この諺の三つ子は三歳児を意味しておりまして
幼児期に得た性癖や本質は終生変わらないというモノですが
今回に限り三つ子=一度の出産で3人生まれた子
所謂ひとつの多胎児として解釈していただけますように…
さて
前回の旧車レビューFHP10プリメーラUK編で当社は↓のことを…
そうか…3代で終わっちゃったんだ
ええ 実は先代というかプリメーラに継承された前身モデルも含めて
この3という数字が多く絡むんだよね(謎)
それに対する回答が今回のレビュー外伝でネタにする↓
☆A10型オースター☆
1977年5月発売 710型バイオレットのフルモデルチェンジに伴い設定
当初の車名はバイオレット・オースターとされたが
1978年4月の53年排出ガス規制適合によるマイナーチェンジで
バイオレットの商号が外れた1.4 - 1.6Lエンジンを搭載する小型車である
これがプリメーラの先祖?
そう思う方も多いと思いますが読んでいくうちに納得できると思います
そしてこのモデルが3という数字が多く絡む因縁も含むことに気がつくはずです
で…
バイオレットフルモデルチェンジに伴い設定
そして当初の車名からでお気付きかと思いますが
このA10型オースターは
三つ子車です
まずは長女というか本来のベースモデルかつファミリーカー路線のバイオレット

海外向けには2ドアセダンと後に5ドアHBも追加
さらにはバンボディも設定されました
次女が高級路線でミニセドリック/グロリア的ポジションのスタンザ

そういえばローレルスピリットというサニーベースで同様コンセプトがあった(笑)
スタンザはコンセプト上3ドアクーペの設定はありませんでした
そして三女がスポーツ路線を強調したオースター

イメージカラーは赤 若年層へのアピールという意気込も気合充分(笑)
3ドアクーペはノッチ付きHBで商標はマルチクーペですた
4,260x1,600x1,350(㎜)で1㌧を切る車重に前ストラット/後4リンクリジット
ホイールベースは2,400㎜と扱いやすいサイズ
排ガス対策で苦しめられた時代ですが1.4LのA14はベーシックとしても
1.6LのL16E→Z16Eは105ps/6,000 rpm 15.0kg·m/3,600rpmと
スペック上は2バルブDOHCのトヨタ2T-GEに決して見劣りはしないかと?

5速MTもこの頃の日産車の常だったリバースが左上に来るトラックパターン
インパネも昭和のスポーツ感をプンプンさせてますなあ(笑)
スピード&タコを囲むように計6連って…
気持ちの上では結構その気にさせてくれるのはジジイだからだけじゃない
当社はそう言い切りますよ
実はですね…
A10がデビューした頃に免許取得したら乗ってみたいという願望がありました
実際取得後はもっと魅力的なモデルがあったのでそっちに目移りしたけれど
小学生時代からの友人が当時のトップグレードのCS・ELを中古で購入
何度か運転させてもらいましたけど直線基調のボディは見切りもよく
適度なパワーと平凡ながら素直なセッティングで扱いやすかったなあ…
ん?
直線基調?
どこかで見たようなクルマだと思いませんか?
そう↓にクリソツ(笑)
☆510型ブルーバード☆
原点回帰か? それとも先祖返りか?(笑)
日産では公にしてませんが絶対ベースにこれがあったと見ています
それは710型バイオレットの失敗から考えれば浮かび上がってきます

そもそも710型バイオレットが開発された経緯としては
ブルーバードが510→610へモデルチェンジされた際に
大型化と高級路線へシフトされてしまったことから
暫くは510も併売されておりました
しかし510もフルモデルチェンジが要求されていたことから
同じブルーバードの系譜でバイオレットを710型としてリリースされたのです
710型バイオレットはデザイン的には直線基調から大幅な方向転換で曲線基調の
ファーストバックを採り入れたものでしたが
これが大不評
同時期のC110系スカイライン2ドアHTと同じで後方視界が最悪
そのためマイナーチェンジでセダンはノッチバックに改修するという
大幅なテコ入れしたのも有名な話です
◆710バイオレット セダン初期型◆
◆710バイオレット セダン後期型◆
↑のBefore & Afterが違い過ぎる(笑)
というか後期型はデザインコンセプトが崩れちゃって…(以下略
なのでA10型へフルチェンジする際に510ブルへのオマージュも含めた
そう考えるとスンナリすると思いますがね
話はA10型に戻しますけど日本国内でのスポーツ路線はオースターが担ってて
710時代に存在したSSSなんていうのはあっさりと廃グレードでした
しかしモータースポーツではバイオレットのブランドで勝負していた
これも面白い話なのですがサーキットでは↓なバケモノが…
☆VIOLET TURBO Group 5☆
グループ5=シルエットフォーミュラーと呼ばれた改造車クラス
市販車のボディカウルさえ使っていればやりたい放題なわけで
パイプフレームに市販モデルにないエンジン搭載もOK
コイツには直4DOHC4バルブLZ20B型にエアリサーチ製T05Bタービンで武装
最高出力570psというトンデモパワーでサーキットを席捲
後にA10型カウルに換装して1982年まで活躍した
そしてWRCでは710時代から日産ワークスが主力マシンとして投入

