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OX3832のブログ一覧

2025年03月29日 イイね!

転がりインピーダンスのお勉強

転がりインピーダンスのお勉強THE TALLさんのブログで「タイヤの空気圧が高いほど走行抵抗は低くなると思っていたが,そうでもない」というお話を知りました.

最初に読んだ瞬間は「なんだそりゃ?」と思ったのですが,ソースの記事を読むと「なるほど,それは一理あるかも・・・」と考え直しました.軽く調べてみたところ,この説は2021年に発表されたものだそうで,ロードバイクの世界では当たり前の話となっているそうなのですが,自動車の世界では類似した情報は見つけられませんでした.

中には「たった1つの会社がそう言っているだけで,オカルトの類」とまで言っている人もいましたが,まぁ,それはそれとして理屈を理解しておくのも面白いだろうと調べてみる事にしました.


まず,この説を発表したのはイタリアの老舗ポンプメーカーである「SILCA」という会社.



「なんでポンプメーカーがロードバイクの話をするんだ?」と思ったら,自転車用の空気入れにポンプを使っていましたね.現在ではポンプだけでなく,様々な自転車のパーツを生み出している会社だそうです.


この「SILCA」のブログに前後編で研究の内容が述べられていました(↓).

  Part 4A: Rolling Resistance (The History and Previous Works)
  Part 4B: Rolling Resistance and Impedance


原文は英語なので,これを意訳しながら纏めてみるとこんな内容です(↓).

2007~2008年にパリ~ルーベ(フランスで行われるサイクルロードレース)のホイールを開発していた際,リムが破損する限界を探ろうとタイヤの内圧をどんどん下げるテストを行っていた.内圧を下げると転がり抵抗が増えるため通常は速度が落ちるはずなのだが,内圧を下げれば下げる程,速度は上がっていった.


(JATMA:タイヤの性能と技術より)

この原因を調査する過程で,自転車物理学の研究者Tom Anhalt氏が2009年に公開したデータを見つけた(↓).



このデータでは,タイヤの転がり抵抗を滑らかなローラー上で計測した場合(青)と実際の路面に近い条件で計測した場合(水色)を比較したもので,内圧が低い領域では同じ特性を示すが,一定の値(Break Point)を超えて内圧を上げると,実際の路面に近い条件(水色)では転がり抵抗が増える事が示されていた.

この特性は,Bicycle QuarterlyのJan Heine氏が「サスペンション損失」と呼ぶ現象が影響していると思われる(↓).


(SILCA:Part 4A Rolling Resistanceより)

これは,タイヤの内圧が100psi(6.9キロ)の状態で路面上にある5mmの段差を乗り越えようとした際,車体は1mmしか持ち上がらず,残り4mm分の衝撃はタイヤが変形する事で吸収されるというものである.この変形による損失は路面の荒れ具合(周期的な変化)に依存している事から,「周波数特性を持った抵抗成分」という意味で「転がりインピーダンス」とSILCAでは呼んでいる


この「転がりインピーダンス」を特性を解明するために,2014年に3種類の路面でテストを行った.


(SILCA:Part 4B Rolling Resistance and Impedanceより)

その結果,やはりタイヤの内圧が一定の値(Break Point)を超えると転がり抵抗(Crr)は増える事が確認された.
このテストではライダーの体重やタイヤの幅等も変えて行ってみたが,同じ傾向だった.


また,Break Point前後でライダーの仕事量を比較してみると(↓),



Break Pointよりも内圧が10psi(0.6キロ)低い場合の方が,10psi(0.6キロ)高い場合よりも仕事量が少ない(=抵抗が小さい)事も分かった.これは「転がりインピーダンス」が非線形な特性を持っているためと思われる.


更に,このテストから2年後,再び同じ路面でテストを行った(↓).


(SILCA:Part 4B Rolling Resistance and Impedanceより)

2年前(左)と比べて今回(右)の方が転がり抵抗(Crr)の絶対値が小さくなっている.また,Break Pointの位置やBreak Point以降の特性も変わっている事が分かる.これは2年の年月で路面が擦り減り,表面が更に滑らかになった事と,アスファルトが2年の年月で硬化して変形しにくくなった事が影響していると思われる.つまり,「転がりインピーダンス」の特性は,路面の滑らかさや硬さの影響も受けている事が分かる.


以上の話を纏めると,

  ・タイヤの内圧は低くすると,タイヤの転がり抵抗は増える
  ・反対に,内圧を高くすれば転がり抵抗は減るのだが,その途中に「Break Point」が存在する
  ・この「Break Point」よりも高い内圧を設定すると,転がり抵抗は逆に増えてしまう
  ・この「Break Point」は,路面の滑らかさや硬さによって変わる
  ・路面がより滑らかな方が,タイヤの転がり抵抗は減る
  ・路面がより硬い方が,タイヤの転がり抵抗は減る
  ・「Break Point」近辺でセッティングを詰める場合は,高めよりも低めを狙った方が転がり抵抗は小さい

といった感じでしょうか.なかなか興味深いお話ですが,現状この「Break Point」を論理的に導き出す手立てはないそうで,現場でテストしてみるしかないそうです.そうなると,この理論を実践するのはなかなか難しい気もしますね.


さて,この「転がりインピーダンス」のお話は,あくまでロードバイク用のタイヤのお話なので,自動車用のタイヤでも同じ事が言えるのか?は分かりません.そこで両者の違いをざっくり調べてみました.

