この動画になっているジャンクヤードコレクション、メッチャ凄いですね(汗)。
実はこのコレクションに関するオークションが行われる事は
結構早い時期から知っていたのですけれども、
いくつかの長編ブログを書くのに手間取っておりまして、なかなかそれに触れることが出来ず、
それ故、ネタにするにはかなり出遅れた感がありますが、ここでひとつ上げてみようと思います
それは10月26日にロサンゼルスで行われるRM Sotheby'sのオークションで
そのコレクションの内のエンジン等の部品や車両が計208点出品されるのですけど、
1967年から集め出したというこのルディ・クラインさんという方も、
まぁ、これだけよく集めたものだなァと思います。
動画の中で凄まじい量の中古部品がストックされていますが、
色んなお宝がありそうで、そちらにも興味がある所です。
調べていませんが、ひょっとするとみんカラで他に上げている人も居るかもですので、
私はMBだけピックアップしてみる事にしました。
因みに
Please note that this vehicle is being offered as parts only.
と注意書きがされている車輛があり、
恐らくそれは書類が無いという意味だと思うので
その注意書きのあるものにはタイプ名の隣に★を付けておく事にします。
1968年 600
右ハンドルのようですね。
ボディ&ペイントナンバープレートの下から2列目の最後に5とありましたので、
ヨーロッパ向けですから、きっと英国仕様ですね。
ESTIMATEは10000~15000ドルだそうです。
1968年 600プルマン★
見るからにUS仕様ですね。
ESTIMATEは40000~50000ドルだそうです。
書類が無い割にちと高くないかぃ?
600はねぇ、エンジンが掛けられない期間が続くと、
油圧機構のアキュムレーターに蓄えられた油圧が落っこちちゃうんで、
油圧で作動するドア窓がだんだん開いてきちゃうから、
こうして部品取りとして置いておくのには非常に厄介なんですよね。
さらに前期のモデルにはドアにクロージングサポーターが付いているので
(実は前期だけに付くのは最近Wさんに教えてもらって知りました)
それだと更にドアも閉まらなくなっちゃいますからねぇ(苦笑)。
因みにどこが境目なんだろうと思って調べてみましたが、
キャッチの境目の時期とそこに入る油圧ラインの終了時期からして、
どうやら001704までが、クロージングサポーター付きで
その車体番号からして恐らく1970年の半ば近辺までという感じみたいですね。
あれ?ここまで書いて、2台とも1968年との事なのにドアが開いてないじゃんと思い、
車体番号を確認すると、上の600は1968年式のようでしたが、
600プルマンの方は1965年式(RM Sotheby'sも年式判定がしっかりしてないとは情けないなぁ)で、
やはりどちらも1970年以前だからどちらも付いてる筈なのに
ちゃんとドアは閉まっているじゃないですかねぇ(苦笑)。
もしかすると、現役時代に調子が悪くてクロージングサポーターを止めちゃってるのかもですね。
(それ用のキャッチも弄るとちゃんと普通に閉まるようになるらしいです)
1968年? 280SEクーペ★
RM Sotheby'sが横着して年式はもとより車体番号すら書いていないのですが(苦笑)、
ホッホキューラーである事から1969年の7月ないし8月以前、
フロアATのシフトパターンが逆である事から、1969年の4月頃以前である事が判るものの、
それ以上は攻められず、
ボディ&ペイントナンバープレートの5桁のボディナンバーの頭の1桁が8になっているので、
(W111クーペで年間5桁の製造はあり得ないので)
多分、それが1968年式という意味だろうと判断して年式はそれとしました。
ESTIMATEは3000~5000ドルだそうです。
1967年 250SEカブリオレ★
1967年の250SEでも最後の方の、280SEと同じ後期内装を持つモデルですね。
前からここで言っている通り、
250SEの2枚扉の後期内装は恐らく500台程度しか存在していないと思われ、
250SEのクーペとカブリオレの比率はざっくり2:1位なので
それをそっくり当て嵌めればカブリオレの後期内装は170台前後だから、
数の少ない物を穿り出して、価値がある方向に持って行こうとする
クラシック業界の傾向を考えると、
これを仕上げられるならば、ひょっとして今後、多少の加点があるかも?
