2025年10月16日
Sクラスについて書かれた記事がまた出ていますけど、
私的にはどうもしっくりきませんなァ。
128/180、111/112、108/109を指して、MBがSクラスと命名しなかったモデル、、、
という書き方をして、
それらがSUPERを意味する『S』の名を冠してはいたものの、
MBとして108/109までは真の意味でSUPERを名乗れるものではなかったから、
『Sクラス』という呼称を使用しなかったように言っているんですけれども、
私としては全然納得出来ないし、そんな解釈をしている人って初めて見ましたけどねぇ。
私的にはもっと単純に、
この意味の『S』という呼称が付くようになって3代目の108/109辺りになって、
世間で自然と『Sクラス』という風に呼ばれるようになってきたことから、
それを4代目の116のデビューの時点から、
メーカーが公式にその呼称を使用するようになったというだけの事だと思うのですけどね。
強いて108/109までと116の違いを言うならば、
後者は下位モデルと基本のシャシーを共用しなくなった初めての『S』って位な話で、
そんなホラを吹こうと言うのだったら、せめてその位の理由付けをして欲しかったですな(苦笑)。
で、116がRRのシルバーシャドウに対するMBの回答ですって???
どう考えても確実にワンランク以上はクラスが違うと思うんですけどねぇ。
昔の二玄社の本で、MBの600に対するRRの回答がシルバーシャドウだった、、、
という解釈をしていたと思いますが、
600のそもそもの価格帯がシルバーシャドウの先代に当たるシルバークラウドに近かった事と、
シルバーシャドウがモノコックやハイドロニューマチックサスを採用した辺りからして
その解釈には私も賛同出来るのですけれども、
116がシルバーシャドウへの回答って、一体どこからそういう解釈が出来るのかしら?
って思う所であります。
もし、そういう解釈が成り立つならば、116のシルバーシャドウを意識して造られた部分って
具体的にどの辺りの事だと言うのでしょうね?
んでね、他の細かい部分についても何だかなぁと思う部分がいくつかあるのですよねぇ。
W112の300SEの『エア+コイル式サスペンション』ってなんなんざんしょ?
あの足回りのどこかにコイルって使っていましたっけ???
トーションバースタビライザーは前後に使っていますけど、
エアサスの場合はリアのスプリングコンペンセイターもないから、
コイルスプリングなんて使っている箇所、私は知りませんけどねぇ(苦笑)。
パワステも300SEがSクラス初だって言ってますけど、
これって本当なのかしらん?
300SEって1961年の4月から、、、って書物には書かれているんですけれども、
その年には全部で13台しか造られていなくて、
しかもデビューは同年の9月21日から10月1日まで行われた
フランクフルトショウという事になっているので、
実の所これがどういう事なのかがイマイチよく判らないんですよね。
んで、EPCで300SEのステアリングの項目を見ると重ステ用の部品が無いので、
最初からパワステが標準だったのは間違いないと思われるのですけれども、
上述の通り車自体の実際のスタート時期が曖昧なので、
先ずは比較すべき日付自体をどう扱うかという問題があるんですよね(苦笑)。
続いてEPCで220SEbのパワステの項目を見てみると、
セダンでは024934から、クーペでは024929から
それ用のステアリングギヤボックスが変更になっているんですよね。
これ、私の年式判別法によると、1962年の1月の後半に入った頃なんですけど、
部品が変更されているっちゅう事は
当然その前からそのオプションは存在しているという事になるわけで、
とするならば、300SEも220SEbも標準とオプションの違いはあれども、
採用時期については1961年の同じ頃と解釈しても良さそうな気がするのですよね。
因みにこの話の流れでひとつ見つけちゃったので、一寸関係ない話をしますが、
以前、実は220SEbカブリオレは1962年から生産されたのでは?というブログを上げておりまして、
上のステアリングギヤボックスの変更時期にカブリオレの記載が無かったので
やはりこの時期以前には220SEbカブリオレはまだ生産されていなかったんだろうと思われます。
さらにもひとつ脱線しますが(笑)、220SEbと300SEって
パワステのギヤボックスが共通だろうと思いきや、違ったんですよね。
300SE用を逆引きすると112の他に108の300SEbと109の300SELがヒットしてくるので、
基本的に111と同じシャシーにM189エンジンを搭載すると
111用のステアリングギヤボックスがそのまま取り付けられなかったのかも知れませんね。
話を戻して、私ならここまで考えるところなんですけど、
この筆者の方は一寸軽はずみに断言しすぎているような気がします。
そんな風に事実のハッキリしない中で
どうしてもパワステと300SEを絡めた事を書かなきゃならないのなら、
私なら、Sクラスで初めてパワステを標準装備したって書き方にすると思います。
あと、『後に世界の主流となる2系統式ブレーキシステムも搭載し』ってありますが、
日本語の難しい所で、『後に』が
『世界の主流となる』に掛かっているんだか、
『搭載し』に掛かっているんだか微妙な所ですが、
どちらにしてもそれってMBの中で特別に300SEで先行採用された物ってわけではなくて、
多少の前後はあるのかもしれませんが、殆どの車両が1963年の8月から採用しているんですよね。
126絡みの話は特に滅茶苦茶でしたね。
運転席エアバックが標準装備されたって書いてあって、
初期は間違いなく違うけど、最後の頃にはそうだったのかなぁ?と思って調べてみましたけど、
EPCで560SELのエアバック無しのホーンパッドを調べてみた所、
フットノートも何も出て来なかったことから、
エアバックは最後まで絶対的な標準装備である事はなかったと思われる所で、
一体何を言っちゃっているんだろうかなぁという感じ。
ABSも標準装備って書いてありましたが、
後期であっても6気筒モデルではABSはオプションだったみたいですからねぇ。
これに関しては『標準装備』を『一部車種に』という意味で使っているなら正解ですけど、
本来それはちゃんと区別して書かなきゃダメですわよね。
ASRに関しても標準装備って書いていますけど、これに関しては全くの間違いで、
無論126にオプション設定があった事自体は私も知っていますけれども
今まで国内でASR付きの126の実物にお目に掛った事が一度もない位ですからねぇ(笑)。
またリミテッドスリップデフの標準化を云々していますけど、
これも560だけに限った話ですよね。
仮にそうした上級グレード限定の話だとしても、
112の300SEでは途中からLSDを標準化して、
それがその後の109の300SELにも引き継がれたりしている位ですから、
これって特別に126の項目で取り上げる話じゃないんですよね(苦笑)。
筆者の方は1972年にMBの輸入車会社に入社したって書いてあるけど、
その割には全然メッチャクチャな事を書いていますよね。
もうちっとお勉強してから文章を書いて欲しいものだなぁと思います。
この方がSクラスの歴史を書きたかったんだろうなぁというのは判るんだけれども、
それを書くのに掲げたタイトルをあんな物にした意味がよく判らず、
ただただその3モデルの中に入る車種の持ち主としては
あまりイイ感じがしないと言うだけの文章でした(苦笑)。
Posted at 2025/10/16 23:31:42 | |
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