次の日
豚子は豊子に教えて貰った
住所にナビを入れ
S2000を厚木に
向かって走らせた
「ねー、このS2000車高調-20って、誰のかな?」
修理工場の事務所にある
ホワイトボードを見て
カネゴンがアンソンに聞いた
「S2000って、凄ぇー嫌な予感すんよな」
「だよねー」
「キャッツの LINE で、喧嘩してたろ」
「裕也君もよく、あの二人に 喧嘩売るよね」
一学年下の カネゴンが言うと
アンソンもうなづいた
「あら、聞いてないの?」
事務所でパソコンを打ってる
親方さんの奥さんが、二人に言った
「えっ、誰なんですか?」
「豚美さんの妹よ」
「じぇじぇじぇ!」
「やっぱり、豚子かよー!」
二人が驚いてると
親方が入って来た
「おはよーございます!」
二人は、立ち上がり挨拶
「今日、アンソンは S2000 の車高調な」
「うっす!」
「カネゴンは俺と、キャラバンの板金塗装」
「了解っす」
「こんな感じでヨロシク〜」
「お願いしまーす」
二人は挨拶して
作業場に向かった
「豚子ちゃんて、どんな子なの?凄い楽しみなんだけど」
「豚美と変わらねーよ」
「じゃあ、美人なんだ」
「どっちかと、いうと、妹は親父さん似だな」
「じゃあ、可愛系なのね」
「俺が引退した後の代だから、性格は良く知らねーけど、デブが言うには、相当な負けん気で、男なら間違いなく、豚子を頭にしてたってよ」
「この前は、豊子ちゃんだったから、豚子ちゃんの運転見てみたいわね」
奥さんが言う
「豊子はどうだった?」
「酷道では、FDにビッタリ、あの子って凄いツッコミするのね」
「バイク命だからな」
「裕也君と同じ車なら、豊子ちゃんの方が速いと思う」
奥さんが、豊子を褒めちぎると
ブォンブォン
S2000が丁度到着した
「ういーす!」
サングラスをかけ
パンツに手を突っ込んで
豚子が降りてきて
アンソンに挨拶した
「おー時間通りだな、取り敢えず、上の事務所行って」
「そうやね、ほなヨロシク〜」
豚子は得意気に
作業場の横にある鉄の階段を
カンカンと鳴らして
二階に上がった
「おはよーさんです、S2000持って来た、蓬莱で。。」
言いかけて、
豚子は金縛り
「おう、時間通りだな」
「。。。。」
「何だ、どうかしたのかよ?」
「あっあ、あのーこの自動車屋って」
「俺の店だよ」
歳はとっているが
イメージとオーラは
全く変わらない
上も下も、10歳以内なら
知らない不良はいない
当時は、お巡りでも
彼を知らないのは
ニセ警官と呼ばれたほど
歴代総長
最強の都市伝説のまま
「あ、あ、あのーアンソンとカネゴンの働いてる修理工場ってのは?」
「はぁ、オメーさっきから何言ってんだよ」
「は、は、服部さんの店ななななん?」
「そうだよ、さっさと着替えろ!」
服部は豚子に向かって
ツナギを投げ付けた
豚子は、顔に投げ付けられたツナギを取り
「ママ、マジっすか?」
「オメーも一緒に作業すんだよ!それが条件だ、嫌なら直ぐに乗って帰れ」
「じぇじぇじぇ!」
「じぇじぇじぇ!じゃねーんだよ」
「豊子さーん!」
豚子の泣き声が
作業場まで響き渡った
豚子は、渋々ツナギに着替え
作業場に行くと
S2000はチョコンと
リフトに上げられていた
「へぇー、リフトまであるんや」
感心して、アンソンに言う
「本業は板金屋なんだけどね、赤毛さんのハコスカや、松方さんのカマロを弄ってたら、口コミで広がってちゃって」
「持つべき物は、人脈やねー」
「旧車ブームだし、横浜の客の方が多いくらいだよ」
「あっちは、金持ちやからね」
お喋りしながら
タイヤを外し
「さーて、拝みますか」
「何処のメーカーやろ」
アンソンが車高調が入った
飛脚のダンボールを
勿体ぶりながら開ける
「おっ、無限かな?」
箱から出て来たのは
赤のサスペンションだった
「おぉぉ〜」
豚子も興奮して
アンソンが手に持った
車高調キットを触る
「先ずは、車高の調整からすっか」
「なんぼ、下げんねん?」
「取り敢えず、20m m、最終的には、親方と豚子が乗って決める」
「くぅー!楽しみやねー」
「箱に専用レンチあるはずだから、取って」
「よしっや」
「専用レンチってどんなんや?、なんも入ってないで」
豚子はガサガサ手探りし
最後には箱をひっくり返した
「マジで?」
アンソンも見るが
新聞紙か入ってない
「アレ、もしかして?」
アンソンはもう一度
サスペンションキットを手にし
「駄目だこりゃ」
「なんなん!」
「コレ車高調じゃねーよ」
「なんなん!」
「減衰力は調整できっけど、車高は無理」
「だから、なんなんよ!」
「車高は調整できない製品」
ガビーン!
