
では
続き.エンジンルームが公開されたJTCC仕様のエクシヴを見学した後,そのエクシヴの横には搭載されている「3S-G」エンジンが置かれていました.
ずっとホンダ車に乗り続けている事もあって,他社のエンジンはあまり興味が湧かない(=知らない)のですが,そんな私でも「3S-G」と言われれば,さすがに分かるくらい有名なエンジンですね.今回見学する前に「3S-G」に関して予習したところ,この富士モータースポーツミュージアムに搭載車が多数展示されている事を知りました.
古くは1985年の「
222D(↓)」.
次いで,1993年の「
イーグルMk.Ⅲ(↓)」.
そして,1995年の「セリカ GT-FOUR ST185(↓)」.
あと,展示は終了していますが,同じく1995年の「
スープラ LM-GT(↓)」なんてのもありました.
この中で,イーグルMk.Ⅲに搭載されている「503E」はエンジンルームが公開されているので観る事が出来ます(↓).
そんな「3S-G」のJTCC仕様がコチラ(↓).
このエンジン最大の特徴は「リバースヘッド」.
「リバースヘッド」の説明は前回したので詳細は割愛しますが,簡単に言うとシリンダーヘッドの向きを前後入替えて,吸気と排気の位置を逆転させたものです(↓).
「ヘッドの向きを入替える」という事は,バルブトレーンの無い側に新規でそれを組み付けるという事になるので,どうなっているのかなー?と覗いてみるとこんな感じ(↓).
「こんな感じ」と言ってもノーマルの「3S-G」を知らないので,参考となりそうな画像と比べてみると(↓),

(TOM'S:
TOM'Sエンジンより)
ほぼレイアウトは一緒で,そっくりそのままブロックの左側に持って来たようですね.3S-Gのリバースヘッド化は「まるで最初から想定されていたかのようにすんなり出来た」そうで,その要因として3S-Gがベルト駆動だった点を挙げられていました.なお,リバースヘッド仕様の方は右下に1個プーリーが増えているので,これは何だろう?と見てみると(↓),
どうやらオイルポンプのようですね.このリバースヘッド仕様はドライサンプなのでオイルパンがなく(↓),
それ用の追加ポンプという事でしょう.ちなみにノーマルのオイルパンはこんな感じですから(↓),

(Motor-Fan:
トヨタ2代目S型エンジン【3S-GE】WRC王座も手中にしたエンジンより)
エンジンの全高が如何に下がっているか?がよく分かりますね.
なお,そのオイルポンプの上にある削り出しのブラケットは何だろう?と思いましたが(↓),
隣に展示されている実車を見ると(↓),
どうやらオルタネーター用っぽいですね.
さて,バルブトレーンがごっそりなくなった反対側はどうなっているのか?とそちらへ回ってみると,こんな感じ(↓).
スカスカの滅茶苦茶軽そうなフライホイールが見えるので,こちら側にミッションが繋がるのが分かります.
そのフライホイールの後ろのブロックを見ると,元々のプーリー固定用の穴がいくつか見えます(↓).
そして,本来カムシャフト用のプーリーがあるべき場所はこんな感じで目クラになっていました(↓).
JTCCのレギュレーションでは「ブロックとヘッドは量産車と共通」だそうなので,いずれも新造した訳ではなく,量産品を加工してリバース化を実現しているからでしょうね.
見学前,ヘッドを左右で逆転させるなんて,接合面が歪な形にならないのかなぁ~?と思っていたのですがキレイなもんで,確かに「まるで最初から想定されていたかのよう」でした.
吸気側は当然4連スロットルで,ファンネルにキャップが付いていて中は見えませんでした(↓).
ただ,よく見ると上側に配線(↓).
下側にも配線があり(↓),
どちらかがインジェクタで,どちらかがスロットルかな?と思いましたが,燃料配管らしきものが両方通っているので,両方共インジェクタかな? 8500rpmで310PSを絞り出すエンジンだそうなのでインジェクタが1本じゃ足りないか・・・.
最後,ヘッドは背伸びして撮影(笑).
隣のエクシヴに搭載されているエンジンとはヘッドカバーの意匠が違うので,こちらは末期のトヨタチューン仕様ですかね?
以上,リバースヘッド見学の3S-G編でした.
知識としては知っていた「リバースヘッド」ですが,今回見学するに当たって色々調べてみるも実はあんまり情報が出て来ず,どういう構造になっているのかノーマルの3S-Gの画像を見ながらアレコレ想像しながら見学に行きました.知識がないと実物見てもピンと来ない訳なのですが(苦笑),それでも四半世紀近く前のエンジンの実物を,こうして生で見れる機会があるのはホント有難いですね.

Posted at 2025/09/02 00:45:11 | |
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