【ロードバイク用(Continental GP4000s II 25mm)】
  ・外径    :700mm
  ・幅      :25mm
  ・推奨内圧 :95~123psi
  ・パターン  :ほぼスリック

【自動車用(ADVAN A052 205/50R15)】
  ・外径    :587mm
  ・幅      :214mm
  ・推奨内圧 :32~40psi
  ・パターン  :セミスリック

自動車用のタイヤはロードバイク用のタイヤと比べて,直径が小さく・幅は太く・内圧は低く・タイヤの溝も少ない事が分かりました.これらの特徴を踏まえると先述の「サスペンション損失(≒衝撃の吸収能力)」は,ロードバイク用よりも自動車用の方が大きく,内圧変化に対する転がり抵抗の感度もその分だけ低そうです.

という事は,先述のこの図(↓)を上下を潰して,更に内圧の使用レンジも狭めた感じになるので,



仮に自動車用タイヤに「Break Point」があったとしても,そもそもの変化量自体が小さく,無視出来るレベルなんじゃないかなぁ~?と思いました.


以上,転がりインピーダンスのお勉強でした.最終的には「4輪には関係ない話」となってしまいましたが,今までのセオリーとは異なるお話で,理屈そのものはなかなか面白かったです.
Posted at 2025/03/30 02:03:23 | コメント(1) | トラックバック(0) | セッティング(タイヤ) | 日記
2025年03月23日 イイね!

ナリモ攻略(やり切った編)

ナリモ攻略(やり切った編)ちょっと時間が空いてしまいましたが,先日走ったナリモの反省会(回)です.

当日は自己ベストの0.06秒落ちとなる58.51を記録しましたが,これ以外にも58.53を2回記録しており,現状のクルマから引き出せるものは全て引き出したかな?という感じです.ナリモに合わせたセッティングをすればもうあと0.1~0.2くらいは削り取れる気もしますが,そこまでやる必要もないと思っているので,今回でやり切ったと思っています.

とはいえ,自己ベストに届かなかったのも事実なので,振り返りはやって今後のために情報を残しておきます.

まずはサンプルデータ.

【前回(58.45)】


【今回(58.51)】



続けてコンディション.

  前回 ・・・ 気圧:1028.8hPa  気温:15.3℃
  今回 ・・・ 気圧:1003.3hPa  気温:19.8℃

前回の気圧が良過ぎたので差が大きいですね.さすがに25hPaも違うと明確に車速の伸びが変わってくると思います.気温も20℃近くと高く,路面温度もそれ相応に上がっているでしょうから,タイム的にはかなり出にくい状況.これでよく0.06秒落ちまで迫れたなぁ~という感じです.


それではここからデータ分析に入りますが,今回は計測データの誤差が大きかったため,車載での比較を中心に行います.




ホームストレートエンド



1コーナー進入手前の終端速度で3km/h差.ナリモのホームストレートは110mなので,ゼロ発進から1速→2速とシフトアップしたゼロヨンならぬゼロイチ(0-100m)で3km/h差という事ですかね.やはり気圧差の影響は大きそうです.


1コーナー(14R~10R)



終端速度は伸びなかったものの,1コーナー(14R)を抜けてヘアピンまでの複合セクションでは,前回(左)よりも今回(右)の方が車速が高い.最初,進入速度が高かった分だけ前回(左)の方がボトムを落とさないといけなかったのかなぁ~?と思ったのですが,恐らく違う.今回(右)はリアにヘルパースプリングが入っているので,インリフトが抑制されてハンドリングが安定しているんでしょうね.なのでリアが落ち着くまでの"待ち"の時間が少なく,すぐにアクセルを開けて高い速度を維持出来ているという事なんでしょう.


ヘアピン進入(15R~8R)
そこからヘアピンに進入していく訳なのですが,ここのライン取りが大分違います(↓).



前回(赤)は若干オーバーシュート気味でターンインが遅れているのに対し,今回(青)がきっちりインに寄せられています.これはステアリングの舵角にも表れていて(↓),



前回(左)の方が舵角が大きく,切り遅れを取り戻そうとしているのが分かります.なぜこんなライン取りの違いが生まれたのかなぁ~?と思い出してみると,恐らく次のS字セクション(↓)の攻略方法が変わったためかな?と.



前回はS字の右(画像の奥)が苦しかったため,S字の左(画面の手前)でなるべくイン側に寄せようとクリッピングポイントを1個目のパイロンではなく,2個目のパイロンとし,ヘアピン(15R~8R)に対して回り込む形(U字状ではなく,レ点でコーナリングする事)を意識していたのですが,今回はS字の右で苦しまなかったためセオリー通りのアプローチに戻したようです.

確かに,S字を抜けた先(13R)の車速は今回(右)の方が伸びていますし(↓),



ここのハンドリングが明確に良くなったのだろうと思います.では,なぜ良くなったのか?を考えてみると,フロントに入れたHALの低反発スプリングのおかげなんだろうなぁ~と思いました(↓).



リアのブレーキの問題もあって,TC1000ではまだそのポテンシャルを全て引き出し切れていませんが,フロントの荷重をキープするという点においては,やはり低反発スプリングの方が優れている(=セッティングを詰めていけば最終的にはこちらの方が速い)と改めて思いました.


右直角コーナー(10R)
次は,S字を抜けた後の右直角コーナーですが,今回ここはやや攻めが足りなかったようで,前回(左)と比べてコーナリングスピードが4km/hも低いです(↓).



乗っていた時は特に抑えて走った記憶はないので,同じように走ったつもりで遅くなっている事から,クルマ側の問題でしょうね.フロントスプリングの低反発化によりステアリングレスポンスが悪化したのか? リアのインリフトが抑制されて向きの変わりが遅くなったのか? エンジンパワーの低下によりタイヤのグリップに負けたのか? いくつか仮説は思いつきますが,これだけで紐解くのは難しいですね.