「ちょっと、親方呼んで来て」
アンソンに言われ
豚子は悲しみで
震えながら
服部を連れて来た
「車高調じゃないって、マジか、見せてみろよ」
服部も手にとり
「あーダメこりゃ」
「なんなんよ〜」
━(;´༎ຶД༎ຶ`)━(;´༎ຶД༎ຶ`)━
「ちょっと、中島に電話しろや」
半泣きの豚子に
服部が命じて
スマホから実家に電話
「はい、豚猫モータース!」
見習いの綾乃が
勢いよく即答した
「ウチや、中島に変われや」
豚子は、冷たい声で命令
「あっ、豚子さん、どーしたんですか?」
「どーしたも、こーしたもあるかい!さっさと中島出さんかい!ボケッ!」
「ひぃー」
綾乃は受話器を置いて
ダッシュでピットに行き
中島を呼びにいった
あまりの、剣幕に服部とアンソンは見つめ会う
「もしもし、変わったけどなに?」
中島の声が聞こえてきたので
無言でスピーカーに切り替えて
服部にスマホを渡す
「おう、俺だ」
「あっ、どうしたの?」
「オマエ、S2000の足、間違って送っただろ?」
「いや、20周年記念のだよ」
「だって、車高調じゃねーぞ」
「そうだよ、20周年記念のは無限じゃなく、HONDAアクセスだもん」
「マジかっ!」
「僕も可笑しいな?と思ったんだけど、豚子ちゃんだからイイのかなと」
「他には、ねーの?S2000の車高調」
「それしか、ないよ」
「分かった、悪かったな」
「豚子ちゃん、元気?」
「泣いて喜んでるよ」
「じゃ、頑張ってね!」
「と、言うワケだ」
スピーカーにしてた
スマホを服部は豚子に
返しながら言った
「ウチはどないなんの?」
タイヤを全部外された
S2000を恨めしそうに
指刺して豚子は呟く
「新しいの買うか、このまま帰るか?」
「なんなんよ!ツナギまで着せて、ここの店はー!」
遂に、豚子が切れて
ダンボールを蹴り上げた
「分かった、落ち着けって」
アンソンが
必死に抑える
「まぁ、俺の早とちりだし、悪かったって」
豚子が半泣き状態で
キレたので流石に
服部も謝る
「ほら、俺がネットで探してやるから」
「おっ、そうしてやれ」
アンソンの案に
服部も同意
「今日は乗って帰れんの?」
「今日は無理だなー」
「うっうっ」
豚子は怒りで
変な声を出す
「取り敢えず、一服してネットで、どれにすっか決めようぜ」
怒りどころと
豚子がキレた時の
恐ろしさを知ってる
アンソンが震える肩を抱いて
二階の事務所に連れて行くと
離れて見てた カネゴンが
蹴り上げられた ダンボールを手に
HONDA アクセスの
サスペンションキットをしまいだした
「アイツ、目が据わってたぞ」
「久しぶりに キレたの見ましたよ」
「殴りかかって 来るかと思ったぜ」
服部が納得したように
カネゴンに言う
「昔は、ある意味、豚美さんよりヤバかったす」
「見たことあんのか?」
「はい、剣汝 潰した時、殺しそうな勢いだったんで、皆んなで羽交締めにして、止めたんですよ」
「マジかよ」
「裕也君やアンソンより、豚子ちゃんの方が強いのは、皆んな分かってます」
「デブと赤毛が、惚れ込んだのが、理解したわ」
「そうだったんすか?」
「オフレコだったけど、総長戦挙、豚子本人が断ったらしいぞ」
「そんな事があったんですか〜!」
「パクが事故んなきゃ、満場一致だったんだけどな」
「でしたね」
二人はシートに覆われてる
赤いFXに視線を移した
。。。。。。
豚子はアンソンに連れられ
事務所で小休憩して
さっきの怒りを治め
パソコンで車高調を吟味する
「やっぱ、無限とか Spoon は高ぇーな」
「ウチは、コレがエエんやけどな〜」
「圭オフィスかっ、イイよな」
「けど、やっぱり、値段が気にいらんねん」
「だったらコッチは?」
「安いやん!」
「昔は、ドリキンも使ってたメーカーだから間違いないぜ」
「ほな、コレで決定や」
豚子が即決すると
アンソンは注文画面に切り替えた
「オマエのノーマル16だけど、いいのか?」
「エエよ、ウチ薄いタイヤ苦手なんよ」
「峠で薄いのも、穴ボコってたら、アルミ凹ますしなー」
「せやろータイヤもたこーなるし、金の無駄やねん」
「なら確定で、ポチッと」
アンソンがクリックして
二人で注文完了を確認すると
「それよりな、箱根で裕也の前走っとた、涼子911ってアンソンも知っとんの?」
「はぁー?なにを、ボケてんだよ」
「なんやねん?」
「知ってるも何も、そこに居るし」
アンソンが目線を向け
指を指すと
「どうもー涼子です」
斜めに向かいの席で
パソコンを打っていた
女性が顔を出して笑った
「えっ(; ̄O ̄)
「親方の奥さんだけど」
「奥さんの涼子でーす!」
今度は可愛いらしく
手を振る
えっ(; ̄O ̄)
「裕也君の前を走ってた、911 涼子でーす」
笑笑
「。。。。」
「なんなんよ!この店はあああ!」
続きま~す
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Reservoir Cats | 日記
Posted at
2024/08/02 22:08:37