私の220SEbクーペの新車当時のポジションがどのくらいなものだったのかというのが
前々から気になっていたのですが、
先日、昔の為替レートが判るHPを見付けた事で、
いっちょ、調べてみますか、、、という気になり、
ここ数日黙々と1962年頃の色んな車の新車価格探しをやっておりました(笑)。
なぜ、為替レートが必要なのかと言いますと、
例えばA国で販売された、A国の車とB国から輸入された車の値段データがあったとしても、
輸入車は関税や輸送コスト等で余分にかかる費用があったりして、
純粋な比較は出来ませんから、
やっぱり自国での販売価格同士で比較すべきだと思われたからなんですよね。
尤も各国で物価に違いがありますから、
この方法が正しいと言い切れない部分もあるとは思うのですけれども
まぁ、ひとつの目安となるかとは思うのでやってみる事にしたのであります。
というわけで、為替レートは私の220君の生まれた頃のモノを利用し、
販売価格も出来るだけその時期のモノを利用する事にして、
220君が製造された時に製造されていた、近そうなクラスの4/5座クーペを各国から選び出し、
全てドイツマルクに換算して比較してみる事にしました。
それでは行ってみましょう(笑)。
先ずは我が220SEbクーペですが、ドイツでのお値段は23500DMでした。
因みに当時の日本円に換算すると211万990円になります。
日本国内での新車価格が475万円で当時は確か100%の関税が掛かっていたと思いますので、
輸入のコスト+輸入元の儲けがどんなに少なく見積もっても
50万円以上はあったという事ですね(笑)。
それから、同じMBではその上に3Lエンジン、エアサスを採用し、
LSD、4速ATを標準装備した、300SEクーペがありまして、
そちらは1.3倍以上の31350DMでした。
1.3倍と言ってもピンとこないと思いますが、
その価格差はなんと、VWビートル1.5台分以上だったらしいです(汗)。
同じドイツの同時期の他社製高級クーペとして挙げられるのはBMW3200CSくらいでしょうか。
こちらは29850DM。
以前、大黒に220君で行って、3200CSに遭遇した時のブログにも書いた通り、
220SEbクーペと比べると、間違いなくこの車の方が格上で、
やっぱり300SEクーペと比較すべき車でしたね。
続いてはイギリス車。
アストンマーティンDB4
英国内での価格は税別3200ポンドでマルク換算すると35926.40DMでした。
元々クラスが違うので、調べる前から比べものにはならんだろうとは予想していましたが、
300SEクーペの1.15倍程度というのは、
DB4がもっとずっと上のクラスだろうと考えていた私的には一寸意外な感じでした。
アルヴィスTD21サルーン
英国内での価格は税別1995ポンドでマルク換算すると22397.87DMでした。
おぉ、これはなかなかいい勝負(笑)。
排気量は違うけど220SEbクーペと出力や車体の全長も近いし、
これは良いライバルだと言えそうですね。
ジャガーEタイプFHC
残念ながら2+2モデルの登場は220SEbクーペ終了後なので
4座以上という前提条件から外れてしまうのですが、
同じ1961年のジュネーブショウでデビューし、
そのショウの話題を全てかっ攫って行った憎っくき(笑)Eタイプですから
若干ジャンル違い気味ではありますが、比較してやろうと思いました(笑)。
英国内での価格は税別1550ポンドでマルク換算すると17401.85DMでした。
因みに余談ではありますが、今回の調査で初めて知ったのが、
EタイプはDHCよりもFHCの方が高価だったという事でありました。
DHCの価格は税別1480ポンドでそれにハードトップを付けても1534ポンドでした。
ソフト、ハードの両トップ付きの190SLが17650DMでしたし、
220SEbセダンが15400DMだった事を考えると、
勿論安い車ではありませんが、Eタイプって印象よりもリーズナブルな車だったんですね~。
良い性能に対してお安くて且つ見た目も派手とくれば、
そりゃあ、ショウの話題も独り占めに出来ちゃいますわよね(苦笑)。
ブリストル407サルーン
英国内での価格は税別3525ポンドでマルク換算すると39575.18DMでした。
子供の頃持っていた本に
『ブリストルは英国でロールスロイスの次に高い』と書いてあった記憶があったので、
