
関連情報に挙げたちょっと古い、1年近く前の記事ですがね。
こんなもん待っても出やしねぇよ、と。今のスバルはさ。
シャシ回りはアップデートしても、CVTはぼやんとしてレスポンスはダルいし、スロットルの早開きで立ち上がりをカバーしてるのも見え透いて(これは初期のEZ30でも指摘されてましたね。改まらないな)、スバルのエンジン部門のヒトがよく言う「大切なのはひと転がりのトルク感」なるものが、「ロングストロークエンジン+ワイドレシオCVTからなるマッチングの妙味」ではなく、補正制御、リカバリー制御の添加ずくで演出された「アンナチュラル」なシロモノなんだと。
まるでどっかのAYCみたいじゃないか。制御制御で出したり抜いたりと。
この辺は先代XVの、やたら気に触る加減速フィールから尻尾を出してはいたものの、現行フォレスターでも似たり寄ったりか。
駆動系でいえば。アルシオーネの2.7で初めて出たんですっけ?ACT-4って。あれ87年ですよ。基本システムは30年以上経つんです。エンジン+トランスアクスルマウントのクロスメンバーと一緒。あっちは66年のスバル1000だから、54年そのまま。
パワートレーンの重量と駆動力のストレスを同時に、あの小さなプレス鋼板の狭いスパンで受ける。カタログ馬力・トルク値ともスバル1000のEA52から6倍に達したEJターボではさすがに限界で、「ブッシュの硬度をあれこれチューニングしながらやってきたが、一気にブレークスルーしたい」意気込みで作ったのが、エンジンブロック前端にもマウントを設け、更にサスのロアアームまで取り付けてしまうクレードルフレームだった。皆忘れてるけど。
当時は「国産では4点支持が大半だったが、日産GT-R、Zに続く3例目の6点支持フレーム」だったそうな。少量生産のスポーツモデルではなく、量販車のレガシィに工数のかかる技術を入れた。見えない所にカネと手間をかける。スバルの面目躍如…かと思われた。その時は。そしてその時限り、スバルはそれについてのアナウンスをやめた。
フロント回りのストレスを受け止め和らげる「心筋」「大胸筋」が、クレードルフレームを自己忘却したかのようなクロスメンバー回帰で、果たして何が新しくなっているのか。
こういう所にもスバルの「ユーザーへの欺瞞」「自己成果の否定・黙殺」を感じてならない。
やれ、「インプレッサの骨格ではクレードルが納まりません」などとできませんの理由はでかい声で並べるが、そういう言い訳をよしとするのが果たしてスバルという会社だったか?GDBの重量増で物議を醸したサブフレームも、主眼は衝突安全だったが設計意図はほとんど変わらないはずだ。
単純に「コストかかるんです」ってぶっちゃければいい話じゃない。「ヨーロッパは儲からないから引き揚げます」ってのと、経営上は一緒でしょ。
もうパフォーマンスを追う為に市販車にあれこれ盛り込みはしないです、WRCやってるわけじゃないんで。NBRチャレンジ向けに作ってるのは辰己組の別物ですし。そんな感じよね。
そして今や、BRZ以外にマニュアルギアボックスを載せるモデルは無くなりました。あれはアイシンのだし、、自社のラインをCVTに集約できてめでたしめでたし。
この現状を見て、かつてRVブームに踊って、その終焉とともに転落した「あの会社」を想起する人がどれだけいるかです。
なぜ10年にも満たない期間に、世界販売を6割も伸長することができたのか。社内で説明できる人間がいないことはちょっと前に書きました。ある意味で大問題ですよ、理由も分からないけど売れまくり、生産力を増強するってのは。
日産を見てご覧なさい。ゴーンの粉飾同然の拡販路線が馬脚を現して、3割の製造キャパシティが余剰だと。
幸いスバルは中国工場を「トヨタグループの拠点枠は一杯」と却下されたから、ウイルス禍のダメージも少なく済むでしょう。
リコールの波もそう痛手にならずに済む、アメリカでの販売は堅調で、日本国内でのドタバタもそう知られずに済む、ああ一安心。
それでも製品の中身は↑に述べた通り、全身一新!「全ての」設計要素を、10年20年先を見据え、総力を挙げて鍛え、磨き抜きました。そんなモデルはない。
もう一つ言うと、アイサイトの成功も、ひとつ副作用をもたらす可能性がある。
「ぶつからない」「いざというときに助けてくれる」機能って、全てのクルマにとってコモディティ要素になる。ボタンひとつでレーンの真ん中を定速クルーズしてくれて、時間が経ったら休憩のアナウンスを入れてくれる。踏み間違いのリスクも減らしてくれる、急病などの異常を検知したら自動で停止、通報までしてくれる。
そこへきて一定の機能が装着義務化となると、水平対向低重心「じゃなくても、付いてるんだね」。スバルならではのテイストはなくとも◯◯センシング、◯◯アシストが各社ついてくる。アイサイトが機能評価において、パイオニアにして最高峰、という存在感も薄れる。
そういうクルマ、製品に「グランドツーリングの愉しみ」などを躾ける必要がありますか。チューナーの仕事の余地がありますか。水野和敏氏に「テストコースだけで出したセッティング」と看破されて結構経つけど、それも変わってないんだろうか。
チューナーの仕事がない。金かかるから、BMWの比較車なんか買わなくていいし、外部のコースも使わなくていい。葛生のテストコースでこなすだけメニューをこなしたら、あとは路外にはみ出て泥遊びに興じる。それでそんなモデルばかりになったんじゃないか。
そういう場所はシステム制御で走れないから。
こういうと、スバルがなし崩しに辿ってきた、メディアも書かない「裏ルート」がぼんやり浮かび上がるように思える。
打てば響く、心を揺さぶる、唯一無二、そんなクルマは…もうなかなか見当たらないな。
Posted at 2020/02/26 13:07:14 | |
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