これも某オークションでの過去販売車両ですが、
雰囲気の好い300SEクーペを見付けましたのでご紹介致しましょう。
ボディ下の色はライトベージュの方かな?と思ったのですが、
データカードによると439という事でしたので、私の220君と同じクリームで、
屋根は408という事ですのでハバナブラウンですね。
因みに、カロッセリープレートは、、、
何故か050(ホワイト)になっています(苦笑)。
これって一体どゆこと?
この車がATであるのに対し、番号の真ん中が10になっているので、
一瞬、レストアの際に無くして他の車のプレートを付けちゃったのかな?と思ったのですが、
10の後が00161と読め、そこはデータカードと合致しているので
他の車のプレートとは思いづらい所なのですよね。
ボディナンバーの打刻とペイントコードの打刻の書体が違うのは
元々そうだったように思うので問題がないと思うんですが、
なんだか050という数字が一寸デカすぎる気がしないでもないんですよね。
でもまさか打刻した物を一旦打刻し直す事も出来ないでしょうし、
一体これはどういうことなのかなァと思っております。
そしてその真ん中の10の件なのですが、
そういや、こないだも左ハンドルのATで10になっていた車を紹介していたよなァと、
ふと思い、調べてみたのですが、
どうも他でも左ハンドルATで10になっている車がある様子でした。
って事はこの時代のボディナンバーのこの”0”の部分はMT/ATの別じゃないんでしょうかね?
右ハンドルMTでは20になっていたので、
その前の数字はハンドルの左右の別なのは間違いなさそうですが、
シャシー番号でもエンジン番号でもハンドル位置の次は搭載ミッションの種類なのに
これだけ違うのも一寸不自然だと思うんですけどねぇ。
とにかく、これは新発見かも?と思うので
今後もこの辺りは注意深く見ていきたいと思います。
カロッセリープレートの画像を出したので、ついでに車体番号の方も。
下6桁が003805という事で私の年式判別法によると
300SEは4車種合算となっているので1963年の前半の車両。
単純計算から行くと、1963年の5月の頭位の出荷かと思われる所でしたが、
データカードによると1963年5月17日の出荷という事になっています。
それでは内装に行ってみましょう。
先ずはダッシュボードから。
スピードメーターはキロ、油圧もキロ、水温が℃表示なのですが、
キュールマイスターっぽいクーラーユニットが付いているので
ムムム?US物のヨーロッパ仕様化の可能性もあるのか?と思いましたが、
データカードによると571なのでスイス仕様のようです。
どうやらそれをアメリカに持ち込んだ後でクーラーを付けたみたいですね。
一寸クーラーユニットのパネル廻りの仕上げがイマイチだけど、
表面に上のウッドと統一された雰囲気のウッドパネルを張っているのは好いですね。
ベッカーはオイロパⅡステレオですが、
オイロパのステレオ自体が1968年頃かららしいので、
これは一寸年代が外れてしまっているみたいです。
時代的に真空管グランプリなのにトランジスタのグランプリを付けている
お前が言うなって言われそうですが(笑)。
シートはUS某社のキットで張り替えてあるらしいです。
データカードによると内装コードは216番でコニャックなので、
これもオリジナル通りの色の革に張り替えられているようです。
手動式のサンルーフ付き。
データカードにはスペシャルバージョンコードが4つしか記載されていなくて、
手書きのコードがイマイチハッキリ読み取れている自信がないのですが、
とりあえず、オプションらしいオプションはこの手動式サンルーフだけのようでした。
手動サンルーフだけ、、、とは言っても、その年の2月に生産終了となった
300SLロードスターよりも素の状態で高価だった300SEクーペに
それ以上何が必要なのよ、、、って話ですけどね(笑)。
P/SやATは標準で付いて来たわけですしね。
300SEクーペでは003221までがファブリックのヘッドライナーだったらしいので、
この車にはこのイミテーションレザーのヘッドライナーがオリジナルという事になります。
お次はエンジンルームに行ってみましょう。
160馬力の189985エンジン。
私の220と同じ2プランジャーのインジェクションポンプなので、
ポートタイプではなく、マニホールドインジェクションです。
しかし、220で結構ギリギリっぽいのに300で2プランジャーで燃料が足りるものなんですかねぇ?