複合ヘアピン(7R~8R)
ここは明確に意識してライン取りを変えました.前回も7R~8R間の外側は路面が荒れていてグリップしない事は分かっていたので(↓),



なるべく小回りして外輪側のタイヤを荒れた部分に落とさないように意識していたのですが,結果的にはそれが出来ていませんでした・・・.なので,今回は完熟歩行の際に改めてそれを意識し直していたのですが,再度路面を見てみると,7R~8R間だけでなく,7Rの進入もかなり路面が荒れている事に気づきました(↓).



なので,ここは進入の時点から徹底的にインベタだな!と意識してラインを変えたのですが,そうなると苦しいのが出口側の8R.前回はここが曲がらないので,結果的に7R~8R間を大回りする羽目になったのですが,今回はなぜかクルッ!と小回り出来ました.


(立ち上がりの車速もほとんど変わっていない↑)

察するに,現在のリアブレーキがロックし易い状態であるため,これがサイドを引いた状態と同じ効果を生み出し,180°ターンみたいなシーンで小回りが出来る要因となったんじゃないかと思います.


V字ヘアピン(12R)
手前の180°ターンを小回り出来たおかげで次の12Rに向けては余裕があり,ここはきっちりパイロンに寄せられています(↓).



今回(右)の方がボトムスピードも5km/h高く,このライン変更は今のクルマの状態に合っていて正解だったんじゃないかな~と思っています.なお,12Rを抜けた時点で前回と今回のタイム差はほぼゼロでした.


7Rへの接続ショートカット
V字ヘアピンを抜けた後,全開で走る18R~10R~15Rの高速区間はほぼ違いがなく,そこからジムカーナ特有のショートカット部分に入るところで1つ問題が.ショートカット部分なので路面に段差があり,クルマが激しくバウンドするのですが,今回(右)の方はここでリアが暴れてカウンターを当てる羽目に(↓).



恐らくこの原因は,リアのリバウンドストロークを稼ぐために1G状態でバンプタッチしているせいで(↓),



ギャップでダンパーが縮んだ際に底突きしてしまうため,グリップが抜けてリアが暴れているのだと思われます.リアのブレーキ問題が解決したら,こちらの件も直さないとダメですね・・・.


15R⇒18R間の接続ショートカット
なお,上記のリア暴れは,同じく15R⇔18R間の接続ショートカット部分でも起きていて,



こちらは車体が浮くレベルでジャンプするので,着地時のテールスライドが更に酷く,アクセルを全開にして無理やりクルマを抑え込みましたが,確実にボディに良くないですね・・・.


ヘアピン(15R)
ここは完熟歩行時にライン取りで迷った箇所ですが(↓),



結果的にはインベタを選択して正解でした.立ち上がり時の車速を比較すると(↓),



今回(右)の方が2km/h高くなっており,ここもリアのブレーキロックのおかげか? 小回りに苦労しなかったので,今のクルマの状態であれば正解だったようです.


最終コーナー(15R)
・・・で結局,0.06秒はどこで差がついたの?というと,最終コーナーでした.



同じようにアプローチしているつもりなのですが,今回(右)の方がほんの僅かにアンダーステアが強く,舵角が大きくなってしまいました.その結果,続くホームストレートでの車速の伸びが低く,エンジンパワーが落ちている日という事もあって,ゴールラインまでに0.06秒差がついてしまったようです・・・.orz

アンダーステアとなった要因はデータからなかなか読み取れないのですが,

  ①前回に比べて気圧が低くエンジンパワーが,タイヤのグリップに負けている
  ②前回に比べて路面温度が高く,フロントタイヤの限界が低い
  ③フロントスプリングの低反発化によって,荷重が掛かっている時間が長い(=フロントタイヤの負担が大きい)
  ④リアのインリフトが抑制されているため,向きが変わりにくい

・・・といった辺りが要因かな?と思います.③・④は最終コーナーではデメリットになっていますが,別のコーナーではメリットになっていたりもするので半々.となると直接の要因は①・②となり,やはりコンディション差でタイムを更新出来なかったという事なのでしょうね.

逆に言うと,ナリモはやはりジムカーナコースらしく,コンディション差の影響が小さいと言う事も出来ます.TC1000で気圧が25hPaも違ったら0.5秒は変わると思いますが,ここでは僅か0.06秒.クルマの状態よりもドライバーの技術(コース攻略)の方が比重が高いという事なんでしょうね(という事は,攻略し切った現段階では,これ以上伸び代がない・・・とも言えますが).


以上,ナリモ攻略のやり切った編でした.纏めると,

  ・コース攻略はほぼ完成(やり切った!)
  ・これ以上詰めるには,セッティングをナリモに合わせるしかない
  ・前回からの変化点であるフロントスプリングの低反発化は,低荷重域の荷重維持が容易になった
  ・その反面,高荷重域ではステアリングレスポンスの悪化を招いている
  ・リアのリバウンドストローク確保は,ブレーキング時の安定性向上に繋がっている
  ・その反面,バンプストロークが不足して,荒れた路面ではリアが暴れる
  ・クルマのトータルバランスとしては問題を感じないが,ほんの少しだけアンダーステア気味な様子(遅い)
  ・リアのブレーキロックは,ジムカーナコースでは有利に働いている
  ・この問題を直すと,180°ターンで遅れる可能性あり

といった感じでしょうか.スプリングの変更はメリット・デメリット両方あるので,それぞれの特性を確認出来た感じですね.ただ,バンプストローク不足によってリアが暴れる部分は直したいかな.リアのブレーキロックは今後直しますが,その分だけナリモでは遅くなるかもしれませんね.

