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2022年05月05日 イイね!

フラットボトムのお勉強

フラットボトムのお勉強TC1000で予想外に効果が出たアンダーパネル.最近は市販車でも最初から装着される事が多くなってきたので,街乗りレベルの速度域でも効果があるのは間違いないのですが,得てして空力部品は効果を体感しにくいので,期待していなかった分,今回体感出来た事がちょっと驚きです.

・・・という事で,ここで一度アンダーパネル(≒フラットボトム化)の効果をおさらいしておこうと思います.

まず,クルマの床下(ボトム)は空気抵抗全体の20%を占めるそうです.


(トヨタ自動車:自動車における空力開発と取り組み動向より)

床下の空気抵抗を減らすための基本的な考え方としては,床下を空気が通る際に,車両後方に向かってなるべく早く・キレイに流してやる事で空気がもっている運動エネルギー(速度)を減らさない事が重要なんだそうです.


(Honda DEEP LEANING:NSX-GTの空力開発より)

空気をなるべく早く・キレイに流すためには,表面がデコボコしているよりもツルツルの真っ平な(フラットな)方が良いのは感覚的にも分かりますね.


さて,フラットボトム化によって抵抗が減る事は分かりましたが,ここから更にどうやってダウンフォースが生み出されるのか?です.その原理を理解するためには「ベンチュリ―効果」を理解する必要があります.



「ベンチュリ―効果」というのは,「流量が一定の時,流れの断面積を狭くすると流速が増加する」というものです.クルマで言うと,床下を流れる空気の量が同じであるならば,断面積(≒空気を取り込む部分の面積)が小さくなればなるほど,流速を上げられる,という意味になります.



「空気を取り込む部分の面積」というのは,上図(↑)の赤い部分になりますので,これはそのまま「車高」とも置き替えられます.言い替えると,「車高を下げれば下げる程,床下を流れる空気の流速を上げられる」という事になります.


次に,流速を上げるとどうなるか?ですが,こちらは「ベルヌーイの定理」より「流速が上がると圧力が下がる」という関係性になります.


(ムーンクラフトSTAFF BLOG:CFD レーシングコラム ディフューザー編 ~その1~より)

「流速が上がると床下の圧力が下がる」ので,ダウンフォースが発生する訳です.ウイング等が上下の圧力差で上から押しつけられてクルマにダウンフォースを発生させるのに対し,フラットボトムは床下が負圧状態になってクルマが地面に吸い付けられるイメージになります.これが所謂ところの「グランドエフェクト」ですね.


上記2つの法則から,フラットボトム化でダウンフォースを得るためには,

 ①車高を下げれば下げるほど,ダウンフォースが得られる
 ②車速が上がれば上がるほど,ダウンフォースが得られる

という事が分かります.私が当初「アンダーパネルを付けてもTC1000レベルでは効果は得られない」と思っていた理由が,まさにこの2つのポイントに起因しており,私のEF8は車検対応で90mm以上と高いので①に当てはまらず,TC1000だとこの時期B16AではMAX:130km/hそこそこなので②にも当てはまらず,故に「効果は得られない」と思っていた訳です.

しかし,実際は車高は下がらずともアンダーパネルで床下の平滑化で流速は上がっており,車高90mmでもこれだけアンダーパネルの面積があれば100km/h台のコーナリングでも十分効果を得られる,という事だったようです.


ちなみに,なんでここでパネルの面積が出てくるのか?というと,先程の「ベルヌーイの定理」に出てくる単位が「圧力」だからです.



「圧力」というのは「単位面積当たりに働く力」を示しており,一方,ダウンフォースは「力」になります.
この「圧力」と「力」の関係性は単位換算から,

 [力] = [圧力] × [面積]

となります.空気が流れる事によって得られる「圧力低下(負圧)」は,場所によって変わる事がないので,単純に「床下の面積が大きくなればなるほど,得られるダウンフォースも大きくなる」という原理な訳です.