上手い具合にクーラー用のロータリーコンプレッサーが取り付けられているのが見えます。
これを取り付けた業者さん、かなりセンスが良さそうだと思います。
300系って、DCジェネレーターのシャフトがプーリーの反対側に突き抜けていて、
それでW/Pを駆動しているので、
発電機をオルタネーター化するのが容易ではないのですが、
かと言って、クーラーを付けるとさすがに電力不足は否めない所だろうと思われる中、
どうしているのかなァと思ったのですが、やっぱり、、、
DCジェネレーターそのままで行っているらしく、
画像の赤丸の箇所にそれっぽいものがチラッと見えています。
日本の夏場の渋滞で電動ファン全開、クーラーファン全開だったら、
多分アウトでしょうな(笑)。
まぁ、どこかにクーラー無しで同年代のMBを夏場でも乗り回している人が居る位ですから(笑)、
決して耐えられない事ではない筈なので、
渋滞に巻き込まれたらクーラーを切れば良い事なんですけどね(爆)。
まぁ、私だったらそういう使い方をしますです(大笑)。
因みに300SEの2枚扉は220SEbの時期の途中から、
250SE2枚扉の時期の終わりまでの間生産されているのですが、
EPCで見る限りでは250SEにはクーラーの設定があったらしいのに、
その上級モデルである300SEには何故かそれがなかったようなのですよね。
EPCはなかなか鵜呑みに出来ない所はあるのですが、
ひょっとするとこの電力供給問題から、
やむを得ずそう言う形になってしまっていたのかな?
なんて思ったりもしています。
ただ、でも、同じM189エンジンを持ち、
同じようにジェネレーターの軸でW/Pを動かすW189の300dには
1958年からクーラーの設定があったのですから、
それも説明としては一寸弱いかなって思うのですよね。
私のはここまで酷くないですが(笑)、同じ場所が錆びるみたいですね(苦笑)。
ヒューズボックスの下のハーネスの真下がこの車は結構錆びているんだよなァ。
まぁ、私のはクラッチ用のオイルの入れすぎだったのだろうと思っていますが。
お次は下廻りに行ってみましょう。
1本出しマフラーにしているのは私的に◎ですね。
エンジン型式189985までが1本出し、189987からが2本出し、、、と言うのが正解です。
これにフィッシュテイル型の純正カッターが付いていたならば最高だったのですが。
リアアクスル。
、、、の前に燃料タンクに目が行ってしまいました。
これ、初期型の65Lタンクではなくて、新しい82Lタンクの方でしょ、、、
と思ったのですが、
003039から82Lらしいのでどうやら正解だったようです(笑)。
そもそも220SEbより燃費が全然悪い事が予想されるのに
航続距離を考えたら普通同じタンクでは企画しませんよねぇ(大笑)。
MBもこんな失敗をするんだ、、、って所ですね(笑)。
これを調べていて分かったのですが、004654から、
容量は同じ82Lらしいものの、もう一度タンクが変更になっているみたいです。
新しいその部品の最終品番が109品番になっているので
W108系シャシーへの移行に伴う変更によるものなんでしょうかねぇ?