いずれにせよ,やり切った感があるのでナリモのタイムとしてはこれで頭打ちでしょう.
57秒台を出すには,大幅な軽量化 or パワーアップしかないと思います.
Posted at 2025/03/26 12:24:30 | コメント(0) | トラックバック(0) | ナリタモーターランド | 日記
2025年03月22日 イイね!

全日本選手との実力差を味わう

全日本選手との実力差を味わう会社のメンバーに誘われて,通算4回目のナリタモーターランドで行われるジムカーナ形式の練習会に参加して来ました.

前回は出来過ぎの結果で58秒台をマーク出来ましたが,今回は気温20℃超えで,気圧も1006hPaと低く,前回のコンディション(気温:15℃,気圧:1028hPa)には遠く及ばないので,タイム更新どころか58秒台に入れる事すら困難だろう・・・と思いながら向かいました.


ナリモに到着した時点の朝一では気温10℃を下回り,吐く息も白かったのですがタイヤ交換をしている頃には気温も上昇.薄っすらと汗をかくような状況でした.

クルマの準備が終わったところで完熟歩行を始めてみると,コース前半部分は亀裂の穴埋めをやったような跡が(↓),



前回(2024年11月)はなかったような気がするので,コースを補修したんですかね? ただ穴埋めの痕跡は前半部分のみで後半部分はそのままでした.


(パイロンの接地跡と360°スピンターンが行われた形跡を確認)


それ以外は特に違いはなさそうなので,前回の課題として残った15Rのヘアピン攻略を検討.前回走行時の分析結果からここのロスが大きかったので,ヘアピン進入前に一度アウト側にクルマを振ってボトムを稼いだ方が良いのでは?と思ったのですが(↓),



実際にコースを見てみると(↓),



多分,アウト側に振る時間的余裕はないなぁ~と思い,路面に残っているブラックマークもインベタのラインを示しているので「ここは攻略方法を変えず,インベタのままアプローチだな」と決めました.


1本目(9:01~)
前回の結果から今回は2番ゼッケンを頂いたので早々にクルマを並べます.路面温度は20℃と微妙な感じでフロントはともかく,リアが恐らく温まらない.ブレーキの熱も入っていないですし,ここは抑えて走ろう~という事で 1'03.38.

2本目(9:08~)
今回は5台セットで2本先に走らせてくれるとの事で,すぐに順番が回ってきて2本目.1本目ではやはり左リアが温まり切っていなかったので,現状のブレーキバランスだと危険という事でブレーキだけマージンを残して 1'00.27.分切りくらいはしておきたかったところですが,今日はタイムを出す日ではないので,まぁ,こんなもんでしょう.


これでインターバルに入ったので他の方の走行を見ていたのですが,ルーフボックスを付けたまま走っているフォレスターのロールが凄い!



SUV(Sport Utility Vehicle)というよりRV(Recreational Vehicle)の時代のフォレスターなのでサスペンションストロークが長い上に重心も高いので,動きが大きく,見ていてハラハラしました(笑).


その一方で,先日の全日本ジムカーナに参戦していたコチラのスーパーセブンは滅茶苦茶速い!



筑波に持ち込んだ仕様そのままだそうで,タイヤもA050のG2/Sを履いていましたが,朝一からブッチギリの57秒台をマークしていました.「ふえぇぇ・・・,1周約1分のコースで3秒も差がつくのか.やっぱり全日本選手はレベルが違うなぁ~」と思い,このタイムにどこまで迫れるのかチャレンジしてみる事にしました.


3本目(9:56~)
今回は5台×2本を4チームで行ったのですが,回転が良いのか1時間も経たないうちに順番が回って来ました.この時点で路面温度は30℃近くなり,冷間でもリアタイヤは25℃を超えてA052の作動温度域に入りました.「これなら全開で行っても大丈夫!」とアタックして 59.32.まずは1分は切れました.

4本目(10:02~)
今回はタイム更新が望めないという事でサーキット走行時の減衰設定のままで走っていたのですが,これだとやはりちょっと固過ぎてフロントが入らないので,減衰を前後共に1段下げ.結果は,



58.53.なんと自己ベストの0.08秒落ちまで来ました.前回とのコンディション差を考えたら出るはずのないタイムなのでビックリ! サーキットだと致命的な現状のブレーキバランス(リアがロック気味)が逆に,ジムカーナだと有利に働いている事がありそうですが,フロントの入りの良さと高速コーナーでの粘りがなかなかのバランスなので,HALの低反発スプリングが威力を発揮しているんじゃないかなぁ~?とも思いました.


そこから再び50分間インターバルを置いて5本目.

5本目(10:45~)
自己ベストの0.08秒落ちまでくると俄然やる気が出てくるので,気合を入れて走った結果は58.59. この頃には気温が大分上がっていたので「これ以上は厳しいかぁ~?」と思い始めました.

6本目(10:51~)
この気温にセットを合わせ込まないとダメだなと思い,5本目の問題点を振り返ってみると若干フロントのステアリングレスポンスが悪いと感じていたので,減衰を更に前後1段下げ.「これでどうかなぁ~?」とトライした結果は,



58.53 で4本目と1/100秒まで同タイム.ただ,コンディションが悪化傾向であるにも関わらず同じタイムを出せたという事は「こちらのセットの方が正しい」という情報は得られました.


そこから再び50分間インターバルを置いて7本目.午前中はトータル6本と聞いていたのですが,回転が想定よりも良いという事で私のグループは追加でもう2本となりました.