高いだろうと思ってはいましたが、やっぱり高価ですねぇ…。
DB4との差も一寸驚きです。
イギリスはこんな感じだと思うのでお次はイタリアに行ってみましょう。
ランチアフラミニアクーペ
イタリア国内での価格は316万リラでマルク換算すると20407.28DMでした。
調査中にこの車のドイツ国内での販売価格を見付け、
それを控えるのを忘れちゃったので具体的金額は忘れてしまったんですけど、
その場合では逆に220SEbクーペの価格を少し上回る感じでした。
フラミニアに付いてはイタリアのwikiに異常に詳しく書いてあったのですが、
それによると革内装はオプション(135000リラ)だったようですので、
条件を揃えるためにそれを選択すれば、もう少し差は詰まりますね。
あと、私の220SEbクーペが1962年式なので設定した条件からは外れるのですが、
1963年には同じランチアで4座のフラミニアGTLがデビューしていますので、
それも比較してみましょう(笑)。
イタリア国内での価格は375万リラでマルク換算すると24217.50DMでした。
こちらも革内装はオプション(55000リラ)ですのでそれを選択するともう一寸差が開きますね。
大体220SEbカブリオレと220SEbクーペの中間位になるでしょうか。
アルファロメオ2600スプリント
イタリア国内での価格は337万5千リラでマルク換算すると21795.75DMでした。
アルファロメオもかつては高級車メーカーでしたので、
この時期にもその名残があるんじゃないかと思っていましたが、
やっぱりこのくらいの所に入ってくるんですね。
フィアット2300Sクーペ
イタリア国内での価格は260万リラでマルク換算すると16790.80DMでした。
ざっくりいうとEタイプに近いお値段ですね。
プアマンズフェラーリと言われた、これのアバルトモデルがあるそうで、
残念ながら今回はそれの値段が見つけられなかったのですが、
そのモデルならもっといい勝負が出来たのかな?と思ったりしています。
マセラティ3500GT
イタリア国内での価格は480万リラでマルク換算すると30998.40DMでした。
これもDB4同様220SEbクーペで勝負にならないのは分かっていましたけど、
ほぼ300SEクーペと同価格帯だったのに一寸ビックリ。
また、DB4と比較してこんな感じなのか、、、ってところも勉強になりました(笑)。
最後にフランス車なんですけれども、
これが適当な車がない(苦笑)。
シトロエンではアンリシャプロンのコーチビルドによるDSのクーペはあるけど、
正規モデルではない上に当時の値段を探すのも難しいし、
クーペではなくオープンだけど、同じくアンリシャプロンコーチビルドながら正規モデルの
デカポタブルの値段も一応捜してみたもののこれまた見付からず断念。
で、絶対に上のクラスだけど、仕方がないので
ファセル・ヴェガ・ファセルⅡの値段を調べてみました。
フランス国内での価格は73500フランでマルク換算すると60130.35DMでした(滝汗)。
がっ、同じ文章中に書かれていたアメリカでの値段は12000ドルで、
300SLロードスターのアメリカでの最終?価格が11573ドルだった事を考えると、
そのフランスでの価格は(そう書いてはいなかったけど)税込の値段だったかも知れません。
だって、当時の12000ドルをフランスフランに換算すると58784.01フランになり、
本国より安くなっちゃいますからね(ダンピングかっ!って話ですよね…笑)。
因みに300SEクーペは1962年にアメリカで11770ドルでしたから、
この車の値段帯も恐らくはそれと同じようなものだったろうと思います。
以上の結果から、220SEbクーペのライバルと言える車は
アルヴィスTD21、ランチア・フラミニア、アルファロメオ2600スプリント辺りだったと判明し、
300SEクーペの方ではアストンマーティンDB4には負けているものの、
それでも思ったほどの差はなくて、
且つ日本国内での販売価格が810万円だった、マセラティ3500GT辺りと
いい勝負出来る感じだったのは一寸意外でした。
戦後、170V系のみでスタートを切らざるを得なかったMBなので
60年代に入って、どのくらいのポジションで他車と戦っていたのかなぁと思っていましたが、
当時のMBもなかなか頑張っていたんだなぁ、、、と思わせられる調査結果でありました(笑)。