で、やっと(笑)話はリアアクスルに移るのですが、
エアサスなので車高の読み取りの必要から(無論、他にも理由はある筈ですが)、
リアにもスタビライザーが付いています。
このスタビライザーの動きを中央にあるハイトコレクターで読み取って
車高調節をするようになっているのですよね。
今回、この画像をよくよく見ていて、
金属スプリングの車両とブレーキホースの取り回し方が違うのに気付きました。
金属スプリングの方はホイールシリンダーないしブレーキキャリパーからの配管が
ホーシング上を中央に向けて這ってきて、
ホーシング中央付近で床下から垂れ下がって来たブレーキホースと接続するのですが、
これの場合はホーシング上のショックよりも外側で接続しているのですよね。
リアアクスルセンター部
こないだ250SEクーペの話の時に220SEbクーペの場合は
中央下付近にファイナルの値が打刻してあると書きましたが、
この3/92とあるのがそれで、これで3.92であることを示しています。
因みにATの場合、リアの減速比には1stバージョンから3rdバージョンまであって、
1stが4.10、2ndが4.08、そして3rdがこの3.92らしいです。
それで189987エンジンの世代に入って、オプションで3.75の減速比が選べたらしく、
その場合の最高速がATで195キロ、MTで200キロという事になっていたようです。
因みにW112は全車LSD標準装備となっております。
一体何の為?という気もしないでもないですが(笑)。
リアブレーキ。
ディスクブレーキは220SEbのフロントがガーリング製だったのに対し、
それと同時期の300SEでは前後とも300SLロードスターの物と同じ、
ダンロップ製の物を使用しています。
この画像を見ると、W111系やW108系に比べて少々ゴチャッとしているのが判りますが、
エアサスモデルではリアブレーキが一寸ばかり特殊な構造になっているのですよね。
実はこのブレーキキャリパーはハブには固定されておらず、
アクスル軸上を回転方向にスイングするように出来ています(いるらしいです…笑)。
で、左側からキャリパー下に黒いロッドが延びてきていますが、
これがキャリパーとボディを接続しています。
そうした構造上、キャリパーのボディに対する上下方向の位置は
(多少粘るような構造になっているかもですが)ほぼ不変なわけですが、
その状況下で急ブレーキを掛けてパッドがローターの回転を抑え込もうとすると、
反力がアクスルをボディ側に押し付ける形、
つまり外から見るとボディが沈み込む方向に働くわけですが、
それによってブレーキング時のノーズダイブ、、、では無くて
テールアップ?を抑え込むというかなり変態な仕組みになっているようです。
特にエアサスだから急ブレーキの時にリアが持ち上がるって事は無いと思うのですが、
ノーズダイブの方は金属ばねモデルより大きいことが予想されるので、
それを緩和させるのにこういう機構を使う事にしたのかもしれませんね。
そのエアサスのエアベロウズ(空気ばね)
リア
フロント
話は筋から一寸ズレますが、フロントのブレーキキャリパーちっちゃ!
これで十分に効くんかいな、、、と思っちゃいます(笑)。
因みにこの車も220君同様にブレーキブースターはT50/26を使っています。
大昔、W112の300SEセダンのをエアベロウズを交換した事があったけど、
もう忘れちゃったなァ(大笑)。
かれこれ25年近くは経ってるもんなァ。
車高が落ちちゃうって事で入庫し、べロウズは予防の為に交換した筈なんですけど、
落ちていた原因の方はコレでした。

左フロントのタイヤハウス内の前側にあるエアリザーバーです。
車高が落ちるからにはどこかでエア漏れしてる筈、、、という事で
あちこちで聴き耳を立てて探し回った結果、
このエアリザーバーの底面付近に腐食があって、そこから漏れていました。
圧縮空気を使っているので、一応ドライヤのようなものもあったと思うのですけど、
どうしても底に水が溜まってしまうのですよね。
画像にも写っていますが、一応水抜き用のドレーンがあるので、
たまには抜いてやる必要があるみたいです。
ただ、以前、Wさんにお聞きした所、一緒にライン内の油分も抜けてしまうので
頻繁に抜くのも悪いとかいう話だったと思います。
親父がW109の300SEL3.5が好きで、仕上げては売ってを繰り返していて
その為、時々乗る機会があったのですが、もうその感触も全然覚えていないので、
バッチリ整備されたエアサスの車両に乗ってみたいですね~。
金属ばねの220君に20年以上乗って来た今だからこその、
また全然違った感動があるのだろうなァって思っています。
これから買い替えるような機会は先ずないでしょうし、
300SEクーペに巡り逢う事自体も国内ではなかなか難しいことでしょうけれども、
こんなに程度の好い個体を見ると、イイナァって思ってしまいますね~。
ただ、300SEは鈍足だって聞くので(性能データ的にはそんな事ない筈なのですが)
実際に乗ってみると、やっぱり身軽な220SEbの方が良いって事になるかもしれませんけどね(笑)。