7本目(11:32~)
先程のセットの方が良いという事で何も変更せず,50分のインターバルでタイヤが冷えた分のゲインを狙っていきましたが,タイムは59.20とダウン.路面温度が更に上がった事でフロントタイヤがタレ始め,フロントのブレーキロックが多くなっていました.

8本目(11:38~)
「この減衰だとフロントの負担が大き過ぎるか~」と思い,減衰設定を前後共に1段上げて負荷を緩和してやろうとしたのですが,



低速コーナーでハーフスピン.フロントが耐えられるようになったせいでリアのブレーキロックが顕在化し,リアのスライドが止まりませんでした・・・(1'00.91).


午前中最後のトライが失敗に終わり,一先ず減衰設定は元に戻してお昼ご飯.



クルマ的にやれる事はもうなさそうなので,ご飯食べながら「後はドライビングで削り取るしかないな~」と思っていました.


9本目(13:23~)
1時間のお昼休憩でタイヤの温度も下がったかな?と思いましたが,タイムは58.87と伸びず・・・.これ以上タイムを縮められる要素が思いつかなかったので,あとはコーナー毎に1/100秒単位で削り取るしかないな,と覚悟を決めて集中力を上げます.

10本目(13:29~)
ラインを徹底的に切り詰めて,縁石スレスレ,パイロンスレスレを狙って走らせた結果,



58.51.午前中のタイムを2/100秒削り取れました.「もうこれで目一杯.これ以上は無理~」という事でアタックはこれで終了.結局,トップタイムは全日本選手の57.19だったので1.32秒差.「あと1秒削れるイメージは全く湧かん・・・」と実力差を思い知らされました.


ここから先はテストに切替え,先日のTC1000でしきりにプロに首を傾げられたので,VTECの切替ポイントを再検証.現状,燃料が入らないので結構高めに設定しているのですが,色々見直した結果,もうチョイ下げても燃料は入りそうだったので,1速全開が試せるココでテストしてみる事にしました.

スタートライン通過時点の速度で比較するとこんな感じ(↓).

【持込み設定】
   09本目(13:23~) ・・・ 84.59km/h (ラップタイム:58.87)
   10本目(13:29~) ・・・ 85.20km/h (ラップタイム:58.51)
 ------------------------------------
    平均        ・・・ 84.89km/h (ラップタイム:58.69)

【チョイ下げ】
   11本目(14:13~) ・・・ 83.89km/h (ラップタイム:58.71)
   12本目(14:19~) ・・・ 83.51km/h (ラップタイム:59.24)
 ------------------------------------
    平均        ・・・ 83.70km/h (ラップタイム:58.97)

【更に下げ】
   13本目(15:07~) ・・・ 86.81km/h (ラップタイム:59.79)
   14本目(15:12~) ・・・ 86.85km/h (ラップタイム:58.67)
 ------------------------------------
    平均        ・・・ 86.83km/h (ラップタイム:58.73)

【チョイ下げ】レベルだとやっぱり遅いようですが,【更に下げ】るレベルまでいけば速くなっていそうですね.一応,気温の影響も有り得るのでそちらも確認してみると,

   09本目(13:23~) ・・・ 21.5℃
   10本目(13:29~) ・・・ 21.3℃
   11本目(14:13~) ・・・ 21.0℃
   12本目(14:19~) ・・・ 21.2℃
   13本目(15:07~) ・・・ 21.1℃
   14本目(15:12~) ・・・ 21.0℃

0.5℃差ならほぼ変わらない.という事は「結構下げたところに伸び代がある」という事が分かりました.これは良い情報が得られました~♪


以上,クルマとドライビングを限界まで切り詰めても届かない,全日本選手との実力差を味わったジムカーナでした.
Posted at 2025/03/23 12:49:42 | コメント(0) | トラックバック(0) | ナリタモーターランド | 日記
2025年03月17日 イイね!

プロとの比較で伸び代を探す

プロとの比較で伸び代を探すフロントブレーキの問題点整理対策検討も終わったので,先日のTC1000のドライビング反省会です.

今回はプロに乗って頂いたので,この最高のお手本と比較する形で反省を進めようと思うのですが,プロには8ヵ月前にも乗って頂いたので,その時はどうだったかなぁ~?と当時のブログを見返してみたところ,ヘアピンのボトムで大差(6km/h)をつけられる結果となっていました.


今回はブレーキの問題でこのヘアピンを攻め切れていないので,この差がより一層開くような気もしますが,まずは車載を比較してみます(↓).



私(右)の方は1つ1つの操作で大分ギクシャクした動きをしているのに対し,プロ(左)の操作はウルトラスムースですね! 特にシフトアップ/ダウンの操作は私(右)はエイヤー!と力任せに操作している感があるのに対し,プロ(左)は余裕をもって丁寧に操作している印象を受けます.この操作でもロスなく好タイムを叩き出す訳ですから,余裕のある人が下限で走らせている(=プロ)のと,目いっぱい上限で絞り出して走っている人間(=私)の差を感じますね・・・.プロのこの余裕は見習いたいです.


次はロガーデータ・・・となる訳なのですが,その前に全体的にライン取りを見ていて,ふと思いました.







青が私,赤がプロなのですが,「あ~,これはドライビングスタイルの違いが出ていそうだなぁ~」と.
端的に言うと,V字ドライビング(私)とU字ドライビング(プロ)のような違い(↓).


(AUTOSPORT No.1470より)

V字ドライビングはストレートスピードが速いクルマが適している走らせ方で,スロットルの全開時間を可能な限り長くとり,ブレーキングもハードに行って鋭角的(V字)なラインを取ります.それに対してU字ドライビングの方は,そこまでエンジンパワーがなく,ストレートスピードでタイムを稼げないクルマが適している走らせ方で,アンダーパワーでタイヤのキャパシティに余裕があるため,コーナーに高い速度で進入し,ブレーキングもそこまでハードに行わず,必然的に緩やかなU字状のラインを描く形となります.