余談ですが,F1のホイールベースがどんどん延びていった理由は,パワーユニットが大きくなった影響もありますが,ホイールベースを延ばして床下の面積を広げる事でダウンフォースの総量を増やそうとしている,という事もあります.



そういう意味では,CR-Xは発売当初からショートホイールベース車の代表格として挙げられるクルマですので,他のクルマに比べて不利な訳ですが,それでも体感出来た訳ですから,ロングホイールベースのクルマでやったら,もっと効果は大きいんでしょうね.


以上,フラットボトムのお勉強でした.

今回出てきた「ベルヌーイの定理」は,厳密には非圧縮性の流体(密度が変わらない流体)にしか当てはまらないそうで,液体はともかく気体(空気)に対してはそっくりそのまま当てはまらないそうです.

このため,ウイングのダウンフォース発生原理の引き合いに,この「ベルヌーイの定理」が出てくると,専門家は違和感を覚える(間違いではないが,それが主要因でもない,という感じ)というのを最近学んだのですが,一方でクルマの床下という限定空間だと,この「ベルヌーイの定理」はそのまま適用出来るんだそうです.この辺りの違いを私はまだちゃんと理解出来ていないのですが,今回はそのまま引き合いに出してみました.

ちなみに,フロアをフラットにするだけではダウンフォースを得るための施策として不十分である事は認識しており,後端にディフューザーを付ける事で完成となる点も理解しているのですが,諸々の事情があってCR-Xだとそれは簡単に出来ないので,今回のところはこれで終わりにしたいと思います.
Posted at 2022/05/06 00:03:59 | コメント(3) | トラックバック(0) | セッティング(空力) | 日記
2022年05月04日 イイね!

アップデート 2022 その②

アップデート 2022 その②TC1000でのチェック走行も終わったので,効果検証です.

今回のアップデートは「サイドステップ」・・・と見せかけたフロア中央部の「アンダーパネル」です.元々この「サイドステップ」は底面に付けた「アンダーパネル」をサイドから吊るすためのもので,それ故にこんな角張った形状をしており,フロア面積を稼ぐためにドア部よりも広げたデザインとなっています.



クルマを引き取った時は既に装着済みであったため,どれくらいのサイズのパネルとなったのか知らなかったのですが,チェック走行後にショップでクルマをジャッキアップした際に下面を覗かせて頂いたところ,想像以上に大型のモノが付いている事を後から知りました.

【フロア前端部】


【フロア中央部】


【フロア後端部】


工場長曰く「マフラー以外の部分は全部覆った」との事で,イメージとしてはこんな感じ(↓).



面積的には大体1600mm×600mmのパネルが2枚ある事になるので,タタミ半畳分くらいでしょうか? 結構な面積ですね.このパネルはアルミ複合板で出来ており,板厚が3mmなので,比重を0.8と仮定して計算してみると,

 160 [cm] × 60 [cm] × 0.3 [cm] × 0.8 [g/cm3] × 2 [枚] = 4608 [g]

これにサイドステップ分の重量もあるので,

  18 [cm] × 13 [cm] × 0.3 [cm] × 0.8 [g/cm3] × 4 [枚] = 224 [g]
  (160 [cm] ー 18 [cm] × 2)× 8 [cm] × 0.3 [cm] × 0.8 [g/cm3] × 2 [枚] = 476 [g]

合計すると,

 4608 [g] + 224 [g] + 476 [g] = 5308 [g] ≒ 5.3 [kg]

ボディ下面の低い位置にあるとはいえ,そこそこの重量ですね.


さて,実際に走行する前はこんなに大きなパネルが付いているとは思っていなかったのですが,「TC1000レベルの速度域だと重いだけで効果は体感出来ないんだろうなぁ~」と思って走っていたものの,乗って最初に感じたのが,1コーナー~1ヘアにかけてのクルマの動きの違いです.



