Artcurialというフランスのオークション会社が10月15日に行うオークションは
MB特集のようで(場所もフランスのMBセンターで行われるらしい)
その中から私が気になった車両をピックアップしてみました。
先ずは1934年のニュルブルク500
写真で最初に見た時には一瞬W07の770?と思いましたけど、
いやいや、一寸だけ小振りか?、とするとニュルブルクか?と思ったら、やはりそっちでした(笑)。
ニュルブルクは770の一つ下のモデルなんですけど、
オフナートゥーレンヴァ―ゲンだと本当に770っぽく見えてしまいます。
ダッシュボード
メーター廻りは(一寸くたびれちゃってるけど)
500Kとか540Kに使用されているような高級素材のようですけど、
メーター自身は皆小振りで地味な印象。
戦前のMBってタコメーターの装備に結構消極的な印象があって、
殆ど最上級モデルにしかそれが無いんですけど、この車にもありません。
後部座席
前席とは仕切られた後席部分にはスペアシートが装備されて7/8座仕様になっていますが、
スペアシートの足元は結構狭そうですね。
この車、リペイントは大昔にされているようですが、未レストアらしいです。
って事は内装もオリジナルって事なのかしら?
だとすると本当に大事にされてきたのでしょうね。
estimateは70~85万ユーロで御座いました。
1934年の380Kスポーツロードスター
エンジンフード右側面に排気管が出ていなかったのでS/Cなしの380かと思ったのですが、
そちら側のエンジンルーム画像を見ましたら、S/Cの断片が見えましたので
380Kのようです。
朧気ながら、昔にもそんな疑問にぶつかった事もあったように思いますが、
380Kは通例のS/C付き車両の外見上の特徴を持たない、例外的車両だったんですね。
これからはちゃんと覚えて置かなくっちゃ(笑)。
ダッシュボード
前出のニュルブルクのようなメーター廻りの処理がない代わりに
ダッシュボード全体がウッドパネルになっていますね。
あと、パーソナルカーとしてはほぼ最上級
(ほぼ、というのはごく少数ながら770にもカブリオレBやCがあるので…)なので
この車にはタコメーターの装備があります(笑)。
一寸面白いな、と思ったのはスピードメーターに、、、
Kilometer in der Stunde.(≒kilometer per hour?)と略さずに書いてある事でありました。
因みにくどくなるので画像は載せませんけれども、
タコメーターにもUmdrehungen in der Minute 1 mal 100.と、
1/100回転表示である事まで略さずに書いてありました(笑)。
また、W108辺りからW126辺りまでの戦後のMBにも同様な表記があったと思いますが、
各ギヤの守備範囲が記されているのも興味深く思いました。
余談ですが、うちの220君にはこの表記がないので、
メッキリング上にシールを貼ってエンブレの目安にしていたりします(笑)。
何故W111ではこの表記を止めちゃっていたんでしょ(謎)?
この車のestimateは38万~44万ユーロです。
お次は1955年の300SカブリオレAです。
1955年という事は300Sと300Scの端境期の300Sbともいわれるモデルで、
通常300Sには装備されない三角窓があります。
端境期という事で外見の装備品がまちまちで、
何を300Sbの定義としたら良いのか?と思ってしまうのですが、
私の中ではトリプルキャブレターのエンジンが載っていて、
三角窓があって、リアの足回りがシングルジョイントのスイングアクスルであれば、
300Sbと言えるのかな?と勝手に解釈しています(笑)。
因みにこの車両の画像と記述にはリアの足回りの事は書いていませんけれども、
まぁ、年式と三角窓からしてSbなのかな?とこれまた勝手に思っております(笑)。
色は私の大好きなグラファイトグレイ。
ホントは300Scが好きなんですけど、
そのインジェクションエンジンは何故かあまり調子が良くないという話もあるので、
こういう好みの色で外見がヨーロッパ仕様ならば(但しこの車は元々US仕様のようです)、
300Sbもイイなぁと思ったりしています(そんな事言っても無論買えませんが…苦笑)。
ダッシュボード
このオークションの車両を撮られている方はどの写真も綺麗に撮られているなぁ、、、
と思うのですが、
私的にこのアングルでこの状態で撮るなら、インサイドミラーはこの状態で撮りませんね~。
インサイドミラーは畳んだ時に嵩張るカブリオレAの幌対策で
ウインドウフレームの上側に180度回転させることが出来るのですが、
それが格好良いと思うので、是非そうして撮影して欲しかったなぁと思います(笑)。
この車のestimateは35~45万ユーロでした。
お次は我らが220SEbのカブリオレです。
14インチ化してしまっているのは私的に非常に残念ではあるのですが、
なかなか綺麗そうな車両です。
内装はどうやら張り替えてあるようなのですが、
私が220君の内装レストアで行ったように、
何と当時のオリジナルと同様に、2色の同系色の革を使って張り替えてあるんですよね。
明らかに張り替えしてある内装で2色の革を使って仕上げてあるのは初めて見ました!
