福野礼一郎さんの「クルマ論評5」という本にあるんですが、
「浮くだけで1Gの推力エネルギーを食い潰す無駄の塊」
みたいな風に書かれてましてね。それでせいぜい定員が2〜4人、携行品の搭載は考慮せず、航続距離100km足らず、機体価格数千万円となると
「富裕層のオモチャ」
以外に何の用途があるのかと。
ただでさえ、先進国と途上国間の1人当たりエネルギー消費量はとんでもない格差があります。それに、新興国市場向けとかいう「戦略車」のNCAPでの成績を見ますと、日米欧系メーカーの製品でもエアバッグすらロクに付いてなく、ボディストラクチャーも旧態依然そのもの。
日産のベルサ(ラティオ)とメキシコ製ツル(B13サニー)を、オフセットクラッシュさせた動画がありますけども。
こらもう運転席に限ればレンガとガラスの差ですね。酷いもんです。
メキシコの法規改正でツルは終売したようですが、ほんの数年前まで
日の丸トラバントみたいなタイヤ付いた棺桶
を売ってたわけです。日産に限らず、ラテンアメリカ、南〜東南アジア辺りで売られてるようなクルマは、現地の法規整備の遅れを幸いに手も鉄板も抜いたような代物ばかり。
地球の半分以上の地域でこんなもの売っておいて、ホームでは
スズメ1羽と人間の命が同価みたいなものに血道を上げるという…
要は、人間が乗れるサイズのマルチコプターな訳ですが、荷物運び用ドローンがでかくなっただけですよね。
固定翼がなく、複数の回転翼だけで浮上・操向・移動のエネルギーを生み出さなきゃなりません。しかもバッテリーの電源で。
ところが、トヨタが仕込んでるらしい全固体電池は分かりませんが、リチウム電池のエネルギー密度はガソリンの僅か1%に過ぎないといいます。そしてリチウム電池は
大きな衝撃を受けると破裂・発火する危険性が極めて高い。
みなさん、あのー…安全性で物議を醸した
オスプレイって言う航空機、ご存知ですよね。
米軍が「こんな輸送機が欲しい」と、長い期間かけて開発したものです。中国やロシアと違いw、米軍は基本的に、「乗せた兵員に死なれる機材では困る」。ただオスプレイは固定翼機と回転翼機の折衷型で、
垂直離着陸のためにエンジンの向きが可変させられ、
高速飛行のために、最低限の大きさの固定翼を持ち、
空母に搭載するために、プロペラと主翼が折り畳める
空飛ぶ変形ロボットなわけです。それも世界初の実用機です。
またオスプレイは特性上、滑空性能が極めて低く、片方のエンジンが壊れると即座に墜落の危険が生じるため、1基のエンジンの動力を両側のプロペラに連結し、更にオーバーブーストで出力を維持するシステムまで持っています。それでも何度も重大事故が起きた。
信頼性と抗堪性を重視して作った、軍用機がこうなんです。
有象無象のなんだかよく分からない会社が作った機材が、ぶんぶんその辺を好き勝手に飛ぶ社会が「本当に未来の理想社会」なんでしょうか?
そして、ほんの数十分、数十キロ飛んだらバッテリーが空になるような「半端コプター」が、本当に人間の生活に必要ですか?
Posted at 2021/01/16 19:11:41 | |
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