車体番号からして1962年の終わり頃出荷と思しき、
ドイツで見付けた、300SEです~。
14インチホイールになっているのと年式的にミラー位置がオリジナルではないと思いますが、
テールパイプが1本出しなのは正解ですね。
フロント下がりになっているのが少々残念。
エアサス要因なら容易に調整出来る筈ですから
これもサブフレームマウントのへたりによるものなんでしょうね。
しかし、日本ではハネベンと言えば黒ってイメージですけど、やっぱりイイですねぇ。
上の画像で見切れていますが、バンブーと思しきカラーの革内装がオリジナルなんですよねぇ。
運転席はひょっとすると1箇所バックレストに切れがあるかもですが、
それを除けばイイ感じ。
後席も薄汚れているかも?という感じではありますが、
好い状態にあると思われる所ですよね。
ドア内張りもドアポケットの所に一寸だけ擦れ汚れはありますけど、
ありがちな雨染み等はないようで、とても好い状態にあると思います。
ドア廻りのウッドパネルも綺麗そうですよね。
このウインドウクランクの上に横方向に帯状の区画が設けられているのが
ハネベンの革内装のドア内張り特有のデザインなんですが、
こうしてオリジナルを見ると、あぁ、こんな風なのかと、
張り替えの内張りのその部分が皆、不自然に再現されている事がよく判ります。
運転席のカーペットは例によって足を置く部分だけゴム?のタイプがオリジナルなんですが、
それが残ってはいるものの、ゴム?の崩壊が手前の方で始まってしまっているようです。
カーペットのウール生地は汚れやすい色であるにも拘らず全体的に綺麗ですよね。
これを販売している車屋さんは実走行として扱っているのですが、
積算距離計は62595キロを指しています。
う~ん、綺麗には綺麗なんだけど、6万キロ台だと言われると、どうかなぁという気も。
残念ながら他に根拠とするものがないんですけど、
前後のバンパーにオーバーライダー用の穴を塞いだ跡があるので、
これって元々はUS仕様だったのでは?という気もしてしまう所で、
ひょっとしてメーターを交換してないかしら?って思っちゃったのですよね。
ダッシュボード。
この距離感で見ると綺麗ですが、
ウッドパネルの一部がアップになっている画像だと細かいクリアのクラックがあったりもしますし、
6万キロと言われるよりも10万キロの手入れが行き届いた車って感じなら納得なんですけどねぇ。
あと気になるのは他の画像で見ると、グローブボックス上のパネルが
何故か一寸盛り上がっているように見えるのですよね。
どうしてあんな風になっちゃったのかしらん?
ベッカーグランプリ。
プッシュボタンが上下に幅のあるタイプなので真空管ラジオですね。
ドイツのラジオ屋さんが62年までが真空管ラジオだと言っていたので
恐らくこの車のオリジナルなんじゃないかと思います。
ただ、わたしの今まで色々見てきた感覚的にはひょっとすると63年の前半頃までは
真空管だったんじゃないかという気もするんですけどね。
あくまで感覚的な話なのでどちらが正しいかは判りませんけどね(笑)。
この周辺のウッドパネルは綺麗そうですが、
灰皿のパネルと木目の質が違うのがちと気になる所ですなァ。
なんとサンルーフ付き。
サンバイザーが垂れてないからやっぱり低走行なのかしらん?
エンジンルーム。
ちゃんと前期型エンジンが載っていますね。
綺麗なんですけど、配管類の表面処理がクロメートっぽくなくて
塗装色っぽい銀色になっているので、
これも6万キロを疑う要素のひとつなんですよねぇ。
車体番号プレート。
以前から言っていますが、これって、新しくする必要あります?