EF8は1.6L NAとしてはパワーがある方ですが,90年代前半の回転数を上げて絞り出す設計思想なので,昨今の低回転域からトルクをモリモリ出す思想のクルマと比べればアンダーパワーなので,U字の方が正しいんだろうなぁ~.


そういえばプロに乗って頂く前に,こんなやりとりがあったのですが(↓),



蘇武さん :今の乗り方は,コーナーのクリップまでブレーキを引き摺る感じですか?
私     :そう・・・ですね.
蘇武さん :クリップまで引き摺っていって,アクセルをすぐ踏む感じ?
私     :そうですね.
蘇武さん :何もしない時間はあまり作らない感じ?
私     :作らないようにしています.
私     :ただ・・・(その時のクルマの動き方によって,すぐ踏んだり,待ったりするんだけど・・・).
私     :(上手く説明出来ん! 諦めよう)いや,そうですね.なるべく作らないようにしています!
蘇武さん :了解です!

アレももしかしたら,こういう走らせ方の違いを踏まえた質問だったのかなぁ~? 聞かれた時は質問の意図が汲み取れず,考えながらしゃべっていたので上手く返せなかったのですが,瞬時にこういうのを言語化出来ないのはダメですね(泣).


という事で,スタイルの違いも踏まえてデータを見ないとダメそうなので,今回はフリクションサークルの方から見ていきます(↓).



赤がプロ,青が私です.加速領域(下)はクルマの性能そのままなので多少の凸凹はありますが,それほど大きな違いはなさそうです.減速領域はピーク(上)は私(青)の方がドーン!と突き抜けていて,V字ドライビングの特徴そのままですね.ブレーキングと左へのターンをオーバーラップさせる領域(右上)はプロ(赤)よりも私(青)の方が大分タイヤを酷使しているようですが,反対にブレーキングと右へのターンをオーバーラップさせる領域(左上:緑枠の領域)ではプロ(赤)の方が私(青)よりもタイヤのグリップを上手く引き出しているようです.伸び代があるとすればココですかね?


という事で,この部分にフォーカスしてみます.
まず始めに,この部分は左高速コーナーを抜けて洗濯板に向かう緩やかなS字の部分でした(↓).



そして,この部分のGの推移を見るとこんな感じ(↓).



Gの軌跡としては,右下から始まって上に行き,そこから左へ移動して,最後は左下に至る感じですが,最初の右下~上に向かう領域でプロ(赤)は私(青)よりも右側にいるので,洗濯板手前の左高速コーナー区間(右下~上)では横Gを残した状態のままブレーキングを開始しているようです.更にブレーキングの開始ポイントも見てみると私(青)よりも10mくらい奥!(↓)



つまり,右に横Gが掛かったまま,私(青)より更にブレーキングを遅らせて入って行くという事なのですが,これが信じられない・・・.私がこれと同じ事をやろうとすると多分リアがロックしてクルマが左を向くか,ブレーキングが間に合わず,前傾姿勢のまま洗濯板に突っ込んでいく形になるはず.どうしてこれで破綻しないんだ!?

信じられないので,この時の車載を見返してみるも(↓),



洗濯板手前で3→2速にシフトダウンするタイミングはプロ(左)も私(右)もほぼ一緒.しかし,プロ(左)はそのシフトダウン段階で既にステアリングを右に切っている!

∑(゚Д゚) ファッ⁉︎

最初,「右に切っているという事は,もしかして左高速でリアが流れてカウンターを当てたのか?」と思いましたが,車載を巻き戻して見るとそんな動きはしていない.単純に左→右へコースに沿ってステアリングを切っただけのように見えます.左下の車速の数字を読み取ると,確かに私(右)よりも進入速度が10km/hも高いので,この辺りから切り始めないと間に合わないという事か.でも,ステアリングを真っ直ぐにしないままブレーキングしたら,リアがフラフラになると思うのですが,どうしてコレで破綻しないんだ? ワカラン・・・.

( ˙ㅿ˙ ) ポカーン…

1つ考えられる要素としては,「ブレーキを強く踏まない」というのが考えられます.強く踏まなければリアがロックする事はないし,前傾姿勢の角度も浅い.ただ,それにしたって・・・という感じで完全に自分の技量を超えた世界で,これを真似出来るイメージが全く湧きませんね.orz


洗濯板進入の時点で大分驚愕してしまいましたが,しかし,本題はここから.私(青)よりも突っ込んだ状態から洗濯板へアプローチしていった際のGの軌跡が以下となるのですが(↓),



私(青)の方は洗濯板に右フロントをのせるために,沈み込んだフロントを少し持ち上げるべくブレーキの踏力を少し抜いて(=減速Gを弱めて)進入しているのですが,プロ(赤)の方はブレーキを弱めず(=フロントを持ち上げず?),そのまま洗濯板にアプローチしているような・・・.そんな事をしたら,洗濯板に右フロントをのせる時にガツン!と衝撃が来て,縁石に跳ね飛ばされる気がするのですが,車載を見るとそんな衝撃はない.えっ? なんでだ??

( ゚д゚) ???

考えられる理由としては,車載を見比べるとプロ(左)の方が舵角が少ないので(↓),



洗濯板をいなす感じで乗り越えられている可能性があるのと,プロの方が横Gが掛かっている時間が長いので完全に内輪側の荷重が抜け切って,いるため衝撃が来ない,という可能性くらいかなぁ~? その荷重抜きを実現するための逆算として,「高車速進入」「早めのステアリング切り」なのだとしたら,いやはや恐れ入りました・・・という感じですね.