最初は「何かおかしいなぁ~? 狙い通りのラインで走れない・・・.ドライバーが下手クソになったのか??」と思って走っていたのですが,具体的に何がおかしいのか?というと,

 ①1コーナーの進入で挙動が安定している(ライントレース性が良い)
 ②2コーナーの出口で想定よりアウト側に膨らまない
 ③1コーナーと同じ感覚で1ヘアに進入すると曲がらない(ラインから外れる)

といった感じ.特に③のブレーキングで「なんか今日はエイペックスにちゃんとつけないなぁ~?」と何度トライしても狙いのラインが外れるので,路面がスリッピーなのか?と疑ったのですが,職人クラスの方々に聞くとそんな事はない様子.じゃあ,タイヤがヘタってきたのか?と思いましたが朝一に41.5秒出ているのでそれもない.となると,①・②でよく曲がる≒車速域が低いという図式からエンジンパワーが落ちているのか?とも思いましたが,ラップタイマーを見ると最高速は130km/h台に到達しているので,それもなさそう・・・.

「う~ん・・・何なんだこれは??」と考えて,以下の仮説が思い浮かびました.

 ①ダウンフォースが出ているので,130km/h台のブレーキングでも安定しているのでは?
 ②ダウンフォースが出ているので,100km/h台のコーナリングでもタイヤに余裕があるのでは?
 ③4.6kg重量が増えているので,低速コーナーで曲がらない(低速なのでダウンフォースが得られない)のでは?

そう,ここに来てようやく,

えっ!? これってまさかアンダーパネルの効果なの?? Σ(*゚ロ゚)ハッ!!

と気づいた訳です(遅っ).


この仮説を実証するために,前回の走行条件と同じA5枠で出走し,ロガーデータを比較してみました.

【前回(42.063)】


【今回(42.021)】



検証①(1コーナー進入)



最高速129km/hからのブレーキングというのは,前回(青)と今回(赤)で差異がありません.つまり,エンジンパワー的にはほぼ一緒のコンディションだったという事です.ブレーキング初期も減速度に違いはなく,両者の差異が表れるのは,95km/h付近のターンインのポイント(ココから↓)です.



ブレーキをリリースし,フロントタイヤの感触を確かめながらステアリングを切り込んでいく訳ですが,今回(赤)の方がクルマの挙動が安定していて曲がる手応えがあるので,ブレーキをさっさとリリースしてしまっています.結果,ボトムスピードが5km/hも上がる訳なのですが,これでも曲がれてしまいます.タイヤも足回りもセットは前回(青)と一緒なので,コンディションが同じであるならば,これは間違いなく「アンダーパネル」の効果でしょうね.


検証②(2コーナー立ち上がり)



単純にボトムを上げるだけだと,タイヤを横に使い切ってしまい,その後は失速するのがお約束なのですが,今回(赤)は失速する事なく,そのまま加速しているのが分かります.ラインの余裕度は残念ながらこのデータからは分かりませんが,車載で比較するとこんな感じ(↓)でした.

【前回】


【今回】


カメラの角度が微妙に合ってないので少し分かりづらいですが,外側の縁石との位置関係を見てもらえると,車速・ステアリングの舵角が一緒なのに,今回(赤)の方がクルマがそれほど外側に膨らんでいないのが分かると思います.つまり,それだけ余裕があるという事です.


検証③(1ヘアのブレーキング)



進入速度・ブレーキングの開始ポイントがほぼ一緒であるのに,今回(赤)の方がエイペックスまでに止め切れていないのが分かると思います.このデータで特に注目すべき点は115→80km/hまでのブレーキング領域で,今回(赤)の方が若干早くブレーキングを開始しているのに,途中で踏力を緩めている訳でもないのに,その後,前回(青)に逆転されている(ラインがクロスしている)のが分かります.4.6kgの重量増によって狙い通りにクルマを止め切れていないためと思われます.ドライバー的には,いつもの力・いつものタイミングで止めに行っているのに,クルマが止まらないという事ですね.