という所ではあります。
尤も280SEと内装を丸ごと入れ替えちゃえば同じ話なので
その可能性は限りなく低いとは思いますけどね。
第一、これ書類が無いんですよねぇ(苦笑)。
広い世間には復活のおまじないが使える人も居るようですが(笑)、
こうして一度でも一流のオークションに出た車に関しては流石にマズそうですよね。
ESTIMATEは2000~3000ドルだそうです。
1965年 300SEカブリオレ★
車体番号から行くと、1965年の後半の車輛という感じでしょうかね?
トランクリッドにはセダンにしか使われていない筈の
枠付き300SEエンブレムが付いています。
タペットカバーを外した状態で放置されてきているようなので、
カム廻りはあまり期待できない状態ですね。
ESTIMATEは2000~3000ドルだそうです。
1963年 220SEbカブリオレ 4MT★
車体番号からいくと1963年の5月頃の車輛でしょうかね?
もう、かれこれ40年位こんな状態で寝ている車らしいです。
それなのに既に猫耳のヘッドレストが付いているのがなんとも…。
HPで用意されている画像の中で運転席側のシートバックが外れているのが見えるのですが、
それ用の受けがないようなので、
多分、オリジナルのシートに穴を開けてヘッドレストの足を突っ込んだだけなんでしょうね。
同様にマフラーが2本出しなのも個人的には×です。
ESTIMATEは3000~5000ドルだそうです。
1963年 220SEbカブリオレ 4AT
コチラの方が前のより若干古いみたいで
車体番号から行くと1963年の2月頃の車輛だと思われます。
上のは前がガッツリ逝ってましたが、こちらはお尻がガッツリ逝っちゃってますねぇ。
前の一台と次のもう一台と合わせて3個イチにすると良いかもですね。
尤もそれだけじゃ到底完成しそうもないですが(汗)。
ESTIMATEは2000~5000ドルだそうです。
1962年 220SEbカブリオレ★
何故かセダンの車体番号を書いてあるので正確な年式は判りませんが、
1963年8月以前の車輛である事だけは間違いないと思います。
220SEb3台中で、13インチを履いているのはこれだけ。
ミラーはもう一台もこれも280時代の奴だし、
長く寝ている割には既に形が崩れちゃっているのですよねぇ。
ESTIMATEは3000~5000ドルだそうです。
1936年 290ラング(W18)
この辺りは全く判らんので年式はRM Sotheby'sの言いなりです(笑)。
ただし、通常の290には長短2種類があり、
手元の文献によると短い方の4ドアはキャビンが後者軸より後ろにオーバーハングしていて
ホイールベースが短い為にいかにも窮屈そうな前後ドアが付き
且つドアの後ろにクウォーターウインドウが備わるようになっているので、
こちらはラングだろうと判断しました。
因みにラングにも同様なボディ形態で
リアドアの後ろにクウォーターウインドウが付くモデルがありますが、
それはプルマンリムジーネと呼ばれる車両で
その場合、恐らくフロントシートとリアシートの間に補助席が付く感じになっているものと思われます。
これは極端にぶつけているような事もなく、欠品も少なそうな印象なので、
レストアベースにし易すそうな車両でした。
ただ、リアシートとして乗っけられているバックレスト(クッションは見えていません)が、
どうもこの車の物ではなさそうなのが少々気になるのですけどねぇ。
ESTIMATEは20000~30000ドルだそうです。
1957年 300SL Roadster
安いのだけではなくてちゃんとこういう大物もあるんですよね(笑)。
ロードスターで工場出荷時にラッジホイールが付いていた30台の内の一台らしいです。
そう言えばこないだある方からお聞きした話によると、
国内にある某ロードスターもその30台の内の1台だったらしいです。
一寸説明文に納得のいかない所があって、
『現在の走行距離計の17,873キロメートルは、車がジャンクヤードコレクションに保管されている期間を考えると、本物のオリジナルの走行距離を表している可能性があります。』
な~んて書いてあるんですよね。
元々がファイヤーエンジンレッド(DB534)の外装色にクリームの革内装(1060)だったというので
現在が銀赤である以上はその辺りはどちらも弄っているわけなのですが
外装だけならいざ知らず、その距離で内装も張り替えますかねぇ?って思うんですけどね。
まぁ、お金持ちが持っていれば、短い期間だけど見掛けに飽きちゃったからと
どちらも入れ替えする可能性はあるかと思いますが。
ただ、もうひとつの大きな問題として
スピードメーター がこの車のじゃないんじゃない?ってのがありまして
なんと、これ、210km/hスケールになっているので、
恐らく初期の300SE2枚扉用か、もしくは220SEb2枚扉用のメーターだと思うんですよね。
(調べると300SEの2枚扉用は003482までは220SEbの2枚扉用と共通らしいので同じモノかな?)
