
今後の伸び代に期待して前後スプリングのレートアップを行ってきたのですが,アレコレ問題ばかり抱えてしまい,伸び代どころか,むしろ落ち代の方が大きい事実を突きつけられ,元の仕様に戻す事にしました.
戻した後の感触としては
非常に良好で,これが私にとって一番不満なく・楽しく・速く走らせられる仕様のようなので,新しいダンパーを購入するまではこの仕様で行こうと思っています.
この結果,レートアップによって解消を目論んだ色々な課題が再び舞い戻ってくる事になるのですが,その中の1つに「
205幅と195幅でタイム差が0.05秒しかない」というものがありました.
これは同日に,フロントタイヤを205/50R15→195/55R15に変えて走行してみたところ,両者のベストタイムの差がたった0.05秒しかなかった・・・というお話です.
(ちなみに,205幅の方は40秒台を出しているので,ほぼ全力を出し切った状態のタイムです)
これに対するプロの見解としては,「タイヤに掛かる負荷が大き過ぎて,タイヤの幅の差が出にくくなっているのでは?」というものでした(↓).
このため,「バネレートを上げて,タイヤに掛かる負荷を減らしてやろう」という目論見でレートアップ作戦に移っていった訳なのですが,その結果,今度はタイヤに掛けられる負荷が低過ぎて,グリップレベルの低いところで走る羽目になってしまいました・・・(↓).
という事でレートを元に戻して,タイヤに掛かる負荷を適正化した訳なのですが,そうなると「どうせほぼ同じタイムになるのなら,195幅にした方がランニングコストが下がって良いのでは?」とも考えるようになりました.
今月からまたタイヤの値段が上がり,205/50R15⇔195/55R15の価格差がちょうど値上がり分に相当しているので,そういった考え方もアリかな・・・?と.
ただ,如何にTC1000でほぼ同タイムとはいえ,日光やTC2000を走ったら195幅の方が遅くなるのは日を見るより明らかなので,単純に細くするだけでは面白くない.195幅にする事で何かしらのプラス要素を得られないか?と皮算用を始めました.
タイヤ幅を細くする事で,最初に得られる恩恵はホイールのリム幅も細く出来る事.
A052の場合,個人的には「標準リム幅 + 1インチ」くらいが適正と考えているのですが,205/50R15でこの公式に当て嵌めると(↓),
「7.5インチ」となり,ホイールの選択肢が非常に少ないのですよね・・・.これを195幅にすると「7インチ」で良くなり,ホイールの選択肢がかなり広がります.
ホイールの選択肢が広がると何が良いのか?というと,ホイールのINSETの選択肢も増えるという事です.

(Fancy Craft:
ホイールオフセット計算より)
タイヤの外側を現在の205幅に合わせた場合,上図のようにINSETは「34」まで拡大する事が出来ます.15インチサイズのINSETって,40台の次は35まで飛ぶ事が多いので,これが結構助かるんです.
ちなみに,195幅で
0.05秒落ちのタイムをマークした時のホイールのINSETは「42」なので(↓),
INSET「35」が選べた場合は,フロントのトレッドが+14mm広がる事になります.これで0.05秒落ちを帳消しに出来れば儲けものですね.
また,トレッドを拡大した事によるステアリングレスポンスの低下に関しては,

(自動車を物理する:
抜群に効くワイドトレッド化 その4より)
現状,ヘアピン等でターンイン時のステアリングレスポンスが良過ぎる傾向にあるため,これを補正する意味でもプラス要素となり得るのではないか?と考えています.
あと問題となりそうなのは,ホイールの重量.最近のホイールは剛性アップを優先してTE37系の15インチでも6~7kgとかなり重いので,0.05秒落ちをマークした時のホイールの重量である「4.9kg」になるべく近しいホイールを選びたいところです.

(現状,全ての要求を満足するのは,WedsSportの「TC105X」くらいしかなさそうですが・・・)
他に195幅を選んだ際のデメリットがないか?と考えると,外径でしょうか.
205/50R15 ・・・ 587mm
195/55R15 ・・・ 595mm (+8mm)
195幅の方は扁平率が55なので,どうしても外径が大きくなります.片側たった4mmの差が影響あるのか?というと,

(
205/50R15 vs 195/55R15の比較結果より)
地味ィ~にある気がするんですよねぇ・・・.
となると,同じ195幅でも195/50R15の方が良いのか?と思いたくなりますが(↓),
タイヤ幅は同じ201mmで問題ありませんが,そう上手くは行かない気がしています.その理由は「外径」.
195/55R15 ・・・ 595mm
195/50R15 ・・・ 577mm (-18mm)
タイヤの外径が小さくなると加速力が良くなって良いじゃん!と思いたくなるのですが,
タイヤの外径が小さくなるという事は,タイヤが潰れて出来る接地長が短くなります.
(接地長が減る=接地面積が減る=グリップが減る)
昔のツーリングカーがなんで19インチなんていうオーバーサイズの大経ホイールを,フェンダー内に無理やり押し込んでいたか?というと(↓),
タイヤの幅がレギュレーションで制限されて広げられなかったので,タイヤの外径を上げて接地長を増やして接地面積を増やそうとしたからなんですよね.
今回のケースはこの逆という事で,以前こういったメカニズムを知らず,同じように加速性能の向上に期待してRE-71Rの195/50R15を日光で試した事があるのですが,その際はフロントのグリップが大幅に低下して,オレさまのブレーキ操作に耐え切れず,
4輪全てがロックしてフラットスポットを作られた苦い記憶があります・・・.
なので,195/50R15まで小さくする事に関しては,少し慎重に考えないといけない訳なのですが,そうなると,55扁平→50扁平でどれくらい接地面積は減るものなのか?といった疑問も湧いてきます.何かこれを計算する方法がないかな?と調べてみたところ,こんな実験式を見つけました(↓).
[接地面積] = 0.03 × [タイヤの直径] × [タイヤ1輪に掛かる荷重] / [タイヤの内圧]
同じクルマ・同じ内圧であれば,実質的にタイヤの直径の比率がそのまま接地面積の差になる,という事のようです.これを使って試算してみると,
195/55R15 ・・・ 外径:595mm ⇒ これを1.000と考えた場合
195/50R15 ・・・ 外径:577mm ⇒ 577 / 595 = 0.969
つまり,195/50R15だと接地面積が3.1%小さくなるという事のようですね.一応,内圧を同じ比率で下げれば(2.20キロ→2.13キロ)同等の接地面積は得られる理屈になるのですが,はたして・・・?
以上,195幅の皮算用でした.