これが前後どちらかの重量変化であれば,恐らくピッチングの変化等でドライバーが気づいて合わせ込みにいくのでしょうが,ボディの最下面,しかもホイールベース内の重量増となると,むしろ重心は下がって姿勢変化が生まれにくくなる事から,ドライバーが気づいてなかったのでしょう.今回の結果でそれが分かったので,次回はこの点をしっかり合わせ込みたいと思います.


以上,アップデートの効果検証でした.

ちなみに,高速域のダウンフォース獲得によるメリットと,低速域の重量増によるデメリットのバランスですが,TC1000においては,前者が-0.10秒,後者が+0.11秒という感じでトータルでみると「0.01秒の遅れ」という結果でした.公式のタイムだと0.05秒今回の方が速いですが,これは前回の反省を踏まえて最終の複合で走らせ方を変更して稼ぎ出したタイムだったので,今回のアップデートとは無関係です.当初の予想ではダウンフォースの獲得はなく,純粋な重量増の影響による「0.1秒のタイムダウン」と見積もっていたので,それを考えれば,ほぼ±ゼロという結果は非常に好意的に受け止められます.

ただ,こうやって体感・数値で効果が分かってくると,やはりもう少し速度域の高いコースでアンダーパネルの効果を試したくなるもので(笑),一番良いのは富士ですが,今年は国際コースチャレンジの計画がありませんし,はてさてどうしたものか・・・.
Posted at 2022/05/05 00:56:45 | コメント(4) | トラックバック(0) | アップデート 20XX | 日記
2022年05月03日 イイね!

チェック走行からの~

チェック走行からの~先日追加したサイドステップとニューシューズのチェックをしにTC1000へ行って来ました.

今回変更した「サイドステップ」は,サーキットでのラップタイム短縮ではなく,見た目の改善が主目的なので,縁石等で干渉しないか?のチェックがしたかったのと,重量増によるタイムダウンをドライバーのモチベーションアップでどこまで補えるか?の心の予防線探り(笑)が狙いです.

さて,まずは当日の朝.平日を1日挟んだゴールデンウィークのミドルサード.当然道は混むだろうと少し早めに家を出ましたが,朝の5時台から既に渋滞.ゴールデンウィークらしいアグレッシブな運転をされる方がチラホラ見受けられ(苦笑),いつも以上に車間距離を確保しつつ,6時半過ぎに筑波サーキットに到着.この日はフォーミュラ枠がある日なのでピットは早々にスルーし,パドックでせっせと準備を進めます.



この日の気温は少し肌寒いくらいの15℃前後な上に,気圧も1015hPaとそこそこでなかなかのGoodコンディション.ゴールデンウィークのファミリー走行ともなれば,コース上も渋滞する事が予想されるので,台数が少ない8時台のアタック枠で1発を狙ってみます.

こういう事は皆さんも当然考えているので,こんな時期でもタイム更新を狙う方々はT1枠(8:00~)へと駆け込んで行ったのですが,外から様子を見ていると,微妙に38秒台に届かないいつさんや,珍しくスピンしたおだてのまつさんに,かずやん!さんもなかなかペースが上がらずと,皆さん揃って苦戦している模様.「アレッ? もしや路面が微妙なのか??」と思いつつ,私もT2枠(8:15~)でコースへ.


路面の状況を探りつつ9割くらいのペースで走って42.1秒が出たので,「特におかしくはなさそうだな」とタイヤが温まり切らないうちにさっさとアタック.結果は・・・,



あっさりと 41.533 が出て,CR-Sのベストを更新.相変わらずフロントタイヤを潰しに行くとタイヤに逃げられるのでそれにストレスを感じつつ,もうちょっとドライバー側で合わせ込めるような気もしましたが,まぁ,この時期でこのタイムなら十分でしょ・・・という感じで1本目を終えました.


取り合えず,まずまずのタイムを出せたので,ピットに挨拶に行くと久方振りのorangeEPさんが!