私が知らないだけかもですけれども、キロ表示の300SLのメーターって
今まで270km/hスケールの物しか見た事が無いですからね。
ましてやアメリカ仕様のファイナルが3.89なのに対し、これは3.42が付いていると言っていて、
そのアメリカ仕様が160mphスケールなのに
それより高速が出る方に振った車に210km/hスケールじゃ当然振り切っちゃうわけで、
そんなメーターをメーカーがオリジナルで付けますか?って話ですからねぇ。
確かに、『可能性がある』という形で濁して断言はしていないけれども、
こうして辻褄が合わないのに、ホント、判って書いてんのかな?
って思わざるを得ないのですよねぇ。
いや、判ってるのに高く売りたくてこういう事を言ってるのかも?
とさえ勘ぐってしまいたくなります。
これだけ大手のオークション会社でも割といい加減なもんだなァと思いました。
尤も、仮に300SEのメーターだったとして、それに交換した理由はともかくとして、
その時に距離だけ元のメーターと同じにした可能性だって無いとは言えませんから、
私の言う事も正しいかどうかは判りませんけどね。
ESTIMATEは800000~1000000ドルとの事でした。
ひえ~、この状態で1億2千万~1億5千万が予想されるわけ???
最初から仕上がった車を買った方が良くない???
1938年 230クーペ(W153) by Baur★
MBでは比較的珍しい社外コーチビルドモデルですね。
このBaurというのはBMWのマルニやその後の3シリーズのカブリオレを造っていた
あのバウアーなのだそうです。
説明文によると、戦後、コーチビルダーは
自分達の作るボディを載せる新しいシャシーを入手するのが難しかったそうで、
この車のように戦前の中古のシャシーを利用してボディを架装する、、、
というような事をやったのだそうです。
これは恐らく1949年から1951年の間にボディが架装された物だと思われるとの事でした。
因みにこの戦前の230という車はややこしい車で
一寸時期が被った状態でW143というモデルとW153というモデルがあるのですよね。
元の形がないのでどう判断しよう?と思ったのですが、
車体番号が406732とあり、手元の資料でそれがW153の方の物だと判明しました。
ESTIMATEは30000~50000ドルだそうです。
さて、お次は私が大好きなコチラです。
1931年 Mannheim 370S Sports Cabriolet
やっぱり少しずつ出てきますねぇ。
そのうちこれも現存何台の中に入る事でしょう(笑)。
何処の時点でやらかしたのか判りませんが、
幌のランドウジョイントが左右逆に付いていますな(苦笑)。
これ、こういう取り付け方になっていると、
折れる方向が逆なので幌を降ろした時に多分折れた先が天を仰ぐ感じになって
且つひょっとすると完全に幌が開ききらないかも知れないんですけど、
それに何の不思議も感じない所が私には信じられないのですけどねぇ。
MBに限らず、たま~にこうなっている車を見掛けるのですけど、
レストア屋さんってそんなもんなのかな?って思ってしまいます。
比較的に部品は揃っている印象なのですけれども、
私も付いていたら良かったのにと思う、タコメーターを
何時の時代のオーナーさんか判らないのですが、
本来時計が付く位置に取り付けてあって、
それがドイツ車という事で一応VDO製なのですが、
1970年代から1980年代頃の物と思しきもので
針がオレンジ色という事も手伝って周囲から滅茶滅茶浮いていて
それが恰好悪いのですよね(汗)。
またダッシュボード上に穴を開けて追加メーターを取り付けちゃってあるので、
これは一寸余計だなぁって思ってしまいました。
ESTIMATEは100000~150000ドルだそうです。
お次はまた凄い奴です。
1956年 300SL アロイクーペ
こんな大物を隠し持っている人も世の中には居るのですね(汗)。