そして,そこから先にもまだまだ改善すべき点が.洗濯板を抜けた後のライン取りが(↓),



私(青)は大分小回りしてしまっていて,最終コーナーへの進入角度がキツく,アクセルを開け切れていませんでした.プロ(赤)の方は洗濯板通過後,そのままアウトクリップに向かっており,コース幅を目一杯使った状態から最終コーナーへアプローチしているため,進入角度が緩く・スムースに加速出来ています.この差がゴールラインまでに0.07秒の差を生んでいるので,ここは絶対直さないとダメですね.


ココのライン取りは,サーキットアドバイザーの時に何度もアドバイス頂いているのですが(↓),


(この辺りがボトム!)


(キレートレモンを目印に!)



身につけられてないなぁ~.走っているとどうもここは距離優先で小回りしたくなっちゃうんですよねぇ・・・.ここは無理矢理にでも目線を外に送って(↓),



小回り禁止!の意識付けをしないとダメですね(反省).


以上,プロとの比較で伸び代を探す,でした.纏めると,

  ・洗濯板通過後のライン取りを修正
  ・目線を外(キレートレモン)に送り,アウトクリップにちゃんとつく
  ・そこから最終コーナーに向かって回り込むラインをとり,アクセルを開けられる量を増やす!
  ・アウトクリップに向かう距離的なロスは,進入速度の高さでカバー
  ・洗濯板通過中はステアリングを切り過ぎず,ブレーキングしながらでも良いから踏力を弱く
  ・車体をロールさせて内輪の荷重を抜き,縁石をいなすようなイメージで
  ・そのためには,洗濯板への進入速度を更に上げる必要もアリ
  ・これは,洗濯板手前のブレーキングポイントを可能な限り遅らせて実現
  ・但し,ブレーキを遅らせた分だけステアリングの切り遅れも生じ易いので早めに切り始めること

といった感じでしょうか.やはり逆算・逆算で物事を考える必要がある事を再認識しつつ,TC2000と同様に弱いブレーキ(=車速を落とし過ぎないブレーキ)を使いこなすのが私の課題ですね.



恐らく,上の図でいうところの「ペダルを踏んでいないポイント」~「ペダルが硬くなるポイント」の領域のコントロール精度が低いんだろうなぁ・・・.硬くなって以降は反力があるので細かく操作出来るのですが,反力が弱い領域は手応えがないので踏力の調整が上手くいかない.ここをなんとかしないと伸び代はないので,ひたすら鍛錬あるのみですかね.

蘇武さん,今回も貴重なお手本を示してくれて有難う御座いました!(プロはやっぱり凄い!!)
Posted at 2025/03/19 12:21:46 | コメント(0) | トラックバック(0) | プロの感想 | 日記
2025年03月16日 イイね!

IDIのパッド特性を読み解く

IDIのパッド特性を読み解く前回,プロから頂いたフィードバック結果を元にフロントブレーキの問題点を整理しました.

この問題に対する対策として,ブレーキパッドの「μ/N特性」に着目し,読み解いてみた訳なのですが,ENDLESS以外にこういったパッドの摩擦係数特性を開示しているメーカーはないのかなぁ~?と調べていたら,IDIも開示していました.


早速見てみようと思ったのですが,その前にIDIがEK9用のパッドを出していないと調べても意味がないので,まずはマッチングリストをチェック.



ちゃんと型がありました.「よし,これなら大丈夫だなぁ~」と思いつつ,もしIDIを選ぶと後々ENDLESSの4POTキャリパーは入れられなくなるなぁ~と思い,第2の選択肢であるSPOON製の4POTキャリパーを再度確認してみると(↓),



「EK9純正同形状」との事で,キャリパーを変更する場合はコチラを選べば問題なさそうです.


これで調べても無駄にならない事が確認出来たので,本腰を入れてみてみます.

まず,IDIのブレーキパッドにはいくつか種類があるようなのですが,サーキットユースだと「ゼロクロス」シリーズというのがあるそうです(↓).



略称が「0X」だそうでイイですね(笑).そのシリーズの中で更に3つのグループに別れているそうで(↓),

  CC    ・・・ Carbon Composite metal (ロースチール~ハイスチール)
  SC    ・・・ Semi Composite metal (ミドルスチール~ハイスチール)
  NF/NR ・・・ Non asbestos Front / Rear   (ノンスチール~ロースチール)

「NF/NR」はロースチール(スチールファイバー等を10~30%しか含んでいない摩材)という事もあって対応温度域が低いため,今回の選択肢からは外れるのですが,FFのリア用アンチロックパッドとして「NR1」という製品があるようなので,これだけは頭の片隅に置いておこうと思います.


(EF8用の型がある事も確認↑)


次に「CC」と「SC」の違いですが,その名の通り積極的にカーボン被膜を形成してローターへの攻撃性を緩和したのが「CC」.カーボン被膜は形成するが「CC」ほどではないのが「SC」という位置づけのようです.カーボン被膜は確かにローター保護の面では良いのですが,熱によって被膜にムラが出来るとジャダーの元になったりするので,個人的にはあまり好きではありません・・・.なので,今回は「SC」の方で見てみたいと思います.


(IDI:ZeroCrossブレーキパッドより)

今使っているパッドの作動温度域が「100~850℃」なので,これに近しいものだと「SC5」が相当しますね.
まずはこれから見てみましょうか.