復活を遂げたEP82の調子が良さそうで,終始ニコニコされていました(笑).


その後,T1枠を走ったお三方に感想を聞きつつ,2本目のA5枠(10:20~)のチケットを購入して時間まで待っていると,レッドフラッグ! どうやらコースのほぼ1周に渡ってオイルが巻かれてしまったらしく,路面がおがくずだらけに・・・.オイル処理が終わった後に走られたA4枠(10:00~)の方々は,ダートラか!?と思いたくなるくらいの粉塵を巻き上げながら走行されていました.

こんな路面なので2本目はタイムは気にせず,「サイドステップ」の効果確認を主眼に走行.



「ほぉ~」



「へぇ~」



「ふむふむ,なるほどね」

という感じでした.メリット・デメリットを体感出来たので,後程ロガーデータで裏取りしてみたいと思います.


さて,そんなチェック走行からの~,お次はオフ会会場『味平』.





オフ会らしく写真を撮影しつつ(笑),入店して食事.



かずやん!さんから,スズキで,マツダな,三菱の,スバルというお話を伺いつつ,



話の尽きない皆さんと駄弁りに駄弁って,2時過ぎに解散.


この時間ならまだ行けるかなぁ~?という事で,オフ会会場からの~,そのままショップ.



工場長へサイドステップの確認結果を報告しつつ,オイル交換からの~,アンパネチェック.



「うん,なるほど・・・」「ああ,これなら,そうだわ~」と裏付けの材料を確認.


更にアンパネチェックからの~,待ちに待ったA052入荷.



5月に入ってようやく・・・という感じですね.これで武器も揃ってきたので,あとは頭の中を整理するだけと思っていたら,偶然居合わせたショップのお客さんとの会話の中で「おだてのまつさんの速さの秘密は○△□×※・・・ではないかと思っている」という見解をお聞きし,「ああ,なるほど,アレですか!」と勉強させて頂きました~♪


以上,予定がなくて暇だったゴールデンウィークの中で,やけに充実した1日でした.

今回のウィーク中に,もう1日くらいどこかに出かけたいなーと思いつつ,渋滞にハマるのも気が滅入るので,どうしたもんかなー?と思いながら家に着いたら寝落ちしてしまいました・・・.ま,明日の事は明日考える事にして,お会いした皆様,お疲れ様でした!
2022年05月01日 イイね!

μ-s特性のお勉強

μ-s特性のお勉強桜色の季節が過ぎ,そろそろ半袖でも良いかと思うような暖かさになったと思ったら,一気に梅雨入りしたかのような雨模様が続いていますが,こんな時期でも自己ベストを更新するいつ教授.

先日の教授回診では,面倒そうなクランケの処置を押しつけたのに 苦もなく適切な処置を重症なクランケに行う等,コース外でもその博識さを見せつけていらっしゃいました.
(その博識さ故に走った5倍の時間を会話に費やしたに違いない・・・)

そんないつ教授に対し,恐れ多くも「ホイールスピンをさせたら加速が鈍るんじゃないのですか?」と上申してみたところ,「キミはゼロヨンマシンに乗った事がないのかね?」

 ┐(´∀`)┌ ヤレヤレ ソンナンジャ困ルヨ 君ィ…

と,ゼロヨンなんてチャリンコでしかした事がない私の経験不足を即座に見抜き,診断の過ちを指摘されてしまいました・・・.教授が仰られるには「軽くホイールスピンさせると,シュルシュルと凄い加速をさせる事が出来るのだよ」と.そうですか! 凄いんですか!! シュルシュルなんですか!?と認識を改めさせられ,最後は自分は専門外だから

 ( ゚д゚)ノシ アトハ自分デ調ベタマエ…

と去って行かれました.専門外なのにそんな事まで分かるんですか!? 流石は教授!!と驚嘆しつつ,そう言えば,昔,「ガッチリ食い付かせるより,少し滑らせた方が加速が良い」みたいな話を聞いた事があるなぁ~と思い出し,関連する文献を読み返してみる事にました.


