してコーナリングスピードを稼げる,という意味です.
これを裏付けているのが,
EF8の先輩との初戦の結果.クルマのコンディションは何も変わっていないのに,全くタイムが出なかった原因は実はコレだったのではないかと.ストレートが遅い→ブレーキング時の荷重移動量が小さい→フロントタイヤのグリップを引き出せない→コーナリングスピードが落ちる,という因果関係ですね.
そこから思い至ったのが・・・,
冬のストレートスピード(荷重移動量)に合わせて足回りを仕上げてしまっていないか?
という点です.つまり「足が固過ぎなのでは?」と.「ストレートが遅くて荷重がかけられないなら,その分,足を柔らかくして移動量を増やしてあげないとダメなのでは?」と考えました.
そこでまず,この仮説を確認するための荒療法として,ブレーキパッドを先述の「RACING-N+」に変更しました.
ストレートスピードが遅くて,勢いをつけてフロントのバネを縮められないなら,効きの強いパッドにして無理やりつんのめる姿勢を作ってみたらどうだ?という事です.1ヘアは上述の通り散々な結果に終わりましたが,実は1コーナーやインフィールドでは,これによってステアリングレスポンスが大幅に向上しました.ブレーキングを開始した瞬間からフロントが切り込んでクルマの向きが変わり始めるまでの待ち時間が,明らかに短くなっているのが感じ取れました(フロントタイヤが食っている感触).
これで「バネが固過ぎてフロントタイヤを潰せてない」という仮説に確信が持てたので,次に「1コーナーではフロントタイヤがロックしないけど,1ヘアのブレーキングではロックする」という事実から,今回悩まされたブレーキロックも「原因はパッドの効きの強さもあるが,フロントへの荷重移動量が少ないせいでもあるのでは?」と考えました.フロントタイヤに荷重が載り切る前にブレーキを掴んでしまうからロックするんじゃないか?と.
そこで,2本目はフロントの減衰を2段階落とし,疑似的にバネレートを下げて走ってみる事にしました.結果は・・・,
正解!m9(・∀・)ビシッ!!
1ヘアでもブレーキロックしづらくなりました(ロック自体は僅かにしますが).
「なるほど,このコンディションだと少なくとも減衰は弱めないとダメか・・・」
「だったら,バネレートは冬場の荷重移動量に合わせて,コンディションの差は減衰で合わせ込むか?」
・・・と考えていたら,こんな挙動が(↓).
分かりますかね?
インフィールドが一番分かり易いですが,左コーナーなのに私,ステアリングは右に切っているんですよ.恐らくフロントの減衰を下げた事+初期制動の強いパッドによってリアが浮いてスピンモードに入ってしまっています.ヘルパースプリングのおかげで何とかコントロールは出来てますが,このバランスはダメですね.
なぜダメか?というと,この挙動は1コーナー進入時にも出ているからです.以下の画像を見ると,ストレートエンドでブレーキングした時にステアリングをほんの僅かに左に切っているのが分かると思います.
【ブレーキング前】
【ブレーキング後】
当日ベストの動画と見比べるとよく分かりますが,このラップは1コーナーの進入に対してステアリングの切込みがワンテンポ遅いように見えるはずです.そのワンテンポの遅れは,ドライバーの勘が鈍っているわけではなく(笑),ムズムズしているお尻の挙動が落ち着くのを待っているせいです.
高車速からのブレーキングでこの挙動は危なくて乗れません.車高を下げてフロントの沈み込み絶対量を減らさないとダメですね.
そして,3つ目は・・・って長くなったので,今回はここまで.
一先ず,2ヵ月間おあずけになっていたブレーキと足回りの課題は方向性が見えてきました.
少なくとも「RACING-N+」はやっぱり合わないのでブレーキは何か変えないとダメですね.出来れば「RACING-N1」と「RACING-N+」のちょうど中間の効きのパッドがあると良いのですが,そんなのはラインナップにないので,他の銘柄に行かないとダメですかね・・・.
また,足回りのバランスを見直す事も必要そうです.フロントのバネレートは下げないとスィートスポットが狭過ぎですね.更に安易にバネレート下げるだけでは,リアの挙動がナーバスになってしまうので車高や前後バランスも見直さないといけないです.また足回りとブレーキは因果関係がある事を今回確認出来たので,ブレーキングでどういう姿勢を作りたいのか?を考えて,そこから逆算で妥協点を見出さないとダメそうです.
いやはや,まさしくトライ&エラーの世界ですね.「こういうものこそ何度も気軽に繰り返し試せるシミュレーターでやるべき!」なんて思った,そんな週末でした(お会いした皆さん,お疲れ様でした!).