
あの火炙り状態の機体の中で、
「状況を説明しろ」とは…。
キャビンとコクピットの電話は不通で、煙も入って客室前後の連携も困難になり、一部のドアはCAの独断で開けざるを得ない状況で、その口から
「私の見る限り、このドアからは外部が炎上しているため脱出できません」
なんて言葉が出たらどうなりますか。一斉に他のドアへ殺到するんじゃないか。
幸い…地上滑走状態なのでね。そのまま止まってくれたから良かったですけども、DHC8を下に巻き込んだまま滑ってますから、火元を抱えた状態なわけです。そして旅客機は、機体の真下を搭乗者が直接見渡せるように作られていない。コクピットからはエンジンすら見えないのです。
滑走路上に海保機は40秒も滞留していたとの記録も出てきました。
当初から疑問でしたが、羽田くらいの大空港には地上監視レーダーもあるはずで、管制から異常な動きを見ることは出来なかったのかなと。
実際、JAL機側からあの時間帯に海保機を視認するのは事実上無理だったと思います。前からなら航空機にも前照灯がありますから、恐らく発見できたでしょうが、後ろからかつ滑走路の途中にいるとなると、誘導灯などに溶け込んでしまいます。これも実例があります。
そしたら、地上監視システムは警告を出していたと。
指示の聞き違えに警告聞き流し。二重のポカの可能性が出てきました。参ったな。
管制を自動化できないのか、という意見も聞かれます。これは非常に難しい課題で、30年以上言われてるんじゃないかなと。
プログラムされた通りに飛行機が動いてくれるなら、それこそ「僕は航空管制官」風にシステム移行もできましょうが、実際には旅客や貨物の都合で出発順が変わったり、整備が間に合わずに機材が入れ替わったり、常に状況が動きます。これがシステムの苦手なところで、フレキシビリティを求められる部分を完全にプログラミングに織り込むのは莫大な作業量になります。
緊急時の割り込み処理を入れたり、場合によっては消防や救急を同時に手配したりもする。人間がその場その場で判断して動いた方が円滑にまとまる、ということです。
どれだけ完璧な安全機能を張り巡らせても、最後の一節を人間が握っている限り、どんな対策をしても穴はある。そう思わなければいけません。
Posted at 2024/01/05 23:48:00 | |
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