  中高温域に特化し,初期制動を抑えたコントロール重視のブレーキパッド
  高温連続使用にも強く,耐摩耗性に優れるため耐久レース等にも使用可能な摩材


コレの摩擦係数特性はこんな感じ(↓).



作動温度域は「100~850℃」ですが,摩材の有効温度域である「300~900℃」の領域が開示されています.この間の摩擦係数は平均すると「0.48」といった感じでしょうか.温度に依存せず,かなり安定した特性で良いですね.


では次に1つランクを下げて「SC4」を見てみますか.

  初期制動を高く設定した,中高温域で高い制動力を発揮するブレーキパッド
  ブレーキ容量の足りない車両等に最適な摩材




こちらは「100~800℃」の領域が開示されています.100~300℃の領域は摩擦係数が0.49くらいでかなり効きが良さそうですが,それ以降は右肩下がりで高車速域では効きが弱そうですね.


これらの情報を頭に入れつつ,「SC4」と「SC5」のポイントを比較してみると,

  総合制動    ・・・ SC4:8.5  SC5:9.0 (+0.5)
  初期制動    ・・・ SC4:9.0  SC5:7.0 (-2.0)
  摩耗       ・・・ SC4:3.5  SC5:8.5 (+5.0)
  ローター保護 ・・・ SC4:5.0  SC5:5.0 (±0.0)
  フェード     ・・・ SC4:8.0  SC5:9.0 (+1.0)
  コントロール  ・・・ SC4:5.5  SC5:8.0 (+2.5)
  ペダルタッチ  ・・・ SC4:8.5  SC5:9.5 (+1.0)

なるほど,これでこのポイント表の読み取り方がなんとなく分かりました.

  総合制動    ・・・ 高温域まで摩擦係数が維持されるとポイントアップ
  初期制動    ・・・ 低温域で摩擦係数が高いとポイントアップ
  摩耗       ・・・ パッドの摩材が硬いとポイントアップ(?)
  ローター保護 ・・・ カーボン被膜量が多いとポイントアップ(?)
  フェード     ・・・ 高温域まで使えるとポイントアップ
  コントロール  ・・・ 摩擦係数の変化量が少ないとポイントアップ
  ペダルタッチ  ・・・ パッドの摩材が硬いとポイントアップ(?)


これを頭に入れつつ,今度は「SC6」を見てみます.

  初期制動を高く設定した高温高制動型のブレーキパッド
  高温時にも耐熱安定性が高く,過酷な状況下においても高い制動力を引き出す摩材




  総合制動    ・・・ SC4:9.5 (+0.5)
  初期制動    ・・・ SC4:9.0 (+2.0)
  摩耗       ・・・ SC4:5.5 (-3.0)
  ローター保護 ・・・ SC4:5.0 (±0.0)
  フェード     ・・・ SC4:9.0 (±0.0)
  コントロール  ・・・ SC4:7.5 (+0.5)
  ペダルタッチ  ・・・ SC4:9.5 (±0.0)    ※( )内は「SC5」比

低温域の摩擦係数が高いので,「SC5」よりも「初期制動」のポイントが高いですね.高温域では摩擦係数が多少下がってはいますが,それでも「SC5」よりは高い値を示しているので「総合制動」で+0.5ポイントなのでしょう.ただ,その分だけ耐久性は低く,3ポイントも落ちると恐らく見て分かるレベルじゃないですかね? 「摩耗」だけがネックですが,それ以外は望んでいるパッド像にかなり近そうです.


「ふむ,ではIDIで選ぶ場合はSC6かなぁ~」と思っていたら,2024年8月に新しく「SC6.5」「SC7」「SC8」というのが出来たそうです(↓).



こちらは摩擦係数の特性が開示されていませんが,先述のポイントを見ると以下の通り.

  総合制動    ・・・ SC6.5:9.5  SC7:10.0  SC8:10.0
  初期制動    ・・・ SC6.5:8.0  SC7:10.0  SC8: 9.5
  摩耗       ・・・ SC6.5:5.5  SC7: 5.5  SC8: 5.5
  ローター保護 ・・・ SC6.5:5.0  SC7: 5.0  SC8: 5.0
  フェード     ・・・ SC6.5:9.0  SC7:10.0  SC8:10.0
  コントロール  ・・・ SC6.5:8.0  SC7: 7.5  SC8: 8.0
  ペダルタッチ  ・・・ SC6.5:9.5  SC7: 9.5  SC8: 9.5

【SC6.5】
  SC6より更に高温高制動型のブレーキパッド
  初期制動はマイルドで,高温時の効きの落ち込みを極力減らし,高温安定性を向上させた摩材
  対応温度域:100~850℃


【SC7】
  初期制動の効きが高く,高温高制動型のブレーキパッド
  重量車向けで,高温高負荷時の高い制動力が特徴の摩材
  対応温度域:50~850℃


【SC8】
  SC7と比較して,初期制動を抑えた高温高制動型のブレーキパッド
  重量車向けで制動力は高いのですが,初期制動を抑えたコントロール性の高い摩材
  対応温度域:150~850℃



ポイントと概要のコメントから察するに,「SC6.5」は「SC6」の低温域の摩擦係数を少し下げ,逆に高温域の摩擦係数は上げたように読み取れるので,こんなイメージですかね?(↓)



「コントロール」のポイントも上がっているので,多分こんな感じの特性な気がするのですが,「SC6」より扱い易そうですね.対応温度域も広いし,そういう面で良さそうです.なお,「SC7」「SC8」に関してはENDLESSで言うところの「CC60」相当だと思うので,ここまでは要らない気がします.


以上,IDIのブレーキパッド特性を読み解いてみた結果でした.

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