ところでこのプレート、220SE6って?(笑)
何となくですが、このプレート、打刻が綺麗に整い過ぎで且つ、
なんとな~く打刻文字の書体が違うような気がするので、
これ、新しいプレートへの打ち直しなんじゃないかと思うんですよね。
とするならば、恐らく220SE6の6は打ち間違いなんでしょうね(笑)。
と、思って、ここで近い年式の220君のこのプレートの画像を見てみましたらば、
このプレート、様式はほぼ一緒なんですけど、モノが違うので
やっぱり新しいプレートに打刻し直した物だったようです。
そういや、オリジナルは確か打刻じゃない部分の文字はプリントじゃなくて
浮き文字っぽくなっていたと思うんですよね。
色はこのプレートに
G408とありますのでハバナブラウンですね。
これも好い色ですねぇ。
因みにGなので塗料のメーカーは私のと同じグラスリットでした。
この車のestimateは13万~15万ユーロで御座いました。
お次は1969年の300SEL6.3です。
2トーンのボディカラーで定石通りにホイールキャップ中央が屋根の色と一緒で、
且つそのコンビネーションに違和感がないのでさてはオリジナルの組み合わせ?
と思ったら、、、
やっぱりそうでした(笑)。
180Gがシルバーグレイメタリックで904Gがダークブルーです。
W108/109って元々2トーンがオーダーされた率って
W111/112時代と比べるとかなり低かったろうと思うので、
本当に稀少だと思います。
それも6.3ですからねぇ。
加えて熱線入りリアウインドウ、クーラーやサンルーフまで付いていますから、
最高の仕様だと思います。
コード629はフランス仕様との事ですから、
黄色いライト類も恐らく最初からこうだったのだろうと思われます。
内装はブルーのベロアでとても綺麗に保たれていると思います。
因みにこのベロアのパターンは1970年モデルまででして、
一寸シートセンター部がのっぺらぼうなのが寂しいなと思う私としては、
1971年モデル以降のベロアシートのデザインが好みだったりします。
この車のestimateは5万~8万ユーロです。
お次は1961年の300dカブリオレDです。
250SLさんへの返信に一寸書きましたけど、MBでランドウジョイントが使われた、
最後の車が300dカブリオレDなんですよね。
良い感じの車だなぁ、とは思うのですが、一つ苦言を(笑)。
こんな風に、、、
シートのパイピングだけ別色にしてしまうのはMBチックではありません。
この時代、恐らく他社でもパイピング別色ってのはあまり無かったろうと思われ、
感覚的には後年のイギリス車チックな感じがしてしまいます。
まぁ、オーナーさんがそれを好むなら仕方ありませんが、
年代とメーカーを考えてしまうと私には一寸違和感がありますね~。
estimateは18万~24万ユーロです。
最後に1937年の540KカブリオレBです。
この屋根を降ろしているサイドショットが好きですねぇ~。
当時、このモデル一番人気のボディ形態がカブリオレBだったそうですが、
河口湖自動車博物館に540KのカブリオレBがあって、
これが子供の頃から一番身近な戦前MBだった事もあっての事だと思いますが、
今でもW29の中でカブリオレBは結構好きなボディ形態なんですよね。
まるで新車のような仕上がりの内装
後席はスペアシートではなくて完全な4/5座で、
この画像で見る限り、後部座席の足元もゆったりしていそうですよね。
豪華なダッシュボード
前出の380Kではダッシュ全体がウッドパネルながら、一寸地味でしたが、
これは左右に蓋付きのグローブボックスが装備されていて、
380Kで何もなくて寂しかったスペースも埋められ、
全体のバランスも良くなって、本当に豪華で美しいダッシュボードになっていると思います。
本当にため息が出るばかりであります。
この車のestimateは75万~85万ユーロです。
同じ540KのカブリオレAとここまで差が付くか、、、と思いますね。
確かにカブリオレAは格好良いけれども、金額の差を考えたら、
この車で十分だな、、、と思ってしまいます~。
考えさせられるのは300SLよりお安いということ。
まぁ、300SLほど普通には乗れないんでしょうけれども、
それらを買えるだけのお金があったならば、一寸こちらに行ってみたい気もしてしまいますね(笑)。
少なくとも2速以上にはシンクロが付いていたと思うので、
運転には困らないだろうと思っています(笑)。