たった29台しか生産されなかったアロイボディの300SLクーペで御座います。
ルディ・クラインさんは1976年に
レーシングドライバーで北米のフェラーリ輸入業者だった
ルイジ・キネッティさん(ルマンウィナーだったそうです)という方から
この車を3万ドルで購入されたらしいのですが、
クラインさんの息子さん達によると、この車は購入後、
走ったり展示したりする事を一度もせずに仕舞い込まれた、
コレクションの中で唯一の車だったそうです。
そんな車なのにフォークリフトでお尻に軽く?キスしちゃうなんて、、、って感じですが(汗)。
そんな経歴の車ですので、メーターで表示されている73387キロは実走行距離なんでしょうね。
キネッティさんの所で黒から銀に塗り替えられていますが、
(なのでダッシュボードやドアの内側が黒いままです)
他はオリジナルのままのようで、アロイボディという特別な価値の部分を差し引いたとしても、
各部の本物感だけで十分に価値があるんじゃないかという気がする一台ですね。
先日300SEクーペの運転席カーペットの話をしましたが、
この車もオリジナルらしきゴム地のそれが残っているのですよね(汗)。
これを購入される方には是非ともやり過ぎないレストアを、、、
というよりも特にエンジンルームのプレートの類いと内装に関しては
出来るだけ清掃のみにして必要以上に触らない事をお願いしたい、、、そんな車です(笑)。
ESTIMATEは4500000~6000000ドルだそうです(汗)。
今のレートでざっくり6億7千万円~9億円って感じみたいですね。
恐ろしいお値段だこと(汗)。
まだもう一つ凄いのがあります。
1935年 500K スペシャルクーペ
戦前のMBの名レーシングドライバーであったルドルフ・カラッチオラの為に造られた
500Kのスペシャルクーペだそうです。
500Kのクーペは本当に少ないものの、これがワンオフだというのには少々私は懐疑的で
ひょっとすると、当初ワンオフの積りでこれを造った事で
他にも欲しいという人が出てきたから造ったという形ではあったかもですが、
とにかく手元の資料には500Kのクーペは3台とあり、
当時の写真を見るとスペアタイヤを背負っている数に違いはあれど、
形は殆ど同じように見えるので、ワンオフと言うほどのワンオフでは無かったのでは?
と個人的には思う所です。
因みに余談ですが、540Kではクーペは9台、
その内の2台は、以前320nで紹介した事があるボディ形態ですが、
コンビナツィオーン・クペーという、
ハードトップを外して折り畳める幌を代わりに取り付けられる車両だったそうです。
この車は1960年代初頭に16か月掛けてレストアされていて、
1966年のペブルビーチのコンテストで2位を受賞し、
1977年の同コンテストでは優勝しているのだそうです。
それをルディ・クラインさんが1979年の3月に購入して
その後何らかのショーに出品された後は
また例によって(笑)仕舞い込まれて44年の眠りに就いたのだそうです(汗)。
現状60年前の塗装は流石に劣化が始まっているものの、
内装は多少の清掃は必要な物の、新品のままのようなパリッとした状態を保っていると言う話で、
確かに画像でも内装は非常に好ましい感じに見えました。
ESTIMATEは4000000~6000000ドルだそうです。
下が300SLアロイクーペより若干弱気なのは何故かしらん?
しかし、どうかなぁ。
数はコチラの方が少ないとはいえ、
姿の好ましい本物のシュペツィアールロードスターが大体10億ですから、
果たしてどこまでそれに近付けるのかなぁという感じですね。
もう時間が経っちゃったのでこれに付いて上げるのやめようかなって思っていましたが、
朝、YOUTUBEで上の動画を見付けたばっかりに書く事になってしまいました。
そのお陰で今日は結局、このブログを書くのに丸一日掛かっちゃったので、
ヤレヤレという感じです(苦笑)。
まぁ、たまにはこんなお休みもイイですかね(笑)。