第四章は走り方面のインプレッションと最後のまとめになります。ちなみに運転者の技量は並、シチュエーションは街乗りメインな事を予めお断りしておきます。
7 動力性能
630キロに54馬力なのでソコソコ軽快です。基本的にフラットトルク型になると思いますが、4000回転くらいから生意気にもDOHCらしく(笑)若干吹け上がりがシャープになります。当初は常用回転が普通車よりも高めな事に慣れてなくておっかなびっくりでしたが、ひとたび慣れてしまうと回して使い切る事が段々快感になって来ました。その辺を「余裕が無い」と感じるか?「無駄無く使い切れる」と感じるか?は意見の分かれる所ですが、自分の場合は後者です。「ギュワーン」という音質は決して聞き惚れる様な快音ではないものの、この音を聞くとアルトに乗ってる事を実感します。
ギヤ比は1速〜2速が低く、やや離れて3.4.5速と言った感じで、ある程度スピードが乗るまではギヤチェンジが忙しないものの(だがそれが良い)1度走り出しさえすれば柔軟性の有るエンジンの特性と相まって3速の守備範囲が広めで重宝してます。但し全般的にローギヤードで特に燃費を意識したギヤレシオではないので、街乗りメインではキビキビ走れる代わりに最新の軽に比べて驚く程低燃費と言う訳では無いです。そうは言ってもエステートの2倍、635の3倍は走る訳で、自分としては異次元の燃費です。
シフトフィーリングは言われなければロッド式とは分からないグニャグニャ加減で(笑)そのグニャグニャの中に微かなゲート感が潜んでいる感じです。スポーティーには程遠いけれど、床から伸びた長いシフトレバーを掻き回しながらのシフトチェンジはこれはこれで結構面白くて、個人的には嫌いじゃないです。
8 ハンドリング
重量配分的には結構なノーズヘビーな筈ですが、実際運転すると殆どの場合アンダーステアは軽微で、ステアリング操作に素直に反応します。ステアリングのギヤレシオで演出した軽快さではなくて、実際にクルマ自体が軽い事がモノを言ってます。アルトのヒラヒラと軽い身のこなしは、普通車しか知らなかった自分には新鮮で病み付きです。
ステアリングからのインフォメーションが薄めなので、調子に乗って攻め立てると痛い目に遭いそうですが、タイヤからの小さな声に耳を傾けてクルマと対話する、地味で暗い楽しみが有ります(笑)絶対的なトルクが限られているせいか、基本的にはエンジンからの振動がハンドルに伝わって来たりトルクステア等の前輪駆動の嫌な癖はあまり感じないものの、時折アクセルのオンオフでスナッチが出て、それがシフトチェンジの円滑さを阻害する事が有ります。
当初ステアリングの異常な軽さとキャスターアクションの弱さが気になりましたが、13インチにしてからは自然なフィーリングになりました。アルトは電動パワステですが、かつてMGFで感じたモーターの軸を直接回す様なフリクション感に比べると極普通な感じです。
意外と直進安定性は有るみたいで、橋の上で真横から風に煽られても驚く程進路が乱される事は無いです。足回りはフニャフニャ(笑)で、路面次第ではヒョコヒョコした上下動が感じられるものの街中では概ね快適で、カーブ手前でのブレーキングの際に荷重移動を感じ易いと言うメリットも有ります。また甲羅状にひび割れた路面等は意外な程上手くいなしてくれます。ただ鋭角で瞬間的な突き上げには弱く「ゴシャァ!」と衝撃がピラーを伝って来る様な感触が有り、流石にそんな時は足回りやボディーの設計の旧さを感じます。ブレーキは見た目は心配になる程チャチですが、効きやタッチに違和感を感じる事は無いです。ただしABSが無いので悪条件下での過信は禁物です。
9 静粛性
タイヤが跳ねた小石の音がやけに響く割に、ロードノイズはそれ程でもなかったりします。走行中のノイズはエンジン音がメインですが、音が籠らないので2ケタ後半の速度域くらいなら音楽を楽しめる程度に快適です。もっとやかましい事を想定していたのでちょっと拍子抜けです。そもそもの期待値が低い事も有りますが、完璧に静粛でなくても、耳障りな音でなければ案外気にならないものだなと思いました。
10 まとめ
つい長々と書き連ねてしまいましたが、結論としてはアルト楽しいです(笑)ある程度のルーズさを許容しつつもドライバーの操作に車体の各部が忠実に反応する代わりに、扱い難さや気難しさとは無縁な所が良いです。キメッキメでキレッキレな隙の無いクルマもそれはそれで楽しいけれど、こうしてユルくダラダラ付き合えるクルマもまた楽しい事を再確認させられました。
そして食わず嫌いは良くないなあと。もし若い頃の自分だったら周囲の目が気になって、たとえセカンドカーでも軽自動車は選ばなかったと思います。しかしながらメーカーの思惑とは別に、何を良いと感じてどんな選択をするか?と言う決定権はユーザーの側に有る訳で、周囲に惑わされず、時には自分の中から涌き上がる欲求に忠実である事が、良いクルマ楽しいクルマと出会う秘訣だと思います。
欲しくて買ったのは事実ですが、その割に初めて運転したのが納車の時とか、計画性が有る様でいて結構杜撰な買い方で、もし事前に抱いてたイメージと違ってたら?と考えると若干冷や汗モノですが、あくまでも結果オーライということで(笑)
それにしても今回改めて「クルマ選びはお店選び」だと痛感しました。どんなクルマでも個人売買以外なら必ずお店を通して購入する事になる訳で、ましてその後もメンテでお世話になる事まで考えると、良いクルマはそれ単体では決して存在し得ないと思います。
では「誰得?HA23アルトインプレッション」締めさせて頂きます。
読み難い文章に最後までお付き合い頂き有り難うございました。
これからも気が向いたらアルトに限らずあれこれ書いてみようかと思っています。
Posted at 2015/01/20 23:31:43 | |
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