しかし本領を発揮したのはA10型にスイッチした後のGroup 4仕様

カウンターステアが決まり過ぎ
コイツに搭載されていたエンジンが↓

そうグループ5仕様と同じLZ20B
NAのままメカニカルチューンでMAX 230ps/25.0㎏-mまで絞り出す
耐久性重視のチューンでも100ps/Lオーバーは正に最強ウエポンで
1982年の第30回サファリラリーで総合優勝という勲章もある闘うバイオレット
そうです
Powerfull Violet №1
※どこかのヒットナンバーみたいですがやりたかっただけです(笑)
このようにオースターのスポーツ路線というのはバイオレットがあったからこそ
これに尽きると思うのですが特にラリーカーとしての安定性も踏まえると
A10型そのものがスポーツ指向だったと言えるのではないでしょうか?
そういえば…思い出したエピソードです
LZ20Bが無理でもせめてシルビア&ガゼールで実績のあるZ20Eを搭載した
2Lスポーツモデルをという声もあり日産も検討したらしいのですが
結局はZ18Eつまりスープアップが1.8Lで留まったという結末
そういえばご先祖様の510ブルも市販車は1.8Lまででしたな
そしてこの3姉妹は1981年6月に2代目T11型にフルモデルチェンジされます

FF化そしてCA型エンジン初搭載モデルとなった3姉妹は車名も
バイオレット リベルタ
スタンザFX
オースターJX
変更されたのですが翌1982年に日産のお家事情からバイオレット リベルタが廃止
双子車として生き残ったのですが国際戦略車と名討った割には
海外市場/日本市場でも不人気すぎたモデルで
国内登録総数はA10型総計が約14万台から約10万台までおよそ3割減
ハッキリ言って失敗作だったと思います
そして傷心のうちに1985年(スタンザは1986年)に三代目T12型へフルチェンジ
☆T12型オースター☆
☆T12型スタンザ☆
コンセプト的にはオースターがヨーロッパ指向
スタンザが北米指向で車名も北米日産はスタンザで販売していました
日本国内では販売チャンネルが異なる双子車でしたが
T12型は三つ子車です
エッ?と思われる方もいるかもですが実はT12型欧州仕様は
英国日産自動車製造会社(Nissan Motor Manufacturing (UK) Ltd NMUK)の
サンダーランド工場(Sunderland Plant)で製造されてました
それも
Bluebirdブランドで…

何故ヨーロッパで先祖返り?(笑)
だけどAUSTERだと商標的にどうかな?という判断があったのかもしれません
と同時にこのT12型はどちらかというと玄人受けするモデルだったかと?
当社の知り合いには日産関係者が多かったりもするのですが
直接の繋がりがない4人が揃ってT12型オースター買っちゃったりもしたのです
そして揃って異口同音に語るのが『意外とハンドリングがいいんだよ』
その中でベーシックグレードでセントラルインジェクションのCA18iを搭載する
Xiに乗る友人と東北1周ツアーをした際にハンドルを握らせてもらいましたが
パワーこそアンダーだけど素直なハンドリングとサス設定は
完全にヨーロッパに目が向いてましたね
簡単に要約するとエンジンより足回りが勝っているんですよ
尤もCA18DET搭載のXttは結構なじゃじゃ馬でしたけど
5速MTを駆使して走れば下手なスポーツカーより速かったですね
T12型は1990年に生産終了
後継はスタンザと統合したP10型プリメーラとなり三代で消滅
英国日産もラインをP10型プリメーラに移行してしまいました
そういえばT12型のエアロ装着車には
ユーロフォルマという
ペットネームが附帯してましたけど
これは後にP10型プリメーラの企画中古車にネーミングされたわけで
このような経緯からオースターの後継と考えていいと思いますよ
尤もそのプリメーラも三代目P12で消滅したことを考えると
そこまで踏襲しなくてもいいのにとは思いますが…(笑)
今の日本にはジャストサイズな5ナンバーのミドルセダンを新車で買えない
それが一番淋しいという感情があるのもまた事実ですけど…
そうそう…ひとつ思い出しました
初代A10型オースターがデビューした時のキャッチコピーが
南の風 晴れ
そうです 爽やかな南風だからこそ強過ぎてもいけないし吹き続けるのもどうかな?
こう考えるとわずか13年で吹き抜けたのも南の風の宿命かもしれません
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☆2022.02.12追記☆
A10型のキャッチコピーだった
南の風 晴れ
確かCMソングもそんなフレーズから歌い出しだったと…
ところが誰が歌っていたかまったくわからなかったのですが
関連記事からのリンクでヒットしたこちらに答えが…
※引用許諾はいただいております
トランザムだそうです
そうだ!この歌声間違いないですよ
◆歴代オースターCM詰め合わせセット(笑)◆
本編ではお見せできなかったA10のバックショットもご堪能いただければですが
T11のCMは今じゃ企画段階で絶対にボツになるような?(笑)
それとT12は♪Stand by me/Ben.E.Kingだったのねえ…
チョット意外な組み合わせにビックリしております