ワタクシ、世界に1台レベルの有名な希少車種というのは
殆どRMサザビーズやボナムスなどのオークションで取引されるものだと思っていたのですが、
なんと、300SEL6.3のピニンファリーナクーペが
オランダの車屋さんで普通に売りに出ていたので驚いてしまいました。
えっ、嘘でしょ?と思ったので、
偽物じゃないかと疑ってみましたが、
私が見る限りは本物のようにしか見えませんでした。
サイドから。
説明文によるとこの車は
フィアット130クーペ、フェラーリ400、ロールスロイスカマルグのデザインを担当した
パオロ・マルティンさんのデザインしたものだそうですが、
こうしてみると、その系統にある事は間違いないように見えますし、
特にカマルグのデザインとそっくりですよね。
しかし、以前この車を取り上げた時にも書きましたが、
どうもフロントデザインがいただけません(苦笑)。
どうして現在このような形になったのかは判らないものの、
発表時と思しき写真を見ると、、、
元々はライトはこのようにUS仕様の114/115用を使用してはいなかったようですし、
スリーポインテッドスターももう少し大きめだったらしいので、
その点は差し引いて考えなくてはいけないと思うのですが、
この画像でもライト廻りの処理は一寸、、、と思うので
もう少し恰好良く出来なかったものだったのかなぁと思うのですけどねぇ(笑)。
リア廻りも好き嫌いが分かれそうな所ではありますが、
フロント程は悪くはないかと(笑)。
カマルグと比べてそうした部分のデザインの詰めの甘さを感じるのは
恐らく数は少ないにしても量産車である車とワンオフ車の差で
他車からの流用パーツを使用せざるを得ない部分があるからなんだろうなぁと思いました。
トランクリッドの右端にゴニョゴニョとプレートのようなものがあるので拡大してみたのですが、
300SEL6.3(63とあるのかも)と
通常の6.3では左右に別れて表記される所を一か所にまとめていたのでした。
そう言えば発表時のリア廻りの画像を見た事が無かったので、今回探して見ましたが、
見付けました。
あれ?微妙にテールランプが違うような…。
画像が荒くて確認しきれませんが、トランクリッドのエンブレムも
ひょっとしたら、ナンバープレート下にあるのかな?という感じがします。
フロントの変更と言い、ひょっとしてこの車、事故に遭っているかなにかで、
その改修の結果が今の状態なのかもですね。
ミラー。
グースネック用のミラーヘッドを使っているのですが、これが一寸疑問ですね。
車両の年式を考えるとこれはこの時代の物ではありませんし、
デザイン全体を通して可能な限りストレート基調で構成しようという意図が感じられる中では
年代通りのミラーを使用した方がその意図に近いものになったのでは?
と思うのですけどね。
上の発表時と思しき写真の車両にはアウトサイドミラーが装着されていないので、
きっとこの部分にはパオロ・マルティンさんが意志が絡んでいないのだろうなぁと思いました。
ピニンファリーナの証。
と言っても、私的にはその周辺のボディの状態を見て欲しくてこれをアップしたのですが、
エンブレムの周辺には錆が出てしまっているし、
ドアとの境に近い部分のフェンダーはべコべコだし、
それ以外の部分も細々と問題がありそうで、
模型にまでなっているこんな有名なワンオフモデルとしては
不遇な扱いを受けてきているらしい事を意外に思ってしまいました。
ダッシュボード。
6.3のダッシュボードそのままなのが一寸面白いですね(笑)。
しかし、そこから後ろは大きく違っています。
いやぁ、これは文句無しに恰好良いですね。
ただ、一つ疑問に思うのはシートセンター部の処理ですね。
シートセンター部の縫製の断面構成が通常の109と同じなので、
そういう部分の構成を残しつつ、全体のデザインをガラッと変えるという場合には
ピニンファリーナ辺りだったらその辺りは徹底して、
表面に出る部分の型押しと谷間の連続した丸パンチングも
元々と同じ規格の物を採用しそうな気がするんですけどね。
なので、デザインは恰好良いけど、ひょっとしたら張り替えてるのかなぁ?
なんて思ってしまうのでした。
パワーウインドウスイッチが前席分しかないので
後席は嵌め殺しなのかなぁ?と思いましたが、
後部座席の内張りに何やらダイヤルがあるので、
ひょっとしたら後端が跳ね上がるようになっていたりするのかもですね。
エンジンは勿論、そのまま6.3の物が載っています。
エアコンプレッサーが居るのが確認出来るので、
エアサスもそのまま維持されているようですね。
まぁ、それでないと『300SEL』とは言えなくなってしまいますからねぇ(笑)。
下回り。
ロアアームもエアサス用の物のままですから、やっぱりエアサスは維持されている筈ですね。
6.3のA/Cコンプレッサーが左右どちらに付いていたか忘れてしまいましたが、
オイルパンの右側(画像で言う上側)に空間があるので、
あれ?ひょっとしてA/C非装備?と思ってダッシュボード画像を見直したら
やっぱり付いていないみたいですね。
これはこの個体のオリジナルではなくなってしまうけれど、
折角のこのような特別な車だし、エンジンパワーに余裕のある車ですから、
是非付けたい所だなァと思ってしまいました(笑)。
エンジンルームを見ても下回りを見ても、本当に普通に使われていたって感じがする状態ですよね。
このような特別な車を特別に扱わずに使っていたらしい所に好感が持てます(笑)。
さて、気になるお値段の方は数字的に本気かどうかが判りかねる所なのですが、
999999ユーロだそうです。
正直、この車がどの程度評価されるものだか私には判らなくて、
この値段がべらぼうだと思う反面、
ピニンファリーナの有名なワンオフ車であり、
この時代のMBには殆ど存在しないコーチビルド物ですから、
これで買う人が居てもおかしくないかも?と思ってしまうのですよね。
多分、お店の方としても金額については結構悩みどころなのでは?と思われる所で、
表記している数字は適当で、実際には応談扱いなんじゃないかしら?と思っています。
好い所に嫁いでまた綺麗に仕上げられて世に出てくると好いなぁと思います。