まず,「少し滑らせた方が加速が良い」というのは事実なのか?とタイヤ関連の文献を見てみたところ,「μ-s特性」と呼ばれるものがこれに当たるようです.



「μ-s特性」とは,縦軸に「縦方向の摩擦係数(μ)」,横軸に「スリップ率(s)」をとった時のタイヤの特性で,一般的に「スリップ率(s)」が10~20%の時に「摩擦係数(μ)」が最大となる特性の事を指すようです.

ここで言う「スリップ率(s)」とは,

 [スリップ率] = ([車体速度] - [タイヤ回転数])/ [車体速度]

で求められ,[車体速度]と[タイヤ回転数]の差がどれくらいか? つまり,タイヤがどれくらいスリップしているか?を示している値です.[スリップ率]が0%であれば完全に路面に喰らいついており,100%であればブレーキング時だとロックしている状態になります.

従って,「μ-s特性」によると「タイヤが20%くらい滑っている時が最も縦にグリップする」という事になります.ちなみに,これは論理的に導き出されたものではなく,実験的に導き出されたものだそうで,大抵のタイヤはこれに当てはまるようです.この特性を踏まえて,例えばABSの制御等はスリップ率が20%以内に収まるようにセッティングされているそうです.


なるほど,タイヤは完全に滑らないように使うより,少し滑らせるくらいで使った方がグリップは高いんだな~と分かったところで・・・,

 φ(・ω・ )フムフム…ン!?

911みたく,ハイパワーで自力でホイールスピンを引き起こせるようなクルマであれば,この20%のスリップ領域を活かしたドライビングが出来ると思いますが,そもそもアンダーパワーなFFではホイールスピンなんて起きないし,起こせない.こういうクルマの場合はどう活かせばいいんだ・・・? 意図的にホイールスピンさせるんだったら,例えばLSDの効きを弱くすればいいのか?とも思いましたが,LSDは内輪の空転を防ぐのが主目的なので,そうではない.

ならばと,パワーを上げずにホイールスピンを引き起こすためには,タイヤに掛かっている荷重を抜けば良い訳だから,



こういう事なのか・・・?
加速する時に,20%のホイールスピンが起きるように,意図的にフロントをリフトさせて荷重を抜けばいいのかな?

でも,[駆動力] = [摩擦係数] × [荷重] なので,[摩擦係数]が増える分よりも[荷重]が抜ける量が増えたら,トータルでは[駆動力]が減ってしまうしなぁ~.20%の[スリップ率]を正しく計測出来ないとバランス点が見極められないかもしれない.


・・・と更に文献を読み漁ると,「ここで言う『スリップ率』は必ずしもタイヤと路面の間のスリップを指している訳ではない」との事.

 (゚Д゚;)ナヌ!?


(浜名湖観光局:ABSの働きより)

タイヤは路面とホイールの速度差によって引っ張られ,常に引き延ばされた状態で路面に接するため,タイヤが全く変形しない場合と比較すると1回転当たりに進む距離が長くなる.距離が長くなっているのに回転数が同じという事は速度が上がっている事になるので,タイヤが変形すればするほど[スリップ率]は下がる傾向となる,との事.

言われてみれば,そりゃそうか.F1のタイヤが長らく変形し易い13インチだったのは,これが理由でしたものね.



 ( ´・д・)ン?

という事は,トラクションを稼ぐ目的でタイヤのスリップ率を意図的に上げるためには,タイヤの変形を減らせば良いという事? つまり,

タイヤの扁平率を小さくすれば良い

・・・って事なのかな?


以上,低扁平率の恩恵にもう1つ気づけた「μ-s特性」のお勉強でした.


(Best MOTORing 1992年5月号より)
Posted at 2022/05/02 03:12:33 | コメント(2) | トラックバック(0) | セッティング(タイヤ) | 日記

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何シテル?   07/22 22:46
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