
スバルはトヨタになった。そういう苦言を耳にすることがちょいちょいあります。
どこがですかね。
「スバル関係者に話を聞いていると、たいがいどこかでフリーズしてしまう」
「隣の部署が何をしているか、知らないまま仕事をしているのではないか」
「窓の担当者は視界作りのために懸命かも知れないが、同じように計器、インパネの視認性や操作ロジックがアップデートされていないのは、開発の横軸を揃える役目がいないからでは」
スバルは自動車会社のなかでは中小企業だといいます。
しかし、ここ数年の急上昇→ゴタゴタの乱高下を見るにつけ聞くにつけ、なんと風通しの悪い会社だろうかと。
社長が物販にチョコモナカジャンボを買いに出れば、風通しが良くなる…かどうかは知りませんよ。でもね、スバルCEOを退いて
「膿を出し切れたがどうか自信がない」
と迷言を残してしまった吉永会長のガバナンスよりは、少なくとも現場に対するトップの意識や期待は強く伝わるんじゃないか。
創業家の御曹司。直系のサラブレッドにして、かつてはフィールドホッケーの日本代表にも選ばれた熱血漢。だからこそ、
「豊田の名前で周囲の視線が変わってしまうのが悩ましい」
「善悪問わず、起きているファクトが伝わってこない」
「本当のことを知りたい。その一心だった」
没後はや10年になるマスターエキスパート、故 成瀬弘氏から
「運転を知らない人にあれこれ言われたくない」
「トヨタにも俺たちのように、命がけで車づくりに携わる人間がいる事を知ってくれ」
とほとんど詰るように吐き捨てられ、逆に「是非、私に運転を教えて下さい」と切り込んでいく。
「トヨタのトップダウンとは、トップが下におりていくこと」
「そしてコーナーを攻めまくる ! 」
「好きなクルマ…うるさくて ! ガソリン臭くて ! そんなクルマが大好きです♩」
これがトヨタ化だというなら、むしろどんどんトヨタ化した方がいいだろう。そりゃアルファードみたいなものばかりが幅を利かすようでは、路上が息苦しくて仕方ないだろうが、やはり設備産業を維持する、労働者を食べさせるには「売れる、儲かる」商品は絶対不可欠。
ともかく、今のスバルは経営、開発、生産の三極がまるで連携できていないのだ。本社が「ここまでの成長と、この先を描く戦略を是非示してほしい」との、ジャーナリストの問いかけに答えることすらまともにできないのがスバルの実情だ。
取り上げている池田氏自身「これを書くのは怖い。しかし書かねば何も変わらない」と吐露している。側から見れば、度重なるリコール禍やパワハラ事件、デザイナー雇い止め騒動などもありながらスバルは好調を保っているように見える。売れている会社に「ダメだこんなもの」と斬りかかるのはジャーナリスト生命にも影響しかねない。
私などは文筆で食べているわけじゃないから、思ったこと見聞きしたこと、なんだこりゃとスイッチが入ったものに「なんだこりゃ」とそのまんま書いてしまうだけだが。
仏作って魂入れず。
桂田さんや辰己さんたちがNBRで心血を注ぎ作り上げてきた、スバルセッティングのDNAも既に薄らいでいるのだ。
Posted at 2020/01/13 10:24:08 | |
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