これ一つ取っても、仕上げて綺麗にしましたよ感があるので、
ホントに6万キロなの?って思っちゃうのですよね。
こんな所は綺麗で無かろうが、絶対にオリジナルのままの方が雰囲気がイイです。
打刻の書体もそうですけど、もう少し当時モノっぽく出来ないものかなって思う所ですね。
トランクルーム。
赤丸の所に青ステッカーがないところからして、ここも手が入っていそうですね。
でねぇ、ここの青ステッカーはリプロが出ているんですけど、
厄介なのが年式でこれ1962年までは銀色の枠付きの青ステッカーになるんですけど、
そのリプロっていうのが私が知る限り、
1963年からの銀枠なしの青ステッカーの方しか無いんですよねぇ。
フューエルドアを開けた様子。
これを見てワタクシ、( ゚д゚)ハッ!としてしまいました。
というのは、フューエルドアを開いておくために
フィラーキャップを挟んでおく枠が装備されているんですよね。
これ、ワタクシ、今まで250時代以降に装備されたとばかり思っていたのですけど、
なんとW112にこのギミックがあるとは思いませんでした。
このフューエルドアってW111/112セダンで専用のものなんですけれども、
ということはですよ、
その中の少なくとも新しい方の世代にはこれが装備されていたって事になりますからね。
ってことは、恐らく、220SEbクーペでも最後の方には
これが付いていた車両があったのではないかという予測が立つわけであります。
そこで1965年版のオリジナルパーツリストを参照してみたわけですが、
ここには1117505106という品番が一つ出ているのみだったんですよね。
しかし、過去の経験で
このパーツリストには出ていないのに実は1965年の220SEbクーペの多くに
オルタネーター用のボルテージレギュレーターが装備されていたという事があり、
それにより最終版である筈のこのパーツリストには最終年に変更された部品が
網羅されていないケースがあるという事が判っていますから、
これもそのパターンなのかもと思った訳なんですよね。
なので探してみましたよぉ(笑)。
で、2例だけですが見付けました。
220SEbのラストの車体番号の下6桁は082990なのですが、
082762
082907
という最後期の車両でフィラーキャップが挟めるタイプが装備されているのを
見付ける事が出来ました。
まぁ、私のが蓋本体が腐っていて交換する必要があった位なので、
ひょっとするとこれらも新しい方に交換された可能性もあるかもですけど、
実は何十台とチェックした中、なかなかこの部分を撮影した物が無い中で、
このくらい最後の方の車体番号で2台纏めて見付かるとなると、
これがオリジナルである可能性が高そうな気はするのですけどね。
んで、話は戻りますが、これは1965年限定の話なので、
1962年の最後の方のこの300SEにこのタイプのフューエルドアというのは
交換歴があるという事だと思われます(笑)。
んでね、実は更に一つ気付いちゃった事があるんですな。
EPCで220SEb2枚扉用のこの部品を調べてみると、
オリジナルパーツリストにあった1117505106が1117505606という番号に
品番変更されていた所までは良かったのですが、
当初このフィラーキャップを挟むタイプが250SE2枚扉からだと思っていたので
それの品番を調べてみた所、1117505206から1117505606に品番変更されたとあったのですよね。
実は話の順番は逆でして、5106と5206の違いについては判っていなかったけれども、
まさか3バージョンあるとは思っていなかったので
当初フィラーキャップを挟まないバージョンが250SE2枚扉にもあったのかしら?
と考えてしまったのですが、
その5206のフットノートには088209以前とあったのですよね。
ん?随分と時期が後だなァと思ってこれまたそれなりの台数を調べてみたのですが、
それ以前にもフィラーキャップを挟むバージョンが存在しているどころか、
250SE2枚扉で挟まないバージョンの車を見付ける事が出来なかったのですよね。
んじゃ、088210以降の車を探してチェックしてみようってんで調べてみて
ようやく意味が判りました。
089127
違いが判りますか?
フィラーキャップを挟む部分が中央から右にオフセットした位置に変更されているのですよね。
って感じで思わぬ所から新発見をしてしまいました(笑)。
大いに脱線してしまいましたが、話を元に戻しまして、最後にこの車の気になるお値段の方ですが、
55000ユーロ、今のレートで960万円弱と言う感じのようです。
一千万円手前と聞くと一寸ビビりはしますが、
300SEの希少性とこのコンディションを考えれば、妥当なラインなのかも知れませんね。